2026年3月2~6日(教養講座:カーニー・カナダ首相のミドルパワー演説)
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***デイ・ウォッチ(27~1日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎アメリカとイスラエルがイランに攻撃 イラン側は報復 衝突の拡大懸念 | NHKニュース 最高指導者ハメネイ師死亡 イランではインターネット遮断も | NHKニュース →米国とイスラエルがイランを攻撃、ハメネイ師を殺害した。中東覇権の野望を持つイスラエルを米国が全面的に支援して体制転換を公言。米国は「世界の警察官はやめる」と言っていたが、ベネズエラズ攻撃に続いて「狙撃手(スナイパー)」になった。警察官は手続きが必要だが、スナイパーなら米議会も無視して勝手にできるかのようだ。世界の独裁者は米国の諜報力とピンポイントの殺傷力に恐怖しているだろう。イランは中東全域の米軍基地中心に反撃しているが、どこまで余力が残っているか。双方で多くの血が流れている。
◎日本の原油輸入に打撃 ホルムズ封鎖なら、空路にも影響:時事ドットコム →現時点で最大の焦点は、短期で終わるか、長期の泥沼になるか。平和志向から武力の虜になったトランプ大統領の判断とイランの国内情勢にかかっている。日本への影響はまず原油。ホルムズ海峡の航行不能が続けば、原油高と円安でインフレが進む。金融市場の動揺も予想される。長期化すればトランプ大統領は日本にも参戦を求め、高市首相は断れない。「存立危機事態だ」と積極的に参戦し、国内引き締めのタカ派政策を強引に実行するかもしれない。戦後の世界秩序は完全に崩壊する。
◎米ニューヨーク・タイムズ紙社説がトランプ大統領を痛烈批判 – Yahoo!ニュース あえて戦争を選択、米とイスラエルは得難い好機をつかみに行ったか – BBCニュース →ルールより力を重視するアメリカの無法ぶりは極まった。欧米メディアは暴挙と激しく批判している。高市首相はベネズエラに続いて邦人保護を強調するばかり。「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」を目指すというなら、骨太で見識あるコメントを発信すべきだろう。
◎トランプ氏 アンソロピックのAI技術 政府機関使わないよう指示 | NHKニュース →AI新興企業アンソロピックと米国防総省が対立、トランプ首相は同社の技術を使わないよう指示した。同社は国民監視や兵器に使わないように条件を出したが、国防総省はすべての用途での使用を求めていた。同省はオープンAI社と新たに契約した。意に沿わない会社を排除する政権の姿勢を示している。
◎消費減税、今秋の法案提出目指す 「国民会議」立・公に呼び掛け―首相:時事ドットコム →衆議院の予算委員会が3日間の日程で始まった。消費減税は秋に法案提出を目指すとしたが、給付付き税額控除も話し合う国民会議の行方ははっきりしない。予算委は一問一答なので、首相の真意も垣間見える。3万円のカタログギフトは結婚式の御祝儀を参考にしたというが、冠婚葬祭と政治は違うはず。
◎名鉄百貨店が閉店 71年の歴史に幕、再開発時期未定:時事ドットコム →名古屋駅前の顔だった名鉄百貨店が閉店、71年の歴史に幕を閉じた。一帯を再開発する予定だったが、昨年12月に人材不足などを理由に入札が宙に浮いている。名物として親しまれている巨大なナナちゃん人形は、再開発の中断でそのまま存続することになった。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
曽野綾子(小説家。2025年2月28日死去、93歳)
「いい人をやめると楽になる」 「人間は誰でも、自分の専門の分野を持つことである。小さなことでいい。自分はそれによって、社会に貢献できるという実感と自信と楽しさを持つことだ。そうすると不正確で取るに足らない人間社会の順位など、気にならなくなる」 「理想どころか、平均値も求めないことだ。平均とかいう表現は慎ましいようでいて、時々人を脅迫する」 「友達をいい人か、悪い人か、に分けているうちはだめなのですね」 「努力家は、自分は正当なこと、立派なことをしていると思い込んでいるから、他人も自分と同じようにすること、他人が自分に感謝と称賛を送ることを必ず心の中で要求している」 「最悪の人間関係は、お互いに人の苦しみには関心がなくて、自分の関心にだけ人は注目すべきだと感じることである」 「貧困こそ、我々の中の卑怯さと残忍さを露呈し増幅する」 「誰でも最後はひとり。私たちは、この寂しさとどう向き合えばよいのか」
*** 今週の教養講座(カナダ・カーニー首相のミドルパワー演説①)
イラク攻撃で世界秩序が激しく動揺しているが、カナダのカーニー首相が今週、来日する。カナダは、隣国アメリカのトランプ大統領から圧迫を受けている。世界の有識者らが集まる今年1月のダボス会議で、同首相は「原則と現実―カナダの進む道」と題して演説し、強い関心を呼んでいる。ルール中心の国際秩序はもう戻らないと指摘、ミドルパワー(中堅国)が連携して新たな秩序をつくるべきだと提言した。イラン攻撃で演説の重要性は増している。首脳会談でも話題になるだろう。演説の世界全体に関わる部分を中心に紹介する。
第1回 世界秩序の断絶と虚構の維持という構造
本日私は、私たちが直面している現実を率直に語りたいと思う。私たちはいま、世界秩序の崩壊、そして快適な物語の終焉のただ中にいる。国際政治は、かつてのように制約された枠組みの中で動いてはいない。大国間の競争は激化し、地政学はほとんど制限を受けずに展開されている。ルールに基づく秩序は衰退し、強者は可能なことを行い、弱者はそれに耐える。これは抽象的な予測ではなく、私たちが日々目にしている現実である。
このような環境の中で、多くの国は摩擦を避けるために従順を選び、波風を立てないことを優先する。妥協し、問題を起こさず、迎合することで安全を得ようとする。しかし私ははっきり申し上げたい。それは安全を保証しない。むしろ私たちは、現実の本質を見誤る危険に近づく。
ここで私は、ヴァーツラフ・ハヴェル(元チェコ大統領)の洞察を思い起こす。彼は、なぜ体制が存続するのかを問い、八百屋の例を示した。店主は信じてもいない標語を掲げ続ける。誰も信じていない。だが彼は掲げる。なぜなら、従順であることを示し、トラブルを避け、体制の中で生きるためだ。そして他の人々も同じことをする。だから体制は続く。
ここに重要な真実がある。制度の力は真実から生まれるのではない。真実であるかのように振る舞う意思から生まれるのである。だが同時に、その力は極めて脆い。たった一人でも演技をやめれば、幻想は崩れ始める。
私はいま、この比喩を私たちの世界に向けて語っている。国家も企業も、秩序が理想通り機能しているかのように振る舞い続けてきた。理念と現実の隔たりを知りながら、儀式に参加してきた。しかしその時代は終わりつつある。私たちは看板を外さねばならない。そこからしか、新しい選択は始まらないのである。
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