2026年7月21~24日(教養講座:AI時代のビジネスの視点㊦)
~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年7月21日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(17~20日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎スペインが優勝 4大会ぶり2回目 アルゼンチンとの延長制す メッシは無得点 | NHKニュース →スペインの堅守がメッシを封じ込んだ。この日も無得点に抑え、大会を通じて1失点。アルゼンチンはレッドカードによる退場が響いた。長い大会もこれで終わるが、目立ったのは商業主義。五輪もそうだが、アメリカが絡むとおかしくなる。FIFA会長の報酬は大会収益に連動するという。それでトランプ大統領にゴマをすりまくっていたのか、と納得。日本の優勝にはスパースターが不可欠と感じた。
◎衆院本会議 今国会の会期 25日まで8日間延長を議決 | NHKニュース →皇室典範や国旗損壊罪など国論を二分する法案が次々と成立したが、維新がこだわる副首都法案が積み残しとなった。会期を25日まで延長する。維新の希望通りに成立するかどうか。皇室典範は評判が悪く、早くも改正を求める声も出ている。「静謐な火種」だ。
◎内閣支持率53%に下落 :朝日新聞 厳しさ増す有権者の目 高市内閣支持率が急落 毎日新聞世論調査 | 毎日新聞 →高市内閣の支持率が急落している。朝日は前月比7ポイント減の53%、毎日は同10ポイント減の41%で初めて5割を割った。いずれもあわせて聞いた皇室典範改正の評価が低い。皇室典範にこだわってきた麻生氏は、高市首相を支える理由もなくなった。その他の法案や党内や維新、国民民主など情勢をにらみながら、次の仕掛けを考えるだろう。
◎米 9日連続イラン攻撃 イラン外相「世界はイランの強さ認識」 | NHKニュース →米国とイランの戦闘が1週間以上も続いている。イランのアラグチ外相は「世界はイランの強さを認識した」と余裕の口ぶり。米国はベトナムやイラクの教訓から学んでいるのだろうか。オバマ大統領の実績を上回りたいというトランプ大統領のエゴが混乱を招いている。
◎英労働党のバーナム党首 イギリスの新首相に就任 国王が任命 | NHKニュース | イギリス →日本やイタリアのように首相がよく変わる英国。次の首相にバーナム氏が就任した。マンチェスターの前市長で、労働党の下院議員。人気の秘密は「どこまでも親しみやすい人柄」と『イングランド北部の王』として「地方重視の政治姿勢」だったという。国政で力を発揮できるか。
◎高校野球 去年全国制覇の沖縄尚学 北北海道の白樺学園 宮崎の日南学園 3校が甲子園出場決定 | NHKニュース →夏の甲子園に早くも3校が名乗りを上げた。沖縄尚学は2連覇を目指す。センバツ優勝の大阪桐蔭は敗退した。今後、続々と決まるが、酷暑も本格化するので、心配になってくる。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎河合隼雄(心理学者。2007年7月19日死去、79歳)
「視野を広げるために一番大事なものは、道草、ゆとり、遊び」 「ゆっくりと寄り道をすればいい。道草の途中には、きっと小さな幸せが落ちています」 「幸福のために頑張っても幸福は逃げ、目の前の一人の人のために一生懸命になると幸福が訪れる。それが幸福の面白さなんですね」 「自分の持っている器量とか決断力をもっと信じなきゃ。信じて開発しなきゃ」 「今の人は、みんな何かしなければと思い過ぎる」 「『右もダメ、左もダメ』と思ったときには、『いっぺん、ボーっとするか』というくらいのつもりでいると、答えが生まれてくることもあるのではないでしょうか」 「会社という道。家庭という道。それぞれが別の道であることをもっと意識することです」 「愛情とは、関係を断たぬことである」 「人を信用できないのは、つまりは自分を信用していないから」
*** 今週の教養講座(AI時代のビジネス視点⑤)
第5回 デジタル・ツイン経営― 「もう一つの会社」をAI空間につくる時代
「未来を正確に予測できたら」と考えたことがない企業経営者はいないだろう。新工場を建設したら生産性はどう変わるのか。新商品を発売したら売れ行きはどうなるのか。社員を増やしたら利益は伸びるのか。これまでは経験や勘、過去のデータをもとに判断するしかなかった。しかしAI時代には、その意思決定の方法が大きく変わろうとしている。その中心となる考え方が「デジタル・ツイン経営」である。
「デジタル・ツイン(Digital Twin)」とは、現実の世界をデジタル空間に忠実に再現し、その仮想空間でさまざまなシミュレーションを行う技術を指す。「ツイン」とは「双子」という意味であり、現実世界とデジタル世界に2つの会社が存在するようなイメージである。
この考え方はもともと航空宇宙産業で発展した。エンジンや人工衛星の状態をリアルタイムでデジタル空間に再現し、故障を予測したり、最適な運用方法を検討したりするために活用された。その後、IoTやAIの進歩によって製造業へ広がり、現在では物流、医療、都市計画、小売業など幅広い分野で導入が進んでいる。
例えば工場では、設備の稼働状況や温度、振動、電力消費などのデータをリアルタイムで収集し、デジタル空間に「もう一つの工場」を再現する。AIはそのデータを分析し、「この部品は2週間後に故障する可能性が高い」「生産ラインを変更すれば生産性が5%向上する」といった予測を行う。従来のように故障してから修理するのではなく、故障する前に対策を講じられるため、生産効率と品質が大きく向上する。
近年では、「会社全体」をデジタル・ツイン化しようという動きも始まっている。営業活動、在庫、財務、人事、顧客動向などを統合し、AIが企業全体の状況を分析するのである。もし新規出店したら利益はどう変わるか、価格を変更したら売上はどう動くか、採用人数を増やしたら将来の人件費はどうなるか――こうした経営判断を事前にシミュレーションできる時代が近づいている。
この技術は経営者にとって極めて大きな意味を持つ。従来は「経験豊富な経営者ほど判断力がある」と言われてきた。しかしAI時代には、経験だけでなく、膨大なデータをもとに複数の未来を比較検討できるようになる。もちろん最終判断は人間が行うが、その判断材料は飛躍的に充実する。
デジタル・ツイン経営にも課題がある。現実を正確に再現するには、高品質なデータが欠かせない。不正確なデータを入力すれば、AIが導き出す結論も誤ったものになる。また、市場の急激な変化や消費者心理のように、数値だけでは捉えきれない要素も少なくない。AIは未来を「予言」するのではなく、「可能性」を示す存在であることを理解する必要がある。
歴史を振り返れば、企業は会計帳簿によって過去を記録し、統計分析によって現在を把握してきた。AI時代には、デジタル・ツインによって未来を予測する時代へと歩み始めている。これは経営学における大きな転換点と言える。
今後、競争力を持つ企業とは、勘だけで経営する企業ではない。現実世界とデジタル世界の双方を活用し、複数の未来を比較しながら最適な意思決定を行う企業である。デジタル・ツイン経営とは、「未来を見える化する経営」であり、AI時代を象徴する新しい経営思想である。
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