9月29~10月3日(教養講座:中東問題の起源)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年9月29日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(26~28日)

小泉農相陣営が「総裁まちがいなし」など投稿呼びかけメール…小泉氏陳謝「最終的責任は私にある」 : 読売新聞 →自民党総裁選で優勢が伝えられる小泉氏に文春砲が炸裂した。ヤラセメールは卑劣でイメージが悪い。父親なら「これは権力闘争だ。熱心な陣営幹部が頑張りすぎた。注意しておいた」と啖呵を切ったかもしれない。広報担当の牧島氏を交代させたが、つまずきの始まり、黄信号か。

大相撲秋場所 大の里が5回目の優勝 横綱昇進後は初めて | NHK | 大相撲 →優勝が両横綱に絞られた大相撲秋場所。本割で豊昇龍が鋭い出足で圧倒。16年ぶりに横綱同士の決定戦になり、大の里が気迫で寄り倒した。迫力のある相撲で大いに盛り上がった。これからは「大豊時代」だ。安青錦も遠からず大関になりそうで、上位陣が安定しそうだ。不安定な日本の政界とはずいぶん違う。

トランプ大統領 “来月から一部の輸入医薬品に100%の関税” | NHK  アメリカ 医薬品関税 日本は15%が上限との見通し | NHK →トランプ大統領が医薬品の100%関税をぶち上げた。日本はなぜか15%でOKという。恣意的な関税の設定は国際ルール違反。「ジャイアン」はいつも世界から注目されていたようだ。アメリカ大統領でなければ通用しない強引さ。権力をもてあそんでいる。

南海トラフ地震「60~90%以上」 30年以内の発生確率見直し―不確実性考慮・政府調査委:時事ドットコム →南海トラフ巨大地震の発生確率で、2つの数字が発表された。素人にはさっぱりわからない。科学的に特定したくても、もともとできない数字だ。発表の仕方を工夫する必要があるだろう。「防災用」「学術用」とし、一般には「防災用」を強調すればいいと思うが、どうだろうか。

韓国 検察庁廃止など盛り込んだ法案が可決 反発や懸念の声も | NHK | 韓国 →韓国では、政権交代があると、前政権の刑事事件を追及するのが恒例になっていた。検察庁を廃止して、公訴庁と重大犯罪捜査庁に再編する法案が可決された。発足から80年近く続いた検察庁の名称がなくなるという。隣国のニュースで是非をにわかに判断できないが、与党主導の政争らしい。

ソフトバンクが優勝 2年連続21回目 パ・リーグ制す  | NHK →戦力と資金力で勝るソフトバンクがパ・リーグ2連覇。開幕はつまずいたが、新庄・日本ハムとのデッドヒートを経て7月末から首位を守った。当面の焦点はクライマックスシリーズ。日本ハムとの決戦になれば、盛り上がりそうだ。

*** 「今日の名言」

◎山崎豊子(小説家。2013年9月29日死去、89歳)

「不条理に立ち向かい、虐げられた側の心を書き残すのが作家の使命」 「先の戦争で、大学生だった私は軍需工場へ動員されました。そのときの辛さ、悲しさが私の作家としての原点です」 「私には、若くして死んでいった人間たちへの責任があります。だから半世紀も作家を続けてこられたのです」 「私には青春を奪った横暴な国家というものを許さん、という思いがしみこんでいます。泣き虫ですが、気が強いんです」 「『大地の子』だけは、私は命をかけて書いてきました。自分の血で描いているという思いがあります」 「取材で得た事実を羅列しただけでは小説にはなりません。テーマをどう構成し、人間ドラマを形作って行くか。考えに考え抜き、ディテールにもこだわります」 「四六時中、小説のことだけを考えています。大きな構想のもとに、出来る限りの取材をし、事実を掘り下げる」 「人によってお辞儀の角度を変えてはいけません」 「原稿用紙と万年筆を持ったまま、棺に入る覚悟でいます」

*** 今週の教養講座(中東問題の起源①)

 今週はイスラエルのガザ攻撃で注目が高まっている中東問題を考えます。紀元前からの歴史を持つ対立で、日本から遠いこともあって理解しにくい面があります。しかし、中東の原油は日本のエネルギーを支えています。大国が深く関係しており、世界秩序の行方に大きな影響を与える地域です。くわしく理解する一歩は歴史です。シオニズム運動が始まった19世紀以降の基本的な流れを紹介します。

第1回 シオニズム運動と中東の舞台設定(19世紀末~第一次世界大戦)  19世紀後半、ヨーロッパではユダヤ人差別(反ユダヤ主義)が根強く存在しました。特にロシア帝国ではユダヤ人への暴動(ポグロム)が頻発し、多くのユダヤ人が命の危険にさらされました。さらに、ドイツやフランスなどでも、ユダヤ人は社会的に排除されることが多く、ユダヤ人の「安全な居場所」作りが真剣に考えられるようになります。

この流れの中で登場したのがシオニズム運動です。シオニズムとは、ユダヤ人が古代に住んでいたとされるパレスチナを民族の故地とみなし、国家を建設するという思想でした。提唱者の1人であるオーストリアのジャーナリスト、テオドール・ヘルツルは1897年にスイスで「第1回シオニスト会議」を開き、ユダヤ人国家建設を目標として掲げます。一方、当時パレスチナはすでに多くのアラブ人が住んでおり、オスマン帝国の支配下にありました。ユダヤ人が「歴史的な故郷」と考えていた土地は、すでに他の民族の生活の場でもあったのです。

第一次世界大戦(1914~18年)が勃発すると、事情はさらに複雑になります。イギリスは戦争の勝利を目指して、矛盾する約束をいくつも交わしました。アラブ人には「戦争に協力すれば、オスマン帝国から独立を認める」と約束しました(フサイン=マクマホン協定)。一方で、フランスと共に中東を分割する秘密協定(サイクス=ピコ協定)を結び、さらにユダヤ人には「パレスチナにユダヤ人の民族的郷土をつくることを支持する」と表明しました。これが1917年のバルフォア宣言です。

つまり、同じ土地に対して「アラブ人に独立を」「ユダヤ人に国家を」「列強で分割」と、3重の約束がなされたのです。これが後に深刻な対立を生む原因となりました。戦争の結果、オスマン帝国は崩壊し、パレスチナはイギリスの「委任統治領」となります。ここから、ユダヤ人移民とアラブ人住民の対立が本格的に始まっていきました。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年9月30日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(29日)

NTT固定電話の基本料30年ぶり値上げ 銅回線を26年度から順次廃止 – 日本経済新聞 →NTT東西は来年4月から、銅回線を使う固定電話の基本料金を値上げする。値上げは30年ぶりで、住宅用は月220円高くなる。明治以来使ってきた銅回線は来年度から10年かけて廃止する。銅回線の固定電話は10万円近い電話加入権が必要だった。取り扱いは政府と調整するという。

「金」小売価格 最高値を更新 初めて1グラム2万円台 | NHK →金の価格が初めて1グラム2万円を超えた。「有事の金」といわれるが、国連のイラン制裁が再び発動され、緊張が高まるという連想が引き金となった。トランプ大統領登場によるドル離れもある。FRBの中立性が侵されて利下げが続くとみてドルから金へ。中国など新興国の中央銀行はかねて金購入に動いているという。

サントリー金麦、ビール「昇格」へ…酒税一本化の来年10月に麦芽比率を高める改良 : 読売新聞 →サントリーが来年10月、第3のビールである「金麦」をビールに昇格させる。酒税法改正でビールにかかる酒税が安くなることに対応する。ビールや発泡酒の価格差がなくなり、ビール人気が高まるのは確実。発泡酒や第3のビールは死語になるのか、多少の安さで生き残るのか。

アサヒGHDにサイバー攻撃 酒類など受注・出荷が停止 – 日本経済新聞 →アサヒビールのアサヒGHDがサイバー攻撃を受けている。出荷業務ができなくなり、国内工場が生産を停止。コールセンターにも支障が出ている。復旧のメドは立っていないという。長引けば、深刻だ。

日産、「マリノス」運営会社株の売却検討…IT大手などに打診か : 読売新聞 →経営不振の日産自動車が、サッカーJ1「横浜F・マリノス」の売却を検討していることがわかった。後継にはIT企業が候補にあがっているという。スポーツ運営会社は経済の盛衰を反映する。プロ野球もソフトバンク、楽天、横浜DeNAなどが誕生している。

*** 「今日の名言」

◎すぎやまこういち(作曲家。2021年9月30日死去、90歳)

「音楽とかゲームとかの観点から見ると、日本の文化力はすごいものがある」 「日本のゲームの歴史ですごいのは百人一首。ポエムをゲームにして遊んだのは日本人ぐらい」 「苦労しないでフッと浮かんだ曲が結果的にいい曲になる。ほっといて、浮かんでくるのを待つ」 「芸術家になるためには、まず自分の目や耳でよいものを感じて選びとる審美眼が大切」 「若い時から優れた作品に触れることが重要」 「ドラクエのストーリーで印象に残っているのはドラクエVに登場する『光の教団』。怪しい宗教団体が出てきて、司祭が『世の中に武器などというものがあるから戦争が起こるのです。皆さん、武器を捨てましょう』と布教するんです。村人たちがその言葉を信じて武器を捨てると、途端に魔物の群れが村を襲って占領されてしまう」 

*** 今週の教養講座(中東問題の起源②)

第2回 イスラエル建国とパレスチナ難民の誕生(1920年代~1948年)

第一次世界大戦後、イギリスの委任統治下でパレスチナにはユダヤ人の移住が本格化しました。ヨーロッパ各地から迫害を逃れたユダヤ人が次々と移住し、農場や集団生活の村(キブツ)を建設しました。アラブ人はこれに強く反発し、1920年代から30年代にかけて暴動や衝突が繰り返されました。

さらに状況を一変させたのが、1930年代のナチス・ドイツの台頭です。ヒトラー政権下でユダヤ人は徹底的に迫害され、最終的には第二次世界大戦中に600万人ものユダヤ人が虐殺される「ホロコースト」が起きました。これにより「ユダヤ人には安全な国が必要だ」という国際世論が強まり、シオニズム運動は大きな追い風を受けます。

1947年、国際連合は「パレスチナ分割決議」を採択しました。これはパレスチナをユダヤ人国家とアラブ人国家に分け、エルサレムは国際管理下に置くという案です。ユダヤ人はこれを受け入れましたが、アラブ側は「自分たちの土地を勝手に分けるのは不当だ」として反発しました。

翌1948年、イギリスがパレスチナから撤退すると、ユダヤ人指導者ベングリオンがイスラエル建国を宣言しました。これに対して周辺のアラブ諸国(エジプト、シリア、ヨルダン、イラク、レバノンなど)が一斉に攻撃を開始して介入し、第一次中東戦争が勃発しました。

戦争の結果、イスラエルは国連の分割案よりも広い領土を獲得しました。その一方で、数十万人のパレスチナ人が家を追われ、難民となって周辺国に逃れました。これが今日まで続く「パレスチナ難民問題」の出発点となります。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年10月1日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(9月30日)

経済同友会 新浪剛史代表幹事が辞任 サプリメント捜査受け “分裂避けるため” | NHK →本人は潔白と思っていても、組織のトップであれば影響が大きい。サントリー会長も同友会代表幹事も「辞任」と言っているが、「解任」に等しい。NYの豪邸をサントリーに購入させ、社内では公私混同に批判が出ていた報道もある。稲穂のように、実るほど頭を垂れないといけない。

ガザ地区停戦含む20項目の計画発表 計画実行は不透明 | NHK | イスラエル・パレスチナ →トランプ大統領がガザ和平計画を発表した。「イスラエル寄りだ」と批判しているハマスの出方が焦点。ハマス以外は歓迎している。ひざ詰めで固めたわけではない「トランプ風ディール計画」だが、いつまでも戦っていては人命が失われるだけ。ハマスが潮時と思うかどうか。

10月 値上げの食品 半年ぶり3000品目超 500ミリペットボトル1本 200円台に | NHK | 物価高騰 →きょうから10月。500mlペットボトルが1本200円になり、値上げ食品は3000品目にのぼる。一連の物価高は、ウクライナ侵攻による資源高と円安が引き金。自民党総裁選では目先の物価対策ばかりだが、限界がある。中長期的に日本経済をどうするかというビジョンを競うべきだろう。

彬子さま、三笠宮家当主に 信子さまは独立―皇室経済会議:時事ドットコム →三笠宮家の確執とされた問題が決着した。ヒゲの殿下で知られた寛仁親王の夫人で、麻生太郎氏の妹である信子さまは、娘の彬子さまとの絶縁が伝えられていた。ヒゲの殿下のアルコール依存症が原因で、別居状態になった。彬子さまは父親につき、今回、当主を継ぐことになった。皇室もいろいろある。

巨人 田中将大 日米通算200勝達成 史上4人目 プロ野球122勝 メジャーリーグ 78勝  | NHK →田中将太投手がやっと200勝を達成した。楽天で優勝した2013年の24勝が印象深いが、ここ6年は10勝に届いた年はなく、今年移籍した巨人でも苦労した。「うまくいかないことはたくさんあるが、立ち向かっていかないと乗り越えられない。目をそらした時点でクリアすることができない」とコメントした。

忘れていた宝くじで27億円当せん 上着ポケットに半年間―ドイツ:時事ドットコム →こんなこともあるんだ、という話。

*** 「今日の名言」

◎トム・クランシー(米国の軍事小説家。2013年10月1日死去、66歳)

「変えられないことに目を向けるのではなく、できることに目を向けよ」 「勝利は、それを受け入れる準備ができている人々にのみもたらされる」 「忍耐強い男の怒りには、注意することだ」 「人生とは学ぶことである。学びを止めると、死ぬ」 「情報や知識は力である。情報を管理できれば、人も管理できる」 「だれかが良いアイデアを思いつくと、一度も良いアイデアを出したことがないような誰かが『それは不可能ですよ』と言う」 「現実とフィクションの違いは何か?フィクションは理にかなっている必要がある」 「戦争はおびえた人々によって始められる。彼らは戦争を恐れているが、それ以上に、戦争を始めなかった場合に何が起こるかを恐れているのだ」 「政府が得意なのは、税金を徴収し、自由を奪い、戦争をすることだ。それ以外のことはあまり得意ではない」

*** 今週の教養講座(中東問題の起源③)

第3回 度重なる中東戦争とパレスチナ解放運動(1950~1970年代)  イスラエル建国後も、アラブ諸国とイスラエルの対立は深まりました。1948年の第1次中東戦争で多くのパレスチナ人が難民となり、その悲劇は「ナクバ(大災厄)」と呼ばれています。難民は、ヨルダン川西岸やガザ、周辺のアラブ諸国に移り住みましたが、故郷に戻ることは許されませんでした。

1956年、第2次中東戦争が起こります。発端はエジプトのナセル大統領がスエズ運河を国有化したことです。反発したイギリス・フランス・イスラエルが軍事行動を起こしました。しかしアメリカやソ連が介入し、結局エジプトがスエズ運河の支配を維持します。この戦争を通じて、ナセルはアラブ民族主義の英雄として広く支持を集めました。その後もイスラエルとアラブ諸国の緊張は続きます。1967年、第3次中東戦争(6日戦争)が勃発しました。イスラエルはエジプト・シリア・ヨルダンの軍に先制攻撃を仕掛け、わずか6日で圧勝します。この結果、イスラエルはガザ地区、ヨルダン川西岸、東エルサレム、シナイ半島、ゴラン高原を占領しました。パレスチナ人はさらに多くの土地を失い、難民が増加しました。

イスラエルによる占領は国際社会から非難を受けました。国連は「イスラエルは占領地から撤退すべき」との決議を出しましたが、実際には撤退は行われず、緊張が続きました。1973年、第4次中東戦争(ヨム・キプール戦争)が起こります。ユダヤ教の祭日にエジプトとシリアがイスラエルに奇襲を仕掛け、一時はイスラエルが劣勢に立たされました。しかし最終的にはイスラエルが反撃に成功し、停戦となりました。この戦争の影響で石油を輸出するアラブ諸国は「石油を武器」として使い、日本を含む世界にオイルショックを引き起こしました。

この時期、パレスチナ人自身も組織的に行動を始めます。1964年にはパレスチナ解放機構(PLO)が結成され、指導者アラファトが「パレスチナの独立国家建設」を訴えました。PLOはゲリラ活動やハイジャックなどの武装闘争を行い、国際的な注目を集めましたが、「テロ組織」と批判されることもありました。1970年代までに、イスラエルとアラブ諸国の戦争、パレスチナ人の抵抗運動、世界経済をも揺るがす石油危機が連動し、中東問題は国際社会にとって避けて通れない大問題となっていきました。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年10月2日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(1日)

自民党総裁選 小泉氏と高市氏が先行 林氏が追い上げる展開  | NHK 小泉氏リード、高市・林氏追う :時事 →4日の自民党総裁選は、小泉氏と高市氏が先行し、追う林氏の伸びが焦点。小泉氏はやらせメールに加え、地元・神奈川県連で高市支持党員への投票用紙発送漏れが発覚。影響が注目される。安定感で議員に浸透する林氏が追いつくか。上位2人による決選投票は確実だ。

日本郵便 不適切点呼 軽自動車でも法令違反確認 一部使用停止 | NHK →不祥事が頻発している日本郵便。不適切点呼がトラックに加え、軽自動車でも発覚し、一部が使用停止となった。郵便配達が遅くなっており、現場の疲弊は利用者でも感じられる。組織に問題があるのは間違いないが、郵便物は減少し郵便事業の先細りは明らか。民営化の是非、制度のあり方の議論も必要ではないか。

米政府、7年ぶり閉鎖 与野党対立で予算切れ:時事 小泉氏、米農務長官との面会中止 政府機関閉鎖で:時事→米政府が予算切れで一部閉鎖に追い込まれ、日米農相会談が中止になった。9月30日が年度末だが、民主党との対立でつなぎ予算が成立しなかった。閉鎖は第1次トランプ政権の2018年以来。35日間の閉鎖だったが、今回のメドは立っていない。トランプ大統領は閉鎖中に職員を解雇すると発言している。

新商品の発売延期 サイバー攻撃の影響で―アサヒGHD:時事ドットコム →アサヒビールグループのサイバー攻撃が長引いている。清涼飲料水などグループの6つの新商品が発売を延期する事態になった。復旧のメドは立っていない。深刻になってきている。

河合長官が初登庁 「共生社会へのメッセージ」―スポーツ庁:時事ドットコム →スポーツ庁長官にパラリンピック競泳金メダルの河合純一氏が就任した。金メダリスト長官は、鈴木大地氏、室伏広治氏に次ぐ3代目、パラリンピック経験者では初。就任自体が新しい時代を告げている。

*** 「今日の名言」

◎盛田昭夫(ソニー創業者。1999年10月3日死去、78歳)

「個人を組織の秩序に組み込もうという態度は、あらゆる個性的な能力を殺してしまう」 「アイデアの良い人は世の中にたくさんいるが、実行する勇気のある人は少ない」 「黙っているほうが安全だという雰囲気は、非常に危険だ」 「ネクラな組織からは何も生まれない」 「自分を発展させていくためには、他人と同じ考え、同じ行動をしてはいけない」 「非常に寒いニューヨークの冬に、3万台のラジオの在庫を引き取って、一日かけて倉庫に運んだ。それがソニーアメリカの一日目だ」 「私たちはプライドが強いですから、ソニーはユニークであると言い続けてきましたし、事実そうだと信じておる。かけがえのない我が社の力だと思います」 「会社が前進するためには、他人の踏んでいない道を進まなければならない。そのためには、他人の教えをそのままやっていたのでは間に合わない。他人の教えの上に自分の知恵を加えて、自分の道を切り拓かねばならない。自分の特徴を活かし、毎日磨き、向上させる努力を続けなければならない」

*** 今週の教養講座(中東問題の起源④)

第4回 和平交渉とその行き詰まり(1980~2000年代)  1970年代まで続いた戦争の後、国際社会では「武力ではなく交渉によって中東問題を解決すべきだ」という動きが強まりました。最初の大きな成果が、1978年のキャンプ・デービッド合意。アメリカ大統領カーターの仲介で、エジプトのサダト大統領とイスラエルのベギン首相が合意し、翌年のエジプト=イスラエル平和条約で両国は正式に国交を結びました。イスラエルはシナイ半島をエジプトに返還し、中東で初めて「イスラエルを認めるアラブ国家」が誕生しました。

 この動きはアラブ世界の分裂を生みました。エジプトは「アラブの裏切り者」と非難され、サダト大統領はその後暗殺されてしまいます。1980年代に入ると、占領下のパレスチナで人々の怒りが爆発しました。1987年、ガザやヨルダン川西岸で住民が石を投げて抵抗する「第一次インティファーダ(民衆蜂起)」が始まります。これにより「パレスチナ問題」は国際社会に再び強く意識されるようになりました。

 1993年には歴史的な転機が訪れます。ノルウェーで秘密裏に進められた交渉を経て、イスラエルのラビン首相とPLOのアラファト議長が「オスロ合意」に署名しました。合意では、イスラエルが占領地の一部から撤退し、パレスチナ人に自治を認めること、PLOはイスラエルを承認することが取り決められました。両者がホワイトハウスの庭で握手する姿は世界中に報道され、「ついに和平が実現する」と期待されました。

ところが、和平は長続きしませんでした。イスラエル国内では合意に反対する右派が反発し、1995年にはラビン首相が過激なユダヤ人によって暗殺されます。パレスチナ側でも、合意を「裏切り」と見なす組織(イスラム原理主義組織ハマスなど)が台頭し、自爆テロや武力攻撃を繰り返しました。2000年には和平の最終合意をめざした「キャンプ・デービッド会談」が開かれましたが、エルサレムや難民帰還の問題で折り合えず決裂。その後、イスラエルの首相シャロンがエルサレムの聖地を訪問したことをきっかけに、第2次インティファーダが勃発しました。暴力の連鎖は再び激化し、和平の機運は大きく後退してしまいました。1980~2000年代は「前進と後退」の時代でした。

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***デイ・ウォッチ(2日)

ドジャース地区シリーズ進出 先発・山本が好投 大谷タイムリー 佐々木がリリーフで初登板 | NHK →ドジャースが地区シリーズ進出を決めた。先発の山本が好投、大谷がタイムリー、9回にリリーフした佐々木が完璧におさえた。佐々木は完全復活のようだ。カブスの鈴木や今永も活躍しており、ポストシーズンで日本人選手が躍動している。きょうはダルビッシュが先発予定。楽しみが増えている。

前橋市長、進退「相談する時間ほしい」 部下の男性とホテル:時事ドットコム →小川・前橋市長はもう辞めざるをえない。田久保・伊東市長や新浪・経済同友会代表幹事と同様、疑惑があって責任ある地位にとどまる限り、組織に大きな影響が及ぶ。本人は無念かもしれないが、潔さも重要だ。支持者や取り巻きの意見ではなく、天の声を聞く耳が必要だ。

「郵便届かず、気がめいった」 不満募らせ自暴自棄か―町田女性殺害事件:時事ドットコム →東京・町田市で、面識のない76歳のパート女性を殺した容疑者が、「自分宛ての郵便物が届かなかったり、自宅前にごみが捨ててあったりして、気持ちがめいった」という趣旨の供述をしていることがわかった。身勝手極まりないが、そうした心理に至った経緯の分析も必要だろう。

雇用統計遅延、航空便混乱も 職員75万人が自宅待機―米政府閉鎖:時事ドットコム →米国政府閉鎖の影響が広がっている。雇用統計は発表延期になり、航空管制官や軍関係者は無給で働いている。民主党も簡単に譲歩をする様子はない。トランプ大統領を止められるのは、金融市場と来年秋の中間選挙。1年後の選挙をにらんで、政争の様相だ。

全国の裁判所庁舎など400棟余 法律で定められた外壁点検未実施 | NHKニュース →裁判庁舎の管理で法令違反が明らかになった。外壁がタイル張りなどの大きな建物は、完成や外壁の改修から10年後に外壁の点検が義務づけられているが、守っていなかった。最高裁経理局長は「法令を遵守すべき裁判所で法令に反した状態にあったことをおわび申し上げます」とコメント。おいおい。

*** 「今日の名言」

◎スティーブ・ジョブズ(アップル創業者。2011年10月5日死去、56歳)

「すばらしい仕事をする唯一の方法は、自分のやっていることを好きになることだ。見つけていないのなら、探し続けなければいけない」 「夢を実現できるか否かは、途中で諦めるかどうかにかかっている」 「何を捨てるかで誇りが問われ、何を守るかで愛情が問われる」 「卓上計算機しか使ったことがない人に、マッキントッシュがどういうものか尋ねても、答えられなかっただろう。消費者リサーチを行うのは無理だ。とにかく作って、見せ、『どう思う?』と聞くしかない」 「私はパソコンを人間性あふれる存在にしたい」 「コンピュータの分野に進んだのは、やっている人がほとんどいなかったからだ」 「美しい女性を口説こうと思った時、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい? そう思った時点で君の負けだ。ライバルは関係ない。女性が何を望んでいるのかを、見極めることだ」 「偉大な製品は、情熱的な人々からしか生まれない」 「もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?」

*** 今週の教養講座(中東問題の起源⑤)

第5回 ガザ問題と現在の中東情勢(2000年代~現在)  2000年代に入ると、イスラエルとパレスチナの対立は「ガザ地区」を中心に激化しました。ガザは地中海沿岸の小さな地域で、人口は200万人以上。しかし資源が乏しく、経済的に脆弱です。ここに住む人々の多くは1948年の戦争で追われたパレスチナ難民やその子孫です。

 2005年、イスラエルはガザ地区から入植者と軍を撤退させました。しかし、国境や空域、海の出入り口はイスラエルとエジプトが厳しく管理し、ガザの人々は自由に外へ出ることが難しい状態が続きました。2006年のパレスチナ議会選挙では、イスラム主義組織のハマスが勝利します。ハマスはイスラエルの存在を認めず、武装闘争を掲げているため、アメリカやEU、日本など多くの国は「テロ組織」と位置づけています。その後、ガザはハマスが実効支配する地域となり、ヨルダン川西岸を統治する穏健派のファタハ(PLO系)と分裂しました。

これ以降、ガザからイスラエルへのロケット攻撃、イスラエルの大規模軍事作戦という報復の連鎖が繰り返されます。2008年、2014年などには数千人規模の犠牲者を出す戦闘が発生しました。ガザは封鎖と戦闘によって「天井のない監獄」とも呼ばれるほど、生活が困難な地域となっています。さらに2021年、そして2023年以降もイスラエルとハマスの間で衝突が激化しました。特に2023年10月、ハマスが大規模攻撃を仕掛け、イスラエル側でも多数の犠牲者が出ました。これに対しイスラエルはガザに対する空爆と地上侵攻を行い、民間人を含む甚大な被害が発生しました。国際社会では「テロを許さない」と「人道危機を防げ」という両方の声が上がり、対立の深さを示しています。

中東問題は単に「イスラエル対パレスチナ」だけではありません。イランやサウジアラビア、アメリカ、ヨーロッパ諸国などもそれぞれの立場から関与し、地域全体の緊張を高めています。イスラエルとアラブ諸国の一部(UAEやバーレーンなど)は2020年に「アブラハム合意」を結んで国交を正常化しましたが、パレスチナ問題は依然として解決されていません。重要なことは、「中東問題は100年以上前の歴史的な約束や戦争の積み重ねの上にあり、宗教・民族・政治・経済が複雑に絡んでいる」という点です。簡単に「どちらが悪い」とは言えません。だからこそ世界中の人々が注目し、解決が求められています。