12月2~6日(教養講座:河合隼雄の「働きざかりの心理学」)

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***デイ・ウォッチ(11月29~1日)

維新 吉村洋文新代表 共同代表に前原誠司氏起用など幹部人事をきょう中に決定へ 党勢回復できるかが課題 | NHK →維新の代表戦は予想通り、吉村氏が圧勝した。与党でも野党でもない「大阪政党」のイメージから、どう脱却できるか。大阪府知事の任期が2年以上も残っているが、どうするのだろうか。共同代表に前原誠司氏が就任したが、どう動くのか。少数与党の緊迫した政治状況だけに、目が離せない。

湛山引用「相互に協力」訴え 石破首相「少数与党」踏まえ―所信表明演説:時事ドットコム  →石破首相は所信表明演説で石橋湛山元首相の言葉を冒頭と最後で引用した。「力を合わせるべきことについては相互に協力を惜しまず」。戦前、領土拡張を批判した小日本主義者で、武力より言論を重んじた自由主義に共鳴している。65日の短命内閣でもあったが・・・。きょうから代表質問。

水道水のPFAS濃度 過去4年間に14か所で目標値超える 国が調査 | NHK | 健康 →有害物質とされ、関心が高まっている有機フッ素化合物「PFAS」。1日夜のNHKスペシャルが特集。米3M社は2000年に生産を止めたが、日本のダイキンは社内研究者の警告にも関わらず最近まで生産していた。海外では水道水に混じっていた地域の疫学調査で高い死亡率がわかり、規制の動きがあるが、日本政府は明確な証拠が不十分と慎重だ。住民の不安に応えない無責任体質さと告発していた。コレステロール値が高くなり、心血管疾患が多いという。

「能動的サイバー防御」法整備へ提言まとめる 政府有識者会議 | NHK | サイバー攻撃 →サイバー防御は時代の要請だが、民間の通信情報を政府が収集・分析できるようにするので、運用次第では国民の権利が侵害されかねない。活動を監視する独立した機関の設置を求めた。国民のチェックが必要な施策だ。

日本テレビHD 系列4社 札幌テレビ 中京テレビ 読売テレビ 福岡放送 来年4月に持ち株会社のもとで経営統合 | NHK | 北海道 →地方局の苦況で、かねて必要性が指摘されていたテレビ局の経営統合。日本テレビグループが先行し、札幌、名古屋、大阪、福岡の各局が経営統合する。合理化という「守り」だけでなく、コンテンツ充実の「攻め」もできるかどうか。他局の再編加速は必至だ。

ラグビー 100回目の「早明戦」 早稲田大が接戦制し6年ぶり優勝 | NHK | #ラグビー →100回目の早明ラグビーはシーソーゲームの大熱戦。最後は怒涛の明治の攻撃を早稲田がライン外に押し出してノーサイド。3点差で逃げ切り、17年ぶりの対抗戦全勝優勝となった。大学選手権決勝で再戦になれば、また楽しめる。

*** 「今日の名言」

山田太一脚本家2023年11月2日死去、8

「自分の中の欠点みたいなものは、絶対、財産です」 「マイナスの経験をした人は有利です。してない人は、人の気持ちが分からなくなっている」 「生きていくことは限界を受け入れることであり、あきらめを知ることでもある。ネガティブなことではありません」 「僕にとって深く他人というものを教えてくれたのは女性です。男と女の間にはどうにも超えられないものがある。どんなに仲良くしても他者、ずっと他者だということを教えてくれる」 「前に進むことだけが幸福ではない」 「我々が現実を失って見当ちがいのことをして不幸になることは、結局、自分が何を欲しているのかわからなくなってるということでもあるのでしょう」 「人の幸福を自分の幸福観で裁かない方がいい。裁きたいのも人情だから、ほどほどには仕方がないけれど、それは生理の必要でしているぐらいに思って丁度いいのではないか」 「人間なんてほんとうにどうしようもないものなんだ、という認識が基本になければいけないと思います」

*** 今週の教養 (河合隼雄の働きざかりの心理学①)

今週は心理学者の河合隼雄(1928~2007)の著書「働きざかりの心理学」(新潮文庫)から紹介する。刊行は1981年。高度成長が終わり、石油ショックに揺れる時代で、バブル景気の始まる前だ。終身雇用の時代だが、今と比べた共通点と相違点を考えながら読むと、味わい深い。

◎疲れる「働きざかり」  30歳過ぎの会社員が相談に来た。会議中に急に動悸が高まってきて、「死ぬかもしれない」と思うほどの状態になった。様子の激変に同僚も驚いて、救急車を呼んでくれた。ところが医者の診断では、別に異常なところはない。元気になり、その後は何事もなく仕事を続けた。ところがしばらくして同様の発作が起こり、以前と違う医者に行くと、あっさり「心臓神経症」と言われたという。

この人と話しあってみると、会社の経営方針についての批判をとうとうと述べる。批判というより非難、不満に近い。会社の批判は世の中全般へと拡大され、世の中の人たちは利益ばかりを追求して大切なことを忘れている、自分のためばかりを考え、他人を蹴落とすことなど何とも思っていない、などなど。勢いのいい話し方に接していて、私はふと大学1、2年生の姿を思い浮かべた。我こそは正義の味方であり、世の中はすべてダメだという勇ましい姿も、大学生あたりだと様になるが、30歳の人ではあまりピッタリこない。

自分の人生に意見や責任を持つとき、人間はそれほど簡単に正義の旗ばっかりは降っておられないものだ。働き盛りの人は何らかの意味で責任を負わされる。会社においても家庭においてもそうである。責任を持つということは、光と影との両面を背負うことである。影の方ばかりを見て、世の中こんなものであると割り切るのも馬鹿げているが、矛盾を背負うことによって疲れてくる人もある。あちらが痛い、こちらがだるいと訴える働き盛りの人は、案外多いものである。これらの人は働き盛り、つまり大人になる関門を越えられず、青年期の間に成し遂げておくべき課題を引きずったままにしているので、疲れてくるのである。そのような人は、過去を振り返って自分の弱点を補強し、大人の世界に参入する努力をしなければならない。

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***デイ・ウォッチ(2日)

流行語年間大賞に「ふてほど」 。トップテンに「50-50」や「裏金問題」 など| NHK →流行語年間大賞は「ふてほど」。番組名の「不適切にもほどがある!」ならわかるが、「ふてほど」はどこまで定着しているのだろうか。その他は「裏金問題」「界隈」「初老ジャパン」「新紙幣」「50-50」「Bling-Bang-Bang-Born」「ホワイト案件」「名言が残せなかった」「もうええでしょう」。

秋田市のスーパーに居座り3日目のクマ、やっと捕獲 : 読売新聞 →県庁所在地の秋田市に出没したのが驚き。現場は港に近く、山から遠いことも驚き。スーパーの中にい続けたことがさらに驚きだ。日本各地でクマの出没が相次いでいるが、有効な対策は乏しい。出没する地域は神経をとがらせている。

マイナ保険証利用促進で健康保険証 新規発行停止  でも疑問いろいろ | NHK →何かと話題のマイナ保険証。わからないことが多かったが先日、病院で登録したら、あっという間にできた。マイナンバーカードも含めて法律で義務化すればいいようにも思うが、プライバシー問題で政府の信用が低く、進まない。悲しいことだ。

米大統領、次男を恩赦 政治対立理由に姿勢一変:時事ドットコム→バイデン大統領が息子の恩赦に署名した。罪は銃の不法所持と脱税で、「しない」と明言していたが、退任前の駆け込みとなった。トランプ氏は批判しているが、同氏も前回退任前、陣営関係者を恩赦している。日本の司法はいろいろ批判されるが、米国の方がよほど政治的、身内主義で、「法の下の平等」がない。

トランプ氏 アラブ・中東担当大統領上級顧問 娘の義父起用へ | NHK  →トランプ氏は親族をせっせと新政権の主要ポストに起用。長女の義父をフランス大使にしたのに続き、次女の義父を大統領上級顧問に抜擢する。縁故主義は英語で「ネポティズム」という。日本の世襲政治家は一応、選挙の洗礼を受けている。アメリカの民主主義は大丈夫なのか。

兵器製造大手、昨年は増収 ウクライナ侵攻背景、日本企業も好調:時事ドットコム →世界の緊張激化が、防衛産業を潤している。世界の上位100社の収益は、2023年で前年比4.2%増。日本企業は三菱重工、川崎重工など5社入っているが、同35%増と伸び率は大きい。東アジアは防衛バブルの様相だ。

*** 「今日の名言」

◎韓愈(中国唐代の文人。824年12月2日死去、56歳

「彼は人なり、我らも人なり。我何ぞ彼を畏れんや(彼も我も同じ人間だ。恐れるに足りず。人にできることが自分にできないはずがない)」 「千里を走る名馬の候補はどこにでもいるが、その馬を発見して育てあげられる人物はそうそういない」 「学問には姿勢と勤勉さが必要であり、物事を研究するのに終わりはない」 「力を量りてこれに任じ、才を度(はか)りてこれに処す(その人の力量を考えて適材適所に任じ、その能力を測って相応に扱いなさい)」 「一生を洗い流してくれるのは、ただ酒だけである」 「先生は常に聖人がなるとは限らない。孔子曰く『あなた方が三人組なら、その中に必ず先生がいるだろう』。必ずしも弟子が先生より劣っている必要はない。先生が弟子より立派である必要はない。真実を教わることに歳の上下はない。どの領域にも専門的な知識技術がある。ただそれだけのことだ。17歳の少年でも、よく知っていれば教えることができる」

*** 今週の教養 (河合隼雄の働きざかりの心理学②)

◎虫が好かぬ関係  職場の中に「虫が好かぬ」人間がいて、不愉快なことがある。初めて顔を合わせた時、なんとなく虫の好かぬ奴だなあと思ったが、まさにその通り。表面的には普通に付き合っているのだが、その人のすることなすこと、腹に据えかねる感じがして、イライラしてくる。誰しも経験されるであろう。

日本語の「虫が好かぬ」という表現は、なかなか味のある言葉で、私とかあなたとかではなく、虫を主語にしているところが面白い。嫌いは嫌いだが、自分にとってはもう一つ訳がわからないという感じがうまく出ている。訳のわからないままにしておくのではなく、もう一歩踏み込んで考えた人は、虫の好かない相手のすることは何でも嫌になる。そんな時は、イライラするのはどんな時だろうかと思い巡らしてみることである。

30代の働き盛りの会社員Aさんは、虫の好かぬ同僚についてあれこれ思い巡らしているうち、その同僚が部長と話し合っている態度が一番気に入らないらない事に思い至った。「なんだあのへつらった態度は」と思った途端、Aさんは笑い出してしまった。あれは俺の姿そのものではないかと思ったからである。と言ってもAさんは、上司にへつらう人というのではない。そんなことをするものかと拒否しつつ、やはりへつらう気持ちも心の底には結構存在しているものだなと気づいたわけである。

Aさんはこのことに気づいてから、その同僚を見ると、それほど嫌でもないし、以前に感じたほど別に上司にへつらうような人物にも見えなかった。結局、虫の好かない関係は解消されたが、一緒に飲んだ時、実は最初の頃は嫌な奴だと思っていたのだが、と告白すると、相手もAさんに対して、実は僕もそう思っていたのだと言って、大笑いになったのであった。虫の好かない相手は、自分があまり気づいていない影の部分を拡大して写してくれる鏡のようなものである。だから相手をよくよく観察し、少し余裕を持った気持ちで見ていると、自分のことにハッと気づくことがある。

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***デイ・ウォッチ(3日)

韓国大統領が「非常戒厳」宣言 すぐに解除 韓国政治が混迷| NHK  →韓国のユン大統領が3日夜、非常戒厳を突然宣言し、一切の政治活動を禁止した。戒厳軍も出動したが、国会が与野党一致で解除を議決、ユン大統領は4日未明に解除した。少数与党で支持率が低迷し、政府官僚の弾劾訴追が相次いで国政が停滞していた。これを打破しようと奇策に出たが、失敗した。与党も批判しており、政治的混乱は必至だ。

トランプ氏、日鉄の買収「阻止」明言 就任前の承認けん制も:時事ドットコム →トランプ氏が当選後、初めて明言した。買収計画は、米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)による安全保障上の審査を受けており、月内に期限を迎える見通し。大統領に就任すれば起訴を取り下げる国だから、もう買収は不可能ではないか。ビジネスの自由度がどんどん低くなっていく。

野村証券、役員10人が報酬返上 元社員の強殺未遂で – 日本経済新聞 →不祥事が相次ぐ金融界。野村証券の役員が報酬を返上した。対策として、管理職が営業に同席する、訪問前後に電話をするというが、なんか変だ。風通しのいい職場を目指した方がいいだろう。かつて幹部らは「野村証券には清冽な地下水が流れている」と豪語していたが、見る影もない。

衆院代表質問 政治とカネで論戦   NHK  参院代表質問 「年収103万円の壁」見直しめぐり 石破首相「丁寧に議論を進める」  | NHK  →代表質問が衆参両院で開かれているが、太い見出しの立つニュースは少ない。石破首相が「ていねいに議論したい」などと踏み込まないためだ。企業献金は最高裁判決でも認められているというが、ソ連という共産主義大国が存在して「自由主義経済を守る」という大義名分があった。一方、税金で賄う政党交付金はなかった。前時代の判決を持ち出すのは根拠が弱い。有識者で議論するというが、誰を選ぶかで結論が決まってくる。

ベルサイユ賞 広島 下瀬美術館が「世界で最も美しい美術館」に | NHK | 広島県  →広島県大竹市の美術館が国際的な賞を受賞した。瀬戸内海から着想を得たカラフルな展示室と周囲の景観が調和し、水に浮く独創的な展示室が評価されたという。建築家の坂茂さんが設計し、去年3月に開館。日本と西洋の近代絵画など約500点を収蔵している。新名所になりそうだ。

*** 「今日の名言」

◎フランシスコ・ザビエル(スペインの宣教師。1552年12月3日死去、46歳

「日本の人々は今までに発見された国民の中で最高である。親しみやすく、一般に善良で、悪意がない。驚くほど名誉心の強い人々だ」 「日本人こそ一番良い発見であった。キリスト教以外の宗教を信仰する民族の中で、日本人に勝てる他の民族はいない」 「日本の人々のなんたる温かいことか。礼儀作法はもとより文化、風俗、習慣はスペイン人に優っている。日本人ほど理性的で親切な人々を私は世界中を旅してきたなかで見たことがない」 「大部分の人々は貧しいが、武士も、そういう人々も貧しいことを不名誉とは思わない」 「人々の大半が読み書きの能力を備えている。神の法を理解させるのに、とても便利である」 「すべての仏僧には戒律を破る相手となる少年がいて、そのことを認めているうえに、それを罪ではないと言い張っている。世俗の人たちは僧侶の例にならい、僧侶がそうするのだから、我々もまたそうするのだと言っている」

*** 今週の教養 (河合隼雄の働きざかりの心理学③)

◎つき合いの難しさ  夜遅く帰ってきた夫が妻に言い訳がましく「どうも付き合いでね」ということは多いのではないか。妻は心の中で「好きなことをしてきたくせに、ごまかそうとしている」と思うこともあろう。しかし同僚たちに「つき合いの悪い奴」と目されると、人間関係が上手くいかず、仕事に支障をきたしてくることもある。職場の人間関係は機能と心情的な結びつきによっているが、バランスがなかなか難しい。欧米の会社と比較すると、日本における心情的な比重は相当大であると考えられる。

Aさんはつき合いを大切にする人である。同僚が飲みに行こうと言うと、必ず一緒に行く。上司が休日ゴルフに誘うと、喜んでやってくる。ところがつき合いで少しずつ無理が生じてくる。飲んで喋っているうちに、その場にいない人の悪口を言いだし、言わずもがなまで言ってしまう。帰宅して悪口を言いすぎたと思って電話で訂正してみたり、それとなく悪口を言った当人のご機嫌を伺ったりしなくてはならない。人間はあちらにもこちらにもつき合いよくはできないのである。つき合いにエネルギーを取られすぎて、肝心の仕事が疎かになってくることもある。そうなると職場での評判も悪くなりがちで、ますます付き合いに精を出さねばならない。こんな悪循環を繰り返している。

Aさんはある日、大変ショックを受けることがあった。夜遅く帰ってきたAさんに中学生の息子が「お父さんはいいね、毎日飲んだり麻雀したりで」と言ったのである。妻もまったく賛成という顔でいる。Aさんはつき合いをしても会社であまりうまくいっていない。家でまで嫌味を言われ、全く立つ瀬がない。Aさんはよくよく考えているうちに、つき合いに精力を費やしている最大の理由は、自分の自信のなさにあると気づいた。ほうっておかれるのが怖いのである。Aさんは仕事で他人に負けないようになろうと決心した。自分の仕事に自信をもってくると、不思議なことにつき合うべき時と必要のない時がよく見えてくる。いろんなつき合いが、自分を活かすのか、殺すのかを再点検してみるのもいいではないだろうか。つき合いに個性を埋没してしまうのは残念なことである。

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***デイ・ウォッチ(4日)

韓国で一時「非常戒厳」、野党はユン大統領の弾劾議案を提出 | NHK  →驚きの戒厳令。与党は弾劾議案に反対だが、側近の辞意や国民の反発で、ユン大統領は辞任に追い込まれる可能性もある。まれにみる親日政権だったが、トランプ大統領の登場とあいまって、日韓米関係の漂流は必至。喜ぶのは中国、ロシア、北朝鮮。世界の秩序はいたるところで流動化している。

玉木代表、役職停止3カ月 不倫問題で処分、辞任せず―国民民主:時事ドットコム →国民民主党の顔で「時の人」だった玉木氏だが、3ヶ月間は表舞台から消える。「収入103万円の壁」をめぐる与党との協議はこれからで、発信力低下は避けられない。突然脚光を浴びた弱小政党だが、今回はトップを失う悲哀が目立った。

小中理数、高水準を維持 中2は数学4位、理科3位 トップはシンガポール・23年国際調査:時事ドットコム  →小学校4年と中学2年のテスト。小4の算数は5位で前回と同じ、理科は2つ下がって4位。中2は数学4位、理科3位で前回と同じだった。「高水準維持」で喜べばいいのか、「シンガポールを抜こう」と号令をかければいいのか。難しいところだ。

元検事 堀田力さん死去 90歳 ロッキード事件捜査 退官後は福祉財団を運営 | NHK →テレビにもよく出ていた堀田さん。ロッキード事件捜査の検事、法務省官房長の官僚から、福祉の世界に転じた異色の人だった。ともにロッキード事件捜査をした松尾邦弘元検事総長は「自由な発想で社会に貢献する姿勢を貫いた」という。批判が強まっている現在の検察に対するコメントを聞きたかった。

医師の中村哲さん銃撃から5年 アフガニスタンの用水路で通水式 | NHK | アフガニスタン →中村哲さんは日本の歴史に残る偉人ではないだろうか。アフガニスタン人にも慕われ、友好のシンボルでもある。中村さんや被団協のような存在が、日本の安全保障になると考えたい。「今日の名言」で2日間にわたって紹介したい。

*** 「今日の名言」

◎中村哲①(医師、アフガニスタンで長年支援活動。73歳

「大事なのは、与えられた場所でいかに力を尽すか。深く考えないようにしながら、その時、その時の仕事に全力で取り組んでいる」 「絶対に必要なものは多くはない。変わらずに輝き続けるのは、命への愛惜と自然に対する謙虚さである。その思いをとどめる限り、恐れるものは何もない」 「やっぱり、目の前で困っている人を見捨てるわけにはいきません」 「一隅を照らす。もはやそれ以外に自分の生きざまも考えられなくなっていた」 「どの場所、どの時代でも、一番大切なのは命です。子どもを亡くした母親の気持ちも世界中同じです。親の気持ちは痛切です。そういう命に対する哀惜、命をいとおしむという気持ちで物事に対処すれば、大体誤らないのではないかと私は思っております」 「地元の人が何を求めているか、そのために何ができるか、生活習慣や文化を含めて理解しないと」 「我々は日本政府から1円の援助も受けていません」 「来る日も来る日も治療していくが、追いつかない」

*** 今週の教養 (河合隼雄の働きざかりの心理学④)

◎劣等感とのつきあい方  劣等感はどうも始末におえない。何かの加減ですごく腹が立って、馬鹿げた怒り方をしたものだと思ったりする時、よく考えてみると、自分の劣等感が関わっていることに気づく。同僚と雑談している時、ある人は英会話がよくできる、たいしたものだという話題になると、急にムキになって「英会話が出来たからと言って大した人間とは決まってないよ」と言い、場をしらけさせてしまう。こんな時、英会話に劣等感を持っていることが多い。いや自分はそんなことはない、英会話のできる人を尊敬しているという人もあろう。しかし、尊敬する度合いが過ぎていることが多いようである。劣等感の存在は、人間の平静心を失わせるので、判断が狂ってしまうのである。

劣等感の原因には2種類ある。努力によって克服できるものと、できないものがある。英会話なら努力すれば克服されてくる。しかし、背の低いことや自分の職業に劣等感を持つ人などは、努力によって変更することができない。背の低いAさんは「自分は背が低いが、人間が小さいと言われないようにしよう」と思った。背の低い大人物は存在する。他の人ならせこせこするような時でも、努力を積み重ねた。そのうちに周囲の人もAさんを認め出し、大きい人間として扱うようになってきた。劣等感の原因でくよくよするより、そこから派生する自分のできることを探し出し、努力を続けることが、遅いようで早い劣等感克服の道になるように思われる。

深い劣等感はなくならないものかもしれない。しかし、よく考えながら付き合っていると、新しい努力を始める起爆力となったり、思いがけない自分の欠点に気づかせてくれたりする。それは普段は何かと困らせることが多いが、いざという時に思いがけない良い忠告を与えてくれる不思議な友人のようなものである。実際我々は、付き合いがたい劣等感という友人とのつき合いを通じて、人を愛することを学んでいくようである。

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***デイ・ウォッチ(5日)

韓国 ユン大統領の弾劾議案 7日採決で調整 与党から8人造反なら可決 | NHK →ユン大統領の弾劾議案採決は、7日夜の見通しだ。与党は反対を表明したが、8人造反すれば可決する。国民の7割が弾劾賛成という世論調査も発表された。非常戒厳の指示を出した国防相は罷免され、国民の運動も盛り上がっており、ユン包囲網は刻々と強まっている。

フランス 発足2か月半で内閣総辞職 後任の首相選び難航か | NHK | フランス →先進国の政治が揺れている。フランスでは62年ぶりという内閣不信任案が可決され、少数与党のバルニエ内閣は2か月半で総辞職した。任命したマクロン大統領の求心力の低下は必至だ。先進国は連立、少数与党、不信任がキーワードになりつつある。経済低迷、格差拡大、貧困層拡大も共通点だ。

日本酒 焼酎 泡盛など 日本の「伝統的酒造り」ユネスコの無形文化遺産 登録決定 | NHK | 兵庫県 →酒の販売にとどまらず、地域おこしと観光でも追い風になるニュース。500年以上前に確立した製法で、工程は、米や麦などを蒸す、こうじを作る、もろみを発酵させるなど。間違いなく世界に誇れる伝統技術だ。

ビットコイン、10万ドル突破 規制緩和期待で高騰:時事ドットコム →暗号資産・ビットコインの人気が沸騰している。今年1月に米証券取引委員会(SEC)が投資信託の取引を認可。暗号資産に好意的なトランプ大統領の当選で高騰。SEC委員長に推進派を起用し、沸騰している。単なるバブルか、新通貨・新商品として定着するのか。「脱ドル」の期待からプーチン大統領が歓迎しているというから、国際政治もからんでいる→「脱ドル」を呼び掛け ビットコイン称賛―ロシア大統領:時事ドットコム

共同通信、編集局長ら6人更迭 靖国神社参拝巡る誤報で – 日本経済新聞 →生稲外務政務官が靖国神社を参拝していたという誤報を流し、佐渡金山の世界遺産イベントに韓国側が参加しなかった一件。更迭された編集局長は当時、配信責任者のニュースセンター長だった。国際関係にまで影響する誤報も珍しい。他社と分担取材した結果だが、現場の取材協力は今後見直されるだろう。

*** 「今日の名言」

◎中村哲②(医師、アフガニスタンで長年支援活動。73歳

「誰も行かぬなら、我々が行く」 「道で倒れている人がいたら手を差し伸べる。それは普通のことです」 「信頼関係が武器よりも大切なこと」 「信頼は一朝にして築かれるものではない。利害を超え、忍耐を重ね、裏切られても裏切り返さない誠実さこそが、人々の心に触れる。それは、武力以上に強固な安全を提供してくれ、人々を動かすことができる。私たちにとって、平和とは理念ではなく現実の力なのだ」 「私たちにとっての国際協力は、一方的に何かをしてあげることではなく、人々とともに生きることであり、それを通して人間と自らを問うものである」 「アフガニスタン人は良くも悪くも宗教的な人たち。ひとつの文化です。われわれは日本語をしゃべり、味噌汁を飲み、下駄で歩く。宗教はそれに近いものがある」 「アフガンの人たちは、親日感情がとても強い。我々は宗教というものを、大切にしてきました」 「戦争をしている暇はない」 

*** 今週の教養 (河合隼雄の働きざかりの心理学⑤)

◎陽の当たらない場所  Bさんは仕事熱心な人である。有能で入社以来、常に表街道にいた。同僚より早く課長になり、張りきっていた時、結核になってしまった。「今時、あなたのような年齢で結核になる人は珍しいですね」と医者に言われ、休職になった。思いがけない病気で急に陽の当たらない場所にゆかねばならなくなった。人間誰しもそのようなことを一生のうちに何度か体験するのではなかろうか。我が国では、個人の能力や個性より、全体のバランスを考慮する。能力から考えると本部の課長になるのが適切でも、年齢とか他との釣り合いを考慮して、支店勤務に回されることもある。このような時、その人がいかに生きるかによって、その人の人生行路が決定的に決まることがある。

我々心理療法家は、人生の分岐点でつまずき、さらに落ちてしまったような人に会うときがある。酒に溺れてアルコール中毒になったり、競輪や競馬で借金を作ったり、転落の道はいくらでもある。きっかけは気の毒な事情もよくある。部下の使い込みの責任をとって左遷されたとか、昇進の道をあくどい中傷で絶たれてしまったとか。同情すべき、全くの不運としか言いようがないこともある。しかし考えてみると、人生行路が陽の当たるところばかりということもありそうにない。誰しも不運に泣く時はあるが、それをどう受け止めるかという点に差が生じてくる。

Bさんは病気の宣告を受けて悲観したが、不思議なことに、心の片隅で何だかホッとしているような感じがあった。帰宅して病気のことを妻に告げたが、妻も同じように感じたという。主治医に話してみると、「そういう人は案外多いんですよ」という返事が返ってきた。医者は「一度ゆっくり休めということですな」と付け加えた。復職後のBさんは焦らなかった。陽の当たらない場所であったが、そこから見る世界は、陽の当たる世界とは異なる趣があった。人の親切も前よりよくわかるようになった。周りは「Bさんは病気をして人間が一回り大きくなった」と評した。こうなってくると、また陽の当たる場所へと呼び戻されることになろう。そうなっても彼は、陽の当たる場所にいる者だけが人であるような、馬鹿げた態度で人に接するようなことはないだろう。