2月2~6日(教養講座:人はなぜ独裁を求めるのか)
~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年2月2日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(30~1日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎自維300議席超うかがう 中道半減も 参政・みらい勢い :朝日新聞 →朝日新聞の総選挙情勢調査で、自民と維新が300議席超をうかがう結果が出た。過半数(233)を大きく上回る圧勝だ。中道改革連合は半減と惨敗で、国民は横ばい、参政とみらいが大幅に伸びる。これまでの他社調査より、与党の勢いが増している。この通りの結果になれば、高市政権の基盤は盤石になる。
◎東京 台東区の4億円強奪と羽田空港の強盗未遂 実行役は別人か | NHKニュース →小説のような国際犯罪が起きた。舞台は東京の御徒町と羽田空港、そして香港。6億円を超す巨額強盗事件だが、加害者はもとより被害者も堅気の人間とは思われない。香港に毎日現金を運び、両替していたという。金の密輸や消費税逃れの見方が出ているが、まだピースを埋める段階。全容は不明だ。
◎高市首相、党首討論キャンセル 「手痛め治療」遊説は中止せず:時事ドットコム 高市首相、為替発言で釈明 「円安容認は誤解」:時事ドットコム →高市首相の一挙一投足に関心が集まっている。「手を痛めた」としてNHKの党首討論をドタキャン。円安メリットを強調した発言をし、「円安容認ではない」と釈明した。野党からは「消費税などの追及から逃げた」「経済を知らない」の声が上がっている。
◎米FRB議長後任にウォーシュ氏 FRB元理事 トランプ大統領が指名 | NHKニュース →利下げを強く求めるトランプ大統領は、次期FRB議長にウォーシュ氏を指名した。義父がトランプ大統領の長年の友人で、FRB理事の経験を重視したとみられる。トランプ氏は「彼は利下げを望んでいる」というが、インフレと闘うタカ派の評判。金融市場は早速、マネー収縮を予想して大きく動揺した →金1割安・銀3割安 次期FRB「タカ派」議長、市場はマネー縮小を警戒 – 日本経済新聞
◎日英首脳会談 サイバー・経済安全保障 連携で一致 | NHKニュース →高市首相と英国のスターマー首相が会談した。国際ルールを無視するトランプ政権に対し、カナダのカーニー首相は「ミドルパワー(中堅国)が団結する必要がある」と呼びかける。日英はその中核的存在。英国はその気と思われるが、米国に気兼ねする日本はどう動くのか。
◎春の甲子園 センバツ出場校決定 21世紀枠は長崎西と高知農 横浜 沖縄尚学も | NHKニュース →「春はセンバツから」、出場32校が決まった。昨秋の神宮大会で優勝した九州国際大付属などがすんなり選ばれ、昨春優勝の横浜、夏優勝の沖縄尚学は最後に滑り込んだ。21世紀枠は、長崎西と高知農業でいずれも県立。どんな戦いになるか。プロ野球のキャンプが1日から始まった。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎森永卓郎(経済アナリスト。2025年1月28日死去、67歳)
「思い立ったらすぐにやる。夢を持つのはやめなさい」 「所得は少なくても好きな仕事や好きなことをしていくこと」 「これまでのようなこの道一筋という考え方はリスクが大きすぎる。いろんな可能性を残しておく。いろんな種を撒いておくことが大切になる」 「小ロットでマニアをターゲットにする。これからのモノ作りは爆発的なヒットではなく、少数のファンに支えてもらうコンセプトが必要」 「こんな時代だからこそ、変人でいるべきだ。偉人や名起業家も変わり者であることがほとんど。個性的であることを恐れないでください」 「仕事は苦行だと感じている人も多いのですが、仕事は遊びと思ったほうがいい。人間は本来的に楽しさを求めるからです」 「メディアでは触れてはいけないタブーが3つ存在した。ジャニーズの性加害、財務省のカルト的財政緊縮主義、日本航空123便の墜落事件。本当のことを言ったら、瞬時にメディアに出られなくなる掟が存在する」
*** 今週の教養講座(人はなぜ独裁を求めるのか①)
世界で独裁的な政治指導者が増えている。なぜだろうか。独裁を求める大衆心理があるのだろうか。このあたりはヒトラーのファシズムに関連した研究の蓄積がある。解散・総選挙に打って出た高市首相も独裁的資質を持っているといえる。あまり人と会わず、1人で考える。今回の解散もそうだった。NHK討論番組のドタキャンには「嫌なことはしない」姿勢がうかがえる。首相は本来、国民の多様な声をまとめる仕事だが、「今度の選挙は国論を二分するテーマに取り組むため」という。その過程で異論を排除すると予想する見方が早くも出ている。若い人はそんな高市首相になぜひかれるのか。投票日を前に生成AIと対話しながら「独裁の社会心理」を考えてみた。
第1回 不安と混乱が「決めてくれる人」を呼び寄せる――エーリッヒ・フロムと現代社会
人は本当に自由を求めているのだろうか。ドイツの思想家エーリッヒ・フロム(1900~80)は、ナチス台頭期の社会心理を分析し、この問いに冷徹な答えを示した。人は自由を得ると同時に、不安と孤独を抱え込む。そしてその重さに耐えられなくなると、自由から逃げ、強い権威に身を委ねる――これがフロムのいう「自由からの逃走」である。
近代社会では、身分や共同体の拘束から解放され、個人が自己決定することが理想とされてきた。しかし現実には、選択肢が増えるほど、責任と不安も増大する。失敗すれば自己責任とされ、正解は誰も教えてくれない。この状態が長く続くと、人は「自分で考えること」そのものに疲弊していく。
現代の世界は、まさにこの状態にある。物価高、格差、戦争、気候変動、感染症。どれも個人の努力ではどうにもならない不安であり、しかも解決までに時間がかかる。民主主義は議論と調整を重ねる制度であるが、そのプロセスは遅く、結論は曖昧になりがちだ。すると人々は、「議論より決断」「説明より断言」を求めるようになる。
独裁的な指導者は、ここに現れる。「私が責任を取る」「迷わず決める」「従えばいい」。こうした言葉は、政策の中身以上に、不安に疲れた人々の心を軽くする。フロムが指摘したように、それは力への憧れというより、思考と選択を手放す安堵なのである。
日本も例外ではない。長引く経済停滞、将来不安、国際環境の不透明さの中で、丁寧な政策論争よりも、「覚悟」「強い姿勢」「進退をかける」といった表現が注目を集めやすくなっている。そこでは、何をどう実現するのかよりも、「誰が決めてくれるのか」が問われがちだ。
フロムの警告は、独裁者の危険性以上に、人間の側の弱さを突いている。独裁は、突然現れる怪物ではない。不安に疲れた大衆が、「考えなくて済む安心」を選び取った結果として、静かに姿を現すのである。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年2月3日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(2日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎検察の不服申し立て容認 法制審部会が再審見直し要綱案―「冤罪救済の妨げ」日弁連批判:時事ドットコム →これで再審制度の見直しと言えるのだろうか。法制審部会は、検察の不服申し立てを容認する方針を決めた。袴田さんの再審では検察が即時抗告を乱発し、再審開始まで9年もかかった。禁止を求めてきた日弁連や超党派の議員連盟の反発は必至だ。
◎南鳥島沖 水深約5700mのレアアース含む泥の採掘に成功 の探査船「ちきゅう」 | NHKニュース →南鳥島沖の海底からレアアース含む泥の採掘に成功した、と政府が発表した。探査船「ちきゅう」が採掘していた。2028年3月までに報告書を作成し、事業化を模索するので、どうなるかは先の話。この時期に発表したのは、官邸の総選挙対策と考えるのはうがち過ぎか。
◎円大幅安、一時155円台半ば 高市首相「円安容認」観測、株は乱高下―東京市場:時事ドットコム 衆議院選挙:消費税減税、海外メディアから批判相次ぐ…通貨のトリプル安懸念 : 読売新聞→円安容認と受け止められた高市首相の発言で、155円台の円安に振れた。好感した株式市場は当初上昇したが、その後売り注文が殺到。金融市場は、総選挙や消費税、次期FRB議長指名などで大きく動揺している。
◎自民・維新の与党で300議席超の勢い 中道は半減の可能性 産経・FNN衆院選情勢調査 – 産経ニュース →産経新聞の選挙情勢調査の結果が出た。前日発表された朝日新聞と同様の内容で、与党は圧勝、中道は惨敗だ。国民は横ばい、参政は伸び、みらいは善戦している。今後の焦点は中道を支援する創価学会の運動量だが、与党勝利はほぼ固まっているようだ。
◎ニデックのTOBめぐりインサイダー取引か 担当の証券会社の元取締役ら逮捕 | NHKニュース →TOBを担当した三田証券幹部がインサイダー取引をしていたというから、空いた口がふさがらない。ど真ん中の関係者のインサイダーは珍しいのではないか。同社は大手が敬遠する「同意なき買収」に力を入れていた。今回の取引も同意なき買収で、ニデックは不正取引でも問題になっている。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎石原慎太郎(作家、政治家。2022年2月1日死去、89歳)
「人間の価値は人と違うことだと思う。好きなことさせてやりゃいいんですよ」 「角さん(田中角栄)は天才だったと思いますね。あれだけの存在感ある政治家って日本にいなかったんじゃないですか。彼だけは鋭い文明史観を持っていた」 「日本は確かに過去の戦争でアジアの国々に迷惑もかけただろう。しかし、いつまでもそのことだけにとらわれ、形式的に頭を下げ続けるだけの姿勢では、何の関係の発展も望めない」 「戦争のない世の中は本当にありがたいと思うが、平和に慣れてしまうことは危険だ」 「逆境に陥った人間がどんな対応を見せるかによって、その人の真価がわかる。一生が順風満帆のままで終わるなら、自分の人生に何も得られず、何も残すことができない」 「もし、君が年老いて、過去を振り返るときが来たなら、危機は自分の人生を充実させた最も幸福な瞬間であったことに気づくだろう」
*** 今週の教養講座(人はなぜ独裁を求めるのか②)
第2回 「われわれ」と「敵」を欲する群集心理 ――ハンナ・アーレントと分断の時代
独裁者は多くの場合、「敵」を必要とする。これは偶然ではない。ドイツ系ユダヤ人の政治思想家ハンナ・アーレント(1906~75)は、全体主義の本質を分析する中で、人々が独裁に引き寄せられる背景に「孤立した個人」の存在を見いだした。孤立とは、単なる1人暮らしではない。社会との意味あるつながりを失い、自分の存在が誰にも承認されていないと感じる状態である。
現代社会は、表面的にはつながりに満ちている。SNSで誰とでもつながれ、情報はあふれている。しかしその実態は、断片的で不安定な関係の集合にすぎない。職場、地域、家族といった持続的な共同体は弱まり、「自分は何者なのか」という感覚を得にくくなっている。
この空白を埋めるのが、「われわれ」と「敵」という単純な構図である。独裁的指導者は、「国民」「普通の人々」「真の愛国者」といった言葉で「われわれ」を定義し、その外側に「敵」を置く。敵は外国勢力、移民、エリート、メディア、あるいは異論を唱える者たちである。複雑な社会問題は、敵の存在によって一気に単純化される。
アーレントが恐れたのは、憎悪そのものよりも、この単純化がもたらす思考停止だった。敵が設定されると、人は自ら考える必要がなくなる。問題の原因はすでに示され、感情の行き先も用意されているからだ。怒りや不満は「敵」へと安全に放出され、同時に「われわれ」の一員であるという安心感が得られる。
この構図は、現代世界で繰り返し確認できる。欧米では移民やグローバリズムが敵として語られ、国際機関や専門家が「民意を無視する存在」として攻撃される。戦争や経済制裁をめぐっても、事実関係より「どちらの側に立つのか」が先に問われる。
日本でも、同様の兆しは見える。安全保障、外国人労働者、教育、メディア報道をめぐり、「批判する者は非国民だ」「反対派は国益を損なう」といった言葉が飛び交う場面が増えている。そこでは議論の中身より、立場の純度が重視される。
アーレントの洞察が示すのは、独裁の出発点が熱狂ではなく、孤立という点である。人々が安心して異論を交わせる関係を失ったとき、社会は「敵」を必要とする。そして、その敵を最も巧みに供給できる者が、独裁者として選ばれていくのである。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年2月4日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(3日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎東北 新潟で大雪被害 あすから3月並みの気温 落雪や雪崩に注意 | NHKニュース →大雪の被害が拡大している。新潟県では雪で倒壊した家屋の下敷きになって2人が死傷し、青森県では除雪が追いつかず深刻な状態だ。4、5日は気温上昇で雪崩や落雪が予想され、6~8日は再び冷え込むという。8日の投票日は荒れ気味で、総選挙への影響もありそうだ。
◎退職代行 「モームリ」 運営会社 社長ら逮捕 弁護士法違反疑い 容疑否認 | NHKニュース →転職時代を後押ししてきた退職代行会社「モームリ」の社長夫妻が、弁護士法違反で逮捕された。弁護士を紹介し、違法に報酬を得ていた容疑。社長は「違法とは知らなかった」と話している。確かにグレーの要素もあるが、転職者の多さに悩む経済界の意向を考慮した捜査と言えないか。
◎円相場 値下がり 株価は終値の最高値更新 5万4720円 | NHKニュース →東京株は2000円を超える大幅な値上がりとなり、終値の最高値を更新した。高市首相の発言で円安が進み、高騰した米国株の影響受けた。株・為替・債券のトリプル安を予想する声もあるが、東京株は予想以上の活況が続く。
◎“旧村上ファンド系が株式買い増し撤回の意向” フジHD | NHKニュース →フジテレビが打ち出の小槌の不動産事業に外部資本を導入し、一定程度切り離す。買い増しを進めてきた旧村上ファンドの意向を受け入れた。これで対立は解消されるが、不動産は放送事業を支えてきたので、将来不安は残る。
◎中国共産党と台湾の国民党幹部ら出席のフォーラム 北京で開催 | NHKニュース →中国共産党と台湾野党・国民党の幹部が出席したフォーラムが9年ぶりに開催された。両党とも台湾独立に反対し、「21世紀の国共合作」の様相だ。台湾有事が叫ばれるが、もともと可能性が低い上に、国民党が政権を握れば、両党は友好関係になる。安保環境の厳しさを誇張する言説はよく吟味したい。
◎グラミー賞司会者を提訴意向 トランプ氏「多額を請求するつもり」:時事ドットコム →トランプ大統領は常に話題を提供している。グラミー賞司会者が、少女虐待で起訴されたジェフリー・エプスタイン氏の島にトランプ大統領が行ったかのようなジョークを飛ばし、司会者を提訴する意向を表明した。ハリウッドは移民当局の過激な活動にも批判的で、それらを牽制する意味合いもありそうだ。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎バートランド・ラッセル(英国の哲学者。1970年2月2日死去、97歳)
「私たちは愛する人々の幸福を願うべきではあるが、それが自らの不幸と引き換えであってはならない」 「妬みとは、道徳的または知的な悪行の一つの形である。その本質は決して物事をそれ自体として見ずに、他者との関係において見ることである」 「他人と比較してものを考える習慣は、致命的な習慣である」 「最良のタイプの人間を作り出すためには、幼年期に幸福であることが必須である」 「我々はいつも、変化は必要だと口癖のように言うが、そのことを頭のなかでは分かっていても現実における変化に耐えられない」 「人は自らが関心を寄せるものが多ければ多いほど、幸福になる機会が多くなり、運命に翻弄されることが少なくなる」 「一人を殺せば殺人罪、敵を百万人殺せば英雄になる」 「広島と長崎の市民を原爆によって大量虐殺したことは、無法極まる犯罪行為であった。西洋人1人1人に責任があり、関係がある」
*** 今週の教養講座(人はなぜ独裁を求めるのか③)
第3回 「考えない自由」を与える支配 ――アドルノと権威主義的パーソナリティ
独裁を支持するのは、知識の乏しい人々なのだろうか。戦後、この素朴な問いに正面から挑んだのが、ドイツの哲学者テオドール・アドルノ(1903~69)らによる「権威主義的パーソナリティ」研究である。彼らの結論は意外なものだった。独裁に惹かれるのは無知だからではない。むしろ、不確実さや曖昧さに耐えられない心理傾向が強く関係している。
アドルノが描いた権威主義的性格の特徴は、強者への服従と弱者への攻撃、白黒をはっきりさせたがる思考、秩序や規律への過剰な執着である。世界は本来、複雑で矛盾に満ちている。しかし、その複雑さに向き合うことは疲れる。そこで人は、「正解」を断言してくれる権威に判断を委ねることで、心の負担を軽くしようとする。
この心理は、現代社会でいっそう強化されている。情報は過剰に流れ、専門家の意見も割れる。どれが正しいのか、自分で考え続けるには、時間も知力も必要だ。その結果、「細かい話はいいから結論を言え」「誰が悪いのかはっきりさせろ」という欲求が高まる。独裁的指導者の断定的な言葉は、この欲求にぴたりと合致する。
注目すべきは、独裁が「思考を奪う」だけでなく、「考えない自由」を与える点である。判断を上に委ねることで、個人は責任から解放される。間違っても、「自分で決めたわけではない」と言える。この心理的免責は、権威への服従を加速させる。
日本社会でも、この傾向は無縁ではない。前例踏襲や空気を読む文化は、状況によっては安定をもたらすが、不確実な時代には「決めてくれる人」への依存を生みやすい。政治や社会問題でも、「専門家が決めるべきだ」「政府が責任を持って決断すればいい」という声が強まると、議論の余地は急速に狭まっていく。
アドルノの研究が示したのは、独裁の危険が特別な思想から生まれるのではなく、誰もが持つ「考え続けることへの疲れ」から生じるという事実である。独裁とは、強制される支配であると同時に、差し出される安楽でもある。その安楽を受け取るかどうかは、常に私たち自身に委ねられている。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年2月5日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(4日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎トランプ氏 中国・習主席と電話会談 関係構築に前向きな姿勢 | NHKニュース →トランプ大統領と習近平主席が電話会談をした。昨年11月以来で、長時間だったという。中国は台湾への武器輸出をけん制したが、それ以外は4月の訪中、台湾やウクライナ、イラン情勢、アメリカからの石油やガス、農産物の購入、APECなど広く前向きな話し合いが行われたという。米中蜜月状態だ。
◎副業あっせん会社名乗り詐欺か 9人逮捕 被害額は計7億円以上か | NHKニュース →退職代行サービスで逮捕者が出たが、今度は副業あっせん会社を名乗った詐欺事件だ。「副業には初期資金が必要だ」とウソを言ってだまし取った。被害総額は7億円以上とみられている。時代を先取りしたような新しいサービスには注意が必要だ。
◎高市首相、統一教会側にあいさつ状か 週刊文春が報道:時事ドットコム よく分からない選挙 自民党・石破茂前首相(4日):時事ドットコム →高市首相と旧統一教会の疑惑を追っている週刊文春は、首相側があいさつ状を送っていた疑いがあると報じた。石破前首相は「よくわからない選挙。日本をどこへ導こうとしているのか。私には見えない」と演説。自民党内の亀裂が見える。
◎除雪作業中の事故か 北海道 青森県 新潟県で3人死亡 | NHKニュース →大雪の死者が増え続けている。4日は北海道と青森は雪下ろし中の事故でいずれも80歳台。新潟では66歳の男性が除雪機に巻き込まれた。今季の死者は全国で35人。新潟県12人、秋田県7人、山形県5人、北海道と青森県が4人、岩手県、長野県、島根県で各1人。痛ましい。選挙どころではない。
◎山上徹也被告が控訴 一審は検察の求刑通り無期懲役 安倍元首相銃撃:朝日新聞 →山上被告が控訴した。1審判決は検察の主張をほぼ全面的に採用し、無期懲役。生い立ちが犯行に与えた影響はほとんど考慮されなかった。控訴審では入信した母親による「虐待」の認定が焦点になる。弁護側は懲役20年程度を求めている。旧統一教会の解散をめぐる2審の判断が3月4日に出る→旧統一教会の解散命じるかどうか 2審 東京高裁 3月4日に判断へ | NHKニュース
◎保険新規契約、90日間自粛 31億円不正、組織運営見直し―プルデンシャル生命:時事ドットコム →プルデンシャル生命が90日間の営業自粛を発表した。といっても保険の新規契約のみ。この間はガバナンス強化や社員教育に充てる。1日付けで退任した社長が顧問で残る予定だったが、完全に退職に業務に関与しない。金融庁が調査しており、これだけでは済まない。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎東野圭吾(小説家。2月4日は68歳の誕生日)
「名刺のない時に自分はどんなことができるか、名刺のない自分は何なのか。それを見極めていくことが大事」 「生き抜こうとしない者には奇跡なんか起きないと思え」 「失敗を教訓にしていれば、いつか夢はかなう」 「幸運を得たいのならば、まず自分のできる最大限の努力をしろということだ。そのうえで俺は結果を受け入れる」 「人は時に、健気に生きているだけで誰かを救っていることがある」 「負け戦なら負け戦でいい。自分の足跡ってものを残してこい」 「ここで辞めたら、これからの人生、いやなことがある度に逃げちゃうような気がして、続けてきた」 「科学には限界はない。だけどそれを理解する人間の能力に限界がある」 「苦労はしたけど結構楽しかった。世界観を作っていく作業がいい」 「最大のピンチの後には、必ず最高のチャンスが来る」
*** 今週の教養講座(人はなぜ独裁を求めるのか④)
第4回 民主主義の「遅さ」への苛立ち ――トクヴィルと即効性の政治
民主主義は、なぜ独裁に押し流されやすくなるのか。その一因として、フランスの政治思想家アレクシ・ド・トクヴィル(1805~1859)が早くから指摘していたのが、民主主義の「遅さ」である。民主主義は本質的に、議論し、合意を探り、妥協する制度だ。そこでは時間がかかり、結論は必ずしも明快ではない。この性質が、危機の時代には致命的な弱点となる。
トクヴィルは、民主主義社会の人々は平等を好む一方で、煩雑な政治過程に忍耐力を失いやすいという。生活が不安定になり、将来が見通せなくなると、人々は「正しいかどうか」よりも「早く何かをしてほしい」と感じるようになる。こうして、決断の速さそのものが価値として評価され始める。
現代世界は、常に「緊急事態」にさらされている。戦争、テロ、感染症、経済危機、自然災害。こうした事態に直面すると、民主主義の手続きは「悠長」「無責任」に映る。議会での議論や専門家の検討は、「何も決めていない証拠」のように受け取られ、強い指導者の即断即決が魅力的に見えてくる。
独裁的リーダーは、この苛立ちを巧みに利用する。「議論ばかりで国は前に進まない」「既得権や反対派が邪魔をしている」と語り、民主主義の手続きを敵として描く。重要なのは、実際に成果が出るかどうかより、「決断している姿」を見せることである。行動しているという印象が、不安を和らげるからだ。
日本でも、同様の傾向は見られる。経済対策、財政、少子化、安全保障、災害といった長期課題に対し、丁寧な議論よりも「トップの決断力」が求められる場面が増えている。選挙においても、政策の精密さより、「覚悟」「断行」「進退をかける」といった言葉が支持を集めやすい。そこでは、民主主義のプロセスそのものが、しばしば軽視される。
トクヴィルの洞察が示すのは、民主主義が自壊する危険は、外部からの暴力ではなく、内部の「あせり」から生まれるという点である。人々が「待てなくなった」とき、民主主義は重荷となり、独裁は効率的な代替案に見えてしまう。
しかし、民主主義の遅さは欠陥であると同時に、暴走を防ぐ安全装置でもある。時間をかけることは、誤りを修正し、少数者の声を拾い上げるために必要なのだ。即効性への渇望が高まる時代だからこそ、その遅さの意味が改めて問われている。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年2月6日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(5日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎米ロ間の核軍縮条約「新START」5日失効 核兵器競争加速おそれ | NHKニュース →米ロ間で唯一の核軍縮条約「新START」が失効した。プーチン大統領は1年延期を提案していたが、トランプ大統領は「中国が入らなければ意味がない」と失効を容認した。中国の核弾頭は米ロより少ないが、今後増えるとみられている。トランプ大統領の登場で核兵器も無法地帯になった。
◎「ミラノ・コルティナ オリンピック」ニュース一覧 | NHKニュース →ミラノなど4地域で開かれる冬季五輪が6日開幕する。カーリングなど一部競技は始まっており、日本勢が活躍すれば関心も高まるだろう。日本は冬季最多18個のメダルを獲得した22年北京大会を上回る成績を目指す。大会は22日まで8競技116種目で熱戦が繰り広げられる。
◎自民党・維新300議席超うかがう 衆議院選挙終盤情勢、中道改革連合は半減の可能性 – 日本経済新聞 トランプ大統領 “高市首相と3月19日にホワイトハウスで会談” | NHKニュース →日経新聞の総選挙情勢調査でも与党が300議席うかがうと出た。自民の勢いは衰えていない。高市首相とトランプ大統領が3月19日、ワシントンで会談すると大統領が投稿。選挙への支持も表明した。
◎高市首相の討論欠席、2日前に準備か 週刊文春が報道【2026衆院選】:時事ドットコム →高市首相は1日に放送されたNHKの討論番組を急きょ欠席したが、実は1月30日から欠席に動いていた。小林政調会長に出席を打診したが都合がつかず、田村政調会長代行が出席した。旧統一教会や消費税をめぐる討論を避けるためという見方がもっぱら。週刊文春が報じた。
◎ベゾス氏がオーナーのワシントン・ポスト、従業員3分の1を解雇 : 読売新聞 →米国のワシントン・ポスト紙が経営不振から従業員の3分の1を解雇した。スポーツ部門を廃止し、ミラノ冬季五輪へ記者を派遣していない。デジタル戦略で成功したニューヨーク・タイムズと並ぶ米国の2大紙だが、明暗を分けている。アマゾンのベゾス氏がオーナーで、人員削減を躊躇しない事情もあるだろう。
◎柏崎原発、9日にも再稼働へ 制御棒不具合で停止―東電:時事ドットコム →再稼働直後に停止した柏崎刈羽原発が9日にも再稼働する。制御棒を動かす装置から警報が鳴ったが、原因がよくわからなかった。長く動いていなかった原発にトラブルは避けられない。今後もいろいろありそうだ。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎トーマス・カーライル(英国の歴史家。1881年2月5日死去、85歳)
「自分より立場の弱い人に対する接し方に人の偉大さは現れる」 「羞恥心は、あらゆる徳の源泉である」 「すべてのことにおいて、人間は苦悩をくぐり抜けて完成されるのである」 「すべての大偉業は、最初は不可能といわれた」 「人間にとって最優先の課題は、この世で自分がなすべきことを見出すことだ」 「圧力がなければ、ダイヤモンドは生まれない」 「この国民にして、この政府あり」 「誠実さ、深く偉大で純粋の誠実さ、それこそが英雄の第一の特色である」 「自分よりも優れた人を称賛できる心。それが、人間が持ちうる最も素晴らしい心である」 「信念は、行動に移さなければ価値がない」 「人生の目的は行為にして、思想にあらず」 「人を説得して動かそうとする者は、自らがまず感動し、自らを説得することから始めなければならぬ」 「経験は最良の教師である。ただし授業料が高くつく」 「沈黙は口論よりも雄弁である」 「価値ある人間だけが、他人の持つ価値を理解できる」
*** 今週の教養講座(人はなぜ独裁を求めるのか⑤)
第5回 「普通の服従」が独裁を完成させる ――ミルグラム実験と「凡庸な悪」
独裁体制は、強烈なカリスマや暴力だけで成り立つわけではない。むしろ、それを日常として支えるのは、ごく普通の人々である。この事実を冷酷なまでに示したのが、アメリカの心理学者スタンレー・ミルグラム(1933~1984)の服従実験であり、ハンナ・アーレントが名づけた「凡庸な悪」であった。
ミルグラムの実験では、被験者の多くが、権威者の指示に従って他者に強い電気ショックを与え続ける形になった。彼らは残虐な人間ではなかった。むしろ「指示されたから」「責任は自分にないから」という理由で行動していた。アーレントがナチス戦犯アイヒマンに見たのも、狂気ではなく、思考停止した平凡さだった。
ここで重要なのは、悪が情熱からではなく、無批判な服従から生まれる点である。独裁は、人々に「命令に従っているだけ」という心理的逃げ道を与える。自分で判断しない代わりに、罪悪感も引き受けなくて済む。この構造が、体制を静かに、しかし確実に完成させる。
現代社会では、暴力的な命令がなくても、同様の服従が生まれやすい。SNSでの同調圧力、職場や組織の空気、世論の「正しさ」。反対意見を述べることが「面倒」「危険」と感じられると、人は沈黙を選ぶ。その沈黙の積み重ねが、「みんなそうしている」という幻想を生む。
日本社会では、露骨な強制よりも、空気による統制が力を持つ。異論を唱える者が「和を乱す」「足を引っ張る」と見なされると、多くの人は距離を置く。結果として、誰も反対していないかのような状況が作られる。ここに独裁的運用が入り込む余地が生まれる。
ミルグラムとアーレントが突きつけた問いは、今も重い。独裁を生むのは、悪意ある少数者ではない。判断を委ね、考えることをやめ、波風を立てない選択を重ねる多数者である。独裁は、ある日突然完成するのではない。日常の中で、「考えない」「疑わない」「従う」という小さな行為が積み重なった末に、完成する。
だからこそ、独裁への最大の抵抗は、英雄的行為ではない。立ち止まり、考え、違和感を言葉にすること。その平凡な営みを手放さないことこそが、民主主義を支える最後の防波堤なのである。
