3月10~14日(教養講座:半藤一利の昭和史)

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***デイ・ウォッチ(7~9日)
◎岩手 大船渡の山林火災「鎮圧」 避難指示きょう全解除の見込み | NHK | 岩手県 →大船渡の山火事が、発生11日でやっと鎮火した。建物被害は210棟。住宅は102棟で、うち76棟が全壊した。明日11日は東日本大震災から14年。地震と豪雨の能登、地震と火事の大船渡。被災地が重なる傾向にあるのだろうか。不条理だ。
◎韓国 ユン大統領 拘束解かれ刑事裁判へ 弾劾裁判は近く判断 | NHK | ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領 →ユン大統領が約50日間の拘束から釈放された。これから刑事裁判が始まり、弾劾裁判は今月中旬に判決が出る見通しだ。世界はトランプ大統領の登場で、目まぐるしく動いている。いつまでも元首不在、国内分断というわけにはいかないと思うが、すんなりいかないようだ。
◎米のウクライナ軍事支援一時停止 ロシア西部で作戦に影響か | NHK | ウクライナ情勢 →米国はウクライナへのGPS支援を一時停止したようだ。相手の標的を確認できず、ロシアの攻撃も察知が難しくなっている。目隠しで戦いをする状態で、まともな戦闘にならない。戦況と和平協議に大きな影響を与える可能性がある。→ トランプ大統領は、ウクライナが米国のミサイルと無人機の照準システムへのアクセス遮断
◎石破首相、高額療養費上げ見送り 今秋までに新方針検討―25年度予算案再修正へ:時事ドットコム →批判が強かった高額療養費。8月予定の引き上げを見送る。3回目の変更だが、ぶれた首相と批判するか、厳しい立場の人に配慮したと評価するか。当事者の声を聞かなかったことが失敗だろう。自民一強の名残かもしれない。参院段階で予算案を修正するが、現行憲法下では初めて。
◎マスク氏と閣僚衝突 人員削減でルビオ氏ら口論 トランプ氏が仲裁 米報道 – 日本経済新聞 →かねて予想されたイーロン・マスク氏と米国第一主義の閣僚らとの対立が表面化した。グローバリストで剛腕経営者のマスク氏と、トランプ側近の閣僚は、思想も手法も合わない。トランプ氏は今回、どちらの肩も持たず仲裁したが、いずれマスク氏と決裂する可能性が高いとみるが、どうだろうか。
◎大相撲春場所初日 新横綱の豊昇龍 阿炎に敗れる | NHK | #大相撲 →新横綱の豊昇龍が初日黒星。負け方が悪い。一気に寄り切られた。横綱になったから急に強くなるわけでもない。カド番大関琴櫻も負けた。「荒れる春場所」と片付けてしまえば簡単だ。
*** 「今日の名言」
◎曽野綾子(小説家。2月28日死去、93歳)
「いい人をやめると楽になる」 「人間は誰でも、自分の専門の分野を持つことである。それによって社会に貢献できるという実感と自信と楽しさを持つ。そうすると不正確で取るに足らない人間や社会の順位など、気にならなくなる」 「理想どころか、平均値も求めないことだ。平均とかいう表現は慎ましいようでいて、じつは時々人を脅迫する」 「友達をいい人か、悪い人か、に分けているうちはだめなのですね。相手が悪いのではなくて、生き方が違うだけのことです」 「表現したいものが見えてこないもっとも大きな理由は、自分をよく思われたいという情熱である。自分の中にある醜い部分、嫌らしい部分をはっきり意識して、そのことに悲しみを持つとき、その人の精神は解放され、精神の姿勢もよくなる、と私は思うのである」 「片隅に生きるということはほんとうにすばらしいことなのだ」 「人間に正当な上下関係があるべきである」
*** 今週の教養 (半藤一利の昭和史①)
3月10日は東京大空襲から80年。この空襲で焼け出され、九死に一生を得たのが、作家の半藤一利さん。戦後、文藝春秋社で長く編集者を務め、昭和の歴史や戦争に関する記事を多く手がけた。授業形式の語り下ろしで、わかりやすい通史として「昭和史」(平凡社ライブラリー、2009)を出版し、今や昭和を知る名著になった。2冊あるが、戦前を扱った「1926-1945」の「むすびの章」を紹介する。アジア太平洋戦争の歴史と教訓は、現代人の基本的教養でもある。
昭和史は、日露戦争の遺産を受けて、満州を日本の国防の最前線として領土にしようとしたところからスタートしました。最終的に満州にソ連軍が攻め込んできて、明治維新このかた日露戦争まで40年かけて築いてきた大日本帝国を、日露戦争後の40年で滅ぼしてしまいました。満州国はあっという間にソ連軍に侵略され、もとの中国領土となる形で戦争が終わりました。昭和は何と無惨にして徒労な時代であったかということになるわけです。厳しく言えば、日露戦争直前の、いや日清戦争前の日本に戻ったので。50年間の営々辛苦は無に帰したのです。昭和史は無になるための過程であったと言えるようです。
8月15日の朝まだき、天皇の戦争終結の放送の前に最後まで国体護持、すなわち天皇の身柄の安全にこだわった阿南陸相は、「一死以テ大罪ヲ謝シ奉ル」の遺書を残して、割腹自決いたしました。全陸軍を代表して悲惨な国家敗亡をもたらした罪科を天皇陛下にお詫びしたものなのでしょう。しかし、深読みすれば、平和を取り戻すための犠牲となり、大陸に南溟(なんめい=南の大きい海)に、太平洋の島々に、空しく散ってかなければならなかった数限りない死者に対して、心からなるお詫びを述べているのではないか。そう思われてなりません。
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***デイ・ウォッチ(10日)
◎東日本大震災から14年 死者や行方不明者 あわせて2万2228人 | NHK | 東日本大震災 岩手 大船渡 山林火災 避難指示すべて解除 被害受けた住民は | NHK →きょう11日は東日本大震災と原発事故から14年の節目。各地で追悼の行事が開かれている。大船渡の山火事で自宅が焼けた人たちの中には、津波の被害者もいる。避難解除で被害を受けた人たちが自宅に戻り、その様子が報道され始めた。胸が締めつけられる。
◎東京大空襲80年、平和願う 10万人犠牲、都内各地で追悼:時事ドットコム →3月は東京にとっても鎮魂の月だ。80年前の3月10日、隅田川沿いの下町に大空襲があり、焼け野原となった。各地で追悼式や語り継ぐ集会が開かれた。20日は地下鉄サリン事件の日で、今年は30年の節目の年になる。
◎政府の備蓄米の入札始まる 結果は13日以降公表へ | NHK | 農林水産省 →コメの世界は不思議だ。農水省は「新米が出回れば安くなる」と言っていたが、そうはならなかった。備蓄米放出で安くなるはずだが、見通しははっきりせず、国民が納得する説明はない。高く売りたい生産者と安く買いたい消費者。両者の利害を調整するには、市場メカニズムをもっと浸透させた方がいい。
◎カナダ次期首相「金融界の風雲児」 唯一の外国人英中銀総裁:時事ドットコム →トルドー首相がトランプ大統領から「トルドー知事」と揶揄されていたカナダ。次期首相に「金融界の風雲児」が就任する。42歳でカナダ中央銀行総裁を務め、手腕が買われて英国中銀総裁に転じたカーニー氏(59)だ。政治経験はなく、合理性で動く金融には強いが、トランプ大統領との理不尽なバトルはどうか。
◎ウクライナ利用の「スターリンク」めぐり論争 マスク氏とルビオ氏対ポーランド外相 – BBCニュース →イーロン・マスク氏がウクライナに提供している衛星通信「スターリンク」をめぐり、ポーランド外相と米国側が論争を繰り広げた。不仲が伝えられたマスク氏とルビオ国務長官だが、ここでは共闘した。スターリンクの提供を停止すれば、ウクライナはほとんど戦えない。大きな焦点だ。
*** 「今日の名言」
◎金子みすゞ(詩人。1930年3月10日死去、26歳)
「遊ぼうっていうと、遊ぼうっていう。馬鹿っていうと、馬鹿っていう。もう遊ばないっていうと、遊ばないっていう。そうして、あとでさみしくなって、ごめんねっていうと、ごめんねっていう。こだまでしょうか、いいえ、誰でも」 「母さん知らぬ 草の子を、なん千万の 草の子を、土はひとりで 育てます。草があおあお 茂ったら、土はかくれて しまうのに」 「わたしが両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、飛べる小鳥はわたしのように、地面(じべた)をはやくは走れない。わたしがからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、あの鳴る鈴はわたしのように、たくさんなうたは知らないよ。鈴と、小鳥と、それからわたし、みんなちがって、みんないい」 「明るい方へ 明るい方へ。一つの葉でも 陽の洩(も)るとこへ。藪かげの草は。明るい方へ 明るい方へ。翅(はね)は焦(こ)げよと 灯(ひ)のあるとこへ。夜飛ぶ虫は。明るい方へ 明るい方へ。一分もひろく 日の射すとこへ。都会(まち)に住む子等は」
*** 今週の教養 (半藤一利の昭和史②)
太平洋戦争下の戦闘では、たくさんのところで日本の兵隊さんたちが亡くなっています。主な戦場でのそれを一挙に読み上げます。
ガダルカナル島で戦死8200人、餓死または病死1万1000人。アッツ島で戦死2547人、捕虜29人、ほぼ全滅です。ニューギニアで病死も含む戦死15万7千人。タラワ島で戦死4690人、ここも玉砕で捕虜146人。マキン島も玉砕で戦死690人、捕虜90人。ケゼリン島も玉砕で、戦死3472人、捕虜250人。グアム島で戦死1万8400人、捕虜1250人。サイパン島で戦死約3万人、市民の死亡1万人、捕虜900人。
島だけでなく陸上でもたくさんの人が死んでいます。インパール作戦で戦死3万500人、傷ついた人あるいは病気で倒れた人4万2000人。インパール作戦の一つとしてビルマの東、中国本土で戦われた拉孟騰越(らもうとうえつ)も玉砕で戦死2万9000人、生存者1人、無事脱出したこの人がこの戦いのことを語りました。
ペリリュー島も玉砕で戦死1万650人、捕虜150人。フィリピンでは、レイテ島やミンダナオ島、ルソン島のマニラ周辺など多くの場所で戦闘が行われ、全域での戦死47万6800人、生存13万3000人。硫黄島も玉砕し、戦死1万9000人、捕虜210人。沖縄では戦死10万9600人(中学生や女学生など義勇兵も含めます)、市民の死亡10万人、捕虜7800人。
さらに日本本土空襲による死者は全国で29万9485人、236万戸の家が灰や瓦礫となりました。(昭和24年経済安定本部発)。8年間にわたる日中戦争の死者は、満州事変と上海事変も入れて総計41万1610人ということです。(臼井勝美「日中戦争」による)。
戦争が終わってしばらくは、日本の死者は合計260万人と言われていましたが、最近の調査では約310万人を数えるとされています。そして特攻作戦によって若い命を散らしていた人たち(戦争末期、「志願」によってという名目で、ただし半分以上は命令によって作戦に参加)は、海軍2632人、陸軍1983人、合計4615人。これだけの死者が20年の昭和史の結論です。
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***デイ・ウォッチ(11日)
◎米 軍事支援再開決定 ウクライナ 一時停戦の受け入れ用意表明 | NHK | アメリカ →ウクライナが30日間の停戦を受け入れ、アメリカが軍事支援を再開することで合意した。アメリカはGPS情報の提供を停止した模様で、ロシアに侵攻したウクライナ軍の劣勢が明らかになっていた。トランプ政権の強力な停戦圧力がとりあえず功を奏した。ロシアが受け入れるかどうかが焦点。米ロは最近蜜月なので、和平に弾みがつくか。トランプ大統領はプーチン大統領と近く話をする考えを示した。
◎日産、経営陣を刷新 内田社長など5人中4人交代 – 日本経済新聞 →日産社長が交代する。新社長のイバン・エスピノーサ氏(46)はメキシコ出身。自動車市場調査会社などを経て、2003年日産に入社。新車立ち上げや市場調査を担い、24年から新車戦略の総責任者。日産生え抜きに近く、親しみやすい人柄という。ゴーン氏のような剛腕はあるか。
◎3.11 東日本大震災から14年 追悼の一日 発生時刻の午後2時46分に祈り 各県で追悼式や追悼の灯 | NHK | 東日本大震災 →東日本大震災から14年。各地で祈りが捧げられた。犠牲者を忘れず、防災を怠らず、原発の是非について考え続けたい。
◎米国株が急落、トランプ氏が「関税による景気後退」否定せず懸念広がる アジア市場にも波及 – BBCニュース →トランプ関税への懸念を引き金に世界の株式市場が激しく動揺している。米国株急落の流れを受けて、11日の東証株価は半年ぶりに一時3万6000円を下回った。同日の米国株も下落し、連鎖している。トランプ大統領は静観しているが、下値が見えない苦境になっている。
◎高関税「日本除外されず」 鉄鋼・アルミ発動で米閣僚と会談―今後も協議継続・武藤経産相:時事ドットコム →関税の日本除外に向け、一縷の望みをかけて経産相が訪米したが、あえなくゼロ回答だった。12日には鉄鋼・アルミニウム、4月には自動車が25%引き上げられそうだ。「日本は外してね」とおねだりするより、自由貿易の意義を真正面から問うた方がいのではないか。
◎ドゥテルテ前比大統領を逮捕 麻薬戦争で「人道に対する罪」―ICC:時事ドットコム →ドゥテルテ前フィリピン大統領が逮捕された。麻薬撲滅のため超法規的に殺害を命じ、国民の一定の支持を得ていた。合法的に麻薬違法集団を退治できるかという深刻な問題を提起している。
*** 「今日の名言」
◎江崎玲於奈(物理学者。3月12日は100歳の誕生日)
「日本の学問は、ものを習う修得型で、何か新しい事に挑戦する探求型が不足している。探求心の教育を受けていないと言っていい」 「自分らしい生き方をするためには、戦うことを避けてはいけない」 「科学やビジネスに進歩をもたらすのは、飽くなき挑戦です」 「優れた科学者は一芸に秀でた人間というより、あらゆる視野を兼ね備えた教養人です」 「新しい分野を見つければ、二流の人間でも一流の仕事ができる」 「ノーベル賞を取るためにしてはいけない5つのこと。従来の行きがかりに囚われすぎてはいけない。他人の影響を余り受けすぎてはいけない。無用なものは全て捨てなければならない。戦うことを避けてはいけない。何か絶対的なものを信じすぎてはいけない」 「人間が成功する条件とは、個性的なタレント(才能)、それを磨くハードワーク(努力)、人知を超えたチャンス(運)。この3つの組み合わせであると思います」
*** 今週の教養 (半藤一利の昭和史③)
よく歴史に学べと言われます。確かにきちんと読めば、歴史は将来に大変大きな教訓を投げかけてくれます。反省の材料を提供してくれるし、日本人の精神構造の欠点もまたしっかりと示してくれます。同じような過ちを繰り返させまいということが学べるわけです。ただそれは、私たちが正しくきちんと学べばという条件のもとです。その意志がなければ、歴史はほとんど何も語ってくれません。昭和史の20年がどういう教訓を私たちに示してくれたかを少しお話してみます。
第一に国民的熱狂を作ってはいけない、国民的熱狂に流されてはいけない、一言で言えば、時の勢いに駆り立てられてはいけないということです。熱狂というのは、理性的なものではなく、感情的な産物です。昭和史全体を見てきますと、なんと日本人は熱狂したことか。マスコミに煽られ、いったん燃え上がってしまうと、熱狂そのものが権威を持ち始め、不動のもののように人々を引っ張っていきました。結果的には、海軍大将米内光政が言ったように「魔性の歴史」であった。われわれ日本人が熱狂したからだと思います。
対米戦争を導くとわかっていながら、何となしに三国同盟を結んでしまった。良識ある海軍人は、ほとんど反対だったと思います。それがあっという間にあっさりと賛成に変わってしまったのは、まさに時の勢いだったわけです。理性的に考えれば反対でも、国内情勢が許さないという妙な考え方に流されたのです。純軍事的に検討すれば、対米英戦争など勝つはずがない。勝利の確信など全くないと分かっていたのですから、あくまで反対せねばならなかったし、それが当然であった。しかし、このまま意地を張ると、国内戦争が起こってしまうのではないかなどのような考えが軍の上層部を動かしていました。
昭和天皇が「独白録」の中で「私が最後までノーと言ったならば、多分幽閉されるか、殺されるかもしれない」という意味のことを語っていますが、これもまた時の流れであり、つまりそういう国民的熱狂の中で、天皇自身もそう考えざるを得ない雰囲気を感じていたのです。
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***デイ・ウォッチ(12日)
◎2025 春闘 回答日 満額回答相次ぐ | NHK | 春闘 →春闘で満額回答が相次いだ。自動車業界では、トヨタ、マツダ、ダイハツが満額で、スズキに至っては労組要求を上回った。電機、機械でも満額が多かった。裏返せば、労組の要求が低すぎた。賃上げは経済を好循環させる焦点で、政府が後押しする。物価上昇で実質賃金は目減り中だ。労組は経済浮揚のためもっと闘うべきだろう。
◎ウクライナ 米提案の30日間停戦 ゼレンスキー大統領「受け入れ用意」ロシアは米と協議応じる姿勢 | NHK | ウクライナ情勢 →ウクライナ情勢は停戦に向けて大きく動き出している。ロシアの出方が焦点だが、協議に応じる姿勢で米ロ高官が接触を始めた。近くトランプ・プーチンのテレビ会談が開かれるとの情報もあり、次の焦点になる。今度はトランプ大統領の正念場だ。
◎「金返してもらえず、襲撃決意」 逮捕の男、死亡女性とトラブル相談も―高田馬場刺殺・警視庁:時事ドットコム →生動画の配信中に起きた殺人事件。動画を見て知り合い、カネを貸したが、返金されないことが動機だった。生配信の時間と場所を知り、栃木県小山市から犯行現場の東京・高田馬場にやって来た。被害者は動画配信で生計を立てていた。現代ならではの動画SNS事件だ。
◎自民、石破首相へ不満表面化 参院改選議員が退陣要求:時事ドットコム →旧安倍派を中心とした自民保守派から石破退陣論が吹き出した。裏金問題の震源地だが、自覚が乏しく処遇への不満が根強い。麻生・岸田・茂木の3氏も会談しており、参院選に向けて党内政局が動き出した。興味本位ではなく、政策本位・国民生活第一でウオッチしたい。
◎62年前の狭山事件で再審求めてきた石川一雄さんが死去 86歳 | NHK | 訃報 →石川さんは1963年に埼玉県狭山市で女子高校生が殺害された狭山事件の犯人とされ、無期懲役の判決を受けた。仮出所し、現在は3回目の再審請求で審理中だった。部落差別反対運動の象徴的な事件だった。
*** 「今日の名言」
◎スティーブン・ホーキング(英の理論物理学者。2018年3月14日死去、76歳)
「足元を見るのではなく星を見上げること。絶対に仕事をあきらめないこと。仕事は目的と意義を与えてくれる。それがなくなると人生は空っぽだ」 「私は初めてALSと診断された時、あと2年の命と言われた。あれから45年、私はすこぶる元気にやっている」 「21歳の時、私の希望は打ち砕かれた。それ以降の人生は、すべておまけだ。期待値がゼロまで下がれば、間違いなく、自分に今あるものすべてへの感謝の念がわく」 「完全な人工知能が開発されれば、人類は終焉を迎える可能性がある」 「地球以外の宇宙のどこかに生命が存在または誕生する可能性はあるだろう」 「宇宙人がやってきたら、コロンブスのアメリカ大陸到着と同じことが起こるだろう。アメリカ原住民にとって好ましいことではなかった」 「人類は大惨事がないまま永久に地球に生存し続けることなどできないだろう」
*** 今週の教養 (半藤一利の昭和史④)
教訓の2番目は、最大の危機において日本人は抽象的な観念論を非常に好み、具体的な理性的な方法論を全く検討しようとしないということです。自分にとって望ましい目標をまず設定し、実に上手な作文で壮大な空中楼閣を描くのが得意なんですね。物事は自分の希望するように動くと考えるのです。ソ連が満州に攻め込んでくることが、目に見えていたにもかかわらず、攻め込まれたくない。今こられると困ると思うことが、だんだん「いや攻めてこない」「大丈夫。最後まで中立を守ってくれる」という風な思い込みになるのです。情勢をきちんと見れば、ソ連が国境線に兵力を集中し、シベリア鉄道を使ってどんどん兵力を送り込んできていることはわかったはずです。なのに、攻めてこられると困るから来ないのだと自分の望ましい方に考えを持っていって動くのです。
昭和16年11月15日、大本営政府連絡会議は、戦争となった場合の見通しについて討議しました。ここで決定された戦争終結の腹案は要するに、ドイツがヨーロッパで勝つ、そうすればアメリカが戦争を続けていく意志を失う、だから必ずや栄光ある講和に導けるという、全く他人の褌で相撲をとると言いますか、夜郎自大的な判断を骨子にしたことでした。
同時にこの時、アメリカにたいする宣伝謀略を強化するという日本流の策を決めるのでが、まずアメリカ海軍主力を日本近海へ誘致するようにする。日露戦争の日本海海戦を夢見ているんです。アメリカ海軍がきちんと自分たちの希望する道を通って日本近海に来てくれる、そのときは迎え撃って撃滅してみせるというのです。そして「アメリカのアジア政策の反省を促し、日本と戦うことの無意味をアメリカに説く」。勝手にそんなことを決めてもアメリカは聞いてくれるはずはない。ですが、日本は真剣にそう考えたのです。そうできると夢見たのです。
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***デイ・ウォッチ(13日)
◎石破首相側から商品券受け取り 議員十数人10万円ずつか 複数証言 [石破政権]:朝日新聞 →石破首相が今月3日、15人の当選1回の議員に10万円の商品券を渡していた。政治とカネが問われているこの時期になぜそんなことをしたのだろうか。個人から政治家への献金は禁止されており、違法の可能性がある。首相は「土産代わりにポケットマネーで出した。政治活動には関係なく、違法ではない」と弁明するが、社会通念を超えている。予算再修正、退陣論噴出など、たださえで首相の足元は揺れている。大きな火種になりそうだ。
◎プーチン氏、クルスク州訪問 ウクライナ拠点の「解放」発表:時事ドットコム →クルスク州は昨年8月にウクライナが侵攻した地域。ロシアは攻め込まれていたが、米国がウクライナへのGPS情報の提供などを停止したので、ロシアが反攻。プーチン大統領が戦闘後、初めて訪問した。米ロ合意の流れとみられ、ロシアは同州を奪回してから停戦協定を結びたい意向だろう。
◎政府 年金制度改革の関連法案 あすには間に合わず先送りを伝達 | NHK | 年金 →年金改革法案が国会の焦点に浮上してきた。与野党で重要法案と位置づけてきたが、参院選前に企業の負担増を警戒する自民党が法案提出に慎重になっている。年金は目先の選挙を超える大きなテーマ。国民的な合意が必要で、逃げている場合ではない。
◎フィリピンのドゥテルテ前大統領、ICCへの移送完了…「全責任を負う」「これが私の運命だ」 : 読売新聞 →フィリピンのドゥテルテ前大統領がオランダに移送された。麻薬組織撲滅の一環で民間人を組織的に攻撃した疑い。本人は「全責任を負う。私の運命だ」と語った。この潔さが、麻薬撲滅を歓迎した国民に人気のあった一因だろう。
◎ドジャースが日本到着 大谷ら、カブスと開幕シリーズ―米大リーグ:時事ドットコム →ドジャースが日本にやってきた。大谷ら3人は「凱旋帰国」といっていいのだろうか。18、19日に東京ドームで、岩永らのいるカブスと開幕試合を戦う。公開練習や巨人などとの練習試合もあるので、注目を集めそうだ。日本で開幕戦を開く大リーグの商魂というか柔軟性もすごい。18日は選抜高校野球も始まる。
*** 「今日の名言」
◎ガイウス・ユリウス・カエサル(共和制ローマ末期の政務官。紀元前44年3月15日が誕生日)
「賽(さい)は投げられた」 「ブルータス、お前もか(暗殺された際、叫んだとされる)」 「何かを生み出す行動でなければ、行動とは言えない」 「学習より創造である。創造こそ生の本質なのだ」 「苦境は、友を敵に変える」 「ローマで2番になるより、村で1番になりたいものだ」 「身の安寧に汲々としているようでは生きている甲斐がない」 「指示を与える者には責任があり、指示を受ける者には義務がある」 「始めたときは、それがどれほど善意から発したことであったとしても、時が経てば、そうではなくなる」 「概して人は、見えることについて悩むよりも、見えないことについて多く悩むものだ」 「人は喜んで自己の望むものを信じるものだ」 「人間とは噂の奴隷であり、しかもそれを、自分で望ましいと思う色をつけた形で信じてしまう」 「分断して征服せよ」
*** 今週の教養 (半藤一利の昭和史⑤)
教訓の3番目に日本型のタコツボ社会における小集団主義の弊害があるかと思います。陸軍大学校優等卒の集まった参謀本部作戦課が絶対的な権力を持ち、その他の部署でどんな貴重な情報を得てこようが一切認めないのです。軍令部でも作戦課がそうでした。つまり昭和史を引っ張ってきた中心である参謀本部と軍令部は、小集団エリート主義の弊害をそのままそっくり出したと思います。
そして4番目に、ポツダム宣言の受諾が意思の表明でしかなく、終戦はきちんと降伏文書の調印をしなければ完璧なものにならないという国際的常識を、日本人は全く理解していなかったこと。簡単に言えば、国際社会の中の日本の位置づけを客観的に把握していなかった。これまた常に主観的思考による独善に陥っていたのです。
さらに5番目として、何かことが起こった時に、対症療法的な、すぐに成果を求める短編急な発想です。これが昭和史の中で次から次へと展開されたと思います。その場その場のごまかし的な方策で処理する。時間的空間的な広い意味での大局観が全くない。複眼的な考え方がほとんど不在であったというのは、昭和史を通しての日本人のあり方でした。
いろいろと利口そうなことを言いましたが、昭和史全体を見てきて結論として一言で言えば、政治的指導者も軍事的指導者も、日本をリードしてきた人々は、なんと根拠なき自己過信に陥っていたことかということでしょうか。こんな事を言っても仕方ない話なのですが、あらゆることを見れば見るほど、どこにも根拠がないのに「大丈夫勝てる」だの「大丈夫、アメリカは合意するだろう」ということを繰り返してきました。
その結果、まずくなった時の底知れぬ無責任です。今日の日本人にも同じことが多く見られて、別に昭和史、戦前というだけでなく、現代の教訓でもあるようです。昭和の歴史というのはなんと多くの教訓を私たちに与えてくれるかが分かるのですが、先にも申しました通り、しっかりと見なければ見えない、歴史は学ばなければ教えてくれない、ということであると思います。