2026年2月16~20日(教養講座:夏目漱石の「私の個人主義」)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年2月16日号(転送禁止)~~~
◎メダル速報→スピードスケート女子500m 高木美帆が銅メダル獲得 | NHKニュース →今大会2個目のメダル。通算9個目で女子最多を更新。 男子デュアルモーグル 堀島行真が銀メダル | NHKニュース →今大会から採用された種目。堀島はモーグルの銅に続いて今大会2個目。
***デイ・ウォッチ(13~15日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎「国民会議」参加、慎重に判断 中道代表「首相は狙い説明を」:時事ドットコム →特別国会が18日に召集され、巨大与党になって初の論戦が展開される。与野党幹部が15日にNHK「日曜討論」に出演。自民党は「大勝したからこそ丁寧に向き合う」と低姿勢だった。当面は消費減税や責任ある積極財政の内実など経済が焦点になりそうだが、スパイ防止法や憲法改正など国論を二分するテーマを高市首相がどう打ち出してくるか。日経新聞の内閣支持率は横ばいだが、国会次第で変動しそうだ→ 高市内閣支持率、ほぼ横ばい69% 国民会議「負担増も議論を」76% – 日本経済新聞
◎ミュンヘン安保会議 隔たり際立つ欧州に米国務長官が融和姿勢 | NHKニュース →ドイツで開かれていた国際会議で、米国務長官が欧州に融和姿勢を示した。グリーンランド領有などをきっかけに欧州が米国との関係見直しを模索しているが、ルビオ長官は「われわれはともにある。あなたとわれわれの未来を深く気にかけている」と演説。EUのフォンデアライエン委員長は「とてもほっとした」と安どした。緊張関係は続きそうだが、一瞬の凪(なぎ)か。日中外相は接触せず、プロパガンダ合戦を展開した→茂木外相、中国の王毅外相を「すごい人混みで見かけなかった」…討論では王氏発言に反論 : 読売新聞
◎「日本の代わりに選ばれた」 春節で中国客が急増、囲い込み狙う韓国 | 毎日新聞 →中国人が大移動する春節の9連休が15日から始まった。日本への渡航自粛で人気が集まっているのが韓国。韓国政府も歓迎している。大手旅行サイトの集計で、中国人の海外旅行先のトップ3は①ソウル②バンコク③シンガポール。例年、上位につける日本の都市は、10位以内にも入らなかった。
◎中道 新代表に小川淳也氏を選出 階猛氏を抑える 立民出身 | NHKニュース →中道の代表に小川氏が選ばれた。49人が投票し、27対22。3人が階氏に投票すれば逆転する辛勝だ。小川氏は「君はなぜ総理大臣になれないのか」の映画の主人公として一部で著名。石破前首相のように話が少し長く、愚直で直球勝負の人柄のようだ。高松高校・東京大学の先輩である国民の玉木代表とは一味違う。
◎スノーボード男子ハーフパイプ 戸塚優斗が金 山田琉聖が銅メダル 平野歩夢7位 | NHKニュース →スノーボードが日本のお家芸になってきた。ビッグエア木村の金、木俣の銀に続いて、ハーフパイプの戸塚が金、山田が銅。親世代がスノーボードを始め、子どもたちが熱心に取り組んでいる。万事格好よく、今やスキーより人気がある。どの技がどうすごいのか。よくわからないので、見るのも大変。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎司馬遼太郎(小説家、1996年2月12日死去、72歳)
「勇気と決断と行動力さえ持ちあわせておれば、後は天に任せればよい」 「何ごとかを成し遂げるのは才能ではなく、性格である」 「人間にとって、その人生は作品である」 「人間、事を成すか成さぬかだけを考えておればよい」 「人間には志というものがある。志の味が人生の味だ」 「鋭さを表に出して歩いているような男は才物であっても二流だ。一流の人物は、少々、馬鹿に見えている」 「志を守り抜く工夫は、日常茶飯の自己規律にある」 「議論などは、よほど重大なときでない限りしてはならぬ。議論に勝ったとしても、相手の名誉を奪うだけのことである」 「相手を説得する場合、激しい言葉を使ってはならぬ。恨まれるだけで物事が成就できない」 「人の愚の第1は、他人に『完全』を求めることだ」 「日本人は均一性を欲する。大多数がやっていることが神聖であり、同時に脅迫である」 「時勢は利によって動く。議論によっては動かぬ」 「食欲と性欲と睡眠欲が3大本能として、4番目は教育する本能、教育を受けたくなる本能ではないか」
*** 今週の教養講座(夏目漱石「私の個人主義」①)
夏目漱石が1914(大正3)年11月、「私の個人主義」と題して学習院で講演しましたが、今週は「漱石流の個人主義」を考えます。漱石は近代的自我のあり方を追究した文豪。伝統的な社会から解放された「自己本位」を訴え、西洋化する文明開化期に日本人の生き方を模索しました。この講演はその核心を端的に語っています。時代背景は違いますが、世界秩序や日本社会が大きく変動している点は共通しています。青空文庫に収録されている講演を生成AIで要約した後、その思想をわかりやすく整理しました。
◎第1回 迷いの中から話を始める
私は今日、ここで偉そうに何かを説こうとしているわけではありません。実のところ、私は長い間、自分が何者であるのか、何をして生きていけばよいのか、少しも分からずに彷徨って来た人間であります。その迷いの経験を、順を追ってお話しするよりほか、今日の講演の筋は立たないように思われるのです。
私は大学で英文学を学びました。しかし、3年も専攻したにもかかわらず、文学とは何であるかが分からなかった。試験では作家の年号や著作の順序を覚えさせられ、発音や冠詞の誤りを叱られましたが、それが文学の本質だとはどうしても思えなかったのです。自分は学んでいるようで、実は何一つ掴んでいないのではないか。そんな疑いが、次第に胸の底に沈殿していきました。
それでも私は教師になりました。松山で中学を教え、熊本で高等学校を教えました。しかし教壇に立ちながらも、確信や手応えを感じませんでした。自分は教師に向いていないのではないか、そもそも自分の本領はどこにあるのか、その問いに答えられぬまま、日々をやり過ごしていたのです。
やがて私は英国へ留学しました。外国へ行けば、何かが分かるだろうと期待したわけではありません。ただ、行けと言われたから行ったのです。ところがロンドンに着いてみると、事態はさらに深刻になりました。どれほど書物を読んでも、どれほど考えても、自分の立つべき場所が見えない。私は袋の中に閉じ込められた人間のように、もがくだけでもがいていたのです。
このとき私は、初めて自分の生き方そのものに疑いを持ちました。自分はこれまで、他人の言葉、他人の評価、他人の基準をそのまま借りて生きてきたのではないか。西洋人が良いと言えば良いと思い、西洋人が偉いと言えば偉いと思う。自分自身の判断は、どこにもなかったのではないか。そう考えたとき、私はようやく、自分が「他人本位」で生きてきた人間であることに気がついたのです。
この気づきは、私にとって決して愉快なものではありませんでした。しかし、ここから抜け出さなければ、私は一生、自分の足で立つことはできない。その覚悟だけは、はっきりと胸に刻まれたのであります。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年2月17日号(転送禁止)~~~
◎五輪速報→スキージャンプ 男子スーパーチーム 結果 日本は6位 雪が強まり競技が中止 | NHKニュース →金メダル期待のジャンプスーパーチームは6位。2回目までは6位だったが、3回目で二階堂選手が飛んで2位に浮上。しかし、雪で中止となり、そのまま2回目までの結果で決まってしまった。
***デイ・ウォッチ(16日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎「竹島の日」閣僚派遣見送り 高市政権、日韓関係に配慮:時事ドットコム →22日に松江市で開かれる「竹島の日」に閣僚の派遣を見送る。高市首相は昨年秋の自民党総裁選で、「竹島の日には堂々と大臣が出ていったらいい。韓国の顔色をうかがう必要はない」と訴えていた。見送りは良好な日韓関係に配慮したものだが、「現実的」とみるか、「変節」とみるか。
◎高市早苗首相、日銀・植田総裁と会談 経済・金融情勢を意見交換 – 日本経済新聞 →高市首相と植田日銀総裁が会談した。昨年11月以来2回目。この時は25分間だったが、今回は15分間。短時間で突っ込んだ意見交換は困難で、金融市場向けの「連携デモンストレーション」といえる。「責任ある積極財政」や「消費減税」の内実をめぐって、市場は鵜の目鷹の目だ。
◎2025年の名目GDPは662兆円、5年連続の増加 物価高受けて過去最高 – 日本経済新聞 →2025年の名目GDPは前年比4.5%増の662兆円で、過去最高だった。実質は1.4%増なので、インフレで膨らんでいる。米国はGDP5%の防衛費を求めているが、単純計算なら33.1兆円。26年度当初予算の防衛費は8.9兆円なので、3.7倍に急増する。社会保障費の39.0兆円に近づく。
◎筑波大の教員が外国人への差別投稿か 大学がHPで謝罪、調査進める [茨城県]:朝日新聞 →「日本の大学に来る外国人は、だいたい能力が低く、トラブルメーカーが多い」と筑波大教員がSNSに投稿。大学が「差別的表現で敬意を欠いた」とHPで謝罪した。信じがたい投稿だが、教員にはたまにこうした人もいるようだ。
◎みずほ証券社員がインサイダー取引に関与か 証券監視委が強制調査:朝日新聞 →証券業界でインサイダー取引が相次いでいる。今度はみずほ証券。M&A業務で知り得た未公開情報で不正な取引をした模様。証券取引等監視委員会が1月に強制調査をした。公正でなければ市場は成立しない。倫理観がまひしているようだ。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎釈迦(仏教の開祖。紀元前595年?2月15日死去、80歳)
「生まれを問うな、行為を問え」 「思いわずらうな。なるようにしかならないから、今を生きよ」 「沈黙している者も非難され、多く語る者も非難され、少し語る者も非難される。世に非難されない者はいないのである」 「もし、清らかな心で生きている人がいたとしたら、幸福はその人の後に必ずついていく」 「善をなすのを急ぎなさい。善をなすのにのろのろしていたら、心は悪を楽しむようになります」 「他人の過失を見る必要はありません。自分がしたことと、しなかったことだけを見るようにしなさい」 「自分で自分を励ましてあげなさい」 「まず自分を正しく整えてから、他人に指摘しなさい。他人に指摘したことは、自分も実行しなければなりません」 「戦いにおいて、1人が1000人に打ち勝つこともある。しかし、自己に打ち勝つ者こそ、最も偉大な勝利者である」 「過去は追ってはならない、未来は待ってはならない。現在の一瞬だけを強く生きねばならない」 「最大の名誉は決して倒れないことではない。倒れるたびに起き上がることである」
*** 今週の教養講座(夏目疎石「私の個人主義」②)
◎第2回 自己本位という考えにたどりつくまで
私はロンドンで、自分が他人本位の人間であると気づいたと申しました。しかし、気づいたからといって、すぐに新しい生き方が見つかったわけではありません。むしろ、その後のほうが苦しかった。なぜなら、他人本位を捨てよと言われても、では何をよりどころに生きればよいのか。少しも分からなかったからであります。
私はそれまで、西洋の学者や批評家の言葉を、ほとんど疑いなく信じて来ました。彼らの言う「立派な文学」「正しい思想」を、そのまま自分の基準にしていたのです。しかし、それを疑ってしまうと、足元が崩れるような感覚に襲われました。頼るものがなくなったのです。
そこで私は、無理にでも自分で判断しようとしました。これは面白いのか、これは価値があるのか、自分に問いかける。しかし、その問いに答える力が、自分の中に育っていないことに、すぐ気がつきました。これまで自分は、考えているつもりで、実は考えていなかった。判断しているつもりで、実は借り物の判断を繰り返していただけだったのです。
この状態は、非常に不安なものでした。人から見れば、留学中の学者が書斎にこもって勉強しているだけの話に見えたでしょう。しかし私の内側では、これまで築いてきた価値観が、音を立てて崩れていくような感覚が続いていました。私は神経衰弱に近い状態になりました。
けれども、その苦しみの中で、私はひとつの考えに行き当たります。それは、「他人の尺度で生きることをやめるなら、自分の尺度を作るほかない」という、極めて単純な考えであります。誰かが立派だと言うから立派なのではない。自分が心から納得できるかどうか、それを基準にするしかないのではないか。私はそう考えるようになりました。
これが、私の言う「自己本位」の芽生えであります。自己本位と言うと、わがまま勝手に振る舞うことだと誤解されがちです。しかし、私が言う自己本位は、そのような軽薄な意味ではありません。むしろ、自分の内側に厳しい基準を持ち、それに耐えながら生きる態度を指しているのです。
私はこの考えにたどりつくまで、長い時間を要しました。そして、この考えにたどりついた後も、決して楽になったわけではありません。ただひとつ言えるのは、ようやく自分の足で立つ場所を、ぼんやりとではありますが、見つけ始めたということであります。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年2月18日号(転送禁止)~~~
◎メダル速報→ スピードスケート女子団体パシュート 日本が銅 | NHKニュース →この種目で3大会連続のメダルを獲得。これで今大会のメダルが合計19個となり、過去最多だった前回北京大会を上回った。
***デイ・ウォッチ(17日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎フィギュア ペア “りくりゅう” 金メダル 日本勢で初 三浦璃来 木原龍一 | NHKニュース →シュートプログラム5位から大逆転しての金メダル。感動が広がった。フリーは過去最高点、この種目で日本勢初の金メダル。今回五輪の最大ハイライトで、長く語り継がれそうだ。2人ともペアの相手を変えた苦労人。SPで失敗した後は、いつもと違って三浦が木村を励ました。多くの物語が報道され始めた。
◎高市首相 新年度予算案など年度内成立が必要 努力するよう指示 | NHKニュース →新年度予算の年度内成立が焦点に浮上した。高市首相が指示し、自民党が動き出した。当初は困難という見方が多かったが、国民の玉木代表は「充実審議なら排除しない」と軟化。中道や参政はスケジュールありきに反発している。自民は国民生活への支援を大義名分にしており、今後を占えそうだ。
◎自民圧勝「私のおかげ」 トランプ米大統領:時事ドットコム →トランプ大統領のディール成立。自民圧勝の情勢になって高市首相を支援すると投稿。予想通りの結果を受けて「私のおかげ」とアピールした。高市首相も「心から感謝する」と返信。トランプ大統領は高市首相に恩を売ると同時に、世界に自らの影響力を誇示できた。
◎エプスタイン氏との交友関係指摘など 財界有力者辞任相次ぐ | NHKニュース →アメリカの富豪エプスタイン氏との交友関係が、経済界を直撃している。ゴールドマン・サックスの最高法務責任者が高級バッグ受け取っていたとして辞任の意向を表明。ホテル大手ハイアット・ホテルズは16日、トーマス・プリツカー会長が関係したとして退任を発表した。波紋はさらに広がりそうだ。
◎女性検事が国など提訴 元検事正の性的暴行事件―大阪地裁:時事ドットコム →元大阪地検検事正から性的暴行を受けた女性検事が、国と元検事正らを提訴した。8300万円の損害賠償を求めている。女性検事は会見し、「検察組織の何が問題なのかを裁判の場で明らかにし、実効性のある再発防止策を講じてほしい」と涙ながらに訴えた。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎坂口安吾(小説家。1955年2月17日死去、48歳)
「孤独は、人のふるさとだ」 「すぐれた魂ほど、大きく悩む」 「人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外に人間を救う近道はない」 「悲しみ、苦しみは人生の花だ」 「個人の自由がなければ、人生はゼロに等しい。何事も人に押し付けてはならないのだ」 「日本に必要なのは制度や政治の確立よりも、先ず自我の確立だ。自分自身の偽らぬ本心を見つめ、魂の慟哭によく耳を傾けることが必要なだけだ。自我の確立のないところに、真実の道義や義務や責任の自覚は生まれない」 「恋愛は人間永遠の問題だ。人間である限り、最も主要なるものが恋愛だろうと思う」 「あらゆる自由が許された時に、人ははじめて自らの限定とその不自由さに気づくであろう」 「政治が民衆を扱うとすれば、文学は人間を扱う」 「人はなんでも平和を愛せばいいと思うなら大間違い。平和、平静、平安。私はそんなものは好きではない。不安、苦しみ、悲しみ。そういうものが好きだ」
*** 今週の教養講座(夏目疎石「私の個人主義」③)
◎第3回 自己本位と利己主義は違う
ここまでお話しして来ると、皆さんの中には、こう思われる方があるかもしれません。「自己本位などと言えば、結局は自分勝手に生きることではないのか」と。これはもっともな疑問であります。私自身も、最初はその点で大いに迷いました。しかし、私の考える自己本位は、いわゆる利己主義とは、まったく別のものであります。
利己主義というのは、要するに自分の利益だけを考え、他人の都合や感情を顧みない態度を指します。ところが、自己本位というのは、そうした浅薄な態度とは正反対の性質を持っています。なぜなら、自分を本位にして生きようとすればするほど、他人との関係を無視しては生きられないことに気づくからであります。
私は、他人本位で生きていた頃、実は他人を深く理解していませんでした。世間がどう言うか、評判がどうか。そればかりを気にして、目の前の人間を見ていなかったのです。自己本位に生きようとすると、まず自分自身に誠実でなければならない。その誠実さは、やがて他人に対する誠実さへとつながっていきます。
自分の判断を持つということは、自分の責任を引き受けるということでもあります。他人の意見に従っていれば、失敗しても言い訳が立つ。しかし、自分で決めたことは、成功も失敗も自分のものになる。この重さに耐える覚悟がなければ、自己本位は成り立ちません。
自己本位で生きる人間は、他人の自己本位も尊重せざるを得なくなります。自分が自分の内面を大切にするなら、他人もまた、それぞれの内面を持っていると認めざるを得ない。ここに、利己主義には決して到達できない、倫理的な広がりが生まれます。
私は、日本の社会が、とかく他人本位に傾きやすいことを憂えています。世間の目、空気、慣習に従うことが美徳とされ、その結果として、自分の考えを持たない風潮が強い。しかし、それでは社会全体が、借り物の価値観の上に立つことになります。これは決して健全な姿ではありません。
自己本位とは、孤立することではない。自分を確立したうえで、他人と向き合う態度であります。この違いを取り違えると、個人主義はただの利己主義に堕してしまう。その点を、私は強く申し上げておきたいのであります。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年2月19日号(転送禁止)~~~
◎金メダル速報→深田茉莉が金 村瀬心椛が銅メダル スノーボード女子スロープスタイル | NHKニュース →深田選手は19歳。冬季五輪では日本女子最年少金メダル。
***デイ・ウォッチ(18日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎第105代総理大臣に高市早苗氏選出 閣僚は全員再任 | NHKニュース 高市首相 記者会見 | NHKニュース →特別国会が開会し、高市氏が第105代総理大臣に選出された。参院では1回目に過半数に届かず、決戦投票になった。閣僚は全員が留任。当面は予算案の年度内成立が焦点。続いて消費減税の行方に関心が集まる。国論を2分する憲法改正やスパイ防止法も控えている。今後の政界は波乱含みだ。
◎トランプ大統領 日米合意基づく80兆円規模の対米投資 “第1弾を選定”と発表 | NHKニュース →対米投資の第1弾が発表された。人工ダイヤモンドの製造、米国産原油の輸出インフラ、ガス火力発電所の3件で、投資額は5.5兆円。総額約80兆円を超える規模の7%ほど。東芝やソフトバンクGなどの参加が想定されている。ウィンウィンならいいが。
◎副議長人事巡り中道混乱 小川氏、出だしでつまずき:時事ドットコム →中道も本格的にスタートしたが、衆院副議長人事でつまずいた。落選者が多く、人材不足。小川代表が立憲系に打診したが次々に断られた。元代表でまだ若い泉氏にも声をかけたが、「なぜ俺が」とSNSに投稿される始末。公明系に助けを求め、石井元代表で落ち着いた。前途多難を予感させる。
◎フィギュア女子シングル ショートプログラム 中井亜美が1位 坂本花織は2位 千葉百音は4位 | NHKニュース →りくりゅうペアの金メダルで弾みがついているフィギュアスケート。女子シングルのショートプログラムで、日本勢が1、2、4位につけた。うまくいけばメダル独占もありうる。フリーは日本時間20日午前3~7時。大注目だ。
◎伊藤忠がブックオフと資本業務提携、傘下のファミマ店舗網活用し中古品の買い取り強化 : 読売新聞 →コンビニで中古品を売ることができそうだ。伊藤忠とブックオフが提携し、ファミマの店舗網を活用するという。コンビニは消費者にとってもっとも身近な拠点。中古本の流通が活性化し、読書文化がレベルアップするのかどうか。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎ジェロニモ(アメリカ・アパッチ族のシャーマン、白人に抵抗した戦士。1909年2月17日死去、79歳)
「私たちは地球から消え去ろうとしていますが、私たちが役に立たないとは思えません。そうでなければ、神は私たちを創造しなかったでしょう。神は人間のすべての部族を創られましたが、それには確かに正しい目的があったはずです」 「私は決して降伏すべきではなかった。最後の1人になるまで戦うべきだった」 「私は風が吹き抜け、太陽の光を遮るものがない大草原で生まれました。私は囲いのない場所で生まれました」 「私も他のインディアンの女子と同様に、太陽の光で温まり、風に揺られ、木々に守られてきました。どこへでもいい気分で行けました」 「生きている間は、元気に暮らしたい」 「神が意図した人生を送り始めれば、知恵と平安が訪れます」
*** 今週の教養講座(夏目疎石「私の個人主義」④)
◎第4回 個人主義と社会との関係
ここまで私は、自己本位という考え方についてお話しして参りました。しかし、ここで必ず出て来る疑問があります。それは、「個人が自己本位で生きると、社会は成り立たなくなるのではないか」という疑問であります。個人主義が行き過ぎれば、社会はばらばらになり、秩序が崩れるのではないか。これは多くの人が抱く、もっともな心配であります。
私の考えでは、問題は個人主義そのものにあるのではありません。問題は、成熟していない個人主義にあります。自分を確立しないまま、ただ自由だけを主張する態度は、社会を壊します。しかし、自己を確立した個人が集まった社会は、むしろ健全な緊張と活力を持つようになります。
社会とは、個人の集合体であります。ところが日本では、社会が先にあり、個人は社会に従属するものだ、という考え方が根強くあります。その結果、人は社会の顔色をうかがい、自分の考えを引っ込める癖を身につけてしまう。私はこれを、たいへん不幸なことだと思っています。
個人主義というのは、社会に背を向けることではありません。むしろ、社会に対して責任を持つための前提条件であります。自分の意見を持たない人間は、社会に対しても責任を持てない。なぜなら、判断を常に他人に委ねているからであります。
自己本位に生きる人間は、社会と衝突することもあります。しかし、その衝突は、決して無意味ではありません。意見の違いが表に出ることで、社会は初めて自分の姿を省みることができる。衝突を恐れて沈黙する社会は、表面上は穏やかでも、内側では停滞していきます。
私は、個人が強くなることで、社会が弱くなるとは考えていません。むしろその逆であります。自分の頭で考え、自分の責任で行動する人間が増えれば、社会はより柔軟で、より耐久力のあるものになります。
個人主義とは、社会を壊す思想ではありません。社会を内側から支える思想であります。そのためには、各人が自己本位を貫く覚悟と同時に、他人の自己本位を尊重する度量を持たねばなりません。この両立があって初めて、健全な社会が成り立つのであります。
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◎五輪速報 →女子フィギュアは、午前6時50分ごろ終了予定。メダル独占の行方は?
***デイ・ウォッチ(19日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎米、週末にもイラン攻撃準備 トランプ氏は決断まだ―報道:時事ドットコム →米ニュースサイト「アクシオス」は18日、トランプ政権がイランとの大規模な戦争に近づいており、「間もなく始まる可能性がある」と伝えた。軍事作戦は数週間に及び、全面戦争になるという。イスラエル軍も参加する見通し。トランプ大統領は当初、平和志向だったが、今や大きく武力に傾いている。
◎iPS細胞の再生医療 世界初実用化へ 心臓病 パーキンソン病対象 厚生労働省の専門家部会 | NHKニュース →長らく期待されたiPS細胞を使った再生医療が実用化に踏み出す。了承されたのは、大阪大発ベンチャー企業「クオリプス」が開発した心臓病治療の心筋細胞シート、「住友ファーマ」のパーキンソン病治療で使う製品。本格的活用は今後の有効性の検証にかかっている。
◎普天間返還、長滑走路確保が条件 米国防総省、日本側と食い違い:時事ドットコム →普天間飛行場返還の見返りとして基地が建設されている辺野古。ここに長い滑走路がなければ、普天間を返還しないと国防総省が考えていることがわかった。日本側は「想定していない」と食い違っている。軟弱地盤が問題になっている辺野古だが、さらにこじれる可能性が出ている。
◎韓国ユン前大統領に無期懲役 内乱を首謀した罪で求刑は死刑 | NHKニュース →韓国ユン前大統領への判決は無期懲役だった。特別検察官は死刑を求刑したが、裁判所は「緻密な計画ではなかった」と減刑した。ユン氏側は控訴について、今後検討する。韓国では大統領経験者が有罪で収監され、恩赦で釈放されることが多くなっている。
◎イギリスのアンドリュー元王子逮捕、「公務中の不法行為」容疑 : 読売新聞 →英国のチャールズ国王の弟アンドリュー元王子が逮捕された。米国の富豪エプスタイン氏に英政府の機密情報を漏らした疑惑が浮上していた。逮捕は衝撃的だが、少女虐待に端を発するエプスタイン疑惑が欧米をまたいだ大スキャンダルに拡大している。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎鄧小平(1980年代の中国最高指導者。1997年2月19日死去、92歳)
「黄色い猫でも黒い猫でも、ネズミを捕るのが良い猫だ」 「(尖閣列島問題について)今の日中の我々には知恵がありません。放っておきましょう。2、3世代すぎたら賢い人が現われるかもしれない」 「中国の対外政策は、第1に覇権主義への反対、第2に世界平和の維持、第3に第三世界との団結と協力の強化である」 「国と国との関係を処理するには、平和共存五原則(領土・主権の尊重、対外不侵略、内政不干渉、平等互恵、平和的共存)が最良の方法である」 「計画経済が社会主義で、市場経済が資本主義という見方は誤っている。計画と市場はともに経済手段である。資本主義に計画があるように、社会主義に市場があってもおかしくはない」 「社会主義か資本主義かという論争をするな。物事の是非の判断は、①生産力の発展②総合国力③人民の生活向上に有利か否かを基準とせよ」 「決して指導的地位を求めるなかれ」 「知識を尊重し、人材を尊重する」 「控えめな姿勢をとることに長けよ」 「我が方の能力を隠し、好機を待て」
*** 今週の教養講座(夏目疎石「私の個人主義」⑤)
◎第5回 それでも私が個人主義を語る理由
さて、ここまで自己本位や個人主義について、あれこれと申し上げて来ましたが、最後になぜ私がこのような話を、わざわざ諸君の前でするのか、その理由をお話ししておきたいと思います。私は、自分の個人主義を、完成した理想として差し出すつもりはありません。私自身、今でも迷い、疑い、時には後戻りしながら生きている人間であります。ただ、はっきり言えるのは、他人本位で生きていた頃の自分には、もう戻りたくないということです。
他人の評価や世間の空気に従って生きている限り、人は楽であります。しかしその楽さの裏には、必ず不安が潜んでいます。自分で判断していない以上、いつか拠り所が崩れるからです。私がロンドンで経験した苦しみは、まさにその不安が一気に噴き出した結果でありました。
私は、日本がこれからますます個人主義の時代になると思っています。西洋の制度や思想を取り入れ、表面だけは近代国家の形を整えました。しかし、その中身、すなわち個人のあり方については、まだ十分に消化されていない。だからこそ、自由と放縦、個人主義と利己主義が混同され、混乱が生じるのです。
私が言いたいのは、個人主義は決して楽な思想ではないということです。自己本位で生きるとは、自分の弱さや矛盾から逃げないことであります。自分で決め、自分で引き受け、その結果に耐える。これは非常に骨の折れる生き方です。しかし、その苦労を引き受けない限り、人は本当の意味で自由にはなれません。
また、自己本位を貫く人間は、他人の生き方にも寛容になります。自分が苦しみながら自分を作っているからこそ、他人もまた同じ苦しみを背負っていると理解できる。その理解の上に立ってこそ、初めて健全な社会が生まれると、私は信じています。
私は諸君に、無理に個人主義者になれとは申しません。ただ、他人の価値観を無批判に受け入れる前に立ち止まり、自分はどう考えるのかを問い直してほしい。その問いを持ち続けること自体が、すでに個人主義への第一歩であります。私の話が、諸君が自分自身の立つ場所を考える、ささやかなきっかけになれば、それで十分であります。私はそのことだけを願って、今日の話を終えることにします。
