1月13~17日(教養講座:根を持つこと)
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***デイ・ウォッチ(10~12日)
◎計画中止、6月までに延長 日鉄、USスチール買収「完了目指す」―米政府:時事ドットコム →20日の大統領就任式を控え、トランプウィークになりそうだ。日本製鉄は買収期間の延長で、ディールの余地が生まれた。トランプ氏の意向を踏まえたかどうか不明だが、日鉄の買収意欲は強いのでトランプ氏にとっても好ディールだ。日本政府を巻き込むこともできる。
◎トランプ氏、一審有罪確定 口止め料事件―刑罰科さず:時事 グリーンランド防衛強化でデンマーク トランプ氏にメッセージ | NHK 多様性対策廃止相次ぐ トランプ大統領就任前に―米IT大手:時事 →トランプ氏になびく動きが世界で広がっている。NY地裁は有罪判決を確定させたが、刑罰は課さず。デンマークはグリーンランド問題で話し合いの意向。社会の多様性を重視したビッグテックは、その旗を下ろし始めている。信念を捨てた屈服か、戦略的な現実主義か。歴史が判断する。
◎LA山火事、SNSに陰謀論 マスク氏同調、中傷も:時事ドットコム ドイツの大学など一斉にXの利用停止へ「価値観 相いれない」 | NHK | ドイツ →トランプ政権に参加するイーロン・マスク氏が物議を呼んでいる。ロサンゼルスの山火事では陰謀論に同調。ドイツの大学はマスク氏の運営する「X」の利用を停止した。独裁的な経営者で、政治経験のないマスク氏の方が危ういかもしれない。
◎中居正広さん 女性とのトラブルめぐり番組休止など影響広がる | NHK →ジャニーズ問題もあって、性的被害に対する芸能界を取り巻く空気は一変した。9000万円の示談で終わったと思っていた中居氏だが、被害感情が癒えない限り、大手メディアでの活動は不可能な時代になった。関与を否定しているフジテレビの対応が焦点。異性とカネにルーズなテレビマンは排除すべき時だろう。
◎韓国 世論調査 与党支持率が34%に回復 最大野党は36%に低下 | NHK | ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領 →韓国の世論が与野党で拮抗し始めた。非常戒厳直後は、ユン大統領への反発が強かったが、与党支持はその後10ポイント上がり、野党は逆に12ポイント下がった。与党の危機感が強まる一方、野党への期待が落ちている。しばらく膠着状態が続きそうで、先はまだ見えない。
*** 「今日の名言」
◎山本有三(小説家。1974年1月11日死去、86歳)
「人間はな、人生という砥石で、ごしごしこすられなくちゃ、光るようにはならないんだ」 「おれは苦労を、おれの先生だと思っているんだ。人間、苦労に仕込まれないと、すぐいい気になっちまう」 「心に太陽を持て」 「働くというのは、はたを楽にしてやることだ」 「一年の計は麦を植えることにあり、十年の計は樹を植えることにあり、百年の計は人を植えることにあり」 「たったひとりしかいない自分の、たった一度しかない人生を、ほんとうに生かさなかったら、人間、生まれてきたかいがないではないか」 「自分が相手を愛すれば、相手もきっと自分を愛してくれる」 「学校ってものは、体と体のぶつかり合うところだ。先生の魂と生徒の魂が触れ合う道場だ。それではじめて、生徒は何ものかを体得するのだ。一生忘れないものを身につけるのだ」
*** 今週の教養 (根を持つこと①)
今週は「根をもつこと」(岩波文庫、2010)を紹介する。著者はユダヤ人思想家のシモーヌ・ヴェイユ(1909~43)。ナチスドイツに祖国フランスを追われ、「根を持つことは魂の切実な欲求で、人間は複数の根を必要とする」と考えた。第2部「根こぎ」から引用する。根こぎは、根元から引く抜く意味だが、「根こぎから根づきへ」と訴える。
根を持つこと、それはおそらく人間の魂の最も重要な欲求であると同時に、最も無視されている欲求である。また、最も定義の難しい欲求の一つでもある。人間は、過去のある種の富や未来へのある種の予感を生き生きと懐いて存続する集団に、自然な形で参与することで、根を持つ。自然な形での参与とは、場所、出生、職業、人間関係を介しておのずと実現される。人間は複数の根を持つことを欲する。自分が自然な形で関わる複数の環境を介して、道徳的・知的・霊的な生の全体性なるものを受け取りたいと欲するのである。
異なる環境の間で交わされる相互の影響は、自然につむがれる人間関係への根づきと同じく、成長には欠かせない要因である。ただし、ある環境が外部の影響を受け入れる際にも、その影響は即効性のある養分とみなされるのではなく、自身の生命力を活性化させるための刺激とみなされるべきだ。さらには外的な養分をあらかじめ消化吸収した上で、そこから活力を得るのでなければならない。なおかつ、環境を構成する個々の人間は、自分が属する環境を介してのみ外的な養分を受け取るべきである。真に優れた画家が、外的な養分の宝庫である美術館を訪れるとき、自身の独創性はいっそう強められる。このことは地上のさまざまな民族や社会環境にもあてはまる。
軍事的征服が行われるたびに根こぎが生じる。このため、征服はほとんど常に悪である。征服者がおのれの征服した国に住み着いて現地の民族と混じり合い、自ら現地に根を下ろす移住民となる時、根こぎは最小限に抑えられる。ギリシャにおけるヘレネス族、ガリアにおけるケルト族、スペインにおけるモール族の場合がそうだ。だが、征服者がおのれの掌握した地域になじまないまま居座るならば、服従を強いられる民族にとって、根こぎは死に至る病となる。根こぎが最も深刻な病状を呈するに至るのは、大量の強制移送が行われたとき、あるいは現地の伝統がことごとく暴力的に廃されたときである。例えばドイツ占領下のヨーロッパやナイジェリアの湾曲部において、あるいはゴーギャンやアラン・ジェルボーの言を信じるならば、フランス占領下のオセアニアにおいても生じた。
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***デイ・ウォッチ(13日)
◎東京女子医科大学 岩本絹子元理事長を逮捕 背任疑い 医大名門で相次ぐ混乱 なぜ? | NHK →警視庁は昨年3月に家宅捜索し、やっと逮捕に至った。ワンマン理事長だったが、それだけでは立件できない。難しい捜査のようだ。気になるのは大学と病院の行方。医療過誤でつまずき、理事長の経費削減で現場は疲弊した。5年ほど前に取材したことがあるが、校内で不正行為はしないという趣旨の書類に署名を求められるなど異様な形式主義だった。
◎ゼレンスキー氏、捕虜にした北朝鮮兵の送還申し出る 捕虜のウクライナ兵と交換に – BBCニュース →ウクライナは捕虜にした北朝鮮兵士の様子を公開した。兵士は戦闘ではなく訓練と聞き、ロシア軍の身分証明書を持っていた。北朝鮮に戻りたくない兵士の保護も示唆したが、家族を北朝鮮に残した兵士には過酷な選択だろう。末端兵士も戦争の犠牲者だ。
◎日韓外相会談 トランプ大統領誕生にらみ安保連携継続:時事ドットコム 日米豪印、21日に外相会合調整 対中連携重視:時事ドットコム →岩屋外相の韓国訪問には自民党内からも「無政府状態の国に行く意味があるのか」と言われたが、先が見えない時、とにかく人に会うことが重要だ。日米豪印の外相会合もありそうだ。トランプ大統領誕生後、しばらく外相らの右往左往は続きそうだ。
◎高校サッカー 前橋育英が優勝 流通経済大柏を破る PK戦の激闘 | NHK ラグビー大学選手権 帝京大が早稲田大に勝利 4連覇 | NHK →正月スポーツは最終日。国立競技場に5万8000人を集めた高校サッカーは10人目のPK戦で決着する激闘。中継の日本テレビは放送時間切れで、なんとPK戦途中で放送を打ち切ったが、さすがにしばらくして再開した。大学ラグビーはいつもの国立競技場から小さな秩父宮ラグビー場に決勝の舞台を移し、帝京がスクラムで圧倒した。また帝京の一強時代か。
◎初任給引き上げ、30万円台続々 人材獲得競争が激化―大手企業:時事ドットコム →初任給が30万円を超える大企業が相次いでいる。ユニクロが口火を切ったが、メガバンク、損保、生保、商社が続いている。歓迎すべきことだが、「他社に追随しないといい人材が取れない」という横並びムードもある。日本企業には独自で積極的な決断を期待したい。
*** 「今日の名言」
◎村上春樹(小説家。1月12日は76歳の誕生日)
「海ばかり見ていると人に会いたくなるし、人ばかり見ていると海を見たくなる」 「人は勝つこともあるし、負けることもあります。大事なのは負けの深みを理解することなのです」 「過ちを進んで認める勇気さえあれば、だいたいの場合取りかえしはつく」 「自分に同情するな。自分に同情するのは、下劣な人間のやることだ」 「誰をも抜かないし、誰にも抜かれない。我々はそんな回転木馬の上で仮想の敵に向けて熾烈なデッド・ヒートをくりひろげているように見える」 「深刻になることは、ずしも真実に近づくことでない」 「高く堅固な壁と卵があって、卵は壁にぶつかり割れる。そんな時に私は常に卵の側に立つ」 「人は原理主義に取り込まれると、魂の柔らかい部分を失っていきます。そして自分の力で感じ取り、考えることを放棄してしまう」 「目に見えるものが、ほんとうのものとは限らない」 「遠くから見れば、大抵のものは綺麗に見える」 「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している」
*** 今週の教養 (根を持つこと②)
たとえ軍事的征服がなされていなくても、金銭に基づく権力や経済的な支配は、その土地柄に馴染まない影響を及ぼし、ついには根こぎの病を引き起こす。国内の社会的な関係も、根こぎをもたらす危険極まりない要因となりうる。今日、わが国の地方には、征服は別として、この病を蔓延させる毒が2つある。1つは金銭だ。金銭は一切の動機を金儲けの欲望にすり替え、それが侵食するいかなるところで、もろもろの根を破壊する。この欲望がやすやすと他の動機を打ち負かすのは、他の動機に比べて微々たる注意力しか要求しないからだ。実に数字ほど明確にして単純なものはない。
完全に絶え間なく金銭に縛られている社会階層がある。賃金労働者である。中でも、出来高払いの賃金体系が導入されて以来、小銭単位の勘定に絶えず注意を向けざるを得ない労働者がそうだ。根こぎの病はこの階層において先鋭化された。我が国の労働者はそうは言ってもヘンリー・フォードの労働者のように移民ではない、とベルナノス(フランス人小説家)は書いた。ところが、我らが時代の主たる社会的困難は、わが国の労働者もまたある意味の移民だという事実にもとづく。
地理的には同じ場所に留まるとはいえ、精神的には根こぎにされ、追放され、いわばお情けで、労働に供される肉体という名目で改めて認知されるにすぎない。失業はいうまでもなく2乗の根こぎである。労働者は、工場にも、自分の住まいにも、彼らの味方と称する党や組合にも、娯楽の場にも、真の憩いを見出せない。たとえ知的文化を吸収しようとしても、そこにも憩いは見いだせない。
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***デイ・ウォッチ(14日)
◎三菱UFJ銀行 元行員を逮捕 貸金庫から金塊約20キロ 2億6000万円相当を盗んだ疑い FX取引や競馬で多額の損失 | NHK | 事件 →かつてなら「女性行員逮捕」が見出しに踊ったが、最近は性別で特別視しなくなった。手口と背景が焦点。競馬やFX取引で借金を重ねており、ギャンブル癖が強かったようだ。また、貸金庫と脱税の闇も関心を呼びそうだ。週刊文春は逮捕前の女性を都内の自宅で直撃取材。同じ家に住む夫とみられる男性から「もう離婚した」という言葉を引き出し、賠償逃れの可能性も報じていた。
◎東京女子医大 元理事長 岩本絹子容疑者 背任事件 側近が手渡しで資金還流か | NHK | 事件 →逮捕された東京女子医大元理事長の悪事が明らかになってきた。還流させた資金を自宅に近い東京都江戸川区で職員に受け取らせ、自宅や関係先からは現金や金塊が見つかった。これらは犯罪を裏付ける証拠になる。権力以上に金銭への執着がかなり強かったようだ。
◎自民 森山幹事長と中国 王毅外相が会談 “目に見える形で協力や連携を” | NHK | 日中関係 江藤農相 あす中国訪問 水産物輸入再開などめぐり意見交換へ | NHK | 中国 →日中要人の距離が急速に縮まっている。トランプ大統領の就任が背景にあるが、水産物の輸入再開でも進展があるかもしれない。ヘビー級の米国と中国の間でどう振る舞うか。石破政権の外交力が問われている。
◎TikTok、マスク氏に売却検討 米事業禁止で中国政府―報道:時事ドットコム →中国政府もトランプ対応で必死だ。ティックトックをイーロン・マスク氏に売る案が浮上している。米国での事業を事実上禁じる法律が19日に発効するのが直接のきっかけだが、米政府ではビジネス優先で親中派のマスク氏を抱き込もうという狙いもある。米中間では他にも大型ディールがありそうだ。
◎長期金利、一時1.250% 13年9カ月ぶり高水準、株は大幅安:時事 利上げ、来週会合で判断 氷見野日銀副総裁:時事 →長期金利が13年ぶりの高水準になった。日銀副総裁が講演で発言し、23、24日の金融政策決定会合で、利上げに前向きと受け止められた。株は大幅安になった。日米の金利に対して再び過敏に反応する地合いになっている。
*** 「今日の名言」
◎源頼朝(鎌倉幕府初代将軍。1199年1月13日死去、51歳)
「大事をなそうと考えている者は、細かなことをとがめ立てせず、些細なことを取り立てて問題にすべきではない」 「自らの身を重々しくし、気長に心を保ち、軽々しい行動をとらず、小敵を見てもこれを侮らず、冷静にじっくりと計略を練るべきである」 「現在は天下が始まろうとしている時期であり、それがなぜ必要とされるのかの根本的な理由を深く突き詰めて考えるべきである」 「戦の時期は、諸国の住民の気持ちを大切にする必要がある」 「嘘が多い世の中であるから、『貴方を信じている』と言われようとも、それが本当に誠であるかは疑わしい」
*** 今週の教養 (根を持つこと③)
根こぎの第2の要因は、今日考えられている意味での教育にほかならない。ルネサンスはいたるところで教養人と大衆を分断し、文化を国民的伝統から切り離しはしたが、少なくともこれをギリシアの伝統の中に投げ込んだ。その後、国民的伝統と文化との絆が取り戻されることはなく、しかもギリシアの方は忘れられてしまった。その結果、外科医から切り離された狭苦しい環境において、内向きの雰囲気のなかで醸成された文化が生まれた。それは技術を強く思考すると同時に技術の影響にさらされており、功利主義に芯まで染まり、専門化によって極端なまでに細切れにされ、この世界との接触のみならず、もうひとつの世界への通路までも失ってしまった文化である。
今日いわゆる教養ある環境に属する人間でさえ、一方で、人間の運命に関わる見解を全く抱かず、また一方で、たとえばすべての星座が四季を通じて見えるとは限らないことすら知らない。小学校に通う現代の農民の子の方がピタゴラスよりよほど物知りだと、一般には思われている。単にその子が、地球は太陽の周りを回っていると素直に復唱するからという理由で。だが現実には、その子はもはや星を見上げもしない。教室で語られる太陽は、その子が目にする太陽とは何の関係もない。ポリネシアの子ども達に「私たちの先祖ガリア人は金髪でした」と無理やり復唱させて、彼ら自身の過去から引き離すように、このような教育は農民の子どもを周囲の宇宙から切り離す。
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***デイ・ウォッチ(15日)
◎【速報中】“ガザ地区でイスラエルとハマス 19日から6週間停戦 人質33人の解放で合意” | NHK →イスラエルとハマスが停戦で合意した。仲介のカタールが発表した。19日から6週間で、人質33人を解放する。アメリカのバイデン大統領も声明を発表した。停戦合意が確実に実行され、厳しいガザの状況が改善されるかが焦点だが、これまでに4万6000人以上が亡くなっている。
◎韓国のユン大統領を拘束 内乱を首謀容疑 大統領は供述を拒否 | NHK →ユン大統領がやっと拘束され、焦点は逮捕されるかどうかに移った。戒厳宣言は劇薬に違いないが、政治行為であり、すぐに撤回したわけだから、刑事罰を問うのは妥当だろうか。宣言が出た12月3日以降、政府はマヒ状態だ。憲政の常道とか中庸の徳で、そろそろ正常化する政治努力があってもいいように思う。激しい分断で無理なのだろうか。
◎フジテレビ 中居さん報道 外部弁護士入れて調査 | NHK 米ファンド、フジに第三者委の設置要求 – 日経新聞 →「関係ない」というコメントを発表していたフジテレビだが、弁護士を入れて調査を始めた。米国のファンドは第三者委の設置を求めた。週刊文春は別のアナウンサーもホテル接待を強いられ、バラエティ出身の港浩一社長が常習者だと報じた。フジ全体のスキャンダルに発展しつつある。
◎芥川賞に安堂ホセさん DTOPIAと鈴木結生さん 直木賞に伊与原新さん | NHK →芥川賞は2人、直木賞は1人が受賞した。芥川賞の鈴木さんは23歳で、西南学院大大学院で英文学を研究し、受賞作はゲーテ研究者が主人公。安堂さんも30歳と若い。直木賞の伊予原さんは52歳の地球物理学者。受賞作「藍を継ぐ海」は日本各地の歴史や自然をモチーフとした異色の短編集だ。
◎訪日客消費、初の8兆円 円安追い風、客数も最多―24年:時事ドットコム →訪日客消費の過去最高は2023年の5.3兆円だったので、3兆円近く上回った。客数も3686万人で、過去最高の2019年より500万人多かった。インバウンド客は「一時移民」とも言えるが、消費規模は国内アパレルとほぼ同じ。日本経済に欠かせない存在になった。
◎石丸氏、都議選全区に候補擁立へ 地域政党「再生の道」設立:時事ドットコム →都知事選で注目を浴びた石丸氏が、地域政党を立ち上げ、都議選全区に候補者を出す。政策は決めず、2期8年を上限とする。知事選同様、具体的な政策より政治スタイルをアピールするようだ。再び若者の支持を集めるのだろうか。既成政党は知恵を問われている。
*** 「今日の名言」
◎ルイス・キャロル(英国の数学者、作家。1898年1月14日死去、65歳)
「どんなことにも教訓はある。君がそれを見つけられるかどうかだ」 「他人のための行いにこそ価値があり、それが人生の重要な秘訣の一つだ」 「笑ってしまえば、すべてがおもしろい」 「もしもあなたがどこに行くか迷っていても、道が導いてくれる」 「どっちへ行きたいか分からなければ、どっちの道へ行ったって大した違いはないさ」 「私は昨日に戻ることはできない。なぜなら、昨日の私は別の人間だったのだから」 「私はいったい誰なのか? ああ、それは大いなる謎だ」 「後ろ向きにしか働かない記憶なんて、ずいぶんと貧弱ね」 「もしも私がそんなに賢かったら、1日中頭痛がすることでしょう。ええ、きっと!」 「この世を動かしているものは愛である」 「あなたがやり始めたことは、終わりまでやり続けることだ。そして結果を待てばいい」
*** 今週の教養 (根を持つこと④)
今日、大衆教育と称される手順は、閉じられた環境で生成され、あまりに多くの欠陥がある。しかも真理にまったく意を払わない現代の文化から、まだそこにかろうじて残っていた純金を大衆化の操作によって拭い去った上で、学びたいと願う哀れな人々の記憶の中に、ひからびた残滓を親鳥がひな鳥に口移しで餌を与えるように押し込むことを意味する。
そもそも、学ぶために学びたいという願望、つまり真理への願望は今や希少である。文化の威信はまず例外なく社会的なものとなり果てた。息子を小学校教師にするのを夢見る農民においても、息子を高等師範学校生にするのを夢見る小学校教師においても、あるいは著名な学者や作家におもねる上流階級の人々においても。試験は学齢期の青少年に対して、小銭が出来高払いの労働者に植えつけるのと同じ強迫観念を植えつける。自分は小学校教師になる頭がなかったから農民でいるという思いを胸に農民が大地を耕す時、社会の組織は深いところで病んでいる。
マルクス主義の名で知られる曖昧かつ大なり小なり誤った概念の混濁物、それはマルクス以来、その生成に関与してきたのが凡庸なブルジョア・インテリだけで、しかも労働者にとっては全く異質の養分であって同化吸収のしようもなく、その上栄養価はゼロという代物である。なぜならマルクスの著作に含まれていた真理はほぼ全て、この混濁物から抜き取られてしまったからだ。時には、さらに質の落ちる科学的大衆化という上塗りまで施された。すべてが労働者の根こぎの完遂に貢献した。
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◎速報→横綱・照ノ富士が引退の意向 近年は持病やけがに苦しむ:朝日新聞デジタル →満身創痍だった。大けがで大関から序二段まで陥落し、そこから横綱まで登りつめた。不屈の闘志を長く語られる横綱だろう。優勝は10回。
***デイ・ウォッチ(16日)
◎フジテレビ 港浩一社長がきょう会見へ “中居正広さんと女性とのトラブルに社員関与”の報道めぐり | NHK →女子アナを利用した男性芸人との不適切(ズブズブ)な関係が表面化したフジテレビ。港社長も常習者と指摘されているが、本人がきょう17日記者会見する。株主ファンドから求められた第三者委員会設置の説明だけでは、会見を乗り切れないだろう。過去の行状への追及は必至で、進退に言及する可能性もある。小手先で釈明しようとするより、真摯に謝罪・反省する潔さが問われている。
◎三菱UFJ銀行、半沢淳一頭取ら5人処分 貸金庫の窃盗事件で – 日本経済新聞 →三菱UFJ銀行は、貸金庫窃盗で半沢頭取ら5人を処分した。4年半にわたって10億円を超す犯行がなぜ続けられたのか。信用の根幹に関わる問題で、銀行の管理責任は重い。利用者に細かなルールの徹底を求める姿勢との落差が大きすぎる。同グループは昨年7月、違法な情報共有で処分をしたばかり。
◎阪神大震災、17日で30年 相次ぐ災害、記憶の継承に課題:時事ドットコム ろうそく6434本で追悼 阪神大震災「風化させない」:時事ドットコム →阪神大震災からきょうで30年。日本人の記憶に残る日はいくつかあるが、1月17日もその一つ。40歳以上なら、その日何をしていたか記憶にあるだろう。「忘れない」「真摯に向き合う」という姿勢が必要だろう。
◎トランプ政権で少数独裁到来 「ハイテク産業複合体」に警鐘―バイデン氏退任演説・米:時事ドットコム →アイゼンハワー大統領が退任演説で「産軍複合体」に警鐘を鳴らしたのは有名だが、バイデン大統領は「ハイテク産業複合体」を指摘した。巨大プラットフォームは国境を超えて影響力を拡大している。トランプ氏とイーロン・マスク氏の蜜月は危うさが伴う。世界規模の監視が求められる。
◎イチロー氏 野球殿堂入り 初の満票はならず 岩瀬仁紀氏 掛布雅之氏 富澤宏哉氏も【ノーカット動画】経歴も | NHK | #プロ野球 →イチローは候補者になって1年目で殿堂入りした。米国では満票での殿堂入りが予想されている。掛布は遅すぎる感もあるが、数字が今一つ。「ミスタータイガース」で、記憶に残る選手だったということか。選考するのは野球報道で15年以上の経験を持つ記者だが、最近揶揄されることの多いオールドメディア中心。今の選考方法がいつまで続くかという視点もある。
*** 「今日の名言」
◎小野田寛郎(戦後29年間、フィリピンのジャングルにいた陸軍少尉。2014年1月16日死去、91歳)
「任務解除の命令が届かなかったため、フィリピンのルバング島の密林に29年間、情報収集や諜報活動を続けた」 「帰国の際に、天皇陛下万歳と叫んだ。私は軍人精神の権化か、軍国主義の亡霊かのどちらかに色分けされていたが、どちらでもないと思っていた。私は平凡で、小さな男である。命じられるまま戦って、死なずに残った敗軍の兵である。私はただ、少し遅れて帰ってきただけの男である」 「人生の道案内は人ではない。物でもない。それは目的意識である」 「計画どおりにいかないことは沢山あるが、思いどおりにはいくものだ。自分の満足度を少しだけ変えればよいのだから」 「できない理由が分かればしめたもの。それを解決すればできる。要は、やる気があるのかないのか、それが結果を変えてしまう」 「いつ死ぬかは誰もコントロールできない。これはもう、しょうがないですね。命は天にありです。でも、体は我にありで健康管理は疎かにできません」
*** 今週の教養 (根を持つこと⑤)
根こぎは人間社会にとって他に類をみない最も危険な病である。自ら増殖してゆくからだ。真に根こぎにされた存在には2つの行動様式しかない。ローマ帝国期の奴隷の大半がそうだったように、死の等価物というべき魂の無気力状態に落ち込むか、あるいはまだ根こぎの害をこうむっていない人々を、往々にして暴力的な手段に訴えて完全に根こぎする行動に身を投じるか、そのいずれかである。
ローマ人はひと握りの逃亡者に過ぎなかったが、寄り集まって人為的に1つの都市を築いた。やがてローマ人は地中海域の諸民族から固有の生を奪い、祖国を奪い、過去を奪い尽くすのだが、その略奪ぶりが徹底していたので、後世はその言い分を真に受けて、彼らこそ、かの地の文明の創始者だと勘違いした。ヘブライ人は逃亡奴隷に過ぎなかったが、パレスチナの諸民族をことごとくせん滅するか隷属状態に追いやるかした。
ヒトラーが全権を掌握した時期のドイツ人は、ヒトラー自身も繰り返し主張したように、現実にプロレタリアート、すなわち根こぎにされた国民だった。1918年の屈辱、インフレーションや工業化、何よりもみぞうの深刻さを伴った失業の危機が、ドイツ人に重篤極まる心の病を患わせ、責任感の欠如を生み出した。16世紀以降、有色人種の虐殺と隷属化に手を染めてきたスペイン人とイギリス人は、かの地の生の深い部分に触れ合うこともない策謀家だった。フランス人の海外領土の一部についても同様だ。自身が根こぎにされた者は、他者を根こぎにする。根をおろす者は根こぎをしない。
革命という同じ名のもとに、またしばしば同一の合言葉と宣伝文句のもとに、全く正反対の2つの構想が隠されている。第1の構想とは、労働者の根つきを促す社会変革を目指すことであり、第2の構想とは、労働者を苦しめてきた根こぎの病を社会全体に撒き散らすことだ。第2の作業は第1の作業の前触れであると言ったり考えたりすべきではない。それはウソである。それらは二つの相反する方向性であって、交わることはない。