9月22~26日(教養講座:戦後の日本政治・政党史)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年9月22日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(19~21日)

自民党総裁選22日告示 小泉進次郎・高市早苗氏ら5人、物価高対策・野党連携競う – 日本経済新聞 →自民党総裁選がきょう告示される。予想された5人が立候補する。昨年秋の総裁選はそのまま首相になるので、意見の違いが目立ったが、今回は野党連携を意識して、差が小さくなっている。告示後には様々な発言が飛び出す見通しで、結果を左右する。小泉、高市が有力で、林が追う構図。

陸上 世界選手権 男子400mリレーで日本は6位 メダル獲得ならず | NHK | #陸上競技 →メダルが期待された男子400メートルリレーは6位に終わった。バトン技術があっても基本的な走力がないと勝てない。これで世界陸上は全日程が終了。メダルは男女の競歩で銅メダル2つと地元開催にしては寂しい。メダルランキングは40位だった。

ガザ地区“無人機攻撃や路上の爆発物で退避困難”中東メディア | NHK | イスラエル・パレスチナ ハマス「別れの写真だ」人質の顔写真並べた画像 新たに公開 | NHK | イスラエル・パレスチナ →ガザが緊迫している。イスラエルは住民に退避を呼びかける一方、無人機や爆発物で攻撃している。ハマスは人質の写真を並べてけん制。イスラエル国内ではネタニヤフ首相を非難する集会が開かれている。

パレスチナ承認拡大へ 新たに英仏など、150カ国超に:時事ドットコム  パレスチナ承認、当面見送り 日本、対米関係に配慮:時事ドットコム →22日からパレスチナ問題の首脳級会議が開かれるが、パレスチナを承認している国が150カ国を超えた。日本は米国に配慮して、承認を見送っている。「ポチ」とは言わないが、喜ぶのはトランプとネタニヤフ。主体性を欠く寂しい国だ。

日銀 ETFの市場への売却開始を発表 日経平均株価 一時 800円超下落  | NHK →日銀は19日、ETF(上場投資信託)の売却を発表した。保有株を売り出すことになるため、意表を突かれた株式市場は急落。植田総裁は「売却には100年以上かかる」と発言した。ETFはアベノミクス・黒田バズーカで買い増され、株価を底上げ・下支えしている。1回の売却額が小さいことがわかり、当面の影響は限定的だが、異次元緩和の罪深さを物語る。19日の米国株は最高値を更新し、22日の東京先物は反転の見通し。

立民・寺田学氏、政界引退へ 「妻の政治活動優先」:時事ドットコム →立憲民主党衆院議員の寺田氏が、参議院議員を務める妻の政治活動を優先するため、引退を発表した。寺田氏は49歳で、菅直人首相の補佐官を務め、父が秋田県知事だった政治家一家。妻は当選2回で50歳。新しい政治家のかたちか。

*** 「今日の名言」

◎山内溥(任天堂元社長。2013年9月19日死去、85歳)

「どうして面白いソフトがつくれるのか、結局は誰もがわからないんです」 「いまソニーがゲームで成功したといわれています。でもそれは、たまたまいま成功しているだけで、ついこの間までは失敗していました」 「これまでのマイクロソフトはツキ過ぎだった。人間も企業もツキはいつか必ず落ちるもんでしょ。ゲイツも決して神様ではなかったということが、そう遠くない将来に証明されることになるだろう」 「海外戦略ですが、誰でもできるものをつくっていてはだめだということです。だれでもつくれるものは、価格競争に巻き込まれる。自分のところしか出せないものがつくれたら最高です。大衆の懐勘定と折り合いがつき、多くの人たちが初めて体験するような珍しさと楽しさとおもしろさを味わわせることができれば、円高でも何でも戦えます」 「これからのゲームは交換・収集・育成・追加の4つがキーワードになる」 「倒産の危機も経験して、借金をすることがいかに惨めなことかを痛切に感じた。借金をしないことだけは、集団指導体制なっても申し送りたい」

*** 今週の教養講座(戦後日本政治史①)

自民党の総裁選が22日に告示されます。衆参両院で与党は少数派で、自民党総裁が自動的に首相に就任するわけではありません。日本の政治は大きな転換点にあります。そんな時は歴史を踏まえて考えてみましょう。保守はどう形成され、対抗勢力はどんな変遷をたどってきたのでしょうか。政党の動きを中心に戦後政治史を振り返ります。若い人が知っておきたいポイントを意識しました。

第1回 占領下から独立へ ― 戦後民主主義の出発点  1945年の敗戦で、日本はGHQ(連合国軍総司令部)の占領下に置かれました。最初の課題は「非軍事化」と「民主化」。それまでの軍国主義や天皇中心の体制を改め、国民主体の政治へと変えることが求められました。ここで大きな役割を果たしたのがマッカーサー元帥とGHQの改革です。まず教育制度が変わり、軍国教育から民主主義教育へ。婦人参政権も導入され、1946年の総選挙では女性議員が初めて誕生しました。同じ年の日本国憲法制定は最大の転機です。象徴天皇制、基本的人権の保障、そして戦争放棄をうたった第9条が、日本の戦後政治の土台となりました。

政党政治も再始動しました。戦前の政党が解散し、新しい政党が次々と登場します。中でも注目されたのが日本社会党と日本自由党。前者は労働者や農民の声を代表し、社会主義を掲げました。後者は保守勢力をまとめ、のちの自民党につながります。この時期の総理で忘れてはならないのが吉田茂。「吉田ドクトリン」と呼ばれる方針を掲げ、経済復興を優先し、軍事はアメリカに依存する姿勢を取ります。限られた資源を防衛より産業に投じることで、日本の高度経済成長の基礎を築いたのです。

1951年にはサンフランシスコ講和条約が結ばれ、日本は独立を回復。同時に日米安全保障条約も締結され、アメリカ軍が日本に駐留し続けることになりました。この二つの条約は、日本政治のその後を長く左右します。独立を得た一方で、安全保障を米国に依存する構造が固まったからです。戦後の混乱期を経て、日本は新しい憲法と民主主義制度のもとで再出発しました。若い世代が知っておくべきポイントは、「日本政治の原点は占領下でつくられた」ということです。憲法、選挙制度、日米関係――この枠組みは今も続いており、私たちの政治を考える上で避けて通れない出発点です。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年9月23日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(22日)

韓国 旧統一教会 ハン総裁逮捕 韓国の複数メディア伝える | NHK | 韓国 →韓国検察当局は、旧統一教会のハン総裁を逮捕した。逮捕状を請求していたが、裁判所が認めた。ユン前政権との関係にどこまでメスが入るか。協会にとって大きな打撃とみられる。日本の協会はハン総裁の影響力が特に強いといわれており、影響がありそうだ。

自民総裁選に5人出馬 小林鷹之氏 茂木敏充氏 林芳正氏 高市早苗氏 小泉進次郎氏 | NHK  →自民党総裁選が始まった。5人の主張は昨年の総裁選より似ていると言われるが、党本部での立会演説会では個性の違いも目立った。24日の日本記者クラブ討論会など各種イベントがあり、資質が試される。思わぬ得点や失言も影響しそうだ。かつては「メディア・ジャック」と言われたが、少数与党の総裁選でメディアの対応も問われる。

アメリカ 活動家チャーリー・カーク氏追悼式 トランプ大統領が左派の批判繰り返す | NHK  →暗殺されたカーク氏の追悼式があり、夫人は容疑者を「私は許す」と涙ながらに述べ、大きな拍手を浴びた。しかし、その後であいさつしたトランプ大統領は「私は許さない」と左派批判を繰り返した。政治指導者は一般的に対立をあおらないが、トランプ氏は根拠不十分でも容赦ない。「アメリカは内戦状態」という指摘もある。

気象庁 3か月予報 “秋は短く 急に冬を感じる” 見通し | NHK | 気象 →「10月は平年より気温が高く、12月は寒気の影響を受けやすい」と気象庁が3ヶ月予報を発表した。一言で言えば、「秋が短い」となる。肌感覚で日本は四季から夏冬の二季になりつつあると感じるが、データとしても裏付けられつつある。日本社会がいろいろな意味で変わっていく。

東京株、最高値を更新 半導体株に買い、円安も追い風:時事ドットコム NVIDIA、OpenAIに最大15兆円投資 巨大AIデータセンターを構築 – 日本経済新聞 →東京株がまた最高値を更新した。先週末の米国の最高値更新の流れを引き継いだ。世界的にマネーゲームの様相になっている。エヌビディアがオープンAIへの巨額投資を発表し、22日のNY株はまた最高値を更新した。23日の東京は休場。

スマホなどの適正使用を 愛知県豊明市 条例案可決 1日2時間まで | NHK →愛知県豊明市で「スマホ2時間条例」が成立した。悪影響を考慮しての宣言で、罰則はない。というか、罰則のしようもない。地方自治体のこうした実験はもっとあっていい。条例を提出した小浮市長は大阪市出身で、朝日放送、朝日新聞、イオンなどに勤め、公募で豊明市の副市長になった。

*** 「今日の名言」

◎ジークムント・フロイト(オーストリアの心理学者。1939年9月23日死去、83歳)

「大人になるということは、曖昧さを受け入れる能力を持つということだ」 「偉大なるレオナルド・ダヴィンチは、生涯を通じて、子どものままでいたようだ。大人になっても、遊ぶことをやめなかった」 「子どもが遊ぶ動機は大人になりたいからである。この願望は子どもを教育する上で重要である」 「ほとんどの人間は実のところ自由など求めていない。なぜなら自由には責任が伴うからである。みんな責任を負うことを恐れている」 「猫と過ごす時間は、決して無駄にはならない」 「夢は現実の投影であり、現実は夢の投影である」 「人が忘れるのは、忘れたいからだ」 「人生の目的が何かという疑問は、無限といってよいほど、繰り返し呈されてきた。しかし、ついぞ満足できる答えが得られたことはない。そのような答えを得ることは、許されないものなのだろう」 「いつの日か過去を振り返った時、苦労して過ごした年月こそが、もっとも美しいことに気づくだろう」 「あらゆる生あるものの目指すところは、死である」

*** 今週の教養講座(戦後日本政治史②)

第2回 55年体制と高度経済成長 ― 自民党一強の時代  1955年、日本政治は大きな転換点を迎えました。戦後しばらくは保守政党が分裂し、社会党も右派と左派に分かれていました。しかし、冷戦構造の深まりと共に「左右の対立」を鮮明にする動きが進みます。社会党が統一し、保守勢力も合流して自由民主党(自民党)が誕生しました。これがいわゆる「55年体制」です。ここから約40年にわたり、自民党が与党、社会党が最大野党という体制が続きました。

野党の社会党は「護憲」「反安保」を訴えました。とくに1960年の安保闘争では、日米安全保障条約の改定をめぐり、学生や労働者が大規模デモを行います。岸信介首相は強行採決で条約を通しましたが、国民の間には大きな不信感が残りました。ここから日本の政治には「国民と政治の距離」という課題がつきまといます。

次の時代の政治の特徴は「安定」と「成長」です。自民党はアメリカとの安全保障を維持しつつ、経済政策に力を注ぎました。高度経済成長期に突入し、自動車、家電、鉄鋼などの産業が世界に進出し、国民の生活は大きく向上しました。カラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機は「三種の神器」と呼ばれ、生活必需品となっていきます。池田勇人首相の「所得倍増計画」は経済成長による国民生活の向上を約束しました。佐藤栄作首相は在任中に沖縄返還を実現し、戦後処理に大きな区切りをつけ、長期政権を維持します。

一方、この時代は「利益誘導型政治」とも呼ばれました。自民党議員は地元に道路やダム、工場を誘致し、地域経済を潤すことで票を集めました。これが「自民党一強」を支える仕組みになったのです。田中角栄元首相が逮捕されたロッキード事件などの汚職事件も起きました。若い世代に伝えたいのは、この時代の政治は「安定の代わりに多様な選択肢を犠牲にした」ということです。経済成長は確かに大きな成果でしたが、野党が政権を担う可能性は低く、政治の緊張感は乏しかったのです。国民は「自民党に任せれば生活はよくなる」という安心感を得る一方で、政治参加への熱は薄れていきました。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年9月24日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(23日)

「2国家共存」イスラエル パレスチナの和平推進する会議 フランスもパレスチナ国家承認 | NHK →国連の会議でフランスなどもパレスチナ国家を承認した。承認は150カ国超にのぼり、イスラエルや米国が孤立している。岩屋外相は「わが国は『2国家解決』を支持している。パレスチナの国家承認は『するか否か』ではなく『いつするか』という問題だ」と述べた。そうなら、「今でしょ」。

トランプ大統領 国連総会で演説 “国連は期待に応えていない” | NHK  →トランプ大統領は国連総会で演説し、国連批判に終始した。米国が国連を支援しないためという自覚がない。「私は7つの終わりのない戦争を終わらせた。みな、私がノーベル平和賞を受賞すべきだと言うが、私の関心は賞ではなく命を救うことだ」とも述べた。取り巻きはゴマすりばかり、「裸の王様」の自覚もないようだ。

「魚沼産コシヒカリ」の新米 地元で販売開始 1500円値上がり | NHK | 新潟県 →今年のコメ価格はさらに上昇しそうだ。ブランド米の魚沼産コシヒカリは、5キロ5500円で、去年より1500円高くなっている。コメ価格は分化しつつあるが、備蓄米の減少で安いコメの供給は難しくなっている。物価高は新政権の大きな課題だ。

「人間はAIの目利きに」 産業と哲学の対話、京都会議が開幕 – 日本経済新聞 →AIと人間社会を考える「第1回京都会議」が始まった。こうしたテーマは、文化の街・京都で議論するのがふさわしい。基調講演には、気鋭の哲学者で独ボン大のマルクス・ガブリエル教授らが立った。主催する京都哲学研究所はNTT系だが、自社の利害を離れて運営できるかどうかが定着のカギ。

米ディズニー、人気コメディアンの番組を一転再開へ 放送中止に批判 – 日本経済新聞 →トランプ陣営から批判された番組の一時中止を決めたディズニーが、再開を決めた。放映したABCテレビの停波にも言及していた。番組再開は当然の対応だが、今のアメリカでは珍しく健全な動きと映ってしまう。トランプ陣営はどう反応するのだろうか。

*** 「今日の名言」

◎西郷隆盛(幕末・明治の政治家。1877年9月24日死去、49歳)

「人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして、自分の誠を尽くし、人をとがめたりせず、自分の真心が不足していることを認識すべきだ」 「命もいらぬ、名もいらぬ、官位も金もいらぬというような人物は処理に困るものである。このような手に負えない人物でなければ、困難を共にして、国家の大業を成し遂げることはできない」 「何度も何度もつらく苦しい経験をしてこそ、人の志は初めて堅くなる。真の男は、玉となって砕けることを本懐とし、志を曲げて瓦となって生き長らえることを恥とせよ。人を言いくるめて、陰でこそこそ事を企てる者は、たとえそれがうまくいったとしても、物事を見抜く力のある者から見れば醜いことこの上もない」 「人に提言するときは、公平かつ誠実でなければならない。公平でなければ、すぐれた人の心をつかむことはできないものだ」 「今の人は、才能や知識があれば、事業というのは思いのままにできると思っているが、才能にまかせて行うことは、危なっかしくて見ておられない」

*** 今週の教養講座(戦後日本政治史③)

第3回 政治改革と政権交代 ― 1990年代の動乱   高度経済成長が終わり、1980年代後半のバブル景気を経て、日本政治は新しい局面を迎えます。1989年の消費税導入は国民の大きな反発を呼び、社会党の土井たか子委員長は「山が動いた」と評されるほどの支持を集めました。女性党首の登場は政治の新しい可能性を示しましたが、自民党の牙城を揺るがすには至りませんでした。

1990年代に入ると、バブル崩壊による不況、リクルート事件などの政治腐敗が重なり、自民党への不信は頂点に達します。特に1993年には、自民党が初めて衆議院で過半数を割り込み、野党勢力が結集して細川護熙内閣が誕生しました。これは戦後初の本格的な政権交代でした。細川政権は小選挙区比例代表並立制など政治改革を進め、日本政治の仕組みを大きく変えました。ただし、野党連立政権は内部分裂が激しく、長期政権にはなりませんでした。1994年には自民党と社会党の連立という歴史的な逆転現象が起こります。かつて「反自民」を掲げていた社会党の村山富市首相が、自民党と組んで政権を担ったのです。この出来事は「理念より現実」を優先する政治の一面を示しました。

1990年代後半は「失われた10年」と呼ばれる経済停滞期でもありました。金融機関の破綻、就職氷河期など、若い世代に厳しい現実を突きつけました。この時期に登場したのが橋本龍太郎や小渕恵三といったリーダーです。彼らは財政再建や経済対策に取り組みましたが、デフレや不良債権問題は解決に至りませんでした。政治の世界でも新しい動きが芽生えます。1996年に新進党が解党し、その後を引き継ぐ形で民主党が結成されます。若手政治家たちが「自民党に代わる受け皿」をつくろうと模索したのです。この流れは2000年代の政権交代につながっていきます。

若い世代に伝えたいのは、1990年代が「政治の流動化」と「国民の不信感の拡大」の時代だったということです。自民党一強が崩れ、政権交代も実現しましたが、安定したリーダーシップはなかなか生まれませんでした。それでも、この時代の試行錯誤が、後の民主党政権や政治改革の基礎を築いたのです。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年9月25日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(24日)

石破首相、対イスラエル「新たな対応も」 国連演説:時事 →石破首相は国連総会でイスラエルに警告した。「2国家解決」に後ろ向きなら「新たな対応を取る」と述べ、パレスチナ国家を承認する可能性を示唆した。石破首相のこれまでの言動から判断すれば、国家承認したいのだろう。この件に限らず、忖度しすぎた言動が国民の期待を裏切り、退陣につながった。後悔先に立たず。

経済対策、野党連携で論戦 高市氏「壁引き上げ賛成」―自民総裁候補が討論会・日本記者クラブ:時事ドットコム →選挙恒例の日本記者クラブでの討論会。各社の代表記者があの手この手で迫ったが、5候補とも安全運転が目立ち、見出しになるニュースは出なかった。盛り上がりを欠いたまま、人気投票になるのだろうか。敗退の引き金となった「政治とカネ」の取り組みは置き去りだ。

保守・竹上氏が離党届 党運営を批判:時事ドットコム →日本の保守勢力は内輪もめが多いが、保守党が分裂気味だ。百田代表と河村たかし共同代表の確執が語られ、川村氏に近い竹下裕子衆議院議員が離党届を提出した。もっとも左翼勢力も分裂気味。イデオロギー色の薄い自民党はなんだかんだと言ってもまとまってきた。懐の深さか、権力の魔性か。

株価 終値の最高値を更新 半導体関連銘柄の一部に買い注文 | NHK | きょうの株価 →話題に乏しくぱっとしない総裁選をよそに、東京株は24日も最高値を更新した。AIや半導体関連株を世界規模で囃している。もはやバブルか、AIはこれからか。潮目はまだ見えない。

歌手 菅原孝さん死去 81歳 兄弟デュオ ビリー・バンバンの兄 | NHK | 訃報 →ビリー・バンバンの兄・菅原孝さんが亡くなった。81歳。「白いブランコ」や「さよならをするためには」は、斬新なメロディーや透明な声でフォークの新しい扉を開いた。焼酎「いいちこ」のCMソング「また君に恋している」がヒット。2014年には脳内出血を患い、最近は不自由な体でテレビにも出ていた。合掌。

*** 「今日の名言」

◎小泉八雲(ラフカディオ・カーン、ギリシャ生まれの作家。1904年9月26日死去、54歳)

「文章は、あなたの話、あなたの言葉、あなたの考えでなければいけません」 「日本人ほど、お互い楽しく生きていく秘訣を心得ている国民は、ほかにちょっと見当たらない」 「日本人の微笑は、念入りに仕上げられ、長年育まれてきた作法なのである。沈黙の言語でもある」 「自然と人生を楽しみ、愛すという点で、日本人の魂は、古代ギリシャ人の精神と不思議に似ているところがある」 「外国人の旅行者にとっては、古いものだけが新しいのであって、それだけがその人の心をひきつけるのである」 「日本のものなら、なんでもかんでも繊細で、巧緻で、驚嘆すべきものに見えてくる。しかし、日本の急激な欧米化によって、その微笑が失われようとしていることを危惧する」 「日本には危険がある。古くからの質素で健全な、自然で節度ある誠実な生活様式を捨て去る危険である」  「諸君が困難に遭い、どうしてよいかまったくわからないときは、いつでも机に向かって何かを書きつけるのがよい」

*** 今週の教養講座(戦後日本政治史④)

第4回 小泉改革と民主党政権 ― 政治のダイナミズム   2000年代に入ると、日本政治は再び大きな動きを見せます。象徴的な人物が小泉純一郎首相です。2001年に就任した小泉は「自民党をぶっ壊す」という強烈なフレーズで国民の心をつかみました。郵政民営化や構造改革を掲げ、従来の利益誘導型政治からの脱却を目指しました。派閥や官僚に頼らず、テレビや新聞を通じて直接国民に訴えるスタイルは新鮮で、支持率は非常に高かったのです。

2005年の郵政選挙では、党内反対派を「刺客候補」で徹底的に潰す戦略をとり、自民党は圧勝しました。「劇場型政治」と呼ばれ、政治がエンターテインメント性を持つようになった象徴的な出来事です。しかし同時に、改革の負担は国民に重くのしかかり、格差や非正規雇用の増加といった副作用も生み出しました。一方、野党の民主党は着実に力をつけていきました。自民党政治に対する不満、特に格差拡大への批判を受け、2009年の総選挙で歴史的勝利を収めます。鳩山由紀夫首相のもとで誕生した民主党政権は、子ども手当や高校無償化など生活重視の政策を打ち出しました。これは「政権交代こそ民主主義の証」という期待を国民に与えるものでした。

しかし、民主党政権は試練に直面します。まず鳩山内閣は普天間基地移設問題で迷走し、信頼を失いました。その後の菅直人内閣は消費税増税を巡って苦境に立ち、2011年の東日本大震災と福島原発事故の対応で批判されました。野田佳彦内閣では消費税増税を決断するも、党内の分裂を招きました。結果、国民の期待は急速にしぼみ、2012年には自民党が政権に返り咲きます。この時代の重要なポイントは、「国民が政権交代を経験した」という事実です。自民党一強に風穴を開け、別の政党が国の舵を取ったこと自体に大きな意味がありました。失敗も多かった民主党政権ですが、それによって「政治は国民の選択で変えられる」という意識が広がったのです。

若い世代に伝えたいのは、2000年代が「政治のダイナミズム」を実感できた時代だったということです。小泉改革は政治の可能性と限界を示し、民主党政権は政権交代の意義と難しさを浮き彫りにしました。国民が政治に強い関心を寄せ、投票率も高かったのは、この時代の大きな特徴です。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年9月26日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(25日)

日米両政府 トランプ大統領の10月日本訪問可能か調整 | NHK | トランプ大統領 →トランプ大統領は10月に中国を訪問し、韓国でのAPEC首脳会議にも出席する予定だが、日本訪問も検討している。来日すれば、新しい首相と会談する見通し。どこにいても言動が波紋を呼んでいる。どんな騒ぎになるか。

還流再開要望は下村氏 旧安倍派の元会計責任者が証言―大野元参院議員公判・東京地裁:時事ドットコム →自民党総裁選で忘れ去られた「政治とカネ」。旧安倍派の会計責任者が裁判で、裏金の還流再開を要望したのは下村元文科相だと証言した。同派の塩谷元代議士も同じ認識を示しているが、その他幹部は沈黙。このあたりのずるさを国民は怒っている。下村氏は否定コメントを出した。

JICA「ホームタウン」事業撤回 誤情報拡散で批判殺到:時事ドットコム →JICAの「ホームタウン構想」が「移民が増える」と批判されていたが、JICAは事業を撤回した。ナイジェリア政府が「日本が特別ビザを発給する」と誤った情報を発信したのがきっかけだが、アンチ外国人の日本の風潮が騒ぎを大きくしている。日本人よ、もっと冷静に、寛容になろう。

前橋 小川晶市長 “部下の既婚男性とホテル”報道 表敬訪問取りやめなど市政に影響 | NHK | 群馬県 →前橋市の小川市長が部下の既婚男性とラブホテルに10回以上通っていたことがわかった。小川市長は「打ち合わせ場所がなかった。男女関係はない」と言うが、群馬県の山本知事は「信じる人はいない」という。辞任は避けられないという見方が大勢だ。

大相撲秋場所12日目 横綱 豊昇龍が安青錦に敗れ 1敗で横綱 大の里と優勝争い先頭に並ぶ | NHK | #大相撲 →全勝の豊昇龍が安青錦に敗れ1敗となり、大の里と並んだ。千秋楽で横綱相星決戦の可能性も出てきた。平幕優勝は意外性があっていいが、やはり強い横綱の対決を見たい。大相撲も久しぶりの安定期に入るかどうか。

*** 「今日の名言」

◎安田善次郎(安田財閥の祖。1921年9月28日死去、82歳)

「才能や経験も必要だが、それは枝葉にすぎない。要は熱心さと誠実さ、それに事業とともに倒れる覚悟で取り組む人がいれば成功する」 「十分に良いと信じた事業には必要なだけ投資してやり、経営を完成せしめ得るよう努力してやるのが銀行家の本分である」 「人物を見分けて貸すのだから、担保を取る必要はない。人物が当を得ていれば、万難を排して貸すものである」 「日常の細事を大切に処理しないで、どうして物事が成功するだろうか」 「何を志すにしろ、順序正しく進むことが一番である。これを無視すると、いわゆる豪傑肌に陥り、大言壮語し、日常の些事をかえりみなくなる」 「この世に運は確かにあると信じている。しかしその運は、先方から自分の方へ来てくれるものか、または自分からその運を取りに行くものか、この2つの判断の仕方によって、人生の成功と失敗がおのずから分かれる」 「財産はいくら積んだとて、あの世へ持って行けるものでもない」

*** 今週の教養講座(戦後日本政治史⑤)

第5回 アベノミクスから現在へ ― 日本政治の課題と展望   2012年、再び政権に戻ったのが自民党と安倍晋三首相でした。安倍政権は「アベノミクス」と呼ばれる経済政策を打ち出し、デフレ脱却と成長を目指しました。大胆な金融緩和、財政出動、そして成長戦略の「三本の矢」は、長く停滞していた日本経済に活力を与える試みでした。円安や株高が進み、企業収益は改善しましたが、賃金上昇や格差是正にはつながらず、国民生活への実感は乏しかったのも事実です。

安倍政権の特徴は「長期政権の安定」でした。2012年から2020年まで7年8か月にわたり続いた政権は、戦後最長です。外交ではトランプ米大統領やプーチン露大統領とも積極的に会談し、安定した日米関係を維持しました。安全保障面では2015年に安全保障関連法を成立させ、自衛隊の活動範囲を広げました。憲法改正への意欲も見せましたが、実現には至りませんでした。一方で、森友・加計学園問題や桜を見る会などの疑惑も相次ぎ、政治の透明性に疑問が投げかけられました。国会運営も強引との批判があり、「一強政治」と呼ばれました。国民の政治不信は再び深まっていきます。

その後の政権は、菅義偉首相、岸田文雄首相、石破茂首相へと続きました。菅政権ではワクチン接種を加速させた一方、短期で退陣。岸田政権は「分配重視」を掲げていましたが、支持率は低迷。石破政権は、政治とカネ、物価高や少子化対策、防衛費増額など課題が山積しましたが、2つの国政選挙の敗北で退陣しました。野党側は立憲民主党や国民民主党、日本維新の会などが勢力を競い、参政党も登場しましたが、まとまっているとは言えません。

「自民党以外に政権を担える政党があるのか」という問いが依然として大きなテーマです。日本政治は、少子高齢化と人口減少への対応、経済の停滞と格差拡大、安全保障と日米関係、中国との関係、政治不信の克服と参加意識の回復などの課題を抱えています。これらはすべて、私たちの生活と直結しています。若い世代は「政治は遠いものではなく、自分たちの未来を左右するもの」と考えましょう。戦後日本は占領下の再出発から始まり、55年体制の安定、政権交代の試み、小泉改革や民主党政権のダイナミズムを経て、現在の少数与党に至っています。過去のすべてが今の政治につながっているのです。歴史を振り返ることは、これからを考える手がかりになります。