12月8~12日(教養講座:田中均の日本外交3つのタブー)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年12月8日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(5~7日)
◎中国軍戦闘機が自衛隊機にレーダー照射 強く抗議 小泉防衛相 | NHKニュース →日中政府の対立がエスカレートしている。亀裂はさらに大きくなりそうだが、起点は高市首相の「失言」だ。政府同士のメンツ競争になっている。「高市首相は発言撤回を」と国内で言えば、「それでも日本人か」という空気が一部で生まれているが、日本は異論を認める国だ。日本政府は中国の威圧ぶりを強調することで、国内への影響を小さく見せたい思惑がある。両国政府は対立を早く解消し、民間交流を活発化させる責務がある。
◎ネットフリックス 米ワーナーの事業 11兆円余で買収合意 | NHKニュース 米メタ メディアと提携 生成AIに最新ニュース活用 | NHKニュース →米国でメディアをめぐる大きな動きがあった。ネットフリックスがワーナーのスタジオと動画事業を買収。動画配信ビジネスの世代交代が鮮明だ。メタはCNNなどとニュース記事提供で提携する。プラットフォーマーとメディアは対立関係にあったが、変わりつつある。
◎サッカーワールドカップ 日本代表はオランダ チュニジアなどと同組に | NHKニュース →来年6月に北米3カ国で開かれるサッカーワールカップの対戦が決まった。日本(18位)は、オランダ(7位)、チュニジア(40位)、欧州予選プレーオフ勝者のF組。森保監督は「大変厳しい組になった。優勝の目標は共有できている」とコメントした。
◎首都圏一連の強盗事件の指示役か 千葉 市川の強盗傷害疑い 4人逮捕 | NHKニュース →警察が威信をかけて捜査していた首都圏強盗事件で、指示役とみられる4人を逮捕した。26歳と27歳で、秘匿性の高い9つの通信アプリを使って指示を出していた。強盗事件は18件、被害額は計2000万円相当、1人死亡、21人けが。逮捕者は51人という空前の規模だ。
◎サッカーJ1 鹿島アントラーズ 9年ぶり9回目優勝 歴代最多更新 | NHKニュース →サッカーJ1は鹿島アントラーズが歴代最多優勝を記録した。勝てば優勝の1戦を2対1で制した。9年ぶり9回目の優勝。2位の柏レイソルは1対0で勝ったが、及ばなかった。鹿島のテクニカルアドバイザーを務めるジーコも祝福にかけつけた。衰えは隠せなかった。
◎高校野球 7イニング制“2028年のセンバツをめどに導入”報告書 | NHKニュース →高校野球が様変わりしそうだ。反対意見も多く、さらに慎重に検討するが、7イニング制を2028年のセンバツ大会をメドに導入する報告書が提出された。最近の酷暑を考えれば、やむを得ないだろう。健康や教育優先が大義名分だ。
*** 「今日の名言」
◎夏目漱石(小説家。1916年12月9日死去、49歳)
「焦ってはいけません。ただ牛のように、図々しく進んでいくのが大事です」 「君、弱い事を言ってはいけない。僕も弱い男だが、弱いなりに死ぬまでやるのである」 「運命は神の考えることだ。人間は人間らしく働けば、それで結構である」 「何か素晴らしいことを達成するための努力というものは、決して無駄にはならないということを覚えていなさい」 「のんきと見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする」 「自分の弱点をさらけ出さずに人から利益を受けられない。自分の弱点をさらけ出さずに人に利益を与えられない」 「自分が幸福でないのに、他を幸福にする力があるはずがありません」 「自らを尊しと思わぬ者は、奴隷なり」 「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい」 「愛嬌というのはね、自分より強いものを倒す柔らかい武器だよ」 「人間の目的は、生まれた本人が本人自身のためにつくったものでなければならない」
*** 今週の教養講座(田中均講演・日本外交3つのタブー①)
小泉首相の電撃的な北朝鮮訪問を根回しした元外交官の田中均氏が10月17日、日本記者クラブで講演した。「タブーを破った外交官 田中均回顧録」(岩波書店)の出版をきっかけにしたもので、要約を紹介する。これまでと今後の日本外交について、本音を語った内容だ。詳しくは同クラブHP参照。
「新著と3つのタブー──外交の本音を語る理由」
外交の話をするときに、あまり表に出てこない「タブー」についてまず整理したいと思います。新しく出した本のタイトルを『タブーを破った外交官』としたのは、日本外交が抱えている構造的な問題を、少し遠慮なく語ってみようという思いからです。タブーと言っても怪しい話ではありません。現場で働いていると、本当は重要なのに、政治的・制度的な理由で語られにくい領域がいくつもあります。
大きく分けると3つあります。1つ目はアメリカの話。日本にとってアメリカは同盟国で、最も重要な相手ですが、その実態を語るのは案外難しい。アメリカの要求や行動が、時には理不尽に感じることもあります。ところが、日本側がその現実を正確に語ろうとすると、国内では反発を招いたり、政治的なメッセージとして誤解されたりする。だから本音の部分が表に出にくい。
2つ目は政治、つまり政官関係です。本来、外交は政治と官僚が補完し合って進めていくものですが、近年は官邸の権限が非常に強くなり、官僚が萎縮する傾向が強まっています。専門的な判断を言いにくくなる空気がある。これは、安全保障や外交の質に直結する問題です。
3つ目が世論です。外交はどうしても国民感情とぶつかります。たとえば拉致問題では、強い批判が寄せられ、冷静な議論がしにくい状況が生まれました。最近はSNSが拍車をかけていて、怒りや不信感が一気に広がることがある。こうなると、長期的な視点で外交を考える余裕が失われてしまいます。
こうした3つのタブーは、単なる「禁句」ではなく、日本外交の見えにくい土台そのものです。そこを直視しないと、日本がどこに向かうべきかという議論が成り立たない。だから今日は、まずこの3つを共有しておきたいと思いました。外交は、理想論だけでは動きません。現場で実際に起きている力学や制約を理解しておくことが、未来を考えるうえでどうしても欠かせない。ここから先の話は、その前提に立って進めていきます。
◆
~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年12月9日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(8日)
◎【震度6強】八戸など青森県の被害の状況 6人けが(9日1:00) | NHKニュース 北海道・三陸沖後発地震注意情報を発表 | NHKニュース →8日午後11時15分ごろ、青森県沖を震源とする地震が発生。おいらせ町などで震度6を記録した。気象庁は後発地震情報を発表した。巨大地震が発生する可能性が相対的に高まっているという情報で、2022年12月に運用が始まって初。重傷1人、軽傷8人の情報があるが、さらに広がりそうだ。首相が官邸に入り、官房長官らが会見した。
◎NHK新会長に井上樹彦副会長が就任へ 内部からの起用は18年ぶり:朝日新聞 →NHK会長に政治部出身の井上氏が昇格する。18年ぶりの内部起用だが、政治部出身者で会長になった島桂次、海老沢勝二両氏はいずれも不祥事で退任した。剛腕ぶりが反感を浴びたが、井上次期会長は高市政権を支える麻生元首相が後ろ盾といわれる。NHK予算は国会承認が必要で、政治部が力を持ちがちだ。誰のためのNHKになるか。
◎真珠湾攻撃から84年 ハワイの記念公園で追悼式典 | NHKニュース →真珠湾攻撃が始まった午前7時55分、約3000人の出席者が黙とうをささげた。米軍関係者や攻撃を指揮した山本五十六の出身地でホノルル市の姉妹都市である新潟県長岡市の磯田達伸市長、長崎の被爆者らが参加。米海軍ハワイ司令官が「力による平和を追求していく」と決意を述べた。米国はやはり「力」か。
◎中国、捜索用で正常な行為 空自機レーダー照射:時事ドットコム レーダー照射「意図的」 対中非難、与野党で相次ぐ:時事ドットコム →空自機へのレーダー照射で、中国は「正常な捜索用行為」と反論。日本の与野党は一致して中国を非難している。目撃した第三者もいないので、国民にはどちらが本当かわからない。冷静に見守るしかない。
◎マッチングアプリで独身装い交際は「貞操権」侵害、既婚男性に151万円の賠償命令…東京地裁 : 読売新聞 →あまり聞かない「貞操権」が争点になった。女性は「既婚者お断り」と明記してマッチングアプリに登録。連絡してきた男性と性的関係を持ったが、男性に妻子がいたことがわかった。782万円の訴えに対し、判決は151万円の支払い。少なくないか。
◎パナソニックHD 野球部の活動 来季で休止発表 構造改革の一環 | NHKニュース →社会人の名門野球部がリストラで消える。パナソニック野球部は、都市対抗野球57回、日本選手権43回出場した強豪。世界の盗塁王・福本豊、首位打者2回の加藤秀司、西武の5連覇に貢献した潮崎哲也、高校野球の解説・監督の鍛治舍巧らが輩出した。
*** 「今日の名言」
◎千葉周作(江戸時代の剣術家。1855年12月10日死去、62歳?)
「極意というものは自分のまつ毛のように、身近にあるが見つけるのがむずかしいものだ」 「剣術の上達には二通りの道がある。前者は理屈から覚えようとする。後者は体で覚えようとする。どちらから入っても良いが、前者の方が後者より上達が早い」 「相手には必ず得意、不得意の技がある。試合中に相手の得意技を見つけたら、逆にこちらからその技を仕掛けてやる。そうすると、先手を取られた相手はすくんでしまい、その技を繰り出すことができなくなる」 「初心者の間は、練習方法についてあれこれ正否を論じても仕方ない。ただ一心不乱に師匠の教えに従って稽古すれば、自然と上達の域に達するものだ」 「真剣勝負の時、何も考えず、立ち合ったらすぐ相手の懐に飛び込み、そのまま腹をめがけて突けば、勝利は疑いない。心得ておくべきである」 「切り結ぶ 刃の下ぞ 地獄なる 身を捨ててこそ 浮かぶ瀬もあれ(真剣勝負するときは、捨て身の覚悟で取り組めば、危機を脱し活路を見出せる)」
*** 今週の教養講座(田中均講演・日本外交3つのタブー②)
「米国──日米摩擦と『隙を見せない日本を』」
アメリカとの関係がなぜタブーになるかというと、日本外交の根幹を握っている相手だからです。いいことも悪いこともすべてアメリカと向き合わなければいけない。しかし、その全体像を語ろうとすると非常にセンシティブな問題になります。若いころ、日米経済摩擦の最前線にいました。自動車、鉄鋼、半導体と、アメリカの要求は非常に厳しく、時には「これは政治圧力だな」と感じるほど一方的な場面もありました。でも、日本が反論しにくい理由がありました。自分たちの市場が閉じていると指摘される余地があった。
だから私は、市場を開いて「隙をつくらない日本」にしていかなければいけない、と考えていました。外交は交渉だけで決まるわけではなく、内側の制度や構造が整っているかどうかが、相手への説得力につながる。アメリカを説得するには、日本の側が実行力と整合性を持っていなければならない。安全保障でも同じです。第一次北朝鮮核危機のとき、アメリカは本気で軍事行動を検討していました。そのとき日本は、避難誘導も防護措置もほとんど準備できていない。
これでは同盟国とは言えない。アメリカがこちらをどう見ているのか、その冷たい現実を突きつけられました。アメリカとの関係は、反発するか依存するかの2択ではありません。重要なのは、自分の立場をしっかり固めて、対等に議論できるだけの力を持つことです。アメリカは「言うことを聞く相手」を評価するのではなく、「約束を守る相手」を評価します。この原則を理解して動くことが、日本の外交の底力を支えることになります。
◆
~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年12月10日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(9日)
◎初の「後発地震注意情報」発表 避難経路や備蓄品などの確認を | NHKニュース →北海道・三陸沖の後発地震注意情報で、東北・北海道が緊張している。2011年3月11日の東日本大震災の2日前にもそれなりに大きな地震があった。今回の注意は1週間をメドとしている。心構えがあるかどうかで対応はかなり違うはずだ。地震対策も新しい時代に入った。
◎政治改革に関する衆院特別委 企業・団体献金3法案で質疑 | NHKニュース →政治改革をめぐる攻防が本格化している。野党は企業・団体献金の規制強化を優先するが、与党は定数削減をめぐる法案を可決したい。複数の法案が出され、与党内部では自民と維新の本音がすれ違う。臨時国会は17日までで、時間がない。またウヤムヤになるのかどうか。国民の目は厳しい。
◎先端半導体の対中輸出許可 エヌビディア製、米大統領表明:時事ドットコム →米国がエヌビディア製半導体の中国への輸出を許可した。前世代型の先端半導体「H200」で、最先端のAI半導体「ブラックウェル」は対象外としたが、米中の緊張緩和が進んでいる。
◎ネットフリックスと争奪戦に ワーナー・ブラザース買収へTOB パラマウント | NHKニュース →ネットフリックスがワーナー・ブラザースと合意した買収劇にパラマウントが名乗りを上げた。敵対的なTOBになる。ネットフリックスは新興勢力だが、パラマウントは古参の同業者。買収価格は1株30ドルで、ネットフリックスの27.75ドルより高い。新旧の派手な買収合戦となりそうだ。
◎旧統一教会、田中会長が辞任、謝罪 後任に2世信者堀氏:時事ドットコム →立て板に水の弁舌を誇った会長が、辞任会見でやっと謝罪した。後任には初めての2世信者会長として、元副会長の堀正一氏(55)が就任した。被害者弁護団は「解散命令を見据えたアピールに過ぎない」と批判している。
◎市長とホテルの男性職員が退職へ 停職6カ月の処分―前橋市:時事ドットコム →市長が辞めれば、職員の立場は弱い。前橋市は市長の部下だった男性職員(54)を同日付で停職6カ月の懲戒処分とし、男性職員は31日付で依願退職する。ラブホテルを利用した行為はほめられないが、辞めてどうやって生活するのだろうかと心配にもなる。
*** 「今日の名言」
◎大山巌(元帥陸軍大将。1916年12月10日死去、74歳)
「大山はボンヤリしているから総司令官に任命する、というふうにも聞こえますが…(日露戦争の満州軍司令官に選ばれた際、明治天皇に尋ね、天皇は「そんなところだ」と答えたという)」 「勝ち戦の間は児玉さんにすべて任せるが、負け戦となったら自分が指揮をとる(日露戦争の陸軍参謀総長として、参謀本部次長である児玉源太郎の才能を見込んですべてを任せ、結果責任はすべて大山自らが負うという姿勢をとり続けた)」 「児玉どん、どげんしたにゃ、今日は早くから大砲の音がやかましかが、なにごとでごわすか。今日もどこかで戦(ゆっさ)でごわすか(日露戦争の戦地で危機的状況の際、寝ぼけた顔でこの台詞を言いながら殺気立った作戦室に入ってきて、雰囲気をガラッと和ませたという)」 「敵国民であろうとも、仁愛をもって接すべし(大山は負けたロシア軍将校を丁重に遇した。大山の葬儀にはロシア軍から花が贈られた)」
*** 今週の教養講座(田中均講演・日本外交3つのタブー③)
「政治と世論──政官関係の劣化と感情の圧力」
次に、政治と世論のタブーです。これは、外交の質に直接影響を与える問題です。最近の日本政治では、官邸主導が非常に強くなっていて、官僚が政治を「忖度」する場面が増えています。本来は、官僚が専門的な知識をもとに、政治家に厳しいことでも伝えるのが健全な形です。しかし、人事が完全に官邸に握られると、官僚は自分の考えを言いづらくなる。外交で必要なのは、現実を正確に伝えることですから、この構造は非常に危うい。
政治家の側にも課題があります。安全保障には基本的な概念がありますが、その基礎を理解しないまま議論をしてしまうことがある。核抑止や同盟の負担分担といった問題は、感覚的な話ではなく、現実の軍事バランスを踏まえなければ成り立ちません。
世論の影響も無視できません。拉致問題では、自分自身、激しい批判を受けました。外交はどうしても、短期的な感情と長期的な利益がぶつかります。最近はSNSによってその圧力が一層強まっています。怒りの言葉が一気に広がり、政治家が萎縮する。結果として、長い視点での外交判断が難しくなる。
政治と官僚、そして世論。この3つは本来バランスを取りながら動かなければいけない。いまはそのバランスが崩れています。タブーと言ったのは、まさにこの構造を直視しなければ、外交の質そのものが下がってしまうからです。
◆
~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年12月11日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(10日)
◎FRB 政策金利0.25%引き下げ 3会合連続 雇用重視 景気下支えへ | NHKニュース NYダウ 一時500ドル超値上がり 利下げ継続背景 | NHKニュース →米FRBが3会合連続で利下げを決めた。政府機関の閉鎖で一部統計がそろわなかったが、雇用情勢の悪化防止を重視した。これを受けてNY株が上昇した。日銀の利上げ観測が強まっており、日米の金利差が縮小する。
◎北海道電力 泊原発3号機の再稼働 北海道 鈴木知事が同意を表明 | NHKニュース →北海道知事は再稼働に慎重だったが、道議会で同意を表明した。データセンターや半導体工場などの建設が相次ぎ、電力需要の伸びが見込まれる。東京電力と違って立地点と消費地が同じで、料金引き下げも期待できる。「安全」より「経済」を優先したと言えそうだ。
◎補正予算案、成立確実に 国公賛成へ、11日に衆院通過:時事ドットコム →国民民主と公明が賛成する。少数与党で出発した高市政権は最初のハードルを超える。国民はガソリン税の暫定税率廃止などを歓迎。公明は児童手当の2万円上乗せを評価した。公明は立憲民主と歳出を3.1兆円削減する動議を提出するが、否決されても政府案には賛成するという。ちょっとわかりにくい。
◎ノーベル賞授賞式 坂口志文さんと北川進さんにメダル授与 | NHKニュース →北川進さんの「無用之用」が話題を呼んだが、ニュースとしての盛り上がりは、過去と比べて今一つの印象。受賞対象になった「制御性T細胞」と「多孔性金属錯体」の難しさ、堅実な人柄も関係したか。2人受賞は今後あるだろうか。
◎ノーベル平和賞 ベネズエラのマチャド氏 授賞式に出席せず | NHKニュース →ベネズエラのマドゥーロ政権が「出国した場合は逃亡者」として扱うとしたことが理由。娘が出席し、スピーチを代読する。出席できなかった受賞者は多い。最近では2023年にイランの人権活動家モハンマディ氏、2022年にベラルーシの人権活動家ビャリャツキ氏がいる。さかのぼれば、中国民主化運動の劉暁波氏、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー氏、ポーランドのワレサ連帯議長らもそうだ。
◎将棋 福間香奈女流六冠 “妊娠・出産への合理的配慮を” 日本将棋連盟に要望書 | NHKニュース →福間女流6冠が妊娠・出産への合理的配慮を求めて記者会見した。将棋連盟と争う気はないとしながら要望書を出した。連盟も「お詫びする」と善後策を検討する。今年4月に規定を変えたが、この変更が問題なのか、運用がよくなかったのか、やや不明。よく話し合うのが王道のようだ。
*** 「今日の名言」
福沢諭吉(思想家、教育者。1835年12月12日生まれ。66歳で死去)
「世の中で一番尊いことは、人のために奉仕し、決して恩にきせないことだ」 「自分の力を発揮できるところに、運命は開ける」 「独立の気力なき者は必ず人に依頼す、人に依頼する者は、必ず人を恐る、人を恐るる者は、必ず人にへつらうものなり」 「進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む」 「難しいからと言って行わないのは、勇者の志ではない」 「やってもみないで、事の成否を疑うな」 「努力は天命さえも変える」 「人間は、負けるとわかっていても、戦わねばならない時がある。だから、たとえ負けても勝っても、男子は男子なり。勝負をもって人物を評することなかれ」 「世の中で一番楽しく立派なことは、一生涯を貫く仕事をもつことである」 「人は、生まれながらに貴賤貧富の別なし。ただ、良く学ぶ者は貴人となり、富人となり、そして、無学なる者は貧人となり、下人となる」 「賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとによってできるものなり」 「活用なき学問は、無学に等しい」 「人生、万事、小児の戯れ」
*** 今週の教養講座(田中均講演・日本外交3つのタブー④)
「北朝鮮と小泉訪朝──アメリカの反発を超えた主体的外交」
北朝鮮との交渉と、小泉総理の電撃訪朝は、日本外交における極めて大きな転機です。あの時期、日朝関係だけでなく、日米関係も同時に動かさなければならないという点で、本当に緊張の連続でした。
アメリカは強く反対していました。特にチェイニー副大統領は強硬派で、日本が北朝鮮に動くことに強い不信感を持っていました。パウエル国務長官やアーミテージ副長官も懸念を抱えていました。ホテルオークラで深夜まで議論したことを、いまでもはっきり覚えています。こちらの説明が甘ければ、アメリカは「日本の独走」と受け止め、同盟関係が揺らぎかねない。だから、日本側の意図、覚悟、そしてリスクを丁寧に説明しました。アーミテージは「アメリカは、言うことを聞く国を尊敬するのではない。約束を守る国を尊敬する」と言いました。この言葉には重みがありました。こちらが本気で責任を負う覚悟を示さなければ、アメリカは日本を信頼しない。
小泉総理は非常に胆力のある政治家でした。1度決めたらぶれない。北朝鮮との首脳会談で、金正日が拉致を認めた場面は、日本外交にとって歴史的な意味を持つ瞬間でした。あの決断は、誰がやってもできたわけではありません。もちろん批判もありました。国内からもアメリカからも。しかし、あの局面で動かなければ、拉致問題は永遠に前に進まなかったでしょう。外交は、誰かが責任を取って踏み出す局面があります。小泉訪朝はその典型でした。
◆
~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年12月12日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(11日)
◎ノーベル平和賞 マチャド氏が記者会見「平和に民主主義必要」 | NHKニュース →ノーベル平和賞の授賞式を欠席したベネズエラの野党指導者マチャド氏が、式のあったオスロに現れて記者会見し、世界を驚かせた。変装して国内10カ所の検問を通過して漁村に到着。ボートでオランダ領の島に向かい、ビジネスジェットで移動したらしい。安全に帰国できるかどうかはっきりしないが、国際的アピールに向けた根性が違う。今後、欧米を訪問する予定。アメリカがマドゥーロ政権を転覆し、後任の大統領に据えるシナリオがあるのだろうか。
◎八戸 NTT鉄塔損傷で避難指示 “補修工事年内にも終えたい” | NHKニュース →青森・八戸のNTT鉄塔で損傷が見つかり、周辺住民が避難する騒ぎになっている。4本ある柱の1本が破断し、1000本のボルトのうち19本が外れているのが見つかった。1970年に建てられ、ビルも含めた高さは100メートル。他の街の鉄塔は大丈夫かと思ってしまう。
◎日本などからアメリカ入国時、SNS使用履歴の提出義務づけ案 : 読売新聞 →トランプ大統領は日本などビザ免許国に対し、過去5年分のSNS使用履歴の提出を義務づける案を公表した。どうやって履歴を集め、誰がどう判断するのか。疑問だらけだが、60日間の意見公募を経て是非を決める。サッカーW杯などでのテロ対策というが、トランプ政権はやはりおかしい。
◎自民 税調小委員会 東京と地方の税収格差是正に賛否両論 | NHKニュース →税収の東京一極集中は、日本の構造問題だ。大企業が集中しているだけで税収が増え、地方との格差が生まれる。一極集中は、首都移転も含めてずっと議論されながら放置されてきた。どちらにも理屈があり、政治決断が必要な大テーマだ。自民税調はどんな方針を出すか。
◎「徴用」問題 日本製鉄に賠償命じる判決が確定 韓国最高裁 | NHKニュース →太平洋戦争中の徴用問題で、韓国の最高裁が日本製鉄に賠償を命じた。1審で賠償は認めなかったが、2審で覆り、日鉄が上告していた。日鉄は「1965年の日韓請求権協定によって解決済みと認識している。判決は協定に反するもので極めて遺憾」とコメントしている。戦後処理がまだ続いている。
*** 「今日の名言」
◎安岡正篤(儒学者、思想家。1983年12月13日死去、85歳)
「一つのことを何十年と継続していけば、必ずものになる。偉い人になる必要はない。社会のどこにあっても、なくてはならない人になる。そういう生き方を考えなければならない」 「活力、気迫を旺盛にする。これが一番大事であります」 「人は生まれながらに人間ではなく、努力して学ぶから人間になれる」 「凡と非凡のわかれるところは能力のいかんではない。精神であり感激の問題だ」 「何にしびれるかによって、その人は決まる。中江藤樹は『論語』と王陽明にしびれていた。人間は本物にしびれなければならない」 「人を見る時は肩書きや経歴を全部取り払って、その人自身がどういう人間なのかを見ないといけない」 「本当のいい酒とは、よき仲間と、人生や世界を語りながら飲む酒です」 「よく一隅を照らす者にして初めて、よく照国することもできるのである。冷に耐え、苦に耐え、煩に耐え、また閑にも耐えて、激せず、躁がず、競わず、随わず、自強してゆこう」
*** 今週の教養講座(田中均講演・日本外交3つのタブー⑤)
「台湾・ウクライナ・アメリカの変化──日本が自立を迫られる時代」
最後に、現在の国際環境について話します。台湾、ウクライナ、そしてアメリカ自身の変化。これらは日本外交にとって避けて通れません。
アメリカは、トランプ政権以降、海外への軍事関与に慎重になっています。ウクライナ支援も揺れていますし、アフガニスタン撤退の混乱を覚えている方も多いと思います。シリア撤退も象徴的でした。つまり、アメリカは「世界の警察」ではなくなりつつある。
台湾についても、アメリカが確実に介入するとは言い切れません。大事なのは、介入するかしないかではなく、「介入せざるを得ない構造を維持すること」、つまり抑止です。抑止は単純な軍事力ではなく、政治・経済・外交の総合力で成り立っています。
NATO諸国も、ロシアの脅威を前に、自立的な安全保障を強化し始めています。アジアも同じです。日本は、アメリカ依存を前提にしたままでは、これからの国際環境を乗り切れません。アメリカとの同盟を強化しつつ、自らの意思で動ける余地を広げていく必要がある。
結論として、日本はもう受け身の外交では生き残れない段階に来ています。アメリカの変化を読み、地域の秩序に積極的に関与し、自らのリスクを適切に引き受けていく。そういう転換期が、いま目の前にあるということです。
