1月26~30日(教養講座:今こそプラグマティズム)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年1月26日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(23~25日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

衆議院選挙あす公示 高市政権の政策の是非など争点に選挙戦へ | NHKニュース   内閣支持率10ポイント下落 解散評価せず4割 | 毎日新聞  高市内閣支持67%に低下 – 日本経済新聞 →総選挙が明日、公示される。「高市首相対中道」が最大の焦点。「国家優先・個人優先」「指導力の独裁型・合議型」も対立軸だ。自民党は高市首相の高い支持率に期待しているが、毎日の世論調査では前回比10ポイント、日経は8ポイント下落している。タレント推しのように高市首相を支持する若い人も多いが、政策と人物をよく見極めて投票したい。保守分裂となった福井県知事選は、参政支持の元外務省の若手が、自民支持の元越前市長を破った→ 福井県知事選挙 新人の石田嵩人氏当選 全国で最も若い知事に | NHKニュース

中国軍制服組トップら高官2人調査 重大な規律違反などの疑い | NHKニュース  →習近平主席と軍の権力闘争は激しい。幹部が次々と汚職や規律違反で失脚しているが、くわしい理由はわからない。独裁で誰もいなくなってしまうと、茶坊主ばかりになり、賢明な判断ができなくなるだろう。「強そうな指導者こそ弱い」と言える。

アメリカ「国防戦略」発表 国土防衛と中国抑止を重視 同盟国にGDP比5%要求 | NHKニュース  →米国が同盟国にGDP5%の防衛費を求めた。防衛費のような基本的方針は、各国で決めるのが当然だが、お構いなしのトランプ流だ。日本は2%への引き上げで苦労している。世界は防衛費増に過剰反応していないだろうか。外交も含めた協調的総合的安保を考えないと、どの国も破たんする。

NY円急騰、155円台後半 FRBがレートチェックか:時事ドットコム →米国も市場の動揺はさすがに行き過ぎだと判断したのだろう。FRBが金融機関に相場水準を照会するレートチェックを行った模様だ。協調介入の前段階とされるが、介入までいくかどうか。介入して、円安の流れが変わるかどうか。総選挙もからんで神経戦が続く。

東大大学院の教授を収賄疑いで逮捕 高級クラブで接待受けたか | NHKニュース  →皮膚科が専門の東大大学院教授が収賄の疑いで逮捕された。共同研究をめぐって化粧品協会にソープランド接待などを要求、協会側が音を上げていた。昨年11月には東大病院の医師が逮捕され、これらも影響して文科省の国際卓越研究大学に選ばれなかったようだ。実るほど頭を垂れたい。

大相撲初場所 安青錦が2場所連続優勝 新大関の優勝は20年ぶり | NHKニュース  →初場所は安青錦が優勝決定戦で2連覇を飾った。新関脇、新大関での連覇は双葉山以来89年ぶり。来場所は横綱に挑戦する。静岡県出身力士として初優勝を狙った熱海富士は決定戦で敗れたが、地力がついてきた。横綱がふがいなかったが、若手台頭や実力拮抗で、大相撲人気が高まっている。

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

藤沢周平(小説家。1997年1月26日死去、69歳)

「いつも謙虚に、感謝の気持ちを忘れない」 「謝るときは、素直に非を認めて潔く謝る」 「派手なことは嫌い、目立つことはしない」 「自慢はしない」 「普通が一番。挨拶は基本」 「普通の生活を続けていくことの方が、よっぽど難しいことなんだよ」 「この世の中に、自分のような人間を頼りにしている人がいるということは、すばらしいことではないのだろうか」 「飯の糧にならないことが、心の糧になる」 「昔は群れの中の1匹の羊であるより、孤独なオオカミでありたいとひそかに思った男たちが、やたらにいたような気がする」 「1人の平凡な人間もドラマを持っている。こういう人に興味を惹かれる」 「8月15日の終戦のラジオ放送を、私は役場の控え室で聞いた。喜びも悲しみもなく、私はだだっ広い空虚感に包まれていた。しばらくして、これからどうなるのだろうと思ったが、それに答える人は誰もいないこともわかっていた」

*** 今週の教養講座(今こそプラグマティズム

世界各地で分断が進んでいます。厳しい時代だからこそ、協調が求められるはずですが、自らの主張にこだわって歩み寄りができない状況です。どうしたらいいでしょうか。現実をよく観察し、何がお互いにとってプラスかを対話で見極める姿勢が必要ではないでしょうか。功利主義と訳される米国発の「プラグマティズム」が役に立ちそうです。「現実主義=リアリズム」とも近い考え方です。「日本のプラグマティズム入門」(荒木優太著)などを参考に生成AIとも対話しながら、総選挙をプラグマティズムを考えます。

正しさが世界を壊すとき――分断の時代診断   いま世界は、かつてないほど「正しさ」を主張し合っているように見える。民主主義か、権威主義か。多様性か、伝統か。自由か、安全か。大国の支配か、法の支配か・・・。しかし不思議なことに正しさが増えるほど、世界は息苦しくなっている。対話は減り、相手を理解しようとする姿勢は後退し、「敵か味方か」という単純な線引きが社会を覆っている。SNSを見れば、異なる意見はすぐに「間違い」「危険」「排除すべきもの」として処理される。

なぜこうなったのだろうか。1つの理由は、「正しさ」が目的になってしまったことにあるのではないか。本来、正しさとは、よりよい結果を生むための手段のはずだった。人々がより安全に、より穏やかに、より幸福に生きるための道具だったはずだ。ところが今、正しさは自己目的化し、「勝つこと」「論破すること」「相手を黙らせること」にすり替わってしまったようだ。それが現実にどんな結果をもたらすのかは、あまり問われない。その結果、「正しいが、社会を壊す」「正しいが、分断を深める」という奇妙な現象が起きている。

重要なことは「どちらが正しいか」を決めることではない。問うべきは、「その正しさは、現実に役に立っているのか」「人々の生活を前に進めているのか」という点だ。価値観の違いは、昔から存在していた。分断の本質は、「違いを扱う知恵」を世界が失いつつあることだ。私たちは日常の中で、すでに似た考え方を使っている。例えば、新しいやり方を試してみたが、思ったほど成果が出なかった。そこで立ち止まり、やり方を少し変えてもう1度試してみる。健康のために始めた習慣が続かなかったときも、方法を変えて再挑戦する人は多いだろう。

ここで大切なのは、「失敗したから間違いだ」と切り捨てないことだ。うまくいかなかった経験そのものが、「次に何を変えればよいか」を教えてくれる。完璧な正解を探すより、試しながら少しずつよくしていく。寛容な試行錯誤の姿勢が、分断の時代に失われがちな知恵ではないか。ここで浮上してくるのが、プラグマティズムという思想である。「何が正しいか」よりも、「それは現実にどう働くのか」を問う。理念や信条を否定するのではない。しかし、それらを絶対化もしない。結果を見て、修正し、よりよい形を探り続ける。その姿勢そのものを重視する。分断の時代に必要なのは、正しさを振りかざす勇気ではなく、「一度、正しさを脇に置いて考えてみる」勇気だろう。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年1月27日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(26日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

小選挙区と比例代表で約1280人 今回の衆院選に立候補の見通し | NHKニュース  →総選挙がきょう公示され、約1280人が立候補する見通し。メディアの各種調査が明らかになっているが、①高市首相の支持率は低下傾向だが、なお高い②自民支持がやや伸びている③中道改革の人気は高くない――がほぼ共通だ。今のままなら与党の過半数は確実だろう。公示後のハプニングはあるか。酷寒や投票率も影響しそうだ。

円大幅高、一時153円台後半 東京株は急落、961円安:時事ドットコム →26日の金融市場は荒れた。為替は一時153円台まで急騰。米国も大幅な円安ドル高を嫌う姿勢を見せており、日米協調が成立した形。東京株は急激な円高を嫌気して、大幅に下落。終値は961円安の5万2885円。総選挙の消費減税競争による財政不安も台頭し、しばらく不安定になりそうだ。

“中国軍制服組トップ 核兵器に関する情報を米に漏えい”米紙 | NHKニュース  →ウォール・ストリート・ジャーナルの報道だが、本当だとしたら中国軍首脳層の堕落は尋常ではない。核兵器に関する技術データを提供していたという。幹部を昇任させる見返りに巨額の賄賂を受け取ったり、政治的な派閥を作ろうとしたりした疑いなども持たれている。魑魅魍魎の世界だ。

春節休暇中の訪日自粛を 「治安が不穏」と主張―中国:時事ドットコム →中国が春節(2月15~23日)の訪日自粛を求める通知を出した。例年、中国から大勢のインバウンド客が訪れるが、今年は激減しそうだ。「日本の治安が不穏」というが、高市発言に対する反発は明らか。パンダもいなくなり、関係改善の兆しも見えない。

東電再建計画、10年で3・1兆円コスト減…7兆円規模の投資 : 読売新聞 →東京電力の新しい再建計画が決まった。国営企業状態だが、廃炉費用をまかなうため、自立する必要がある。コスト削減の一方で、商社や投資ファンドなどと提携した新規事業への投資がキモ。データセンターや脱炭素などを想定している。電力会社の保守的な体質でどこまでうまくいくか。

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

◎野中郁次郎(経営学者。2025年1月25日死去、89歳)

「事実は目に見えるが、本質は目に見えない」 「オンライン会議は便利だが、現場で直接会うことが一番。全身全霊で相手と向き合い、『決闘』することで、膨大な情報や知識が意識的、無意識的に飛び交う。そして、より大きな「知」が生まれる」 「『経営とは何か』と聞かれたら、迷わず「生き方(a way of life)」だと答えるだろう。壮大な共通善の実現に向かって、人間たちのダイナミックで社会的なプロセスが経営である」 「米国流経営の模倣から生じたのが、3つの過剰と呼ばれる問題だった。『分析過剰』(オーバー・アナリシス)、『計画過剰』(オーバー・プランニング)、『法例遵守過剰』(オーバー・コンプライアンス)である。それが日本企業から活力を奪い去った」 「日本の経営学は解釈学に終始してきた。海外の学問を紹介し、解釈するのが学問だとされてきた。できあがった理論や手法をハウツーとして吸収するばかりで、日本からはなかなか面白い概念が出てこない。もう海外の模倣はやめよう」

*** 今週の教養講座(今こそプラグマティズム②)

◎アメリカで生まれ、日本にもつながった「現実から考える哲学」  プラグマティズムは、19世紀後半のアメリカで生まれた思想である。南北戦争を経て、工業化と都市化が急速に進み、社会は大きく揺れ動いていた。理想や理念を掲げるだけでは、現実の問題が解決しない。そんな切実な状況が、この思想の背景にあった。ヨーロッパ哲学が「永遠の真理」や「普遍的原理」を重んじてきたのに対し、アメリカはきわめて実践的だ。移民国家で価値観は多様、共通の伝統や権威は弱い。だからこそ、「それは現実に役に立つのか」という問いが、思想の中心に据えられた。

プラグマティズムの出発点に立つ人物が、哲学者・論理学者のチャールズ・サンダース・パース。彼は、ある考えの意味は、それがどのような行為や結果を生むかによって明らかになると考えた。真理とは、頭の中に完成された形で存在するものではなく、行動と結果を通じて確かめられるものだ、という発想だ。この考えを広く社会に伝えたのが、心理学者・哲学者のウィリアム・ジェイムズで、「真理とは、私たちの経験の中でうまく働くものだ」と述べる。真理を固定されたものとは考えず、状況が変われば、役に立つ考えも変わる。真理は道具のように使われ、磨かれていくものだ。この思想を社会や教育、民主主義の問題にまで広げたのがジョン・デューイ。民主主義を完成された制度とは考えず、試行錯誤を通じて学び続ける「生きたプロセス」だと捉えた。政策や制度も、まず試し、結果を見て修正する。その繰り返しこそが、社会を前に進めると考えたのである。

このような発想は、日本も無縁ではない。日本にもプラグマティズム的な思考をした人びとがいた。代表は政治家・思想家の石橋湛山である。国家の理念や大義よりも、「それが国民の生活を豊かにするか」を政策判断の基準に据えた。植民地や国威発揚ではなく、結果として人々がどう生きられるかを問う姿勢は、実践的そのものだった。政治哲学者の南原繁は、デューイの思想を受け止め、民主主義を固定した理想ではなく、不断に学び続ける制度として理解した。哲学者の鶴見俊輔は、思想を専門家のものに閉じ込めず、市民の生活や実践の中で考え続ける姿勢を貫いた。

思考の出発点は「国家」ではなく、「個人」である。プラグマティズムは、「正しさ」を掲げる前に、「それは現実にどう働くのか」を問う。この問いこそが、分断の時代を考えるための、確かな出発点になるはずだ。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年1月28日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(27日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

東大病院皮膚科長だった大学院教授らの収賄事件 病院長が辞任 | NHKニュース  →東大大学院皮膚科教授の収賄事件は、東大病院長の辞職に発展した。日本化粧品協会への常識外のたかりが明らかになっている。昨年も准教授が逮捕された。特権意識があったのは間違いない。国際卓越研究大学に指定される芽は完全になくなった。藤井総長がきょう記者会見をする。

衆議院選挙 公示 1285人が立候補  高市政権継続か 野党阻止か | NHKニュース  衆院選、世襲候補は124人 自民92人が最多:時事ドットコム 「裏金候補」45人出馬 1人除き自民公認:時事ドットコム →衆院選が公示され、1285人が立候補した。世襲候補は自民中心に124人が出馬し、自民は裏金候補45人を公認した。投票はムードではなく、12日間の選挙中に政策と人物をよく吟味したい。

ことしの春闘 事実上スタート 賃上げの勢い継続できるか焦点 | NHKニュース  →経団連と連合の会長が会談し、春闘がスタートした。近年は「賃上げこそが経済活性化の本命」と言われ、注目を浴びている。連合の目標は定期昇給分を含めて5%以上、中小企業では6%以上。バブル崩壊後の経営者は投資を苦手としているが、人的資本投資と割り切って積極的に対応すべきだろう。

米政権移民政策、53%が反対 トランプ氏支持率は最低水準:時事ドットコム →米国で最も関心を集めているのがミネソタ州での移民取り締まり。市民2人が係官に銃殺されているが、世論調査で53%がトランプ政権の移民政策に反対している結果が出た。政権支持率もこれまでの最低と並ぶ38%。中間選挙を控えて危機感を高めるトランプ大統領。焦りで次に何をするかわからない。ミネソタ州知事に電話し、融和的な態度に転じている→ トランプ大統領 ミネソタ州知事と電話会談 融和的な姿勢示す | NHKニュース

金融庁 プルデンシャル生命に立ち入り検査へ 行政処分も検討 | NHKニュース →金融庁がプルデンシャル生命に立ち入り検査をする。現時点で約100人の社員が現金詐取などに関与しており、個人ではなく組織犯罪の様相だ。企業風土にメスを入れる必要があるだろう。もっと早く対応できなかったのかという疑問も残る。

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

◎ウィリアム・バトラー・イェィツ(アイルランドの詩人、劇作家。1939年1月28日死去、73歳)

「賢明な人のように思考したとしても、みんなが使っている言葉でコミュニケーションすること」 「教育とはバケツを満たすことではなく、火を灯すことである」 「愛するという気持ちの底には、言うに言われぬ憐憫の情がある」 「人は理解できないもの、恐れるものを破壊する傾向にある」 「責任というものは、夢の中で始まる」 「我々は他人との争いで巧言をつくりだすが、自らとの争いから詩をつくりだす」 「芸術の優劣については、人間の良心に任せて構わないものと思っている」 「説明し得るものは、詩ではない」 「広い心をもってさえ、抱え込むにはあまりに多くのことが起こっている」 「論理や哲学、合理的な説明に頼る者たちは、精神の最上の部分を飢えさせる結果に終わる」 「世界は魅惑に満ちている。我らの気づきがまた研ぎ澄まされるのをじっと待ちながら」 「すべてが存在し、すべてが真実である。そして地球とは、足元の一抹の塵に過ぎぬ」

*** 今週の教養講座(今こそプラグマティズム③)

◎「いい加減」ではない――妥協を拒む思考の厳しさ  プラグマティズムと聞くと、「現実的」「柔軟」「妥協的」といった印象を持つ人が少なくない。「結局は場当たり的なのではないか」「原則を持たない考え方だ」という批判も聞かれる。しかし、この理解は的外れだ。プラグマティズムほど、「ごまかし」を嫌う思想はない。20世紀初頭、アメリカ社会は急激な変化に直面した。大量移民、都市のスラム化、労働争議、貧富の格差。理念を掲げるだけでは、問題は解決しない。そこで問われたのは、「その理想は、現実に機能しているのか」という点だった。

この厳しい問いを、教育と民主主義の現場で徹底したのがジョン・デューイ。彼は、学校教育を「知識の注入」ではなく、「問題解決の訓練」と捉えた。子どもたちが現実の課題に向き合い、試し、失敗し、考え直す。その過程そのものが学びだと考えたのだ。この発想は、当時としては革命的だった。正解を覚えることよりも、「考え続ける力」を重視する。これは、楽な教育ではない。教える側にも、学ぶ側にも、絶えず修正する覚悟を求めるからだ。

プラグマティズムが「何でもあり」と誤解される理由は、このあたりにある。この思想は、「何でもあり」ではなく、「結果で評価され続ける」思想である。一度うまくいっても、次も通用するとは限らない。昨日の正解が、今日の失敗になることもある。その現実から、目を背けることを許さず、間違いを受け入れる思考だ。20世紀後半になると、冷戦という巨大な対立構造の中で、「正しさ」は再び硬直化する。資本主義か、社会主義か。自由か、統制か。この時代に、プラグマティズムを現代的に読み替えたのがリチャード・ローティだ。ローティは、「絶対的な基準」を探すこと自体が、分断を深めてきたのではないかと問いかけた。

重要なのは、最終的な真理を決めることではなく、「苦しむ人を減らす言葉や制度を選び続けること」だと考えた。逃げの思想ではなく、「自分は正しい」という安心感を手放し、常に問い直される立場に身を置く、非常に不安定で厳しい態度だ。分断の時代に必要なのは、強い正義ではなく、「その正義は、いま誰を救い、誰を追い詰めているのか」と問い続ける力である。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年1月29日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(28日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

自民単独過半数の勢い 衆議院選挙の序盤情勢、中道は議席減の可能性 – 日本経済新聞 衆議院選挙:自民が単独過半数うかがう、中道は伸び悩み・国民横ばい・参政大幅増…読売序盤情勢調査 : 読売新聞 →日経と読売の情勢調査で、自民党が単独で過半数(233議席)を得る勢いという結果が出た。小選挙区では西日本で優勢だ。立憲と公明が結成した中道改革連合は伸び悩み、公示前の167議席を割り込みそうだ。この通りなら、高市政権は安泰だ。一方、週刊文春電子版では、与党の自民は203(現有197)、維新は29(34)で、合計プラス1。今とほとんど変わらない。中道は167(立憲と公明172)で5減。国民27(27)、参政15(2)、れいわ6(8)、共産6(8)となっている。参政の躍進が目立つが、全体としては今とあまり変わらない。この通りなら、「何のための解散か」という声が出るだろう。→ https://bunshun.jp/denshiban/articles/b13238

埼玉 八潮 道路の大規模陥没事故から1年 住民生活への影響続く | NHKニュース →埼玉・八潮の道路陥没から1年。メディア各社が特集をしていたが、現場はまだ通行止めで、硫化水素の臭いや渋滞が続いている。営業できない店があり、行政からの補償は少ない。大変厳しい状況だ。インフラ不全は各地で予想され、他人事とは思えない。

「ドルの価値は素晴らしい」 下落容認か―米大統領:時事ドットコム →急激に円高ドル安になっているが、トランプ大統領は「ドルの価値は素晴らしい」とドル安容認の姿勢を示した。トランプ大統領のドルに対する姿勢はあいまいで、どこまで深く考えているかわからない。近くFRB議長を発表する方針だ→ トランプ米大統領「金利、大幅に下がる」 次期FRB議長を近く発表:時事ドットコム

オランダ、38歳最年少首相誕生へ 連立政権樹立で合意:時事ドットコム →オランダで史上最年少の38歳の首相が誕生する。昨年11月の総選挙で第1党になり、連立協議を続けていた。中道リベラル3党の政権だが、少数与党という。欧州では多党化が進み、連立協議が一般的。欧州はいろいろ苦労している。

プロ野球 広島 羽月隆太郎容疑者 関係先から薬物など押収 | NHKニュース  →プロ野球の羽月選手が、指定薬物の「エトミデート」を使用した疑いで逮捕され、所属する広島カープが揺れている。関係先から薬物を押収したが、羽月選手は容疑を否認。捜査当局は「ゾンビたばこ」として使ったとみている。最近は多くの薬物が出現している。神村学園出身で、小柄な俊足選手。

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

◎石ノ森章太郎(漫画家。1998年1月28日死去、60歳)

「劣等感が人をつくる。劣等感に押しつぶされまいという頑張りが、その人の成長につながる。劣等感の皆無な人間などあるはずがないが、もしあったとしたら、味気ない人間に違いない」 「才能の八割は体力である」 「人から見て幼稚だろうと何だろうと、自分が面白いと思うことをやれれば、人生はそれで十分だな、と。他人に褒められるように生きる必要なんて、まったくない.それが世の中に受け入れられるかどうかは、あくまで結果でしかない」 「レオナルド・ダヴィンチになりたかった」 「僕らがいくらヒットを生んだとしても、しょせん手塚治虫にはかなわないよ。あの人は雲の上の人だから。天才というのは、どこかいびつでしょう。僕らは凡庸だから、妙にバランスがとれてしまっている。そういう性格が作品にもあらわれてしまっている。物足りない。手塚さんのように突き詰めたところがない。それは自分でもわかっている」

*** 今週の教養講座(今こそプラグマティズム④)

SNSAI、民主主義――「正しさ」が暴走する時代に  いま私たちは、かつてないほど「意見を表明しやすい時代」に生きている。SNSを開けば、誰もが瞬時に立場を示し、賛否を表明できる。生成AIの普及によって、主張はさらに増幅され、整理され、拡散される。便利である一方で、社会は奇妙な緊張状態に置かれている。それは、「沈黙が許されにくい社会」だ。意見を言わないことは、無関心、あるいは加担とみなされる。結果として、人々は慎重に考える前に、まず立場を示すことを求められる。正しさはスピードを競い、深さを失っていく。

この現象は、民主主義とも深く関係している。民主主義は本来、時間のかかる制度である。異なる意見がぶつかり、妥協し、修正を重ねながら前に進む。しかし現代の情報環境は、その「回り道」を許さない。即断、即断罪、即評価。白か黒か、味方か敵か。中間は見えにくくなっている。ここで思い出したいのが、プラグマティズムの基本姿勢である。プラグマティズムは、意見そのものよりも、「その意見が現実に何をもたらすか」を問い続ける。言い換えれば、「その発言は、社会を少しでも良くしているか」という視点だ。

この考え方は、SNS時代にこそ重要になる。正しい主張でも、社会の対立を激化させ、対話の回路を断ち切るなら、その効果は再検討されるべきだ。逆に、完璧ではなくても、人々の行動を穏やかな方向に導くなら、それは意味を持つ。20世紀の哲学者ジョン・デューイは、民主主義を「完成形」ではなく、「不断に調整される実験」と考えた。民主主義とは、正解を一度決める制度ではない。状況が変われば、やり方も変える。その柔軟性こそが、民主主義の強さだと捉えたのだ。

現代のAI活用にも、同じ発想が求められる。AIを「善か悪か」で裁くのではなく、「どの場面で、どう使えば、人の判断を助けるのか」を検証し続ける。万能視も、全面否定も、どちらもプラグマティズム的ではない。分断の時代に必要なのは、「正しい意見」を増やすことではなく、「試し、修正し、学び続ける態度」を社会に埋め込むことだ。意見を言う前に、ひとつだけ問いを挟む。「この主張は、現実を少し前に進めるだろうか」。その一呼吸こそが、分断を和らげる最初の一歩になるだろう。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年1月30日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(29日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

食品消費税ゼロ「経済にマイナス」88% 学者調査、財政悪化を懸念 – 日本経済新聞 消費税減税、定まらぬ高市首相 「悲願」から沈黙―トップのぶれ、命取りの過去:時事ドットコム →日経の経済学者調査で、「食品の消費税ゼロは経済にマイナス」という評価が圧倒的だった。物価高対策の効果は疑問で、財政や社会保障の持続性を損ない、円安や金利上昇を助長するとの指摘が目立った。そのせいではないが、高市首相が消費減税で「沈黙」している。自民党内の反発が大きいのだろう。選挙で税をめぐる発言は政権の命取りになった歴史もある。

自民、単独過半数うかがう 中道は浸透せず 毎日新聞衆院選序盤調査 | 毎日新聞 →毎日新聞の選挙情勢調査で、自民党が単独過半数をうかがう勢いと出た。中道改革連合は伸び悩んでいる。日経や読売も同じ傾向で、前半戦の情勢は「与党有利」で固まったようだ。後半は失言ハプニング、投票日の天候が焦点になりそうだ。

週刊文春「高市首相のパー券、旧統一教会が購入」 共産「非常に重大な問題」:時事ドットコム →高市首相のパーティー券を旧統一教会が買っていたと週刊文春が報じた。2012年と19年に開いたパーティーで、計10万円分を旧統一教会の関係団体・関係者に購入したという。記事を読む限り、信ぴょう性が高い。首相側は無視するようだ。

中国 習国家主席 英スターマー首相と会談 関係改善に意欲示す | NHKニュース  →欧州はじめ西側各国が中国に接近している。29日はスターマー英首相が8年ぶりに訪中し、関係改善を図った。去年12月にはフランスのマクロン大統領、今月はアイルランドのマーティン首相、カナダのカーニー首相、2月にはドイツのメルツ首相が訪中の見通し。日本だけが例外だ。

キヤノン6年ぶり社長交代、小川一登副社長が社長COOに昇格…御手洗冨士夫氏は代表権のある会長CEOに : 読売新聞 →キャノンの90歳の御手洗会長兼社長が、社長を67歳の小川氏に譲る。御手洗氏の社長退任はこれが3回目。たとえ優秀だとしても大企業で90歳まで何回も社長をすると、風通しが悪くなる。個人は有限、会社は無限。早期退任もトップの重要な仕事だ。

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

◎マハトマ・ガンディー(インドの政治指導者。1948年1月30日死去、78歳)

「あなたがこの世で見たいと願う変化に、あなた自身がなりなさい」 「自分や自分の所属する小社会のみの福利を願う人は利己的であって、それは決してその人のためにはならない」 「尊厳を保つために、金は必ずしも必要ではない」 「我々の信念は、常に燃え続ける灯火でなければならない。それは我々に光明を与えるだけでなく、周囲をも照らす」 「友の幸福のためにどれだけ尽くしているか、そこに人間の偉大さを測る物差しがある」 「人間性への信頼を失ってはならない。人間性とは大海のようなものである。ほんの少し汚れても、海全体が汚れることはない」 「自分が行動したことすべては取るに足らないことかもしれない。行動したことが重要なのである」 「世界に変革を求めるなら、自分自身を変えることだ」 「握り拳と握手は同時にできない」

*** 今週の教養講座(今こそプラグマティズム⑤)

◎それでも前に進める――日本と世界の「次の一歩」  分断の話が続くと、どうしても気持ちは重くなる。しかし、プラグマティズムは本来、悲観の思想ではない。むしろ、「それでも前に進める」と信じる、きわめて楽観的な知の姿勢だ。日本の現状を見ても、課題は山積している。少子高齢化、人口減少、財政制約、地方の疲弊・・・。海外に目を転じれば、中国や米国など大国との外交やつきあい方。「これまでの正解」が通用しなくなっている局面だ。かつて成功した制度や慣行が、いまは重荷になっている場面も少なくない。

ここで日本が陥りやすいのが、「正解探し」である。どこかに正解があるのではないか。過去に戻ればよいのではないか。誰かが決断してくれないか。こうした発想は、安心感を与えてくれるが、前進は生まない。プラグマティズムは、もっと現実的で、同時に希望に満ちた道を示す。「完全な答えはなくても、小さな改善はできる」という考え方だ。例えば、地方創生。一気に成功モデルをつくろうとするから、うまくいかない。小さく試し、うまくいった部分を残し、だめな部分は変える。その積み重ねが、結果として地域の自信になる。働き方も同じだ。終身雇用か、成果主義か、二者択一で議論するから分断が生まれる。現場ごとに試し、調整し、納得度を高める。その過程を共有すること自体が、組織の力になる。

こうした発想の根底にあるのが、アメリカの哲学者ジョン・デューイの考え方である。彼は、民主主義を「完成された理想」ではなく、「学び続ける社会のあり方」と捉えた。間違えることは失敗ではない。学ばないことこそが失敗だ、という発想だ。この考え方は、日本と相性が悪くない。日本社会は本来、現場で工夫し、改善を重ねる力を持っている。トヨタの「カイゼン」に象徴されるように、小さな試行錯誤を積み上げる文化がある。必要なのは、それを「正解主義」から解放することだ。分断の時代に、全員が同じ方向を向く必要はない。合意できなくてもいい。価値観が違ってもいい。それでも、「昨日より少し良い今日」を目指して、行動をつなげることはできる。

プラグマティズムが教えてくれる希望は、ここにある。未来は、誰かが設計図どおりにつくるものではない。試し、直し、話し合いながら、少しずつ形にしていくものだ。分断の時代だからこそ、問いを変えよう。「誰が正しいか」ではなく、「どうすれば、次の一歩を踏み出せるか」。この静かな思想は、日本と世界の未来を、確かに照らしている。