6月9~13日(教養講座:G7サミットを知る)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年6月9日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(6~8日)
◎米LA 移民摘発めぐる抗議デモ 州兵が現地に配置 地元は反発 | NHK | アメリカ →ロサンゼルスで移民政策に反対するデモが暴徒化し、移民当局と衝突した。トランプ政策の中核であり、民主党の強い地域という意味で、注目される。トランプ政権は、知事の権限下にある州兵を派遣する異例の措置を取った。ロサンゼルス市長は「移民の街の市長として心底怒りを感じている。緊張を高めるだけだ」と批判している。
◎「ミスタープロ野球」長嶋茂雄さん 告別式 王貞治さん 松井秀喜さんらが別れを惜しむ | NHK | #プロ野球 →3日に亡くなった長嶋さんをめぐる報道は、ずっと続いている。8日夜のNHKスペシャルも特集した。またかと思いながら見たり読んだりするから、今さらながら存在の大きさを感じる。いつも明るい生き方を見習うことが、遺志を継ぐことになる。
◎福島第一原発事故 東電旧経営陣の責任認めず 1審と逆の判断 東京高裁 | NHK | 福島第一原発 →小利口な裁判官は、物事を細かく分析して判断しようとする。本質を見極める裁判官は、全体像を踏まえて大局的に判断する。電力会社は危険性を指摘されていた原発を動かし、結果的に地元に壊滅的被害をもたらした。「国策民営」を隠れ蓑に誰も責任を取らないとなれば、モラルは崩壊する。
◎東北大学 冨永総長 ”5年で優秀な研究者 約500人獲得目指す” | NHK | 教育 →東北大学が米国留学を断念した学生らの獲得に攻勢をかけている。国際卓越研究大学に選ばれて154億円の助成を得ており、今後5年で500人の獲得を目指す。トランプ政権が締めつけを強めている留学生の受け皿になる。国内約90大学も支援を表明しており、競争になりそうだ→アメリカで留学継続できなくなった学生 日本国内の約90大学が受け入れなど支援検討 文科相 | NHK | 教育
◎清水市代女流七段が女性初の将棋連盟会長に 羽生善治前会長の後任:朝日新聞 →今度は将棋の世界でジェンダー平等の歯車が回った。過去5代の会長は全員男性で、名人経験者だった。清水市代女流7段は、女流七冠を独占した女流棋士の実力派。どんな新風を吹き込むか。
*** 「今日の名言」
◎ムハンマド・イブン=アブトゥッラーフ(イスラム教の創始者・預言者。632年6月8日死去、62歳くらい)
「忍耐は満足のかぎである」 「富は多額の財産によるものにあらず、満足した心からなり」 「他人には善を努めて、悪を抑え、いかなる目に会おうとも、よくそれに耐え抜け。それこそ物事の正しきあり方というものだ」 「神は天と地を創造せる者なり。神は汝がいずこへ行くとも共にありて、アラーは汝の懐を見ん」 「人間の真の富はこの世でなされる善行なり」 「人の信仰を責め立てて暴力を振るってはならぬ」 「神は忍耐強い者とともにある」 「力強いとは、相手を倒すことではない。怒って当然というときに心を自制する力を持っていることである」 「お前たちが良いことをすれば、それがみな我が身のためになり、悪いことをすれば、やはりそれが我が身の悪となる」 「神は、商売は許したが、金を貸して利息を取ることを禁止した」 「どうせ、この世では一回限り。生きて、死ぬ。ただそれだけのこと」 「現世の生活はただつかのまの遊びごと。戯言はあだなる飾りなり」
*** 今週の教養講座(サミットを知る①)
主要国首脳会議(G7サミット)が、15日からカナダで開かれる。今年は、西側世界との関係を見直そうというトランプ大統領の参加で、G7サミットの存在そのものが問われている。結束できるのか、漂流するのか。歴史と課題をまとめた。
第1回:G7サミットとは何か——その成り立ちと目的 G7サミットは、正式には「先進国首脳会議」と呼ばれる。世界の主要な先進国の首脳が一堂に会し、経済・政治・社会の諸課題について協議する場だ。発足は1975年、オイルショック後の世界経済が混乱する中、フランスのジスカール・デスタン大統領と西ドイツのシュミット首相の呼びかけで始まった。初回はG6(仏・独・伊・日・英・米)でスタートし、翌年カナダが加わりG7となった。
当初のテーマは、経済だった。「自由経済を共通基盤とする先進諸国が、経済政策の協調と通貨の安定を図る」ことだった。国際通貨制度が混乱していた時代、各国が足並みを揃えることが求められていた。その後、1980年代に入ると冷戦の影響で安全保障問題が取り上げられるようになり、経済協議の枠を超えて政治的意味合いを帯びるようになった。
1997年にはロシアが加わりG8となったが、2014年のクリミア併合を受けてロシアは除外され、再びG7体制に戻った。現在は7カ国に加え、欧州連合(EU)が参加している。民主主義・自由経済・法の支配といった共通の価値を持つ国家群であり、世界経済の約40%を占める経済圏でもある。
G7の特徴は、法的拘束力のない「非公式会合」であることだ。本音の意見交換を通じて、首脳間の信頼関係を築き、方向性を示すことに重きが置かれている。そのため、緊急課題への機動的な対応が可能であり、合意形成のスピード感も特徴だ。
一方、非公式ゆえの限界もある。決定した内容を実行に移す権限はなく、各国の内政や外交方針に左右されることも多い。最近ではウクライナとロシアの戦闘、イスラエルによるガザ攻撃で有効な手を打てていない。トランプ大統領の登場で、今回は存在そのものが問われる状況になっている。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年6月10日号(転送禁止)~~~
◎ダイヤモンド・オンラインで「戦争と東京六大学~異論はどう封殺されたか」の連載を始めました。今年は東京六大学野球連盟発足100年、終戦80年です。この20年間は、学問の自由が圧殺され、各大学にとって暗黒時代でした。異論排除は今の世界でも起きています。学問の自由や独立は、どう侵され、どんな社会になるのか。現代への教訓を週1回掲載、計8回でたどります。有料記事なので、一部しか読めません。全部読む場合は、月間1980円で同オンラインへの登録が必要です→ https://diamond.jp/articles/-/365900
***デイ・ウォッチ(9日)
◎LA ロサンゼルス 州兵配置 移民摘発めぐる抗議デモ 警察「暴力的になっている」一部が暴徒化 | NHK | アメリカ →ロサンゼルスの暴動が拡大している。トランプ大統領は1965年以来という知事の要請なしに州兵を投入。海兵隊の派遣も浮上し、意図的に対立をあおっているフシもある。民主党系の地元知事や市長は硬化し、亀裂が深まっている。移民暴動は全米各地に波及する可能性がある。政治的対立も相まって、政権の大きな試練に発展するかもしれない。
◎石破首相 参院選 党の公約 “1番目に経済成長と賃上げ” | NHK | 参議院選挙 →自民党が参院選の筆頭公約に経済成長を掲げる。「2040年に名目GDP1000兆円、所得は50%増」が柱。あまりに先のことで、ピンとこない。野党が消費減税を主張しているので、大きな花火をどーんと打ち上げようという思惑だろう。国民は冷静だ。夢の道筋まで語らないと、逆効果だろう。現金給付案も浮上している。
◎白鵬翔さんが会見 元横綱 退職のいきさつ説明 “相撲を世界に広げる活動を” | NHK →元横綱の白鵬さんが会見し、相撲を世界に広げる活動を始めるという。トヨタ自動車の豊田章男会長の支援を明らかにした。相撲協会の協力は得られそうもないが、活動が盛り上がれば、連携の可能性もあるだろう。白鵬のセカンドステージ。タフな実行力が問われそうだ。
◎グレタさん乗った支援船拿捕 ガザ行きを阻止―イスラエル軍:時事ドットコム →グレタ・トゥンベリさんが、ガザを支援するため、船で向かっていたが、イスラエル軍に拿捕された。支援団体は「イスラエルに国際ボランティアを拘束する法的権限はなく、明白な国際法違反だ」と声明を発表。イスラエル国防相は「ハマスのプロパガンダだ」と批判する。どちらが信用できるだろうか。
◎G7サミット「結束」焦点 トランプ氏再登板後初―1週間後開幕、首脳声明見送りも:時事ドットコム →G7サミットを控え、時事通信が焦点をまとめた。トランプ氏の参加で、首脳声明が見送られる可能性があり、関税問題とウクライナ支援で意見の一致は困難な見通しだ。議長国のカナダは、人工知能、量子、レアアースなどテーマごとの文書採択を検討している。G7の影響力低下は確実だ。
*** 「今日の名言」
◎チャールズ・ディケンズ(英の小説家。1870年6月10日死去、58歳)
「この世に生きる価値のない人などいない。人はだれでも、だれかの重荷を軽くしてあげることができるから」 「どなたも今、たくさん持っている幸せに目を向けることです。だれもがもっている過去の不幸は、忘れなさい」 「愛する心は、真の知恵である」 「あなたを見ていると幸せだ。あなたのことを考えていると1日中幸せなんだ」 「慈善を始めるのは家庭内から。そして正義は隣人から」 「自分がしてほしいと思うことを人に施す努力をせよ。もし相手がそうしてくれなくても、がっかりする必要はない。あなたが相手をがっかりさせるよりはずっといい」 「太陽は昇ったばかりのときは弱々しいが、時間が経つにつれて力と勇気を増していく」 「病気や悲しみも人に移るが、笑いと上機嫌ほど移りやすいものはこの世にない」 「人生において我々が囚われている鎖は、我々が生み出したものにほかならない」 「旅行者はその放浪によって、家庭のありがたさを学ぶ」
*** 今週の教養講座(サミットを知る②)
第2回:G7の歩み——サミットの歴史を俯瞰する G7サミットは1975年の第1回会合以降、世界情勢の変化に応じてその役割を拡張し続けてきた。冷戦期には東西対立の中で西側先進国の結束を示す場として、冷戦後は経済グローバリゼーションのなかで世界秩序の方向性を提示する場として存在感を保ってきた。
1980年代は、レーガン、サッチャー、中曽根といった「政治主導型」リーダーたちが登場し、経済問題に加え、冷戦構造への対応が議論の中心だった。1983年のウィリアムズバーグ・サミットでは、ソ連との軍拡競争に関して、自由陣営の結束を明確に示す合意がなされ、政治的意義の強いサミットとして記憶されている。1990年代には冷戦終結を背景に、ロシアがオブザーバー参加を経てG8へと拡大し、政治・経済両面での協議体制が整った。この時期、開発・環境・感染症など新しい国際課題が取り上げられ始め、「地球規模課題への対応」という機能が加わった。
2000年代に入り、アフガニスタン戦争、イラク戦争、世界金融危機など、サミットでの議論は多様化した。特に2008年のリーマンショック以降、経済危機対応の場としてのG20が台頭し、G7の相対的な存在感は一時的に後退する。しかし、2014年にロシアがクリミアを併合し、G8から除外されたことで、G7は再び「価値を共有する国々による連携」の象徴として再定義される。日本もこれまでに1979年(東京)、1986年(同)、1993年(同)、2000年(沖縄)、2008年(洞爺湖)、2016年(伊勢志摩)、2023年(広島)と7度の議長国を務め、地政学的な橋渡し役を果たしてきた。
こうしてG7は、国際的な合意形成の場として、その性質を柔軟に変化させながら存続してきた。歴史を振り返れば、経済から政治へ、そして価値の連帯へと進化してきたことが明らかだ。しかし今年は、「アメリカ・ファースト」で西側各国との関係を根本的に見直そうというトランプ大統領の登場で、まったく違った段階に入った。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年6月11日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(10日)
◎アメリカ LA 移民政策への抗議デモ 海兵隊を派遣 デモは全米各地に広がる | NHK →ロサンゼルスの暴動を受けて、抗議デモがサンフランシスコやニューヨーク、テキサスなど全米に波及している。最悪の場合、「21世紀の南北戦争」になるのではないか。行くあてのない移民には人生を賭けた抵抗であり、民主党にとっては権力闘争である。トランプ政権は強硬に抑え込もうとしているので、対立は激化しかねない。トランプ大統領はG7サミット、関税交渉の期限を控えている。反トランプ陣営から見れば、国際的なダメージを与える好機でもある。
◎関東甲信と北陸が梅雨入り 11日にかけ非常に激しい雨のおそれ | NHK | 気象 →関東甲信と北陸が梅雨入りした。「梅雨が終われば、楽しい夏が来る」とわくわくしたのは、10年以上前。最近は猛暑の夏が憂鬱だ。7月からの3ヶ月間は、亜熱帯を覚悟しなければならない。まだ発生していない台風も不気味だ。
◎1人数万円、所得制限なし検討 給付措置、自公が参院選公約に:時事ドットコム →自公両党が、参院選公約に1人数万円の現金給付を盛り込む。与党しかできない公約で、「官製買収」と言える。4月にも検討したが、バラマキ批判で引っ込めた経緯がある。野党が消費減税を打ち出し、参院の改選組から「このままでは戦えない」と突き上げた。政治はこれでいいのだろうか。
◎首都圏と北東北結ぶ夜行特急列車、27年春から運行…「ブルートレイン」イメージ : 読売新聞 →JR東日本が全席個室の夜行特急列車を2027年から運行する。10両編成で、1両は飲食などを楽しむラウンジ車両。個室は1人用、2人用、4人用で、定員は120人程度。外観は青を基調とし、寝台列車「ブルートレイン」をイメージした。東京と、秋田や青森など北東北を結ぶ。
◎日大重量挙げ元監督を逮捕 奨学生から授業料徴収容疑―総額3800万円詐取か・警視庁:時事ドットコム →日大重量挙げ部は大学界きっての名門。授業料免除の奨学生から「免除は2年生から。1年生は必要だ」と言って部の口座に振り込ませていたというから、相当悪質だ。大半はバッグやスーツなどブランド品の購入に使っていた。強大な地位を利用した恐喝的詐欺だ。
*** 「今日の名言」
◎鴨長明(平安・鎌倉期の随筆家。1216年6月8日死去、61歳くらい)
「友人というものは、そもそも裕福な人を尊び、手厚く親切に扱われることを重んじるものだ」 「世間の常識事や慣習に従えば、それに縛られて苦しくなってしまう。従わなければ、まるで気が狂っているかのように見えてしまう」 「行く川の流れは絶えることがなく、しかもその水は前に見たもとの水ではない。淀みに浮かぶ泡は、消えたかと思うと一方で浮かび出て、いつまでも同じ形ではいない。世に存在する人も、その住みかもまた同じ」 「財産があればそれを失う心配が多くなり、貧乏であれば人をうらやむ思いが甚だしくなる」 「権勢がある者は欲が深くなり、縁者のいない孤独な人は他人に軽んじられてしまう」 「そもそも、三界(欲界・色界・無色界)の迷い多きこの世界は、ただ心の持ち方一つでいかようにもなり得るものだ」 「世間の人が世俗のわずらわしい雑事、名声や利益にこだわり、あくせくするのが気の毒に感じる」 「大方、人の心というものは、野の草の風になびくがごとし」
*** 今週の教養講座(サミットを知る③)
第3回:現在のG7——リーダーシップの現状と主な議題 G7は、経済大国の首脳会議という枠を超え、地球規模の課題に対する意思表明の場として進化してきた。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、イタリア、カナダにEUを加えたこの枠組みは、自由主義・民主主義・法の支配を共通の価値として掲げつつ、対話と連携を図ってきた。
昨年までは、ウクライナ侵攻に対する対応、AI・半導体といった先端技術の国際ルール作り、気候変動への対応などで注目された。経済安全保障の重要性が増すなか、G7は「信頼できる経済パートナー」の枠組みとしても注目されてきた。2023年の広島サミットでは、ゼレンスキー大統領の電撃参加に象徴されるように、G7が民主的価値を軸に世界に対してメッセージを発信する場であることが再確認された。日本は議長国として、核廃絶・AI規制・インド太平洋の安定などを議題に掲げ、米欧との連携に加えてグローバルサウスとの関係構築を試みた。
各国首脳の個性も議論のトーンに影響した。バイデン大統領の国際協調志向、マクロン大統領の欧州主導への野心、岸田首相の「価値主導型外交」などがあった。政策の方向性は共通していても、細部では温度差がある。この多様性がG7の強みであった一方、意思統一を難しくする要因でもある。世界が多極化し、不確実性が高まるなか、G7は「すべてを決める場」ではなく、「方向性を示す場」としての意義が高まってきた。今年の焦点は、これらの機能をトランプ大統領がどう評価するかだ。方向は認めるのか、根底から覆すのか。世界が目を凝らしている。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年6月12日号(転送禁止)~~~
ダイヤモンド・オンラインで連載中の「戦争と東京六大学」の第2弾(計8回)。戦時中の早稲田大学総長は田中穂積。軍部や政府の圧力を受けながら、大学存続に向けて厳しい学校運営を強いられました。孤独で苦悩していたところ、早稲田最大の弾圧である津田左右吉事件が起きます。舞台は東京帝国大学の講義。津田は戦後、総長に選出されましたが・・・→学の独立か、大学の存続か…戦時下の大弾圧を乗り切った早大総長の評価が今も分かれる理由 | 戦争と東京六大学~異論はどう封殺されたか | ダイヤモンド・オンライン
***デイ・ウォッチ(11日)
◎首相、衆参同日選見送りへ 不信任案不提出受け、衆院解散しない方針 – 衆議院議員総選挙(衆院選) [参院選(参議院選挙)2025][石破政権]:朝日新聞 →朝日の独自有料記事。焦点になっていた内閣不信任案について、立憲が提出しないことになり、石破首相は衆参同日選挙を見送る方針を固めた。不信任案を提出しないのは、野党の足並みが乱れていることが一因。参院選の動きが本格化するが、与野党とも決め手を欠いている。失言やハプニングが影響しそうな地合いにある。
◎大川原化工機 えん罪事件 都側の警視庁と国側の東京地検上告せず 謝罪 検証へ | NHK | 事件 →大川原化工機事件で、東京地検と警視庁が上告断念を発表した。完全なねつ造事件で、当事者への謝罪コメントを発表したのは当然だが、本来であれば正式な記者会見をすべきだろう。今後、捜査について検証するというが、日ごろの情報公開が少なすぎる。
◎米中貿易協議終了 米商務長官 合意内容を実行に移す枠組みで一致 “レアアース輸出規制解決 期待” | NHK | アメリカ →貿易をめぐる米中協議が終わった。レアアースの輸出規制や中国人留学生の受け入れで合意した。トランプ大統領が主導する大国同士のゲームは、見せ場を作って、最後は落ち着くようだ。
◎日本学術会議“国から独立した法人に” 法律が成立 参院本会議 | NHK | 日本学術会議 →問題の多い学術会議法人化法が成立した。6人の任命拒否が起点だったが、自民党がいつの間にか学術会議改革にすり替えた。異論排除の動きで、将来に禍根を残した。ダイヤモンド・オンラインで連載中の「戦争と東京六大学」(上記参照)と通底する問題だ。
◎国民民主、山尾氏の公認見送り SNSで批判噴出―参院選:時事ドットコム →快調に支持率を伸ばしていた国民民主だが、不倫疑惑のある山尾志桜里氏の公認で急落。山尾氏は10日に記者会見したが、疑惑を十分払拭できなかった。山尾氏は無所属で立候補するのか、玉木代表も不倫をしていたのに女性だけアウトか、代表は責任を問われないのか・・・。SNSなど場外が騒がしい。
◎韓国軍 北朝鮮向けの宣伝放送を停止 “南北関係の信頼回復”へ | NHK | 韓国 →韓国の新政権が、北朝鮮向けの宣伝放送を中止した。新大統領は「北との意思疎通の窓口を開き、対話、協力を通じて朝鮮半島の平和を構築する」と述べており、前政権から政策転換した。どんな影響が出るだろうか。ウクライナ情勢にも関係してくる。
*** 「今日の名言」
◎緒方洪庵(江戸時代の蘭学者、医師。1863年6月10日死去、52歳)
「仕事に励むことに加えて、誠実な言動や行動で他人に信頼されることを目指すべきだ。一時の流行を利用して名声を求めるのは、恥である」 「同業の人に対しては賞賛すべきである。人の短所を指摘するのは、徳のある人のすべきことではない」 「老人のことは尊重し、若者のことは愛し、ほめなさい」 「人に対しては、ただその人を見るのがよい。身分や経済力を見てはいけない」 「昼の出来事を夜に再考し、書き留めることを日課とするのがよい。それらを毎日積み上げていけば、大きな利益となる」 「たとえ救うことができない病であっても、患者の心をいやすのが仁術というものだ」 「人々から命を委ねられるに値する、誠実で温かい人間になりなさい」 「有名になろうとは思うな。利益を追おうとするな。ただただ自分を捨てよ。そして、人を救うことだけを考えよ」
*** 今週の教養講座(サミットを知る④)
第4回:G7の課題——グローバルな正統性と限界 G7が直面する最大の課題の一つは、グローバルな「正統性」の希薄化である。世界経済に占めるG7諸国の割合は、1990年代には70%を超えていたが、現在では40%前後にまで低下している。新興国、特に中国、インド、ブラジルといった国々の台頭により、「先進国だけで世界を動かす」時代は終わりつつある。そのため、G7の決定や声明が「世界の総意」を代表しているとは限らず、「西側先進国のクラブ」として見なされるリスクも抱えている。特にアフリカ諸国やASEAN諸国など、いわゆるグローバルサウスの国々にとっては、G7の姿勢が上から目線に映ることも少なくない。
また、G20との機能重複も課題だ。G20には中国やロシア、インド、ブラジルといった大国も含まれており、経済協議の実効性はむしろG20の方が高いとする見方もある。一方で、G20は構成国が多様すぎるため、政治的合意形成が難しいというジレンマも抱えている。G7内部にも課題がある。アメリカの大統領交代に伴う外交路線の変化、フランスのEU主導志向、イギリスのブレグジット後の立ち位置、日本の中立外交路線など、各国の利害や国民感情が合意形成を阻む場面も増えている。国内政治の不安定さが国際的合意に影を落とす例は少なくない。
G7の議題設定には、西側価値観の偏りが指摘されることもある。例えば、環境問題や人権問題に対する取り組みは、途上国の実情と乖離していることもあり、一方的な価値観の押し付けと批判されるリスクもある。G7は「発信力」と「実効力」のバランスに悩んできたが、トランプ大統領はこれまでの西側価値観に真正面から挑戦する姿勢さえ見せている。今後のサミット外交では、G7の共通的価値観とは何か、それを国際的な共感と納得にどう結びつけるかなどが鋭く問われている。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年6月13日号(転送禁止)~~~
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***デイ・ウォッチ(12日)
◎東京都議選に300人前後が立候補へ 参院選控え国政選並みの態勢に [東京都] [東京都議選挙]:朝日新聞 →参院選と東京都議選は12年に1回重なり、参院選の前哨戦となる。今年はその年で、きょう告示される。1989年は自民が大敗し、「山が動いた」の名言が生まれた。2013年は安倍自民党が躍進し、衆参のねじれを解消した。都議選の焦点は、小池与党の自民、都民ファースト、公明の3党の過半数(64)確保だが、国政各党の消長に関心が集まる。参院選は7月20日投開票見込み。
◎USスチール買収計画 トランプ氏 “米政府が「黄金株」取得” | NHK | 日本製鉄 USスチール →黄金株は重要事項で拒否権を行使できる特殊な株式。全株式の51%は米国人が握るという。主導権は米国側となるが、日本製鉄はどう判断するか。
◎インド西部で旅客機墜落、290人超死亡か 離陸直後、邦人被害情報なし―生存者報道も:時事ドットコム →インド西部でロンドン行きのボーイング787機が、離陸直後に墜落した。乗客は242人で、インド人や英国人が多く、日本人はいなかった。巻き添えもふくめて290人以上が亡くなった模様。ボーイング787の墜落は初とみられる。新鋭の主力機なので、原因次第では影響が広がりそうだ。
◎アメリカ ベッセント財務長官 相互関税の一時停止 “延長の可能性” 日米交渉へ影響は | NHK | 関税 →来月上旬まで停止している相互関税について、ベッセント財務長官は延長の可能性を明言した。最近は「TACO」が流行語になっている。「Trump Always Chickens Out」の略で、「トランプはいつも怖気づいてやめる」の意味。煮え湯を飲まされた金融市場で定着している。
◎中国軍機、海自機に異常接近 太平洋上、距離45メートル―空母から発艦、被害なし・防衛省:時事ドットコム →中国軍機が海上自衛隊機に45メートルまで接近した。異常接近の公表は2014年以来、3回目。海自機は空母を監視中だったが、中国側がけん制したようだ。突発事態が起きないとはいえない。日中で事態をしっかり管理することが大切だ。
◎山尾志桜里氏 国民民主党に離党届提出“党の統治能力に疑問” | NHK | 参議院選挙 →公認問題で話題になっている山尾志桜里氏は、国民民主党に離党届を提出し、「党の統治能力に深刻な疑問を抱いた」と批判した。玉木代表は「率直におわびしたい」と謝罪した。都議選・参議院選を控え、国民民主党には打撃か、プラスか。
◎男女間の平等調査 日本 148か国中118位に 女性閣僚減少など | NHK | ジェンダー →男女間の平等調査で、日本は昨年と同じ118位だった。政治参加で、女性の閣僚が減少したことなどから評価が低かった。下位が日本の定位置になっている。1位は16年連続でアイスランド、2位がフィンランド、3位がノルウェーと北欧の国々が続き、こちらも指定席だ。
*** 「今日の名言」
◎太宰治(小説家。1948年6月13日死去、38歳)
「笑われて、笑われて、つよくなる」 「私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ!メロス」 「走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題ではないのだ。人の命も問題ではないのだ」 「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」 「おまえの寂しさはわかっている。けれども、そんなにいつも不機嫌な顔をしていてはいけない」 「何もしない先から、僕は駄目だと決めてしまうのは、それあ怠惰だ」 「本当の気品というものは、真黒いどっしりした大きい岩に、白菊一輪だ」 「人間は、恋と革命のために生まれてきたのだ」 「怒るときに怒らなければ、人間の甲斐がありません」 「愛することは命がけだよ。甘いとは思わない」 「夫と妻は、その生涯において、幾度も結婚をし直さなければならぬ。お互いが、相手の真価を発見して行くためにも、次々の危機に打ち勝って、別離せずに結婚をし直し、進まなければならぬ」 「10歳の民主派、20歳の共産派、30歳の純粋派、40歳の保守派」
*** 今週の教養講座(サミットを知る⑤)
第5回:G7のこれから——多極化時代の合意形成とは G7サミットは今後、どのように変化し、どのような価値を持ち続けるべきなのだろうか。世界が米中対立、地域紛争、気候変動、技術競争といった多重構造の課題に直面する中、G7の果たすべき役割も再定義の段階にある。
一つの方向性は、「すべてを決める場」から「方向性を示す場」への進化である。実務的な決定はG20や国連、多国間協定などに委ねつつ、G7は価値・原則・指針を世界に発信する役割に特化するという考え方だ。特に「自由・民主主義・法の支配」という軸をもとに、共通の立場を打ち出すことは、世界に安心感と秩序を提供する力になる。しかし、トランプ大統領は大国重視の姿勢を見せている。中国やロシアと対決姿勢を見せる一方で、電話会談を通じて首脳間の親密さを強調している。大きな不確定要素だ。
グローバルサウスとの接点強化が不可欠になっている。日本は2023年サミットでインド、韓国、ブラジル、ベトナム、インドネシア、オーストラリアなどを招待し、対話の輪を広げた。今後も、非G7諸国との対話を続け、「G7の発信=世界の発信」となるような説得力を持つことが求められる。日本にとっては、「米欧とアジア・グローバルサウスをつなぐ仲介役」としての立場が強みになる。歴史的にも地理的にも中間点に位置する日本だからこそ、多極化時代の調整役として独自の貢献が期待できる。AIや気候変動、経済安全保障といった分野では、現場感覚と長期ビジョンを兼ね備えた提案力が求められる。
将来のG7が目指すべきは、「対立の激化」ではなく「違いの中の共通項を見出す力」といえる。合意が困難な時代だからこそ、対話を通じた部分的な一致、価値の共鳴、小さな合意の積み重ねが重要になる。G7は、そのような国際的信頼のインフラとして、これからも機能し続ける必要があるだろう。トランプ大統領にその気があるかどうか。会議での発言、他国の働きかけが注目される。