12月15~19日(教養講座:美術館の歩き方)

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***デイ・ウォッチ(12~14日)

アメリカ ブラウン大学で銃撃 2人死亡9人けが 容疑者とみられる人物の映像公開 | NHKニュース   →アイビーリーグに所属するブラウン大学で銃撃事件が起きた。2人死亡、9人けが。捜査当局は、容疑者の映像を公開して行方を追っている。トランプ大統領の介入で米国の大学は動揺している。そうした状況と関係しているのだろうか。 シドニー銃撃事件 16人死亡 ユダヤ系住民狙ったテロとして捜査 | NHKニュース  →シドニーではユダヤ系住民を狙ったテロがあり、16人が死亡した。

献金規制・定数減、越年へ 自維に亀裂、不信任は見送り―臨時国会、17日会期末:時事ドットコム →政治改革法案が越年する公算になった。定数削減は自維連立政権の柱だが、もともと無理があった。亀裂が入るか、国民民主が割り込むか。一方、あれだけ政治とカネが問題になっても何も決められない政治は変わらない。政治不信が再び高まりかねない。

静岡 伊東市長選挙 元市議が初当選 田久保前市長は落選 | NHKニュース  →伊東市長選で元市議の杉本さん(43)が当選した。田久保前市長は3位で落選した。9人も立候補し、だれも当選ラインに届かず、再選挙も予想されたが、すんなり決まった。学歴詐称で大揺れだった伊東市政はこれでやっと正常化するはずだ。

下院過半数維持に不安 中間選挙、経済政策「効果まだ」―米大統領:時事ドットコム →トランプ大統領が就任してずいぶん時間が過ぎたように思うが、まだ1年。中間選挙で下院の過半数維持に不安を示した。ウォールストリートジャーナル紙のインタビューで、貿易交渉の成功を誇示したが、「統計的に勝つことは非常に難しい」と述べた。中間選挙の結果は世界秩序にも大きく影響する。

旧姓使用に法的効力の制度検討求める答申案 反対意見で見送り | NHKニュース →夫婦別姓問題を旧姓使用の法制化で乗り切ろうとした高市政権の思惑がつまずいた。男女共同参画会議の答申案に内閣府が盛り込んだが、「聞いていない」とする連合会長が反対した。官邸の強引さか、内閣府の忖度か。官房長官に一任されたが、厳しく対立するテーマをどうするか。

2025年「今年の漢字」は「熊」の文字 京都 清水寺で発表 | NHKニュース  →漢字検定協会の恒例行事。確かに「熊」は今年の漢字にふさわしいが、問題が深刻すぎる。2~10位は、米、高、脈、万、変、博、女、新、初。コメ高騰や初の女性首相、万博関係の言葉が多かった。

*** 「今日の名言」

◎ウォルター・リップマン(米の著作家、ジャーナリスト。1974年12月14日死去、85歳)

「批判と信頼しうる賢い報道がなければ、政府は統治することができない」 「言論の自由が自由の第1歩だが、その権利をよりしっかりしたものとするには、他者に耳を傾けることが必要だ」 「反対意見は不可欠である。良い政治家は良識ある人と同様に、熱心な支持者よりも、敵対する者からより多くのものを学ぶ」 「皆が同じように考えるときは、だれも深くは考えていないものだ」 「政治屋は言う、『俺は、皆さんが欲しいものを与えてあげます』と。政治家はこう言うだろう、『皆さんが欲しいと考えているものはこれです』と」 「民主主義がかかわる問題は、あらゆる人間が直接、確実な知識を得られる範囲に限定されなければならない」 「我々は大抵の場合、見てから定義せず、定義してから見るものだ。拾いあげたものを、我々の文化によってステレオタイプ化された形のままで知覚しがちである」 「指導者が最後に試されることは、他の人たちに自分の志を実行する信念と意志を託して死ねたかどうかということだ」

*** 今週の教養講座(美術館の歩き方①)

 今週の教養講座は「美術館の歩き方」です。休みが多くなる季節なので、参考になればと思います。チャットGPTを使いました。生成AIの不得意分野は最新の情報です。学習が不十分で、ネットを検索しながら答えを出すので、誤る可能性が高くなります。逆に得意分野は、長い歴史や蓄積があり十分に学習した領域です。「美術館の歩き方」は学習十分のテーマです。

◆第1回 絵を見る前に:美術館をもっと楽しむ準備  美術館に入るとき、多くの人は「ちゃんと見なければ」と気負ってしまいます。しかし、美術館は本来「自由に感じる場所」であり、学校のテストを受ける場ではありません。作品の前に立つと、どうしても「意味を理解しなければ」「正しい見方をしなければ」と考えてしまいますが、その緊張が鑑賞の妨げになります。まずは「全部見なくていい」「わからなくてもいい」という心構えを持つことが、美術館の楽しみを大きく広げます。

入口で館内マップを手にしたら、展示の全体像を軽く確認します。順路が示されている場合もありますが、必ずしも従う必要はありません。むしろ、自分が気になる部屋や展示があれば、そこから見始めるほうが満足度は高くなります。美術館は「寄り道する場所」です。気分のままに進むほうが、その日の自分に合った作品と出会えるものです。

音声ガイドは、美術館鑑賞の心強い味方です。作品誕生の背景や技法の特徴など、画面だけではわからない情報が簡潔にまとめられています。ただ、使い方にはコツがあります。ガイドを聞きながらずっと歩くと、説明に引っ張られてしまい、自分の感覚が後ろに下がってしまうことがあります。理想は「気になる作品だけ聞く」ことです。音声に頼りすぎず、あくまで「補助」として活用すると、鑑賞の自由度が保たれます。

混雑を避けたい人は、時間帯にも気をつけましょう。開館直後、もしくは閉館前の1時間は比較的静かで、人気作品でもゆっくり向き合えます。特別展が混んでいるときは、常設展に回るのもおすすめです。知名度は高くなくても、質の高い作品に出会えることが多く、「こんな作品があったのか」といううれしい発見が広がります。

もう一つ、美術館を楽しむコツは「今日の自分だけのテーマを決める」ことです。たとえば「今日は人物画を3枚だけ」「青色がきれいな作品を探してみる」「静かな絵を見つけたい」など、ごくゆるいテーマで構いません。目的があると、作品同士を比較する視点が生まれ、鑑賞が自然と深まります。

美術館は、知識よりも「心の余白」を持って入る場所です。疲れたら休憩スペースに座ればいいし、気に入らなければ部屋を出てもいい。一番大切なのは「自分のペースで見る」ことです。こうした小さな気持ちの切り替えが、作品との距離を近づけ、美術館を「特別な散歩」のようにしてくれます。

    ◆

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***デイ・ウォッチ(15日)

上野の双子パンダ、中国返還 来年1月、半世紀ぶり国内ゼロ―東京都:時事ドットコム  →東京都は来月、上野動物園の2頭のパンダを中国に返還する。2月が返還期限になっており、最終観覧日は1月25日にする。この結果、国内のパンダはいなくなる。パンダの初来日は1972年で、日中友好のシンボルだった。高市首相の発言をきっかけに関係は冷え込んでおり、再来日の予定はない。

経団連 外国人政策で提言 “戦略的誘致への発想の転換必要” | NHKニュース  →経団連が外国人政策で提言した。これまでの受け身から脱し、戦略的な誘致を強調した。排外的な風潮が強くなっているが、日本経済に外国人は欠かせない。経済団体はソフトで開かれた有力パワーとして、日中関係なども含めて現実的な提言をもっとしていくべきだろう。

中国、台湾顧問の元統合幕僚長に制裁 「独立勢力と結託で懲罰」:時事ドットコム →中国が新たな制裁を発動した。自衛隊制服組トップの統合幕僚長を務めた岩崎茂氏に対し、入国禁止などの制裁を科す。岩崎氏は今年3月から台湾行政院(内閣)の政務顧問を務めている。自衛隊トップが外国の顧問に就任するのは異例とみられ、中国側は何度も日本側に抗議していたという。

旧村上ファンド系会社など フジ株 最大33.3%まで引き上げ意向 | NHKニュース →フジテレビと旧村上ファンド系のバトルがまた始まりそうだ。旧村上系は不動産売却を求めて株を買い増すが、フジは20%以上の保有を引き下げられる対抗措置を導入している。16日以降、フジ株が上昇しそうだ。

福岡 2人刺傷事件 “容疑者はアイドルのイベントの常連客” | NHKニュース  博多駅近くで70代の男性が刺され搬送 30代の男が出頭し逮捕 | NHKニュース →福岡市の繁華街で2件の刺傷事件があった。14日夜、商業施設でアイドルグループHKT48のファンがイベントスタッフらを刺した。15日夜にはJR博多駅近くで70代の男性が刺された。30代の男が逮捕されたが、2人は面識があるという。

東京 赤坂のサウナで火事 意識不明だった男女2人が死亡 | NHKニュース  →東京・赤坂の高級サウナで火事があり、男女2人が死亡した。料金はビジターが1回120分で1万9000円から、会員は5つのクラスがあり、月額6万円から39万円。何があったのか。警察が詳しい状況を調べている。

*** 「今日の名言」

◎サマセット・モーム(英国の小説家。1965年12月16日死去、91歳)

「成功の大部分は、訓練の賜物である」 「よい習慣をやめることが、悪い習慣から抜け出すことよりもたやすいのは、実に困ったことだ」 「人生の秘訣は、自分で見つけないと意味がない」 「私が確信できることがたった一つある。確信できることはほとんどないということだ」 「愛とは、お互いに相手を知らない男女の間に発生するものである」 「思い煩うことはない。人生に意味はないのだ。ぼくらは謙虚でなくちゃいけない。静かな生活の美しさを知るべきだよ。そっと人知れぬ一生を終えるべきだ」 「完璧には一つの重大な欠点がある。退屈になりがちだ」 「親が子に対して抱く愛情は、利害をまったく離れた唯一の心情である」 「人の言葉を引用する能力は、機知のなさを補うのに役立つ」

*** 今週の教養講座(美術館の歩き方②)

◆第2回 人物画の見方:目線・ポーズ・背景で読み解く  人物画は、一見すると「その人が描かれている絵」に過ぎません。しかし、細部を丁寧に見ていくと、画家の意図や時代の空気、モデルの性格まで浮かび上がってきます。人物画は「物語を読む絵」です。

最初に注目したいのは「目線」です。人物がこちらをまっすぐ見つめている場合、そこには観る者に語りかける強い意図があります。権威、誇り、あるいは挑戦の気持ちを感じることもあります。一方、斜め横を向いている場合は、心の内側にある静けさや思索が表現されがちです。「この人は何を見ているのだろう」と想像すると、作品の奥行きがぐっと広がります。

次に「ポーズ」。身振りや姿勢には、画家とモデルの関係性が反映されていることが多いのです。胸を張る姿は自信や地位の象徴、肩を落としているなら疲労や不安、手を組んでいるなら慎ましさ。人物の身体の向きと背景の関係も重要で、たとえば背景に窓があり、そこに光が差し込んでいれば、開放感や未来への希望が込められていることがあります。

衣装や持ち物も重要な手がかりです。本を持っていれば知性、花なら純粋さ、楽器なら芸術への感性。こうした象徴は、西洋絵画ではとくに多く使われています。日本画でも、着物の文様や襖絵の背景は重要な情報源です。

そして背景。人物の背後に描かれた室内や風景には、その人の人生そのものが込められています。豪奢な部屋であれば社会的地位、荒野や海なら孤独や自由、静かな書斎なら知性や内省。背景との関係を読むことで、人物像が立体的になります。

人物画は、「見る」より「読む」絵です。目線・ポーズ・衣装・背景、この4つを意識するだけで、絵に語りかけられているような感覚が生まれます。

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