2月17~21日(教養講座:存在と時間)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年2月17日号(転送禁止)~~~

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***デイ・ウォッチ(14~16日)

米ロ高官がサウジで会合へ、ウクライナ戦争終結に向け – CNN.co.jp ウクライナ侵攻終結に向け 米と欧州各国の立場の隔たり浮き彫りに | NHK  →ウクライナ和平で米欧の亀裂が深まっている。米ロ主導の停戦協議はサウジアラビアで会合を開くが、欧州とウクライナが反発している。「法の支配」は重要だが、貫こうとすれば戦場で血が流れ続ける。「正義」はトランプ、プーチン、ゼレンスキーの各氏で異なってきている。政治指導者がそれぞれの「正義」を相対化しない限り、民衆の苦しみは続く。

トランプ大統領「米に輸入の自動車に4月2日ごろから関税検討」日本も打撃受ける可能性 | NHK | トランプ大統領 →トランプ大統領が、日本に打撃となる自動車関税引き上げについて、4月2日開始で検討すると述べた。強大な関税カード。何をディールするのか、日鉄もからんでくるのか。

サッカーJリーグ開幕 新加入の岡山が白星スタート | NHK J115日  ヴィッセル神戸は浦和レッズと引き分け | NHK →Jリーグが開幕した。史上2チーム目の3連覇を目指す神戸は引き分けた。J1初登場の岡山はホームで京都に2対0で快勝、地元ファンが歓喜した。来年からは秋開幕になるので、2月スタートの通年リーグはこれが最後になる。

立民、3.8兆円の予算修正要求 給食無償化、与党と協議入り:時事ドットコム →立憲が3.8兆円の予算修正案を出した。給食無償化、高校授業料無償化、ガソリン税暫定税率廃止などを盛り込んだが、ポイントは予備費減額や基金積み立て見送りなどで財源を捻出するとした点だ。財源が本当に確保されていれば、与党の丸飲みも可能だ。今週が与野党協議のヤマ場になる。

高額療養費の負担増修正 石破首相「当事者の声受け止め」:時事ドットコム →高額療養費制度の患者負担上限を引き上げる方針を政府が一部修正する。がん患者らの団体から強い反対の声が上がり、受け入れた。厳しい立場にいる人に配慮したが、一部は引き上げられる。削減の優先順位は他にあるだろう。

米大学野球 佐々木麟太郎が大学リーグ開幕戦でヒット2本4打点 | NHK | #野球 →花巻東高校からスタンフォード大学に進学した佐々木が、リーグ戦に初登場。開幕戦はヒット2本で4打点、ダブルヘッダーの2試合目は1安打1打点。ス大の2連勝に貢献した。日本の大学でも開幕デビューは難しく、大物ぶりをアピールした。同姓のドジャース佐々木と比べられそうだ。

有本明弘さん死去 96歳 北朝鮮に拉致された有本恵子さんの父 | NHK | 拉致 →有本明弘さんが96歳で亡くなった。拉致被害者家族の肉親が高齢になり、相次いで亡くなっている。

*** 「今日の名言」

◎横井小楠(儒学者、熊本藩士。1869年2月16日死去、59歳

「意に染まないことがあっても、人をとがめるな。人をとがめれば、品性を失う」 「自分がやりたいと思うことで成果を当てにするな。当てにすれば、事は失敗する」 「立派な人物となるためには、自分の生き方、修養を積んでいくことだ」 「人は生きるか死ぬかの状況になれば、すべてのことを決断できる」 「書籍は一句一字の解釈のためにだけ価値があるのではない。何よりも著者と心が一つにならなければならない」 「政治は万民のためを判断基準とする王道を歩むべきで、権謀術数による覇道を排すべきである」 「これからの日本は、中国の逸話に登場する高徳ある君主の心を学び、理解したうえで、西洋文化を取り入れ、国を富まし、それを世界に広めていかねばならない」

*** 今週の教養 (存在と時間①)

ドイツの哲学者ハイデガー(1889~1976)は、「20世紀最大の哲学者」と言われる。代表的著作「存在と時間」は、最難解な哲学書とされる。神の代わりに自分の死を意識し、哲学を死生観で再定義して現代哲学に大きな影響を与えた。ナチスに加担したため、毀誉褒貶がある。岩波文庫(1960)の書き出しから独自世界の一端のぞいてみたい。

◎エトムント・フッサールに尊敬と親愛の情を込めてこれをささげる。シュヴァルツヴァルトのトトナウベルクにて、1926年4月8日。

「・・・というのは、君たちが(ある){存在する}という言い方をするとき、いったいそれがどんな意味なのか、君たちはずっとまえからむろんよく知っているのだ。ぼくたちも以前には、それがよくわかっているつもりだったが、今はてんで分からなくなって困ってきっているのさ」(プラトン『ソフィステース』)

「ある」{存在する}という言葉でもって、私達は一体何を考えているのか、と問われた場合の答えを、私たちは今日、用意しているでしょうか。いやいや決してそんなことはありません。それだからこそ、存在の意味への問いを、改めて提出する必要があるのです。それではまた、「存在」(ザイン)という意味が分からない、と言っただけのことで、私たちはいま途方に暮れているのでしょうか。

決してそうではありません。それだからこそ何よりもまず、この問いの意味を理解するように、改めて促さねばなりません。存在の意味への問いを具体的に仕上げるのが、以下の論文の意図なのです。すべての存在了解一般が可能になる視界としての、時間を解明することが、この論文のさしあたっての目標なのです。そのような目標を目指すことや、そのような企図に含まれていて、それから促されたもろもろの研究、ならびにその目標にいたる道程のためには、序論としての解説が必要です。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年2月18日号(転送禁止)~~~

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***デイ・ウォッチ(17日)

スターマー英首相、ウクライナの平和維持のため地上部隊派遣の「用意」ある – BBCニュース ロシア元首相“米ロ首脳 思惑に隔たり 交渉は困難なものに” | NHK | ロシア アメリカとロシア 代表団の会合18日にサウジアラビアで開催 | NHK | アメリカ  →ウクライナ和平をめぐる動きが活発になってきた。英首相は平和維持軍を派遣する用意があると表明。プーチンに使えたロシア元首相は「トランプ大統領は戦闘終結だけを望んでいるが、プーチンはNATOを含む欧州安保や中東問題を協議し、2大国で世界の運命を決めたいと考えている」と思惑に大きな差があると指摘した。最後はウクライナも含めた3首脳で決めるしかないが、道のりは平たんではない。

去年の名目GDP 609兆円余 初の600兆円超え | NHK | GDP GDP10-12月 年率+2.8% 実質伸び率3期連続でプラス  | NHK  →名目GDPが初めて600兆円を超えた。とはいえ、かつて1人あたりGDPはG7トップで、名目額もほぼ500兆円台だった。伸びないこと自体が不思議で、日本の低迷を物語っている。昨年10~12月は年率2.8%のプラス成長だったが、個人消費は相変わらず弱い。

習氏とアリババ馬氏ら会合 民間企業発展を後押しか―中国:時事ドットコム →中国の習近平主席が民間企業幹部と異例の会合を開いた。習政権のアキレス腱は経済で、国外では米国との対立、国内では経済的制約を強めていることが大きな要因だ。もっと自由な社会にすれば、中国経済は間違いなく伸びる。しかし、共産党政権は自由を過剰に恐れている。

旧安倍派担当者、聴取応じる方向 衆院予算委、日程を協議:時事ドットコム →旧安倍派の松本元事務局長は、聴取を拒否する意向だったが、森山幹事長らの説得で応じることになった。予算委員長が立憲で、予算成立優先の少数与党が譲歩した。有罪で社会的制裁を受けているとして、公開にはならない方向だ。

石破首相、赤木雅子さんと言葉交わす 国会で墓参「行きたい」と答弁 [石破政権]:朝日新聞 →石破首相は文書改ざんで自殺した財務省の赤木さんに本当に心を寄せているようだ。安倍元首相の影響下にあったこれまでの政権は、組織の前線で犠牲になった人を、あまりにないがしろにしてきた。これで財務省は関係文書を全面公開する選択しかなくなっただろう。

*** 「今日の名言」

◎ジェロニモ(アメリカ・アパッチ族のシャーマン、白人に抵抗した戦士。1909年2月17日死去、79歳

「私たちは地球から消え去ろうとしていますが、私たちが役に立たないとは思えません。そうでなければ、神は私たちを創造しなかったでしょう。神は人間のすべての部族を創られましたが、それには確かに正しい目的があったはずです」 「私は決して降伏すべきではなかった。最後の1人になるまで戦うべきだった」 「私は風が吹き抜け、太陽の光を遮るものがない大草原で生まれました。私は囲いのない場所で生まれました」 「私も他のインディアンの女子と同様に、太陽の光で温まり、風に揺られ、木々に守られてきました。どこへでもいい気分で行けました」 「生きている間は、元気に暮らしたい」 「神が意図した人生を送り始めれば、知恵と平安が訪れます」

*** 今週の教養 (存在と時間②)

序説 存在の意味への問いの究明。第一章 存在の問いの必要、その問いの構造と優位

「形而上学」を再び肯定することが、現代の進歩のしるしだと考えられているにもかかわらず、右の存在への問いは、今、忘れさられています。それでも人は、新たに燃えだした「実有(ウーシア)に関する巨人の戦」といったものへの緊張から、解放されたとでも思っているのです。この際、今触れられた問いは、決して勝手気ままな問いではありません。この問題はプラトンやアリストテレスを散々悩ませたあげく――実際の研究の取材的な問いとしては――それ以来なるほど、黙りこませてはいます。この両人の思考がかち得たところのものは、さまざまの(ずれ)と「上塗り」に彩られて、ヘーゲルの「論理学」にまで持ち越されました。そしてかつては、たとえ断片的であり、最初の滑り出しであったにせよ、思考の最高の努力によって、もろもろの現象から戦い取られたものが、すでに久しく陳腐なものにされてしまっているのです。

そればかりではありません。存在の解釈に乗り出したギリシャ人の立っている足場に、一つのドグマが形成されて、これが存在の意味への問いを余計なものとして片づけるばかりでなく、その上、このような問いを怠ることも、正当づけているのです。「存在」は最も一般的な、同時に最もむなしい概念である、と言われています。こうしてこの概念は、どんな定義づけも拒みます。この最も一般的な、従って定義されえない概念はまた、どんな定義も要らないのです。誰でもこの概念を常に用い、それがいったいどんな意味か、誰でもすでに分っています。こうして、かつては隠れたものとして、古代ギリシャ人の哲学的思考を不安に駆り立て、不安の中に捉えていたものが、今日では白日のように、あまりにもあきらかなものとされてしまい、その結果、これについてなお問う者は、なにか方法上の誤りでも冒すものとして咎められるほどです。

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***デイ・ウォッチ(18日)

みずほ銀行 “行員 貸金庫から数千万円盗む 6年前に懲戒解雇” | NHK | 金融 →みずほ銀行でも6年前、貸金庫窃盗があった。盗んだ行員はすでに懲戒解雇されている。銀行や当局は何でも隠したがるが、当時公表しておけば、三菱UFJ銀行の犯罪はなかった可能性が高い。悪質で顧客に重大な影響のある事案は積極的に公表し、再発防止を図るリスクコミュニケーションの視点も必要だ。」

ロシア大統領府補佐官 “首脳会談 具体的日付示すこと難しい” アメリカとロシア高官協議終わる | NHK | ウクライナ情勢 →サウジアラビアで開かれた米ロ協議。4時間半に話し合い、停戦に向けた合同チームを作ることになったが、トランプ・プーチン会談が近く開かれる可能性はないという。ウクライナ抜きの停戦は考えられず、指導力が問われている。

政府 エネルギー基本計画決定 “再生可能エネルギーを最大電源に 原子力も活用” | NHK | 脱炭素社会への動き →エネルギーと食糧は、日本のアキレス腱と言えるが、エネルギー基本計画で、2040年に再生可能エネルギーを最大電源にすることを明記した。洋上風力発電が期待の星だが、資材高騰で計画見直しが相次いでいる。原発も2割程度想定する。一筋縄ではいかないが、長期的な視点で考えたい。

農林中央金庫の奥和登理事長が辞任へ、巨額赤字で 後任に北林太郎氏 – 日本経済新聞 →巨額赤字を出した農林中金トップが責任を取って辞任する。日本の農業は先細りだが、兼業農家は土地収入などもあってそれなりに豊か。そのカネがどんどん農林中金に集まり過ぎ、運用の制約もあって大赤字になった。いびつな日本の農業を象徴する交代人事だ。

戸籍の国籍欄「台湾」表記可に 5月施行、中国反発―鈴木法相:時事ドットコム →政府が戸籍の国籍欄に台湾を認めることになった。国内的にみれば、単なる行政手続きの変更だが、台湾は歓迎し、「台湾は不可分の領土」とする中国は反発している。今回の決定の背後に何らかの政治的事情があるかどうかは不明。どう推移するか。

日産子会社、下請法違反で勧告 金型無償保管、トヨタ系企業にも―公取委:時事ドットコム →日産子会社とトヨタ系企業が、公正取引委員会から下請法違反で勧告を受けた。金型を無償で保管させていた。勧告を受けた企業は、下請けに倉庫料を支払った。今回明るみに出たのは氷山の一角とみられ、元請けと下請けの根深い構造問題がある。

*** 「今日の名言」

◎ヘレン・ミアーズ(米国の東洋史学者。1989年2月17日死去、89歳

「アメリカは日本を占領するために日本の降伏を急いだ。ソ連に先んじて日本に入るために原爆を使用した。決して日本に戦争で勝利するためではない」 「近代日本が仲間入りした当時の国際社会では、政治・経済を中央で集中管理し、周囲に対して狂暴かつ貪欲でなければ生き残れなかった。日本人にその術を教えたのは欧米列強であった」 「日本の朝鮮半島、満州、中国本土における振る舞いを野蛮で侵略的と評するのであれば、欧米列強がアジアでやってきたことも同様である。アメリカに日本を裁く権利はない」 「アメリカ軍による日本占領は、一般の戦争における賠償を遥かに超える懲罰と拘束だった」 「ロシアを抑えるために日本を利用し、日本が信頼できないとなれば、今度はその役割を中国に担わせようとしている。条件さえ与えられれば、すべての人間は好戦的になる。英米はかつてそういう条件を日本人に与えた。そして今度はそれを中国人に与えようとしている。歴史は繰り返す」

*** 今週の教養 (存在と時間③)

この研究を始めるにあたっては、存在への問いといったものが必要でないということを、常に新たに植え付け培っているさまざまな偏見について、詳しく説明することはできません。これらの偏見は、古代の存在論自身のうちに持っているのです。存在論の基礎概念が生い立った地盤について、ことにカテゴリーの明示の適切さとその完璧さに関しては、先に明らかにされ、また答えられたところの存在への問いを導きの糸として、古代存在論が改めて充分に解釈されねばならないのです。私たちは存在の意味への問いを繰り返す必要が、明確になる地点まで、右の偏見についての議論を進めたいと思います。その論点は以下の3つです。

1、「存在」は「もっとも普遍的な」概念である。「存在はすべてのうちで最も優れて普遍的である」(アリストテレス形而上学第3巻)。「最初に把握されるものは存在(エンス)であり、この理解は、人が捉える全てのものの中に含まれている」「存在の理解は、人が存在するものについて捉えるところの全てのものの中に、それそれぞれすでに含まれている」(トーマス神学大全第2巻)。しかしながら「存在」の「普遍性」は、類概念のそれではありません。存在するものが、類と種に従って概念的に区別されている限り、「存在」は存在するものの最高の領域を区切っているのではありません。存在の「普遍性」は、全ての類的普遍性を「超えています」。

中世の存在論の用語に従えば、「存在」は一つの超越概念です。事象的な最高の類概念の多様性に対して、この超越的な「普遍」の統一をば、アリストテレスはすでに、アナロギアの統一として認めていました。この発見をもってアリストテレスは、プラトンの存在論的な問題提起にことごとく依存したにもかかわらず、存在の問題を、原理的に新しい土台の上に打ち立てました。中世の存在論は、この問題を、とくにトーマスやスコーツス派の枠内でさまざまに論議しましたが、原則的な明瞭さには、ついに達しませんでした。たとえ最後にヘーゲルが、「存在」を「無規定的に直接なもの」と規定して、この規定を彼の論理学を築き上げる一切のカテゴリー解明の根底としても、事象的なもろもろの「カテゴリー」の多様さに対して、すでにアリストテレスによって提出された存在の統一という問題を捨て去ったことを除いては、ヘーゲルは古代の存在論と同じ視点に立つものです。

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***デイ・ウォッチ(19日)

自公維、教育無償化「大枠合意」 予算、年度内成立へ前進:時事ドットコム →維新と国民民主を天秤にかけた与党は、維新と組んで新年度予算案を可決させる方向だ。「103万円の壁」「手取りを増やす」を掲げて若年層を中心に支持層を広げる国民だが、要求の実態は大減税。一定の財源を示さないので、与党は見限ったようだ。一寸先は闇なので、もう少し見る必要はあるが。

立花孝志氏へ「黒幕」文書、受け渡し場所に維新の岸口実・兵庫県議…「渡したと言われても抗弁しようがない」 : 読売新聞 →維新は予算案で与党と手を握るようだが、NHK党の立花代表にネタ元となった文書を渡したのは、維新の県議だった。最初は否定していたが、事実上認めた。維新は誠実そうな政治家が少なく、どんな政党なのかよくわからない。

自動車関税、25%程度 半導体・医薬品にも意欲―トランプ米大統領:時事ドットコム →トランプ大統領が、関税のボールをどんどん投げている。自動車関税は25%程度、半導体や医薬品にも同程度かけるという。一喜一憂しても仕方ないが、静観すればいいものではない。インフレを心配する米国民、とりわけ共和党支持層の動きが焦点か。

日銀 高田審議委員 “さらなる利上げ必要”考え示す | NHK | 金融 長期金利上昇1.435%、15年ぶり高水準 日銀追加利上げ意識 – 日本経済新聞 →日銀委員が「さらなる利上げが必要」と発言。別の委員も先に「年度後半には1%程度まで引き上げ」と述べ、地ならし発言が続いている。長期金利も上昇中だ。政府はまだ「デフレからの脱却」と言っているが、日銀はインフレ警戒モードに入っている。

SBI新生銀行、60歳以上の普通預金金利0.4% 通常の2倍 – 日本経済新聞 →年齢で金利に差をつけるサービスが始まる。SBI新生銀行は4月から、60歳以上の普通預金金利を通常の2倍の0.4%にする。シニア層の資産運用を当て込んでの動きだが、「シルバー民主主義」から「シルバーエコノミー」の時代か。

「つば九郎」担当スタッフが死去 ヤクルトが発表 今後の活動はしばらく休止へ | NHK | #プロ野球 →ヤクルトファンに限らずショック。社員スタッフで、1日からの1軍キャンプにも訪れていたというから急死か。名前は発表されていない。合掌。

*** 「今日の名言」

◎鄧小平(1980年代の中国最高指導者。1997年2月19日死去、92歳

「黄色い猫でも黒い猫でも、ネズミを捕るのが良い猫だ」 「(尖閣列島問題について)今の日中の我々には知恵がありません。放っておきましょう。2、3世代すぎたら賢い人が現われるかもしれない」 「中国の対外政策は、第1に覇権主義への反対、第2に世界平和の維持、第3に第三世界との団結と協力の強化である」 「国と国との関係を処理するには、平和共存五原則(領土・主権の尊重、対外不侵略、内政不干渉、平等互恵、平和的共存)が最良の方法である」 「計画経済が社会主義で、市場経済が資本主義という見方は誤っている。計画と市場はともに経済手段である。資本主義に計画があるように、社会主義に市場があってもおかしくはない」 「社会主義か資本主義かという論争をするな。物事の是非の判断は①生産力の発展、②総合国力、③人民の生活向上に有利か否かを基準とせよ」 「決して指導的地位を求めるなかれ」 「知識を尊重し、人材を尊重する」 「控えめな姿勢をとることに長けよ」 「我が方の能力を隠し、好機を待て」

*** 今週の教養 (存在と時間④)

2、「存在」という概念は定義することができない。このことは、その概念の最高の普遍性から推論されます。実際「存在」は、存在するものとしては捉えることができません。すなわち、「存在にはどんな性質も付け加えられない」、存在には存在するものが帰属する、というような仕方で、存在は規定されることはできません。定義を下そうとしても、存在は、もっと高い概念から導かれもしないし、またもっと低い概念でもって述べられもしません。「存在」がもはやどんな問題をも提供することができない、と結論されるでしょうか。もってのほかです。帰するところはただ、「存在」は、存在するものといったようなものではない、ということです。ある限界内で承認されるところの存在するものの規定付けの仕方は、存在に適用できません。

3、「存在」は、自明の概念である。認識や叙述のすべてに、また存在するものへの、また自分自身に向けての関わり合いのすべてに、「存在」という語が用いられ、そのような表現は「とやかく言わず」に理解されます。「空が青い」とか「僕はうれしい」など、誰でも分っています。しかしこの誰でも「ふんわりと」分かっている事が、かえって誰にもわかっていないことを示しているのです。このことは、存在する物としての存在者に対するすべての関わり合いと、存在の中に、先天的に一つの謎があることを明らかにしています。私たちがすでにその都度、ひとつの存在了解の中に生き、しかも存在の意味が暗黒に包まれていることは、「存在」の意味への問いを繰り返さねばならない、原理的な必然性を示しているのです。

哲学の基礎概念の枠内で、自明性を引き合いに出すこと、それもなお「存在」概念に関してそうすることは、たとえ「自明なもの」が、そしてただそれだけがつまり、カントのいう「通俗的な理性の秘められた判断」が、改めて分析論の主題となり、またそうあらねばならないとしても、疑わしいやり方です。偏見を考慮して明らかになったことは、存在への問いについての解答が用意されていないばかりでなく、問いそのものが暗いままで方向を見失っている、ということです。そこで存在問題を再び提起するということは、問題の出し方そのものを、改めてもう一度充分に吟味する、ということなのです。

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***デイ・ウォッチ(20日)

トランプ大統領 「選挙なき独裁者」ゼレンスキー大統領「偽情報の空間に生きている」欧州で反発広がる | NHK | ゼレンスキー大統領 →「選挙なき独裁者」は、トランプ発言と割り引いても、キツすぎる一言だ。「ゼレンスキー大統領の支持率は4%」とも言った。ウクライナの世論調査では57%だから、完全な誤情報だ。トランプ氏はプーチン氏への傾斜が目立つ。習近平氏も含めて大国で世界を仕切ろうとしているかのようだ。当事者抜きの停戦交渉は不可能だろう。去年の大統領選挙戦では「24時間で停戦する」と言っていたが、もう1ヶ月過ぎている。

◎CNNとBBCの記者がトランプ発言を分析している→ トランプ氏のゼレンスキー氏批判は個人的嫌悪による攻撃に 唯一の勝者はロシア(1/2) – CNN.co.jp  【解説】トランプ氏はロシアに同調、米の対ウクライナ方針を覆す – BBCニュース

ミャンマー拠点詐欺G 中国で裁判“2000億円超の賭博など関与” | NHK | ミャンマー →ミャンマーを拠点にした特殊詐欺は、途方もない犯罪だ。日本人の若者が拘束されていることが最近わかって関心を集めたが、中国は5万人以上の容疑者を逮捕し、2000億円の賭博に関与したとして裁判も始まっている。国内でもっと早く警告していたら、日本人の被害は避けられたのではないか。拷問を課すとんでもない集団だ。

伊藤詩織さんの元弁護士ら、アカデミー賞候補映画での無許可映像の削除求める…伊藤さんは謝罪し修正する意向 : 読売新聞 →性被害を受けた伊藤詩織さんが作ったドキュメンタリー映画をめぐり、かつての代理人弁護士が「無許可映像を使っている」と削除を求めた。会見予定だった伊藤さんは体調不良で取りやめ、「謝罪して修正する」と声明を出した。かつての同志が激しく対立する事態に困惑が広がっている。映画はアカデミー賞にノミネートされ、日本でも公開を準備している。いろいろな意味で話題になりそうだ。

ポスター品位法案、今国会成立へ 与野党提出、衆院委で審議入り:時事ドットコム →昨年の都知事選でひんしゅくを買ったほぼ全裸のポスターなどが禁止される。二馬力選挙、SNSの偽情報対策も検討を進める。公正な選挙を損なう行為は、表現の自由を十分考慮したうえで、与野党合意でどんどん法改正すべきだ。

*** 「今日の名言」

◎天皇陛下(2月23日は65歳の誕生日

「皇室のあり方に関しては、国民と心をともにし、苦楽をともにする皇室が基本であり、時代を超えて受け継がれてきているものだと思います」 「世界各地で、戦争や紛争により、多数の人々の命が失われていることに心が痛みます。平和な世界を築くために、お互いの理解に努め、協力していくことの大切さを改めて感じています」 「沖縄県では、沖縄戦における御遺族の方々のお話を直接伺い、お一人お一人の御苦労や悲しみに思いを致しました。沖縄戦の悲惨さや苦難の歴史に思いを巡らせ、私たちが享受している平和の大切さを深く心に刻みました。今回の訪問では、沖縄の歴史や文化に直接触れることができました。沖縄がたどってきた道のりを見つめ直し、心を寄せていきたいと思います」 「雅子さんのことは僕が一生全力でお守りします」 「花園天皇の言われる学問とは、単に博学になるということだけではなくて、人間として学ぶべき動議や礼儀も含めての意味で使われた言葉です」 

*** 今週の教養 (存在と時間⑤)

4回目まで「存在と時間」の書き出しを紹介したが、ほとんど意味がわからない。最終回は「教養書必読100冊を1冊にまとめてみた」(永井孝尚著、2024)から要約した本の趣旨を紹介する。

存在論は古代ギリシャ以来の哲学上の難問であり、ハイデガーは「私ならこの問いに答えられる」と考えて本書を書いた。「人間の終わりは死である。人間にふさわしく死が存在するのは、死へと関わる実存的な存在においてのみである」という。人間がどう変わるかは予測できないが、確実なことは、「人が必ず死ぬことだ」。死によって人間の存在は消滅する。ハイデガーは人間の死の特性を次の4つと考えた。

【1】死の瞬間は自分も消滅するので、死は経験できない【2】死は死ぬ人固有の出来事なので、他人の死の経験は共有できない【3】死の瞬間、自分と自分以外のあらゆる存在者との関わりが消滅する。要は死んだら終わりである。【4】死は他人が代理となるわけにはいかない。

私たちは死が何なのかさっぱりわからない。だから不安を感じる。そこで多くの人は自分の死を直視しない。先送りして周囲の人たちと同化して過ごしている。わかりやすい例で言うと、仕事の後に仕事仲間と飲みに行ったり、ランチでおしゃべりに熱中したりして楽しく過ごしている。こんな状態を「頽落」(たいらく)と呼び、他人に同調して安心し自分の主体性を発揮しない人間を「ダスマン」(世人)と呼んでいる。ハイデガーはこの状態を必ずしも否定的には言っていない。頽落とか世人といった状態は、人間の日常的な状態なのだ。しかし、ハイデガーは、人間には本来的な生き方もあると考えている。確実な死に向き合い、自分の生き方に積極的な意味を見出す。これが「死の先駆」だ。

ハイデガーは自我中心哲学の限界として死を位置づけることで、近代哲学全体のよって立つ基盤を再考することの重要性を改めて強調したかったのかもしれない。西洋社会で絶対だった神は、死んでしまった。そこでハイデガーは、神の代わりに万人が対峙せざるを得ない「死」を置き、本来的な生き方をする「死の先駆」で宗教色を抜いた。そして「死生観」で哲学を再定義し、あらゆる人が共有できるようにしたといえる。