11月3~7日(教養講座:ノーベル経済学賞の示唆)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年11月3日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(31~2日)

ドジャース ワールドシリーズ 初の連覇 山本由伸がMVP  | NHKニュース →ドジャースが初の連覇を達成した。最終戦にリリーフで登板して3勝目をあげた山本がMVPを獲得した。シリーズを通して大谷と佐々木も活躍し、日本人の記憶に深く残った。しびれる試合の連続で、大リーグのタフさにも驚かされた。延長は無制限で、18回の死闘があった。移動で時差のある試合をこなし、先発投手もリリーフ登板で全員野球。昼前の試合でしっかりテレビ観戦できた人も多かったのではないか。

“双方の意思疎通が重要”認識一致 高市首相 懸念も伝える | NHKニュース  →日中首脳会談が開かれ、「戦略的互恵関係」をキーワードに意思疎通の重要性を確認した。高市首相は懸念事項も伝えたが、全体として無難な初顔合わせだった。首相は就任直後の外交ウィークだったが、現実的対応と愛嬌で高いパフォーマンスだったと評価される。今週からは少数与党の国会・内政が焦点。真価が問われる。

26年前の名古屋主婦殺害事件 60代女の容疑者を殺人容疑で逮捕  | NHKニュース →26年前の殺人事件の容疑者逮捕だけでも驚きだが、被害者の夫と高校の同級生で、同じテニス部だったことはもっと驚きだ。夏から事情聴取を受け、当初はDNAの提供を拒んでいた。その後一致が判明して自首した。動機が焦点だが、裁判まで明らかにならないかもしれない。事実は小説より奇なり、か。

ガソリン暫定税率、年末廃止 財源は先送り―与野党6党合意:時事ドットコム →ガソリンの暫定税率を年末に廃止することで、与野党が合意した。自民党は来年を主張していたが、少数与党のため野党に歩み寄った。地方も含めて年間1.5兆円の財源は未定。今後、こうしたテーマが多くなりそうだ。財源問題は与野党共通の課題だ。ガソリンを安くするとCO2が増加する問題もある。

伊東市長が失職 議会2度目の不信任―静岡:時事ドットコム →静岡県の田久保伊東市長が、やっと失職した。12月14日投開票とみられる市長選に出馬するかどうかが当面の焦点だが、法律の想定していない事態を半年も続けた。政治家や法律のあり方が本質的な課題だろう。政治家として、人としての良識を期待したいが・・・

*** 「今日の名言」

◎明治天皇(1852年11月3日誕生)

「江戸城は広いな」 「日本人としての心を常に磨きなさい。たとえ世の中が安泰の時代であろうとも」 「思い一つで努力すれば、どんなことでも実現しないわけがない」 「空に届きそうなほどの高い山であろうとも、登ろうとする想いさえあれば、道はみつかるものだ」 「たとえ他人よりも遅れをとろうとも、正しき道を踏み外してはならない」 「どれだけ家が富み飽くほどの財産を築いたとしても、この世における自身の務めを怠ってはいけない」 「共に助け合い睦び合い切磋琢磨して向上していく友がいてこそ、世に出て活躍する力となる」 「人の上に立つ者は、自身の行いが正しいかを常に自身で問わなければならない」 「器の形に従いながらも岩をも通す、水の力に学びなさい」 「広き世の中で活躍しようとする者は、細事に心を費やしてはならない」

*** 今週の教養講座(ノーベル経済学賞の示唆①)

 2024年のノーベル経済学賞は、アメリカの経済学者ダロン・アセモグル、サイモン・ジョンソン、ジェームズ・A・ロビンソンの3人に贈られた。彼らが明らかにしたのは、「国の豊かさや貧しさを決めるのは、自然環境や文化ではなく『制度』である」ということだ。トランプ大統領の登場や中国やインドの台頭、地球規模の格差拡大などで、世界の経済秩序は大きく動揺している。彼らの理論が及ぼす現代への示唆は多い。生成AIを使って3人の理論を現代に応用し、高校生にもわかるように説明してもらった。

【1】概要:国の豊かさを決めるのは「制度」   ここでいう「制度(institutions)」とは、政治の仕組みや法律、教育制度、経済ルールなど、社会の基本的な仕組み全体を指す。彼らは世界各国の歴史を分析し、制度が人々の行動を決め、長い時間をかけて国の運命を左右することを示した。

 制度を2種類に分けて考える。「包摂的制度(inclusive institutions)」とは、誰もが参加でき、努力が報われる仕組みのこと。選挙や教育、自由な経済活動がこれにあたる。逆に「収奪的制度(extractive institutions)」は、一部の人だけが権力や富を独占し、他の人は参加できない社会。包摂的と収奪的の対比が、大きなポイントだ。

たとえば、ヨーロッパが植民地を広げていた時代、入植地の環境によって導入される制度は異なった。病気が多くて住みにくい場所では、現地の人々を支配する「収奪的制度」がつくられ、豊かな地域では、定住者が自らの社会を築く「包摂的制度」が整った。その違いが数百年後の経済格差につながった。これが3人の研究の核心である。

 この理論の優れた点は、「歴史をデータで検証した」ことだ。過去の制度の違いが、現代の経済成長や民主主義の差を生むと実証した。制度は1度できると簡単には変わらない。悪い制度は既得権を持つ人々によって守られ、長く続いてしまう。しかし歴史を見れば、大きな改革や外からの刺激(戦争・革命・技術変化など)が、制度を変えるきっかけになることも多い。

 この理論は、今の世界にも大きなヒントを与えている。国だけでなく、企業や学校、地域社会も「包摂的」か「収奪的」か、で未来が変わる。つまり、みんなが参加できる制度をどうつくるか。それが社会の豊かさを決める時代なのだ。

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