12月22~26日(教養講座:教養としての上級語彙①)
~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年12月22日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(19~21日)
速報⇒ 村上宗隆 大リーグホワイトソックスと契約合意“2年53億円余” | NHKニュース
◎日銀 利上げ決定 政策金利0.75%に引き上げ 30年ぶり高水準 | NHKニュース →日銀が政策金利を30年ぶりとなる0.75%に引き上げた。前回の利上げと違って完全に織り込んだ株式市場は、動揺しなかった。しかし、為替は157円まで円安が進行し、輸入物価の高騰が懸念される。植田総裁の今後の利上げ姿勢が弱いと判断した。日銀は引き続き利上げを模索するが、前門のマーケット、後門の高市政権の構図が続く。
◎ニデック 永守重信氏 代表取締役辞任 不適切会計問題で調査中 | NHKニュース →伝説のモーレツ経営者・ニデックの永守氏が代表取締役を辞任した。非常勤の名誉会長という役職につくが、事実上の引退。発覚した不正会計の実態はまだわからない。数字を強烈に求める剛腕が現場の疲弊を生んだようだ。会見はせず、コメントのみ。やや無責任で寂しい引き際だ。
◎東京科学大が第2号に 「国際卓越大」、京大も助成へ―東大は継続審査・文科省:時事 →東京科学大は東京工大と東京医科歯科大が統合した。東北大に続く「国際卓越大」第2号。京大も助成対象となり、汚職のあった東大は継続審査。そもそも政府が大学を丸ごと助成対象にする意味はあるだろうか。介入によって大学の自律性が危うくなり、「卓越格差」も生む。個別プロジェクト支援が適切ではないか。
◎首都直下地震、死者1.8万人 経済被害は83兆円―新想定、基本計画改定へ:時事 →首都直下地震の死者を1.8万人と想定した。2013年の想定は2.3万人だったが、建物の耐震化や火災対策が進んだと判断した。大きな課題は帰宅困難者で840万人。2011年の東日本大震災では大混乱したが、今後は職場などにとどまるように呼びかける。急増しているタワマンの被害は未知数だ。
◎対中議員外交に首相答弁の影 自民・萩生田氏ら訪台ラッシュ:時事ドットコム →自民党議員の台湾訪中ラッシュが続く。萩生田幹事長代行、鈴木前法相、河野元外相らが年末に訪問する。一方、日中友好議連は訪中の機会を模索するが、調整が進まない。二階元幹事長の引退、公明党の連立離脱でパイプがない。バランスを欠いた議員外交だ。
◎学法石川、大会新で初優勝 女子は長野東が連覇―全国高校駅伝:時事ドットコム →男子優勝の学法石川は福島県勢で初制覇。女子の長野東は公立高で連覇を達成した。人材や施設が整った強豪ばかりが勝つのでは面白くない。両校の頑張りに拍手。躍進の秘話を知りたくなる。連覇の長野東 幼なじみの主将とエース集大成 全国高校駅伝女子 | 毎日新聞
*** 「今日の名言」
◎渡辺恒雄(読売新聞グループ本社主筆。2024年12月19日死去、98歳)
「(政治家取材について)不遇の時に行け、先のありそうな奴と、不遇の時に付き合って食い込むんだ」 「危険を冒さないと特ダネはない」 「記者は情報屋になってはいけない。情報屋は取材対象からも軽んじられ、利用されるだけで終わる」 「(中曽根康弘氏について)彼以上に敬愛した人物はいない」 「選挙応援くらい勉強になるものはない。政治の実態が分かる」「言論の自由を守ることや報道倫理の向上など新聞界全体の問題や経営上の問題では、朝日新聞とも地方紙ともいくらでも協力するけれど、社論に関しては絶対に妥協しない」 「僕は8歳の時に親父を亡くした。戦中の私の少年時代、青春時代は暗いみじめなものだった」 「(軍に入隊して)軍の横暴、独裁政治の悪さ、身に染みて分かった。戦争中から反戦だった」
*** 今週の教養講座(教養としての上級語彙①)
今週は「教養としての上級語彙」(宮崎哲弥著、新潮選書、2022)から「知的活動に関わる上級語彙」を紹介する。語彙には「理解できる」と「使える」の2つのレベルがあるが、使うためには理解するよりはるかに高い言語処理能力が必要になる。語彙の深い世界に触れてみたい。わかりやすくするため、表記は書籍と一部異なっている。
●「畢竟」(ひっきょう)=つまるところ。結局のところ。所詮。例示「畢竟、生物は遺伝子の乗り物に過ぎない」「畢竟するに、死は生の必然的結果だ」。
●「一時の昂奮(こうふん)から要路の大官を狙ったりなどするのは、畢竟大鵬の志を知らざる燕雀の行いである」(大隈重信「青年の天下」)/「要路」は、重要な地位や職務。「大官」は偉い官僚、高官。「大鵬」は大きな鳥で、転じて大人物をさす。「大鵬の志」とは、大人物が抱く大きな志。対して「燕雀」(えんじゃく)は、ツバメやスズメみたいな小さな鳥。小人物の「隠喩」(いんゆ)だ。
●「燕雀いずくんぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや」=ツバメやスズメのごとき小物がどうして大いなる鳥のような大人物が抱く志を知ることができようか。いやできない。「鴻鵠」は「大鵬」と同じ意味。●「安んぞ、焉んぞ」(いずくんぞ)=どうして。何として。いかにして。文末に推量の助動詞などで受けて、反語、つまり「どうして~~だろうか。いや、ない」という文意を表す。
●「鶏群の一鶴」(けいぐんのいっかく)=ニワトリの群れの中に1羽の鶴がいるように、多数の凡人の中に優れた人物が1人いること。「はきだめにツル」「鶏群の孤鶴(こかく)」ともいう。大鵬も燕雀も鴻鵠も、隠喩である。隠喩の意味を対義語の「直喩」とともに押さえていこう。
●「直喩」(ちょくゆ)=「ような」「みたいな」「ごとく」「さながら」などを用いて、たとえられるものとたとえるものの関係を直接示すもの。明喩。「雪のような肌」という直喩表現で言えば、肌がたとえられるもの、雪がたとえるものである。●「隠喩」(いんゆ)=あるものを、「ような」などを用いずに、別のものでたとえること。メタファー、暗喩。直喩の「雪のような肌」に対し、「雪の肌」と表現する。例は「彼女は掃きだめのツルだ」「あの人は生き字引だよ」。雪の肌は「雪肌」(せっき)という熟語にもなっている。
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