11月17~21日(教養講座:高市成長戦略の死角)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年11月17日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(14~16日)
◎中国外務省 日本への渡航自粛呼びかけ 「台湾有事」で高市発言に反発 | NHKニュース 中国教育省 日本への留学 慎重に呼びかけ | NHKニュース →台湾有事をめぐる高市首相の答弁が習近平主席の琴線に触れたようだ。アヘン戦争以来の屈辱、日清戦争で台湾を日本に割譲、国共合作・内戦を経た中華民国の誕生、日中平和条約にある「中国は1つ」・・・。台湾をめぐる歴史は重い。これに対し、首相答弁は軽すぎた。大阪総領事の不適切発言はあるが、首相答弁とは次元が違う。勇み足発言なので、さっさと撤回するのが国益だ。勇ましい対応をするほど悪影響が広がる。
◎東京デフリンピック開幕 日本で初の開催 聴覚障害者の国際大会 | NHKニュース →デフリンピックは日本初開催で、知名度が低かったが、1924年にフランスで始まった。81の国・地域などから3081人の選手が参加。21競技209種目が、東京、福島、静岡で開かれる。金含む19個のメダルを獲得している競泳・茨隆太郎選手と8個の卓球・亀澤理穂選手の2人が炬火台に火をともした。
◎イオンにクマ、2時間半 けが人なし、吹き矢で駆除―秋田:時事ドットコム →クマがイオン店内にまで出没した。秋田県能代市でのできごとで、従業員らが家具でバリケードを築き、麻酔吹き矢で眠らせて駆除した。クマの被害は連日、全国各地で発生している。里山だけでなく、市街地中心部でも見られ、どこにいても危なくなっている。
◎「被害者夫の考え方、嫌」 逮捕の女供述、地検が鑑定留置―名古屋主婦殺害:時事ドットコム →名古屋の主婦殺人事件で、動機につながりそうな供述がやっと出た。被害者の夫との女性や子育ての考え方が嫌だったという。夫は心当たりがないようだが、何気ない一言が相手を傷つけることはある。捜査当局は鑑定留置を決めた。ほとぼりを冷まし、精神状態を慎重に見極める狙いだろう。
◎大谷翔平選手 大リーグのMVPを受賞 3年連続4回目 | NHKニュース →大谷選手のMVPは3年連続、4回目。すべて満票と圧倒的だ。受賞回数は、バリー・ボンズの7回に次いで歴代に2位になった。毎シーズン記録ずくめで、たくさんの記憶を残した。来シーズンも楽しませて欲しいと日本人全員が望んでいる。
*** 「今日の名言」
◎坂本龍馬(幕末の志士。1867年11月15日暗殺、31歳)
「人の世に失敗ちゅうことは、ありゃせんぞ」 「人として生まれたからには、太平洋のように、でっかい夢を持つべきだ」 「おれは落胆するよりも、次の策を考える人間だ」 「わずかに他人より優れているというだけの知恵や知識が、この時勢に何になるか」 「事をなさんとすれば、智と勇と仁を蓄えねばならぬ」 「万事、見にゃわからん」 「金よりも大事なものに評判というものがある。世間で大仕事をなすのにこれほど大事なものはない」 「議論に勝っても、人の生き方は変えられぬ」 「慎重もええが、思いきったところがなきゃいかん。慎重は下僚の美徳。大胆は大将の美徳」 「時勢に応じて自分を変革しろ」 「偏見を持つな。相手が幕臣であろうと乞食であろうと、教えを受けるべき人間なら俺は受ける」 「我、初めて西郷を見る。その人物、茫漠としてとらえどころなし。ちょうど大鐘のごとし。小さく叩けば小さく鳴り、大きく叩けば大きく鳴る」 「時勢は利によって動く。議論によっては動かぬ」 「日本を今一度、せんたくいたし申候」 「世の人は 我を何とも 言わば言え 我が成す事は 我のみぞ知る」
*** 今週の教養講座(高市成長戦略の死角①)
高市首相肝いりの日本成長戦略会議が始動した。タカ派・保守派で知られる高市首相の特徴は、「個人」より「国家」を前面に出すことにある。危機管理や安全保障が軸で、国民や企業がわくわくするような内容は乏しい。会議で配布された「総合経済対策に盛り込むべき重点施策」を生成AIに読み込ませ、対話しながら課題を考えてみた。
第1回 危機対応一辺倒の成長戦略――人間不在の国家デザイン
政府の成長戦略会議がまとめた方針は、「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」を掲げている。AI、半導体、量子、造船、防衛、エネルギーといった17の戦略分野を指定し、「供給力の抜本的強化」「官民による複数年度投資」「経済安保推進法の活用」を軸に据えた壮大な構想だ。資料には「世界共通の課題解決に資する製品・サービスを提供することで、我が国経済の成長を実現する」とある。
しかし、この力強い文言の陰に、「生活」や「人間」という言葉はほとんど見当たらない。成長の定義が「供給力」「競争力」「官民投資ロードマップ」といったマクロ経済指標に終始し、個人や地域の暮らしがどのように改善されるのかの説明がないのである。
AIや半導体は国際競争の要であり、エネルギー安全保障や防衛産業の強化も不可欠だ。だが、「危機管理」という名のもとに、国家が再び「上からの成長モデル」を描こうとしている点には危うさがある。危機に強い国家は必要だが、その礎を支えるのは一人ひとりの安定した生活である。
文書では、「税率を上げずとも税収を増加させる好循環の実現を目指す」と明記されている。だが、これは企業の収益増を前提とした発想であり、家計の可処分所得や生活の充実が基盤にない。経済が成長しても、生活が追いつかない構造のままでは、国民は「豊かさの実感」を持てない。
本来、危機管理投資とは「人を守るための投資」であるはずだ。防衛装備や半導体生産を支援する前に、災害時に命を守る地域インフラや医療・介護体制を強化すべきではないか。経済の強靱化は重要だが、「生活の強靱化」こそが、真の国力である。国家の成長戦略が再び「人間不在の構想」にならぬよう、政策の軸を「暮らしの安心」に置くべき時である。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年11月18日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(17日)
◎中国、G20で高市首相と会談せず 習政権、首相発言で強硬姿勢誇示:時事ドットコム →高市発言の波紋が広がっている。22日からのG20で李強首相と会談できるかが焦点と言われたが、あっさり断られた。習近平主席ら中国首脳陣は常に歴史的な視点で考えている。アヘン戦争の屈辱から脱し、栄光の中華文明を取り戻そうとする人にとって「台湾」は最後のピース。内政干渉めいた発言には断固とした姿勢を示す必要がある。過去の言動も踏まえて高市政権を変える方向で動いても不思議ではない。「日本政府の立場は変わっていない」という弁明では通用しない。タカ派政権の大きな試練だ。撤回しない限り、影響は長期で官民の広範囲に及ぶ。東京株式市場では、航空や小売などインバンド銘柄が軒並み下がり、民間イベントも延期になった→ 株価 日中関係悪化懸念で売り注文も | NHKニュース 北京で開催予定の日中有識者フォーラムが延期 中国側から通告 | NHKニュース
◎生活保護2.5%引き下げ案了承 全額支給案も併記―厚労省専門委:時事ドットコム →生活保護費をケチる理由はないはずだが、政府はとにかく抑えたいようだ。最高裁で引き下げに違法判決が出た問題。原告は全額支給を求めていたが、厚労省の専門委は2.5%引き下げる案を了承した。原告とそれ以外に差をつける案も盛り込んだ。生活保護は最後のセーフティーネットで、総額もそれほど大きくない。政治は弱い立場の人のためにこそあるはずだが。
◎GDP7月~9月 6期ぶりにマイナス 実質の伸び率マイナス1.8% | NHKニュース →トランプ関税の影響で、7~9月のGDPが、6期ぶりにマイナスになった。自動車の輸出が減り、住宅投資も落ち込んだ。個人消費は辛うじてプラスとなったが、力強さはない。政府は総合経済対策を検討中だが、どこまで効果があるか。
◎N党・斉藤氏が離党発表:時事ドットコム →NHK党は自然消滅しそうだ。唯一の国会議員である斉藤健一郎参院議員が離党を発表した。立花党首の逮捕で党運営が混乱した責任を取ったと説明している。斉藤氏は「離党後も立花氏との政策連携は変わらない」と強調したので、別の党に変えて生き残る可能性もあるが、立花党首の影響力低下は必至だ。
◎無免許で列車運転 養老鉄道に幹部解任命じる手続き通知 国交省 | NHKニュース →無免許で列車を運転する事態が発覚、国交省が幹部の解任を命じた。岐阜県と三重県を走る養老鉄道で、20歳代の社員が「運転したい」と申し出て、今年6月と7月の2回、乗客のいる列車を16分間運転した。解任命令は鉄道事業法に基づく。検査データを改ざんしたJR北海道に対する2014年の1例だけ。
*** 「今日の名言」
◎小林一茶(俳人。1827年11月19日死去、64歳)
「金がないから何もできないという人間は、金があっても何もできない人間である」 「他の富めるを うらやまず、身の貧しきを 嘆かず、ただ慎むは貪欲、恐るべきは奢り」/「やせ蛙 負けるな一茶 これにあり」 「梅が香や どなたが来ても 欠け茶碗」 「やれ打つな 蝿が手をすり 足をする」 「ずぶ濡れの 大名をみる 炬燵かな」 「人の世は 地獄の上の 花見かな」 「初夢に ふるさとをみて 涙かな」 「雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る」 「われと来て 遊べや親の ないすずめ」 「大根引き 大根で道を 教へけり」 「ともかくも あなたまかせの 年の暮」 「名月を とってくれろと 泣く子かな」 「うつくしや しょうじの穴の 天の川」 「露の世は 露の世ながら さりながら(露のようなこの世だとはわかっているが、それでも我が子の死はあきらめきれない)」
*** 今週の教養講座(高市成長戦略の死角②)
第2回 技術国家の影――格差を広げる成長の果実
新戦略では、AI・量子・フュージョンエネルギー・バイオなど先端技術分野を「成長の中核」と位置づけ、「官民による戦略的投資の促進」「国際標準化戦略」「スタートアップ支援」が列挙されている。国家として技術覇権競争に打って出ようという強い意思が読み取れる。
「技術国家化」は、同時に社会の分断を深める危険をはらむ。AIや半導体を扱う研究者・大企業は巨額の支援を受ける一方、地方の中小企業やサービス業には波及しにくい。政策文書のどこを探しても、こうした「格差拡大リスク」への言及は見当たらない。
AI分野では「行政現場でのガバメントAI実装」「AIロボティクス開発」「生成AIの開発・実装を一体的に支援」とあるが、それが医療・教育・地域防災といった生活分野でどのように活用されるのかは曖昧だ。AIを行政効率化の道具にするだけでは、公共サービスは機械的になり、現場の人間的判断が失われる。技術の進化は「誰のための進化か」を問わねばならない。
「量子コンピュータ、量子暗号通信、量子センシングの研究開発を加速」とあるが、それを支える教育や人材基盤への投資規模は明示されていない。必要なことは、「テクノロジーの民主化」である。AIや量子を少数の企業の利益ではなく、医療・教育・地域インフラに活かす方向に再設計することだ。科学技術が「生活を豊かにする文化」へと昇華しない限り、国家の成長は数字の上だけの繁栄に終わる。技術の光を社会全体に行き渡らせる政治的構想力が問われている。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年11月19日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(18日)
◎外務省担当局長 中国側と協議 日本の立場説明 | NHKニュース →習近平主席は台湾統一を自らの歴史的使命と信じている。トランプ政権の関税引き下げにも屈しない習主席が、外務省局長の説明程度で妥協する気はない。二階氏らの親中派や中国政府にパイプを持つ公明党がいない今のタカ派政権は、有効な打ち手がない。高市発言を撤回しない限り、日中関係の悪化は年単位で続く覚悟が必要だ。高市政権のつまずきの始まりになるだろう。
◎日韓共同訓練見送り 防衛交流停滞に懸念:時事ドットコム →韓国との関係も怪しくなっている。日本側が竹島周辺を飛行した韓国機への給油を断ったが、韓国側は13~15日に東京都内で行われた「自衛隊音楽まつり」への軍楽隊参加を取りやめ、今度は日韓共同訓練を見送った。韓国と対立していては東アジアの安全保障も心もとない。ここでもタカ派政権は分が悪い。
◎株価 1600円以上の大幅値下がり 節目の5万円を割る 円と債券も下落 | NHKニュース →日本市場がトリプル安に見舞われた。米国株の下落を引き金に日本株は今年2番目の下げ幅を記録した。積極財政への懸念が高まって円と債券も売られ、金利が上昇した。市場は高市政権の経済対策に厳しい視線を投げかけている。
◎高市早苗首相、日銀の説明「了解」 植田和男総裁と初会談 – 日本経済新聞 →高市首相と植田日銀総裁が初会談。首相は利上げに否定的で、金融政策も政府が責任を持つ姿勢を強調していたが、この日は具体的な注文をしなかったようだ。そうであれば日銀の独立性を重視する健全な姿勢で、利上げのハードルも低くなったと言える。利上げすれば円高になり、物価も下がるサイクルになる。
◎大分市 火事 170棟以上延焼と発表 70代男性と連絡取れず | NHKニュース →大分市佐賀関で大規模な火災が発生した。170棟以上が延焼し、70代の男性と連絡が取れない。午前5時現在、消火活動が続いている。被害はさらに広がる可能性がある。
◎愛子さま ラオス公式訪問 国家主席を表敬訪問 親善行事に | NHKニュース | 皇室、ラオス →海外で初の単独公務。ラオスは親日的で、学校建設などで日本の経済援助も実績もある。行く先々で歓迎され、穏やかな表情で応じている。フランスからの独立を記念した凱旋門、金色の仏塔「タートルアン」などが日本人にも身近になる。
*** 「今日の名言」
◎斎藤茂太(精神科医、随筆家。2006年11月20日死去、90歳)
「夢中で生きることを生きる目的にしてみよう」 「人はけなげな人に、手を差しのべる」 「他人と自分を比べてしまうのは、しょうがない。ただ、幸せを他人との比較で決めるのは、もうおやめなさい」 「あなたが幸せかどうかは、あなたの気持ち次第」 「自分を幸せにできる人は、人も幸せにできる」 「大切なのは倒れないことより、すぐ起き上がることである」 「場所を変えるのではなく、自分自身が変わること」 「悲観的になるのは、自分のことばかり考えているから」 「いま何がないかより、いま何があるかで発想しよう」 「人の顔を美しくする最高の美容術は、笑いである」 「感動こそがストレスに負けない最大の秘訣、長生きのコツ」 「自分のない人ほど、自分を主張する」 「効率や損得にとらわれると、人間が小さくなる」 「本当に有能な上司は、部下にも自分にも適度に甘い」 「人生に失敗がないと、人生を失敗する」
*** 今週の教養講座(高市成長戦略の死角③)
第3回 人への投資なき成長――働くことと生きることの分離
今回の成長戦略は、あらゆる分野で「供給力の強化」を掲げる。その延長線上で、労働市場改革やリスキリング(学び直し)が挙げられているが、その目的は明快だ。すなわち、成長産業への労働移動を促し、国際競争に耐えうる生産体制をつくることである。ここには「人間の幸福」「働く喜び」という視点が乏しい。人材は「供給要素」として扱われ、学び直しは「労働移動の手段」として位置づけられる。
文書では「人材育成の在り方を協議する場を全国各地に設置」とあるが、その議論が地域の教育現場や家庭の実情に即したものになる保証はない。スキル再教育や検定拡充の前に、学ぶ時間と余裕を失った働く人々の現実に目を向ける必要がある。育児・介護支援策も「離職防止」「人材確保」といった経済的表現で語られる。家族を支える時間や、働く人の心の安定を保障する仕組みが欠かれたままでは、労働移動も現実的ではない。成長戦略とは本来、「人の生き方の質」をどう高めるかの設計でなければならない。
政府が「複数年度にわたる予算コミットメント」を成長分野に集中させる一方で、教育・保育・介護分野の予算は依然として短期的な枠にとどまる。このねじれを放置すれば、社会は「設備は潤い、人間は乾く」構造に陥る可能性がある。経済の真の強さとは、人が疲弊せずに働き、家族を守り、再び学ぶことができる社会に宿る。人間への投資を国家戦略の中心に据えなければ、日本の成長は数字の上だけで終わりかねない。
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***デイ・ウォッチ(19日)
◎中国、水産物輸入再び停止へ 高市首相発言受け強硬姿勢に:時事ドットコム →中国政府の対応がエスカレートしている。日本経済への打撃は大きくなるばかりだ。高市首相の支持率が高いためか、野党から高市発言の撤回要求がほとんど出ないが、撤回はタダでできる。撤回すれば、中国は大義名分を失う。政治はメンツだが、経済は実利。メンツで飯は食えない。経済団体は声を上げたい。
◎防諜機関が対日威嚇 邦人摘発強化も―中国:時事ドットコム →国家安全省が邦人の摘発を強化する可能性がある。これまでも理由不明で拘束されることがあったが、習近平主席への忠誠競争でより厳しくなりそうだ。中国在住のビジネスパーソンは細心の注意が必要だ。ビジネス危機にとどまらず、「生存の危機」になっている。
◎新潟県 花角知事 柏崎刈羽原発の再稼働 容認する方向で検討 | NHKニュース →再稼働に対する意見は割れていたが、新潟県の花角知事は同意する見通しになった。県民調査などを慎重に進めてきたが、地元振興に1000億円規模の資金援助も追い風になったようだ。再稼働できなければ窮地に陥る東京電力も一息つく。しかし、東電に対する地元の不信は強い。
◎企業献金規制、国公が法案提出 立民同調、自民に包囲網:時事ドットコム →国民民主と公明が企業献金規制法案を提出した。立憲も同調の見通し。厳しい規制を主張してきた維新の対応が問われるが、賛成しないようだ。政策より、連立入りした政治的事情を優先するようだ。
◎東京市場 長期金利上昇 財政政策への警戒感から国債売る動き | NHKニュース NY市場 円相場 1ドル=157円台まで値下がり | NHKニュース 株価 小幅に値下がり “AI関連銘柄が割高か”との見方から | NHKニュース →トリプル安が続いている。株は米国の影響が大きいが、金利と為替は、大規模な経済対策への警戒感がある。せっかくの経済対策の効果も日中関係の悪化で吹っ飛びそうだ。スタートダッシュのよかった高市政権だが、暴風雨状態に入っている。なぜか政権当事者の危機感は伝わってこない。
◎野球 明治神宮大会 高校 九州国際大付初優勝 大学 青学が2連覇 | NHKニュース →高校の部は、九州国際大付属が11対1で神戸国際大付属に圧勝。センバツ大会で九州地区に1枠が加わる。大学の部は、青山学院大が立命館大を4対0で完封し、史上6校目の2連覇を達成した。大学野球は青学の黄金時代と言えそうだ。
*** 「今日の名言」
◎ジョン・F・ケネディ(アメリカ第35代大統領。1963年11月22日暗殺、46歳)
「人は死に、国は興亡するかもしれない。しかし思想は生き続ける」 「今、我々に必要なのは勇気である!」 「大きな失敗を恐れない者だけが、偉大なことを成し遂げる」 「変化とは人生の法則である。過去と現在しか見ない人は、確実に未来を見失う」 「1人の有権者が民主主義に対して無知であることは、あらゆる安全を低下させる」 「国があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国のために何を成すことができるのかを問うてほしい」 「もし自由社会が、貧しい多数の人々を助けることができなければ、富める少数の人々も守ることができないだろう」 「互いに相違点があることは認めよう。たとえ今すぐ相違点を克服できないにしても、少なくとも多様性を認められるような世界を作る努力はできるはずだ」 「富は手段であり、その目的は人間である。物質的な富は、人間の向上のために用いられなければ意味がない」 「知識が増すほど、われわれの無知が明らかになる」
*** 今週の教養講座(高市成長戦略の死角④)
第4回 地方の沈黙――中央主導の成長はもう限界だ
資料では、「地域未来戦略の検討」「GX戦略地域としての産業クラスター形成」が掲げられている。だが、具体的な施策を読むと、地方が主体的に政策を決める仕組みは見当たらない。投資先を決めるのは国、補助金を受け取るのは地方。中央主導の構図は変わっていない。
地方が抱える課題――人口減少、医療空白、交通網の衰退、地域商業の消滅――は、国家の成長分野ではなく「生活の分野」に属する。だが、資料にはそうした生活圏的課題への直接的投資はほとんど記されていない。地方を「産業集積の舞台」として扱う発想では、地域再生は生まれない。
本当に必要なのは、地域が自ら「生きる経済」を設計することだ。たとえば、地産地消エネルギー、地域通貨、自治型福祉など、生活単位の循環を支える仕組みである。国家が設定した「成長モデル」に従うのではなく、地域住民が描く「生活モデル」を支える支援が必要だ。
中央集権的な投資配分を続ける限り、地域格差は固定化する。政策の文面に「地方創生」と書かれていても、実態が「地方動員」であれば、やがて人も企業も離れていく。地方を再生する鍵は、国家からの自立である。中央が設計する成長ではなく、地域が描く幸福の経済へ。それこそが真の地方創生ではないか。
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***デイ・ウォッチ(20日)
◎経済対策21.3兆円 物価高など補正予算、コロナ後最大の17.7兆円:時事ドットコム →きょう決定する経済対策は、コロナ禍以降で最大となる。事業規模21.3兆円、補正予算17.7兆円。当初はそれぞれ17兆円、14兆円を想定していたが、「責任ある積極財政」の掛け声で膨れ上がった。物価高対策では、電気・ガス料金を3カ月間、一般家庭で7000円を補助。今夏の3000円から引き上げる。自治体が使い道を決められる交付金を拡充、おこめ券などを発行できる。子ども1人当たり2万円の児童手当を上乗せ支給する。財政悪化への警戒感から、国債金利は上昇気味だ。財源のない国債発行で辞任に追い込まれた英国女性首相の「トラス・ショック」を記憶しておきたい。
◎駐日米大使「首相を支持」 中国の強硬姿勢を非難:時事ドットコム →高市発言に対する米国の態度はあいまいだったが、グラス駐米大使が「高市首相支持」を明言した。トランプ大統領は習近平主席と近いとみられ、日本支持を明確にしていなかった。グラス氏は「中国による挑発的発言と経済的威圧は極めて非建設的で、地域の安定を損なうものだ」と中国を非難している。
◎山上徹也被告、母親は「統一教会に関しては理解しがたい」 : 読売新聞 →安倍元首相を銃撃した山上被告が裁判で無念の心境を吐露した。母親について「基本的には悪い人ではないと思っていますが、統一教会に関することでは理解しがたいことが多々ありました」「あれほど多額の献金さえなければ、それで良かったと思います」。有為な青年が育児放棄で転落したと言うしかない。
◎新潟 柏崎刈羽原発で東電社員がテロ対策関連の秘密文書を不適切管理 | NHKニュース →東電の不適切行為がまた明らかになった。東電社員がテロ対策関連の秘密文書を保管場所から許可なく持ち出してコピーし、自分の机で保管していた。原子力規制庁が検査に入る。新潟県知事はきょう、再稼働容認を表明する予定だが、こんな状態でできるのだろうか。
◎自民 安全保障関連の3文書改定へ 党内で議論を開始 | NHKニュース →安保政策の見直しに通じる安保3文書の改定協議を自民党が始めた。これまでは公明党という歯止めがあったが、今は自民と考え方の近い維新との連立で、大胆な変更を目指している。焦点は武器輸出の拡大と非核3原則の見直し。厳格な吟味が必要だが、「東アジアの安全保障環境の変化」を合言葉に「何でもOK」となりそうだ。
*** 「今日の名言」
◎樋口一葉(小説家。1896年11月23日死去、24歳)
「切ない恋の心は尊きこと、まるで神のようです」 「恋とは尊く、あさましく、無残なものです」 「世の中にあるおかしくて、あやしく、のどかで、やわらかで、悲しく、おもしろいものとは、恋でしょう」 「恐ろしきは、涙の後の女子(おんな)心なり」 「色に迷う人は迷えばいい。情に狂う人は狂えばいい。この世で一歩でも天に近づけば、自然と天が機会を与えてくれるでしょうから」 「身を捨てたつもりになれば、世の中のこと、なにも恐ろしいことはない」 「行く川の水のように、人生にも順調なときと停滞するときがあるでしょう。悪いことばかりではありません」 「上っていく道のりはたとえ違っても、最後にたどり着くところは、自分も人も同じではないでしょうか」 「皆さまが野辺をそぞろ歩いておいでのときには、蝶にでもなってお袖のあたりに戯れまつわりましょう」 「この世が滅びない限り、私の詩は人の命となっていくでしょう」
*** 今週の教養講座(高市成長戦略の死角⑤)
第5回 安全保障経済化の行方――暮らしを守る力とは何か
成長戦略の中核にあるのは、経済安全保障の拡大である。「半導体、レアアース、人工呼吸器、船舶部材などを特定重要物資として指定し、生産基盤強化を支援」と明記されている。一見、供給網の安定を狙う合理的施策だが、国家による経済統制の拡大も意味する。
経済安保の名の下に、国家が市場の配分に介入すれば、政策の優先順位が軍事・技術・防衛分野に偏る危険がある。生活分野(医療、教育、福祉など)は収益性が低いとして後回しにされ、国民生活の基盤が脆弱化しかねない。投資判断が安全保障の名目で政治化すれば、経済の自由と透明性が失われる。
真の安全保障とは、食料、医療、教育、防災といった「生活の安全」を守ることではないか。高価な装備よりも、災害時に医療を受けられる体制、孤立せずに暮らせる地域ネットワークの方が、人々の命を確実に支える。国家の安全と生活の安全を切り離す発想そのものが時代遅れといえる。
危機に強い国家を築くなら、同時に「暮らしに強い社会」を構築しなければならない。経済安全保障を「人間安全保障」に再定義し、生活基盤の再生をその中核に据える。これこそが、危機の時代における本当の成長戦略である。
