2月10~14日(教養講座:ホワイトカラー消滅)

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***デイ・ウォッチ(7~9日)

石破総理大臣 アメリカでトランプ大統領と日米首脳会談  一定の成果の評価の声  →石破首相は運のいい政治家かもしれない。トランプ大統領にやり込められるという見方もあったが、難題を突きつけられることなく、逆に気に入られて乗り切った。これで石破政権の国内基盤は強化され、予算案の野党協議にも弾みがつくだろう。「安倍さんのようにはいかない」と足を引っ張ろうとしていた自民保守派も動けず、選択的夫婦別姓も実現しそうだ。

トランプ大統領 USスチールめぐり「買収ではなく投資で合意」日本製鉄幹部と来週会談へ | NHK | アメリカ →USスチール問題は、「買収」を「投資」と言い換える日本官僚のワル知恵で見事にかわした。しかし、両者の定義の違いは明確ではない。常識的に考えれば、「買収」なら株や役員の大半を握り主導権を取るが、「投資」なら主導権を取らない単なる提携と変わらない。トランプ大統領得意のディールになりそうだ。猪突猛進風の日本製鉄には、投資額引き上げなど高くつく可能性もある。

米IT5社がそろって過去最高の売上高、生成AIサービス拡大で…中国「ディープシーク」に警戒感も : 読売新聞 →米国の巨大IT企業は好調だ。過去最高の売上や利益が相次いでいる。懸念材料は、突然浮上した中国発の格安AI「ディープシーク」。AIに巨額の投資が必要かという鋭い問題提起になっており、ビッグテックの天下が変わる可能性もないではない。

兵庫知事選、PR関係を家宅捜索 立件可否、慎重捜査:時事ドットコム →「選挙はボランティア」が基本だが、兵庫県警は買収の疑いがあるとみて、選挙事務を請け負ったPR会社を家宅捜索した。作業を受注すれば、多少のアドバイスをするだろう。それが買収に当たるかどうかは微妙だが、PR会社は「我々が広報戦略を担った」と自ら戦果を誇示し、墓穴を掘った。無知の涙か。

赤根ICC所長、米制裁「国際秩序への攻撃」 79カ国・地域が非難、日本加わらず:時事ドットコム →トランプ大統領は国際機関への攻撃を強めているが、国際刑事裁判所(ICC)職員への制裁を可能にする大統領令にも署名した。ICC赤根智子所長は「法の支配に基づく国際秩序への深刻な攻撃だ」と声明を出した。79カ国が非難したが、日本は加わらなかった。

*** 「今日の名言」

◎小澤征爾(指揮者。2024年2月6日死去、88歳)

「技術の上手下手ではない。その心が人を打つ」 「集中力っていうのは、天才のものじゃない。訓練だ」 「音楽は言葉も国も宗教も政治も超えて、人と人の心をつなげることができる」 「音楽は非常に『個』の強いものです。一人一人の経験の中からじわじわっと出てくる。これまで生きて悲しみを味わった経験。悲しみは人から教われないからね。自分でわかんなきゃ、わかんないわけだから」 「日本製の地球儀を眺めると、日本が赤く塗られています。世界全体から見ると、日本語圏はごく小さい。そこだけの価値観で一生を過ごすのはもったいないですよ」 「ただ僕が願っていることは、いい音楽を精いっぱい作りたいということだけ」 「カラヤン先生に弟子入りしたけれど、言葉がわからないでしょ。大変でした」 「じっと楽譜を読み続けていると、ある時、頭の中で音が鳴り始めます。現代の作品であれ、中世の作品であれ、作曲家の頭の中で鳴っていた音楽が聴こえてくる」

*** 今週の教養 (ホワイトカラー消滅①)

今週はホワイトカラーのあり方を鋭い視点から考えた「ホワイトカラー消滅」(NHK出版新書、2024)を紹介する。著者は戦略コンサルタントの冨山和彦氏。企業再生を手掛ける日本共創プラットフォームの社長を務める。生成AI時代を迎えて、ホワイトカラーは消滅する危機にあり、働き方や生き方をどうすべきかを問うている。カギはリベラルアーツと言語能力にあるという。第4章「悩めるホワイトカラーとその予備軍への処方箋」の一部を掲載する。

◎何が現代の実学か  「リスキリング」という言葉が流行っている。「リスキリング」は、スキルが前提の議論である。だが日本企業のホワイトカラーは、特別なスキルがない「アンスキルド」と言っても過言ではない。学生時代にぼんやりと勉強しているが、突き詰めたところまで学んでいないので、「アンスキルド」に過ぎない。リベラルアーツの価値は、もっと普遍的によりよく生きていくための基礎技能的な意味合いである。

「リベラルアーツはいつか役に立つ」といわれるが、その言い方は誤っている。特定の状況でその力を繰り出せるほどに身体化できているかどうかが有用性を決めるのだ。例えば自分の入った企業がすぐにつぶれるような事態に陥ったとしたら、平時の企業で学ぶべきスキルは役に立たない。その時にこそリベラルアーツがものをいう。より良く生きるための知的技能、すなわち思考や行動のベースになるのがリベラルアーツだからだ。リベラルアーツはマインドセットの問題ともいえる。すぐに役立つとは限らないが、ほとんどのスキルの底流にある基礎能力である。いざという時に本質的、決定的に役に立つことがリベラルアーツと呼ばれるものである。技法として身体化されていなくてはだめで、日本語で「よくあの人には教養がある」というときに使う物知り知識、うんちく知識では意味がない。

リベラルアーツには基礎編と応用編がある。基礎編の基本要素は、「言語的技能・技法」を指す。人間は言語でものを考える。これが身についていないと、ものを考えられないことになる。経済活動に従事する上では、経済学と簿記会計が欠かせない。法的ルールに基づいて社会の枠組みが構築されていることを考えると、基礎法学もこれに入るだろう。さらには統計学や基礎的な微積分レベルの数学力も重要だ。企業の客観的・定量的評価方法は財務数値に還元されるからだ。

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***デイ・ウォッチ(10日)

トランプ大統領 “日本製鉄はUSスチールの株式過半数保有できず” 完全子会社化を計画の日本製鉄は | NHK | 日本製鉄 USスチール トランプ大統領 すべての国から輸入の鉄鋼とアルミに25%の追加関税課すと表明へ | NHK | トランプ大統領 →USスチール問題は「買収」を「投資」に言い換えて乗り切ったように見えたが、「裏」があるようだ。トランプ大統領は「株の過半数は保有できない」と明言。日本製鉄は100%子会社を目指していたので、どう動くのか。すべての輸入鉄鋼製品に25%の関税も課すという。複雑なディール、山谷はこれからだ。

中国、対米報復関税を発動 改めて対話呼び掛け:時事ドットコム 米の相互関税「ほぼ即時発効」 近く発表、日本も対象か―トランプ氏:時事ドットコム →中国が米国への報復関税を発動した。アメリカから輸入される石炭やLNGに15%、原油や農業機械、大型自動車などには10%。トランプ大統領は相手国と同程度の関税を課す相互関税を近く発表する予定。世界経済の混乱は避けられない。

石破内閣支持率 5ポイント上がり44% トランプ大統領と首脳会談で日米関係は NHK世論調査 | NHK | 選挙 →石破内閣の支持率が5ポイント上がり、不支持と逆転した。日米首脳会談の効果もあったようだ。

予算案協議で野党の要求を柔軟に受け入れる姿勢については、3分の2が評価している。自公が選ぶのは、国民民主か、維新か、はたまた立憲か。攻防がこれから本格化する。

昨年経常黒字、過去最高 29.2兆円、配当金など増加―財務省:時事ドットコム →経常収支は、海外とのモノやサービスの取引、投資収益を示している。モノの収支は、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支だが、3兆8990億円の赤字。しかし、海外子会社からの配当金や利子などが伸び、円安ドル高もあって円換算額が膨らんだ。かつての貿易立国が債権大国へ変身している。

*** 「今日の名言」

◎ラモス瑠偉(ブラジル出身の元サッカー選手。2月10日は68歳の誕生日

「日本に来て、いろいろいい思いをさせてくれたから、恩返しをしたいくらい好きになった」 「選手を育てるには、ほめないとダメですよ」 「どんな小さな支えでも、子どもたちに与えれば、倍になって返って来る」 「怒られて悔しいなら『ようし、やってやろうじゃないか。必ずあんたの口からほめ言葉を言わせてやるぞ』となんで思わないの? そう思える人が絶対に成功するんです」 「リーダーは口だけじゃなくて、行動で見せないといけない」 「野良犬みたいな俺まで抱え込んでくれて見捨てなかった。日本サッカーを強くしたのは間違いなくオフト。だから男にしたかった」 「12歳の時にお父さんが亡くなってからは、お母さんや家族を守るために必死でサッカーをしました。自分が頑張ることで家族を守れる。その一心でやりました」 「やるからには100%の力でやれ!」

*** 今週の教養 (ホワイトカラー消滅②)

◎リベラルアーツの基礎  最近の生成AIは、作業としての言語的技能を代替してくれる。しかし、考えるための言語能力を身に着けていないと、生成AIを使う使いこなすことはできない。言語科目の重要性はこれからも変わらない。当該の領域で必要となる基礎的な言語的技能、肉体的技能を習得することが大事となる。現在のホワイトカラーサラリーマンにおすすめの学問があるとすれば、言語的技法を現代にアレンジして身体化することである。簿記会計は現代ならエクセルを使った財務三表の連動モデリング、基礎的な企業財務技法(企業や資産の価値評価手法)の習得は必要だろう。デジタル空間でものを考える時には、プログラミング言語やAIの基本構造、基本特性を理解していることが必要となる。

言語的機能のいいところは、ものを考える手段として機能するレベルまでなら、誰でも時間を使って到達できる点である。言語的技法の基礎が身についていれば、たいていのホワイトカラーは、つぶしがきく人材になれる。ビジネスパーソンとして生きていく上で、時代変化を超えて有効な「すぐに役に立って、ずっと役に立つ」根本スキルである。日本のホワイトカラーの多くが身につけていないので、身につければそれだけ十分な差別化要因になる。

これがしっかりしているということは、スポーツで言えば体幹、足腰、心肺能力がしっかりしていることと同じなので、環境変化の中でのリスキリング能力も格段に上がることになる。よくあるノウハウ本を読んでも、そもそも言語能力がなければ実践には使えない。様々な人生の状況に対して、言葉を持っていなければ、ものを考えられない。「急がば回れ」である。

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***デイ・ウォッチ(11日)

イーロン・マスク氏が買収提案 生成AIのChatGPTを開発するオープンAIに 米紙が報道 | NHK | 生成AI・人工知能 →マスク氏はかねてオープンAI社と対立関係にあった。「オープンAIがかつてのようなオープンソースで、安全重視の会社に戻るときが来た」とマスク氏はコメントしている。オ社のアルトマン社長は「ノーサンキュー」と相手にしていないが、政権有力者であるマスク氏のビジネス活動への疑問が消えない。

八潮道路陥没:下水道管内で安否不明の男性勤務先の車両確認、内部に男性がいる可能性 : 読売新聞 八潮道路陥没、120万人の下水道使用自粛をあす正午に解除 : 読売新聞 →難航している運転手の捜索だが、やっと車両を確認した。1月28日から続いていた下水道の使用自粛はきょう解除する。予想を上回る空前の作業になったが、水道管老朽化で全国に警鐘を鳴らした。埼玉県知事は連日会見し、リーダーシップを発揮した。能登半島地震で印象の薄かった石川県知事とは大きな違いだ。

トランプ氏、紙ストロー推進中止の大統領令…「プラスチックに戻る」「サメに影響与えない」 : 読売新聞 →トランプ大統領が連日のサプライズ発信。政府機関での紙ストロー廃止とは、かなり細かい。環境問題をどう考えているのか、明確な発信はない。トランプ氏は「予測不可能性は低コストの外交政治力」と考えているらしい。図ったサプライズ発信が続くだろう。

ハマスが人質解放の延期を通告、イスラエル反発 双方が停戦合意違反を主張 – CNN.co.jp →パレスチナの停戦はガラス細工のようだ。ハマスが人質解放の延期を通告すると、イスラエルやアメリカが反発。トランプ大統領は停戦破棄まで言い出した。ハマス側は柔軟姿勢に転じている。信頼関係がないので、ささいなことで行き違いが生じている。

最重要政治課題「手取り増」 参院選1人区に積極擁立―国民民主党大会:時事ドットコム →国民民主党が定期党大会を開いた。玉木代表は役職停止中だが、目立っている。「103万円の壁引き上げ」で若い人を中心に支持率を上げているが、7~8兆円の財源について、説得力のある発信はない。さらに支持を伸ばしたいのなら、一定の責任ある財源論は不可欠だろう。

*** 「今日の名言」

◎ルネ・デカルト(フランスの哲学者。1650年2月11日死去、53歳

「我思う、ゆえに我あり」 「世界ではなく、自分自身を征服せよ」 「良い書物を読むことは、過去の最も優れた人々と会話を交わすようなものだ」 「優秀な知性をもっているだけでは、十分ではない。大切なのは、それをうまく活用することだ」 「不決断ほど、深く後悔させることはない」 「良識は、この世でもっとも公平に配分されているものである」 「人間の誤りの主な原因は、幼少期に身に付いた偏見である」 「疑うことは、知の始まりである」 「真理を探究するのであれば、人生において一度は、あらゆる物事をできる限り深く疑ってみる必要がある」 「実際に人々が何を考えているのかを理解するには、彼らの言葉ではなく、行動に注意を払いなさい」 「精神を向上させるためには、学ぶよりもより多く熟考すべきである」

*** 今週の教養 (ホワイトカラー消滅③)

◎カギは読む力と書く力  言語能力を向上させるカギは、「読む力」と「書く力」である。私たちの日常生活のコミュニケーションは、「聞く」と「話す」で成り立っている。この2つは普段からずい分やっているので、伸びしろがない。人間の知的活動としては、文字と文章に関わる領域がより高度で、能力差が出る。だから読む力と書く力の学びにエネルギーを傾注することを勧める。差が出るような聞く力、話す力は、その上に成り立つものである。

SNSの時代なので、短文の読み書き能力は放っておいても向上する。ビジネスパーソンに問われる能力は、相当量のファクトを認識し、整理し、一定の思考フレームワークを選択し、それらをあてはめて論理を構築し、わかりやすく表現する力だ。仕事の世界で他人に物事を伝えるには、こうした最低限のファクトとロジックから成る「物語」の基本構造が必要なのだ。言語化能力をセンスのように言う人が多いが、物語がしっかりしていることが前提で、そこから伝わりやすい語彙選択をする順番になる。中身がないものは、どう言語化して中身がない。

今まで読んだ量が少ないと思っている人は、今からでも遅くはない。とにかく濫読である。書く力も同じで、いろいろな種類、言語領域の書き下し文をたくさん書くしかない。パワポスライドを書く力は、必ずしも文章を書く力を押し上げないので要注意である。あのフォーマットは、かなりごまかしがきくからだ。アマゾンは会議でパワポを禁止している。書く側も読む側も、書き下し文で行うことを要求されている。理にかなっている。

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***デイ・ウォッチ(12日)

トランプ氏 プーチン氏電話会談“大勢の死 止めたい考え一致” | NHK | アメリカ →トランプ大統領が、ロシアのプーチン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談をし、停戦交渉を始めることで合意した。ロシア、ウクライナとも停戦に前向きで、3者の信頼関係は醸成されつつある。領土の扱いなど具体的な条件は不明。お互いの譲歩が重要になりそうだ。

ロシアで拘束の米国人教師、解放されトランプ氏と面会 – CNN.co.jp →米国とロシアが接近している。大麻を持ち込んだ疑いで拘束されていた米国人牧師が、両国政府間の交渉で解放された。ウォルツ米大統領補佐官は、「ロシアの誠意の表れで、ウクライナでの残忍な戦争が終結に向かっている兆しだ」と声明を出した。双方が何かをディールした模様だ。

鴻海会長、日産巡り「買収ではなく提携」 ルノーと交渉 – 日本経済新聞 →日産自動車の買収を噂される鴻海の会長が、初めて日産問題に触れ、「買収ではなく提携」と述べた。日本製鉄とUSスチールの「買収ではなく投資」と似ている。日産の単独での生き残りは困難とみられている。鴻海がやはり日産救世主の本命だろう。

米ホワイトハウス、AP通信の取材禁止 「アメリカ湾」改称に従わず:時事ドットコム →トランプ政権とメディアとの対立が始まった。政権はメキシコ湾をアメリカ湾にすると決めたが、APが従わなかったため、取材禁止にした。大統領令の効力は国内だけで、国際的に意味がないとAPは主張。ホワイトハウス詰めの記者会も同調している。取材禁止がいつまで続くかが当面の焦点。

参議院選挙:デヴィ夫人が参院選に出馬へ…政策の柱は「犬猫の愛護」、日本への帰化を申請中 : 読売新聞 →参院選がにぎやかになってきた。デヴィ夫人が犬猫愛護の政党を立ち上げる。今はインドネシア国籍なので、日本への帰化を申請中という。ペット好きは多いので、1議席くらいは取りそうか。衆議院に比べれば、参議院はシングルイシュー政党がなじみやすい。

河井案里氏、20錠の睡眠薬服用で救急搬送…親族「さようならと連絡あった」 : 読売新聞 →一時は夫婦で国会議員だった河井案里さんだが、自殺を図ったようだ。選挙の買収で有罪判決を受けていた。

*** 「今日の名言」

◎山本周五郎(小説家。1967年2月14日死去、63歳

「人間の一生には晴れた日も嵐の日もあります。どんなに苦しい悲惨な状態も、そのまま永久に続くということはありません」 「人間は調子のいいときは、自分のことしか考えないものだ」 「生きることに情熱を感じて仕事をしていれば、金というものは付随的についてくるものです」 「人生は無限の教訓に満ちあふれている。しかし、どの一つをとってみても、万人にあてはまるものはない」 「この世で生きてゆくということは、 損得勘定じゃあない。短い一生なんだ、自分の生きたいように生きるほうがいい」 「読書、なかんずく小説を読む喜びは、もう一つの人生を経験することができるという点にある」 「男は、階段を駆け降りるようなことはしてはいけない」 「一度本音を吐いてしまえば人間案外肝が据わる」

*** 今週の教養 (ホワイトカラー消滅④)

◎リベラルアーツの応用  リベラルアーツの「アーツ」を芸術と訳してはいけない。「技芸、技能、技法」がふさわしい。リベラルアーツの本質は「自由に生きるための技芸、技能、技法」となる。ざっくり言えば、「問いを立て」「答えを模索し」「決断する」という3要素になるが、この力を鍛えるマニュアル的なフォーマットはないと思っている。戦略コンサルティングの世界では「課題解決」や「クリティカルシンキング」などの手法があるかのような書物が多いが、そうではない。

「学ぶ」というより「育む」という言葉がフィットする。ケーススタディなどのシミュレーションと実践の中で力を育むことになる。「育まれる環境」として、できるだけややこしい立場、職場に身を置くことが有効で、指示されるより指示する立場、自分で決断する立場がよい。もう一つは、世の中の森羅万象に好奇心を持ち、目の前の現象からその背景にある根源的なメカニズムを探索する思考傾向を持つことである。個別現象の背景にある普遍的な原理原則へと思考を抽象化できるか、さらにはその反射として既存の原理原則、個別現象やディテールの現在の与件に対し、疑問を持つことができるか。その力が求められる。

ホワイトカラーが企業で身につけてきたスキルの多くは、所属する企業固有の処世術である。そうした処世術はいったん忘れ、考えるための言語を学ぶことがリスキリングの出発点となる。これからの企業社会では、業務マニュアルを守る能力はAIや機械に代替されていく。マニュアルから外れているものにどう対応できるか、マニュアルが現実に合わなくなった時にどう変えるか。考えようとすると、どう考えても言語能力を持っていなければならない。リベラルアーツを基盤にして、より解像度をあげられる言語能力が問われる。それこそがリスキリングの技能である。

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***デイ・ウォッチ(13日)

USAIDめぐりトランプ大統領 イーロン・マスク氏の投稿で “誤情報“ 拡散 名指しされたメディアは投稿否定 | NHK | アメリカ →恐れていた事態が起きている。USAID(アメリカ国際開発)の大リストラに奔走するイーロン・マスク氏が、自ら運営する「X」で、「USAIDが不正資金を提供している」と誤情報を拡散。関係者が否定に追われている。政府自らフェイクニュースを量産するディストピア。

日産、通期純損益800億円の赤字に 内田社長、混乱収束後に退任も:時事ドットコム →ホンダと日産は統合協議を打ち切ると正式に発表。日産の内田社長は「未定」としていた今年度の赤字を800億円と明らかにし、退任にも言及した。同志社大学出身の内田社長は後輩からインタビューを受け、「頼りにしているのは鈍感力」と大学HPに掲載されている。鈍感さも限界か。

備蓄米、最大21万トン放出へ 政府、流通円滑化で初:時事ドットコム →「令和の米騒動」とも言われたコメ不足。昨秋からずっと続いていたが、農水省は「収穫の端境期」と言っていた。備蓄米は不作の時に放出するという指針があった。今回のように流通円滑化での放出は初めてだが、対応が硬直的だった。コメ価格は下がるか、同様の事態は起きないのか。

ヘグセス米国防長官、NATO加盟国に強硬姿勢 ウクライナ支援で負担増求める – BBCニュース →米国防長官がロシア・ウクライナ停戦の地ならしをしている。「国境を2014年以前に戻すことは非現実的」「ウクライナのNATO加盟は考えていない」「欧州各国はウクライナ支援の増額を」とこれまでの米方針を180度近く転換している。ロシア寄りの停戦姿勢がはっきりしてきたが、西側に押し返すパワーはなさそうだ。

戦闘に巻き込まれ死亡した報道関係者 去年は過去最多に | NHK →昨年戦闘に巻き込まれて亡くなった報道関係者は、少なくとも124人で、統計を取り始めてから過去最多となった。7割の85人がイスラエルによる攻撃で死亡し、ガザ地区で82人、レバノンで3人だった。このほかスーダンとパキスタン各6人、メキシコ5人、シリア4人、ミャンマーとイラクで各3人。これまでの最高はイラク戦争のあった2007年の113人だった。

*** 「今日の名言」

◎釈迦(仏教の開祖。2月15日が命日、紀元前5~7世紀

「思い煩うな。なるようにしかならないから、心を込めて今を真剣に生きよ」 「足りないものは音をたてるが、満ち足りたものは静かである」 「沈黙している者も非難され、多く語る者も非難され、少し語る者も非難される。つまり、世に非難されない者はいないのである」 「自分だけ大事にしようとするから、怒りや悲しみがわいてくる」 「もし清らかな心で生きている人がいたとしたら、その人の後に幸福が必ずついてくる」 「目的を捨てて楽しみにばかり向かう人は、やがて正しい道を歩む人を羨む」 「すべての生き物はこの世界にどこかから独りでやって来て、どこかへ独りで去っていくものだよ」 「善をなすのを急ぎなさい。善をなすのにのろのろしていたら、心は悪を楽しむようになります」 「他人の過失を見る必要はない。自分が為したこと、為さなかったことだけを見るようにしなさい」 「怒らないことによって、怒りに打ち勝て」

*** 今週の教養 (ホワイトカラー消滅⑤)

◎お寒いリスキリングの現状  我が国のリスクリングの問題点は、無秩序に広範なメニューを提示し、無駄で的外れに終わるケースが後を絶たないことだ。原因は、企業が事業領域をシフトする時、必要なスキルが定義されていないケースが多い。企業が目指す戦略の軸や事業モデルの概要を明確にしなければ、社員に対して必要なスキルも定義できない。仮に出版社が電子書籍に注力するなら、「これからは一切紙の本を出版しません」と明確に言わないといけない。多くの場合、言い切ることを躊躇して緩やかに定義をする。すると、リスキリングの科目が必要以上に増えるカフェテリア方式になり、的を絞ることができずに中途半端に終わる。時代を生き抜く実践知が身体化できるようには思えない。

インターネットで手軽に勉強できる仕組みを構築し、英語も勉強できる、プログラミングもできる、あれもこれも勉強できると並べ、社員には「これからは自分の力で稼ぐことが大事だから、メニューの中から自由に選択し、勉強してください」と伝える。ところが社員側からすれば、何から勉強していいかわからない。企業が提示したメニューはほとんど使われることなく、うやむやになる。そもそものスキリングが弱く、基礎的言語力が弱い人が、この程度の勉強をやったからといっても使い物にはならない。これが現状の日本企業に多いリスキリングの状況である。

結局この問題は、企業のトランスフォーメーションのゴールが定義できていないことから発生している。本来はトランスフォーメーションしたいからこそ、この議論が始まるはずだ。しかし社員に対して厳しいことを言うと、社内が動揺するので逡巡してしまう。カフェテリア方式で多くのメニューを出されても、社員も企業も逡巡している様子が手に取るようにわかる。だから一生懸命やっても意味がないと見切ってしまう。リスキリングの定義が曖昧な状態で、言葉だけが踊っているのではないだろうか。