2026年2月16~20日(教養講座:夏目漱石の「私の個人主義」)
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◎メダル速報→スピードスケート女子500m 高木美帆が銅メダル獲得 | NHKニュース →今大会2個目のメダル。通算9個目で女子最多を更新。 男子デュアルモーグル 堀島行真が銀メダル | NHKニュース →今大会から採用された種目。堀島はモーグルの銅に続いて今大会2個目。
***デイ・ウォッチ(13~15日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎「国民会議」参加、慎重に判断 中道代表「首相は狙い説明を」:時事ドットコム →特別国会が18日に召集され、巨大与党になって初の論戦が展開される。与野党幹部が15日にNHK「日曜討論」に出演。自民党は「大勝したからこそ丁寧に向き合う」と低姿勢だった。当面は消費減税や責任ある積極財政の内実など経済が焦点になりそうだが、スパイ防止法や憲法改正など国論を二分するテーマを高市首相がどう打ち出してくるか。日経新聞の内閣支持率は横ばいだが、国会次第で変動しそうだ→ 高市内閣支持率、ほぼ横ばい69% 国民会議「負担増も議論を」76% – 日本経済新聞
◎ミュンヘン安保会議 隔たり際立つ欧州に米国務長官が融和姿勢 | NHKニュース →ドイツで開かれていた国際会議で、米国務長官が欧州に融和姿勢を示した。グリーンランド領有などをきっかけに欧州が米国との関係見直しを模索しているが、ルビオ長官は「われわれはともにある。あなたとわれわれの未来を深く気にかけている」と演説。EUのフォンデアライエン委員長は「とてもほっとした」と安どした。緊張関係は続きそうだが、一瞬の凪(なぎ)か。日中外相は接触せず、プロパガンダ合戦を展開した→茂木外相、中国の王毅外相を「すごい人混みで見かけなかった」…討論では王氏発言に反論 : 読売新聞
◎「日本の代わりに選ばれた」 春節で中国客が急増、囲い込み狙う韓国 | 毎日新聞 →中国人が大移動する春節の9連休が15日から始まった。日本への渡航自粛で人気が集まっているのが韓国。韓国政府も歓迎している。大手旅行サイトの集計で、中国人の海外旅行先のトップ3は①ソウル②バンコク③シンガポール。例年、上位につける日本の都市は、10位以内にも入らなかった。
◎中道 新代表に小川淳也氏を選出 階猛氏を抑える 立民出身 | NHKニュース →中道の代表に小川氏が選ばれた。49人が投票し、27対22。3人が階氏に投票すれば逆転する辛勝だ。小川氏は「君はなぜ総理大臣になれないのか」の映画の主人公として一部で著名。石破前首相のように話が少し長く、愚直で直球勝負の人柄のようだ。高松高校・東京大学の先輩である国民の玉木代表とは一味違う。
◎スノーボード男子ハーフパイプ 戸塚優斗が金 山田琉聖が銅メダル 平野歩夢7位 | NHKニュース →スノーボードが日本のお家芸になってきた。ビッグエア木村の金、木俣の銀に続いて、ハーフパイプの戸塚が金、山田が銅。親世代がスノーボードを始め、子どもたちが熱心に取り組んでいる。万事格好よく、今やスキーより人気がある。どの技がどうすごいのか。よくわからないので、見るのも大変。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎司馬遼太郎(小説家、1996年2月12日死去、72歳)
「勇気と決断と行動力さえ持ちあわせておれば、後は天に任せればよい」 「何ごとかを成し遂げるのは才能ではなく、性格である」 「人間にとって、その人生は作品である」 「人間、事を成すか成さぬかだけを考えておればよい」 「人間には志というものがある。志の味が人生の味だ」 「鋭さを表に出して歩いているような男は才物であっても二流だ。一流の人物は、少々、馬鹿に見えている」 「志を守り抜く工夫は、日常茶飯の自己規律にある」 「議論などは、よほど重大なときでない限りしてはならぬ。議論に勝ったとしても、相手の名誉を奪うだけのことである」 「相手を説得する場合、激しい言葉を使ってはならぬ。恨まれるだけで物事が成就できない」 「人の愚の第1は、他人に『完全』を求めることだ」 「日本人は均一性を欲する。大多数がやっていることが神聖であり、同時に脅迫である」 「時勢は利によって動く。議論によっては動かぬ」 「食欲と性欲と睡眠欲が3大本能として、4番目は教育する本能、教育を受けたくなる本能ではないか」
*** 今週の教養講座(夏目漱石「私の個人主義」①)
夏目漱石が1914(大正3)年11月、「私の個人主義」と題して学習院で講演しましたが、今週は「漱石流の個人主義」を考えます。漱石は近代的自我のあり方を追究した文豪。伝統的な社会から解放された「自己本位」を訴え、西洋化する文明開化期に日本人の生き方を模索しました。この講演はその核心を端的に語っています。時代背景は違いますが、世界秩序や日本社会が大きく変動している点は共通しています。青空文庫に収録されている講演を生成AIで要約した後、その思想をわかりやすく整理しました。
◎第1回 迷いの中から話を始める
私は今日、ここで偉そうに何かを説こうとしているわけではありません。実のところ、私は長い間、自分が何者であるのか、何をして生きていけばよいのか、少しも分からずに彷徨って来た人間であります。その迷いの経験を、順を追ってお話しするよりほか、今日の講演の筋は立たないように思われるのです。
私は大学で英文学を学びました。しかし、3年も専攻したにもかかわらず、文学とは何であるかが分からなかった。試験では作家の年号や著作の順序を覚えさせられ、発音や冠詞の誤りを叱られましたが、それが文学の本質だとはどうしても思えなかったのです。自分は学んでいるようで、実は何一つ掴んでいないのではないか。そんな疑いが、次第に胸の底に沈殿していきました。
それでも私は教師になりました。松山で中学を教え、熊本で高等学校を教えました。しかし教壇に立ちながらも、確信や手応えを感じませんでした。自分は教師に向いていないのではないか、そもそも自分の本領はどこにあるのか、その問いに答えられぬまま、日々をやり過ごしていたのです。
やがて私は英国へ留学しました。外国へ行けば、何かが分かるだろうと期待したわけではありません。ただ、行けと言われたから行ったのです。ところがロンドンに着いてみると、事態はさらに深刻になりました。どれほど書物を読んでも、どれほど考えても、自分の立つべき場所が見えない。私は袋の中に閉じ込められた人間のように、もがくだけでもがいていたのです。
このとき私は、初めて自分の生き方そのものに疑いを持ちました。自分はこれまで、他人の言葉、他人の評価、他人の基準をそのまま借りて生きてきたのではないか。西洋人が良いと言えば良いと思い、西洋人が偉いと言えば偉いと思う。自分自身の判断は、どこにもなかったのではないか。そう考えたとき、私はようやく、自分が「他人本位」で生きてきた人間であることに気がついたのです。
この気づきは、私にとって決して愉快なものではありませんでした。しかし、ここから抜け出さなければ、私は一生、自分の足で立つことはできない。その覚悟だけは、はっきりと胸に刻まれたのであります。
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◎五輪速報→スキージャンプ 男子スーパーチーム 結果 日本は6位 雪が強まり競技が中止 | NHKニュース →金メダル期待のジャンプスーパーチームは6位。2回目までは6位だったが、3回目で二階堂選手が飛んで2位に浮上。しかし、雪で中止となり、そのまま2回目までの結果で決まってしまった。
***デイ・ウォッチ(16日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎「竹島の日」閣僚派遣見送り 高市政権、日韓関係に配慮:時事ドットコム →22日に松江市で開かれる「竹島の日」に閣僚の派遣を見送る。高市首相は昨年秋の自民党総裁選で、「竹島の日には堂々と大臣が出ていったらいい。韓国の顔色をうかがう必要はない」と訴えていた。見送りは良好な日韓関係に配慮したものだが、「現実的」とみるか、「変節」とみるか。
◎高市早苗首相、日銀・植田総裁と会談 経済・金融情勢を意見交換 – 日本経済新聞 →高市首相と植田日銀総裁が会談した。昨年11月以来2回目。この時は25分間だったが、今回は15分間。短時間で突っ込んだ意見交換は困難で、金融市場向けの「連携デモンストレーション」といえる。「責任ある積極財政」や「消費減税」の内実をめぐって、市場は鵜の目鷹の目だ。
◎2025年の名目GDPは662兆円、5年連続の増加 物価高受けて過去最高 – 日本経済新聞 →2025年の名目GDPは前年比4.5%増の662兆円で、過去最高だった。実質は1.4%増なので、インフレで膨らんでいる。米国はGDP5%の防衛費を求めているが、単純計算なら33.1兆円。26年度当初予算の防衛費は8.9兆円なので、3.7倍に急増する。社会保障費の39.0兆円に近づく。
◎筑波大の教員が外国人への差別投稿か 大学がHPで謝罪、調査進める [茨城県]:朝日新聞 →「日本の大学に来る外国人は、だいたい能力が低く、トラブルメーカーが多い」と筑波大教員がSNSに投稿。大学が「差別的表現で敬意を欠いた」とHPで謝罪した。信じがたい投稿だが、教員にはたまにこうした人もいるようだ。
◎みずほ証券社員がインサイダー取引に関与か 証券監視委が強制調査:朝日新聞 →証券業界でインサイダー取引が相次いでいる。今度はみずほ証券。M&A業務で知り得た未公開情報で不正な取引をした模様。証券取引等監視委員会が1月に強制調査をした。公正でなければ市場は成立しない。倫理観がまひしているようだ。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎釈迦(仏教の開祖。紀元前595年?2月15日死去、80歳)
「生まれを問うな、行為を問え」 「思いわずらうな。なるようにしかならないから、今を生きよ」 「沈黙している者も非難され、多く語る者も非難され、少し語る者も非難される。世に非難されない者はいないのである」 「もし、清らかな心で生きている人がいたとしたら、幸福はその人の後に必ずついていく」 「善をなすのを急ぎなさい。善をなすのにのろのろしていたら、心は悪を楽しむようになります」 「他人の過失を見る必要はありません。自分がしたことと、しなかったことだけを見るようにしなさい」 「自分で自分を励ましてあげなさい」 「まず自分を正しく整えてから、他人に指摘しなさい。他人に指摘したことは、自分も実行しなければなりません」 「戦いにおいて、1人が1000人に打ち勝つこともある。しかし、自己に打ち勝つ者こそ、最も偉大な勝利者である」 「過去は追ってはならない、未来は待ってはならない。現在の一瞬だけを強く生きねばならない」 「最大の名誉は決して倒れないことではない。倒れるたびに起き上がることである」
*** 今週の教養講座(夏目疎石「私の個人主義」②)
◎第2回 自己本位という考えにたどりつくまで
私はロンドンで、自分が他人本位の人間であると気づいたと申しました。しかし、気づいたからといって、すぐに新しい生き方が見つかったわけではありません。むしろ、その後のほうが苦しかった。なぜなら、他人本位を捨てよと言われても、では何をよりどころに生きればよいのか。少しも分からなかったからであります。
私はそれまで、西洋の学者や批評家の言葉を、ほとんど疑いなく信じて来ました。彼らの言う「立派な文学」「正しい思想」を、そのまま自分の基準にしていたのです。しかし、それを疑ってしまうと、足元が崩れるような感覚に襲われました。頼るものがなくなったのです。
そこで私は、無理にでも自分で判断しようとしました。これは面白いのか、これは価値があるのか、自分に問いかける。しかし、その問いに答える力が、自分の中に育っていないことに、すぐ気がつきました。これまで自分は、考えているつもりで、実は考えていなかった。判断しているつもりで、実は借り物の判断を繰り返していただけだったのです。
この状態は、非常に不安なものでした。人から見れば、留学中の学者が書斎にこもって勉強しているだけの話に見えたでしょう。しかし私の内側では、これまで築いてきた価値観が、音を立てて崩れていくような感覚が続いていました。私は神経衰弱に近い状態になりました。
けれども、その苦しみの中で、私はひとつの考えに行き当たります。それは、「他人の尺度で生きることをやめるなら、自分の尺度を作るほかない」という、極めて単純な考えであります。誰かが立派だと言うから立派なのではない。自分が心から納得できるかどうか、それを基準にするしかないのではないか。私はそう考えるようになりました。
これが、私の言う「自己本位」の芽生えであります。自己本位と言うと、わがまま勝手に振る舞うことだと誤解されがちです。しかし、私が言う自己本位は、そのような軽薄な意味ではありません。むしろ、自分の内側に厳しい基準を持ち、それに耐えながら生きる態度を指しているのです。
私はこの考えにたどりつくまで、長い時間を要しました。そして、この考えにたどりついた後も、決して楽になったわけではありません。ただひとつ言えるのは、ようやく自分の足で立つ場所を、ぼんやりとではありますが、見つけ始めたということであります。
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