2026年5月18~22日(教養講座:米中関係の深層)
~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年5月18日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(15~17日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎トランプ大統領 “台湾への武器売却は有効な交渉材料” | NHKニュース →米中首脳会談で、トランプ大統領が台湾問題で大幅に譲歩したという見方が強まっている。台湾への武器輸出はこれまで、米国が自律的に判断してきたが、今回は交渉カードとして差し出した。米議会の大幅反発は必至。関税などカネをめぐるディールならまだしも、「安全保障=命」に関わる取引は深刻だ。日本への影響も小さくない。高市首相は急きょ、訪韓する。米中首脳会談も話題になるだろう→ 韓国大統領府 高市首相19日から訪韓を発表「中東情勢も議論」 | NHKニュース
◎栃木県 上三川町 強盗殺人事件 横浜市の20代夫婦を逮捕 指示役か | NHKニュース 「トクリュウ」対策強化 変わる警察の捜査体制 | NHKニュース →栃木県の強盗殺人事件で、横浜市に住む20代の指示役夫婦が逮捕された。神奈川県に住む高校生4人も逮捕された。トクリュウ犯罪とみられる。警察は全国から捜査員200人を集め、略称「T3」というチームを作って対策を強化しているという。
◎サッカー日本代表 メンバー発表:長友佑都ら26人…三笘薫は落選 : 読売新聞 →6月から始まるサッカーW杯のメンバー26人が発表された。エースの三笘は直前のけがで落選。39歳の長友が5大会連続で選ばれた。選手に寄り添う森保監督のスタイルは、サーバントリーダーシップと呼ばれ、ビジネスの世界でも注目されている。大胆な目標の「優勝」を実現すれば、日本も変わるだろう。
◎東京大学の五月祭 爆破予告で16日のすべての企画を中止 | NHKニュース →東京大学の5月祭イベントに爆破予告のメールがあり、16日の企画がすべて中止された。参政党の神谷代表の講演が予定されていた。参政党の政策は差別的と批判されることもあるが、爆破予告はいたずらでも犯罪になる。すべての企画中止は過剰反応のような気もする。危うい時勢である。
◎トランプ氏、第1四半期に少なくとも2億2000万ドルの金融取引 | ロイター →トランプ大統領の株売買など今年第一四半期の金融取引が公表された。エヌビディア、アップルなどのIT企業、ゴールドマンサックスなど金融機関が含まれる。過去の大統領は取引を凍結するのが一般的だ。大統領という最大のインサイダーが、ディールを振りかざして私腹を肥やしている、と思われても仕方ない。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎佐藤愛子(小説家、2026年4月29日死去、102歳)
「いまの世の中を一言で言えば『いちいちうるせえな』。これに尽きますよ」 「人生の困苦に際して力を持つものは、金でも名でもない。精神の強さ」 「自分の性質の嫌さを分析して嘆くよりも、他人に配慮する努力をすればよろしい」 「夫婦喧嘩も性行為も挑まれればいつでも受けて立つべきものである。それが夫婦のエチケットである。夫婦円満の秘訣はそこにあるのである」 「苦労が自分を育ててくれた」 「私は、私の欠点を引きずりながら誠心誠意生きてきた」 「他人に対する理解力や洞察力や思いやりは、知識や勉強からでなく、苦労の積み重なりによって養われるものだ」 「この世で起こることは、すべて修業だと思えばいい。 力一杯生きて『ああ、面白かった』と言って死ねれば、それがいちばん」 「何のマイナスもない人生を歩いていたら、考えない人間ができちゃう」 「書くことは、深く考えること」 「良い経験も悪い経験も、多ければ多いほどいいと考えている」 「人に好かれようとしたことがない」
*** 今週の教養講座(米中関係の深層①)
米中首脳会談が終わった。日本から見ると、「米中対立」に目が行きがちだが、両大国の長い交流は多元的で、単純ではない。日本では現在、中国を語るときに「媚中派」「嫌中派」と好き嫌いで論じがちだ。しかし、米中の歴史、それに関係した日本の立ち位置を考えると、もっと深い洞察が必要になる。レッテル貼りにとどまっていては、本質を見誤る。両国の歴史について、「日本から見た盲点」という見方を交えながら考えてみたい。
第1回 出会いと最初の誤解――米中関係の始まりと日本の盲点
アメリカ合衆国と中国の関係は、18世紀末の貿易から始まった。独立直後のアメリカは、中国の茶、絹、陶磁器を求めて広州へ船を送った。当時の中国は清王朝の時代であり、巨大な人口と長い文明を持つ世界有数の大国だった。日本では「アメリカと中国はもともと対立していた」という印象を持ちやすい。しかし実際には、最初の関係は貿易と相互利益から始まっている。ここが最初の盲点である。
19世紀、中国は欧米列強の圧力を受けた。1840年のアヘン戦争後、イギリスは中国へ不平等条約を押し付ける。アメリカも1844年に望厦(ぼうか)条約を結び、中国市場への進出を進めた。
ただし、アメリカはイギリスほど露骨な植民地支配を目指してはいなかった。むしろ「門戸開放政策」を掲げ、中国を特定国が独占せず、各国が平等に貿易できるよう主張した。そこには理想だけでなく打算もあった。しかし重要なのは、アメリカが早い段階から「中国市場の重要性」を理解していた点である。
一方、中国側には「外国勢力への屈辱」の記憶が残った。19世紀後半、中国は欧米列強や日本の圧力を受け、「半植民地化」の時代を経験する。この歴史意識は現在の中国政治にも深く影響している。日本では現在、中国の強硬姿勢だけが強調されやすい。しかし中国には、「かつて弱かった中国を2度と繰り返さない」という強い歴史感覚が存在する。この点を理解しないと、中国の行動原理は見えにくい。
20世紀初頭、中国では辛亥革命が起き、清王朝が崩壊する。孫文はアメリカ型民主主義にも関心を持っていた。当時、中国知識人の間では、「欧米の科学や制度を学び、近代国家を作るべきだ」という意識が強まっていた。ここにも日本の盲点がある。歴史的に中国は、長くアメリカの技術や教育、制度から学ぼうとしてきた。アメリカもまた、中国市場や中国文明に強い関心を持っていた。
米中関係の出発点は、「敵対」でなく、「期待」と「憧れ」が存在していたのである。その後、日本の中国進出や日中戦争によって、アメリカと中国は接近する。第二次世界大戦では、中国はアメリカと共に日本と戦う連合国の一員となった。ここで日本人が忘れやすいのは、「中国にとってアメリカは、日本と戦った時代の同盟国だった」という事実である。現在の中国では抗日戦争の記憶が非常に重視されている。その中でアメリカは、「日本と戦った支援国」として記憶されている面もある。
米中関係を理解するには、「今の対立」だけを見るのでは不十分である。両国は長い歴史の中で、協力、憧れ、利益、屈辱、警戒を複雑に積み重ねてきた。そして日本は、その歴史の外側ではなく、常に深く関わってきたのである。
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