『感情類語辞典』を味わう(2026年6月8~12日)

*** 今週の教養講座(感情類語辞典①愛情)

文章を書く時、なるべく同じ言葉を使わないことが大切です。豊かな語彙や類語の知識は強い味方になります。「感情類語辞典」(増補改訂版、2020、フィルムアート社)という辞典があります。カナダと米国の2人の作家がまとめました。感情に関係した言葉をピックアップし、関連した動詞、外的なシグナル、内的な感覚などを詳細に例示しています。主な読者は小説や脚本など物語を書く人で、キャラクター設定に活用されていますが、誰が読んでも興味深い内容です。合計5つの言葉を選んで紹介します。

◎愛情 [英 Love] 【あいじょう】 相手に対する深い好意、愛着、情熱

・この感情を想起させる動詞  目を輝かせる、べたべたする、愛撫する、打ち明ける、抱擁する、励ます、いちゃつく、見つめる、にっこり笑う、口づけする、笑う、育む、鼻を擦り寄せる、もの欲しそうな目つきで見る、凝視する、なでる、からかう、うずうずする、触れる、信頼する

・外的なシグナル  相手に近づく、または触れる/宙に向かって微笑む/はじけるような笑顔、紅潮する頬/ほとんどまばたきをせず、相手の目をじっと見る/人の一番よいところに注目する/大きく、深く、味わうように呼吸する/慕うような目差し/無意識に唇を開く/軽く、跳ねるような足取り/ふざけてニヤッと笑う/笑い声を上げる、ひっきりなしに喋る/互いに寄り添う/相手の膝に横たわる/お互いだけが使うあだ名で呼んだり、愛情を示す言葉を言う/恋人の写真や、その人にちなんだものをうっとりと見つめる/ラブソングを聴いて共感する/相手に好意を寄せていることが見え見え口調で話す/緊張したふるまい(両手をもてあそぶ、唇を湿らすなど)/口ごもる/「愛してる」と伝える/体と足を愛する人の方に向ける/ふざけて押す、掴む/秘密や望みを共有する/愛情を込めたボディタッチ(腕をなでる、手を握る、キスする、ハグするなど)/互いの足が触れるような距離で座る/相手の肩に手を回す/趣味や興味を相手に合わせる/相手のベルトやポケットに手をかける/大切な人と過ごすために、ほかの友人たちを無視する、あるいは付き合いが悪くなる/相手にちょっとした手紙や詩を書く/時間、価値、心遣いといったものを提供する/特別な相手について友人に相談し、アドバイスを求める/恋人が電話をくれたか気になって、ひっきりなしに携帯電話をチェックする/頻繁にメールをやりとりする/ハートや互いの名前を書きする/毛を染めたり運動に励んだりして、なんとか外見を改善しようとする/ロマンティックな映画を見る

・内的な感覚  ソワソワする、胃にぽっかり穴が空いたような感じ/鼓動が速くなる/心臓がドキドキする、破裂しそうな感覚、もしくは何かが直撃したような感覚/全身が敏感になる/膝や足がガクガクする/ふとしたボディタッチで体がうずく、電流が流れたような感覚

・精神的な反応  ボディタッチやそばにいることで高揚感、幸福に感じる/世界とこの世のすべてに感謝する/相手といる時間の感覚がなくなる/心がぽんやりする、気が散る、空想に耽る/恋愛の対象がそばにいると、周りが見えなくなる/恋人に誇らしい気持ちを抱いてもらえるような方法を探す/連絡がないまま時が経ちすぎて不安になる/独占欲、嫉妬の感情/相手と一緒にいると、安心して満たされる/恋愛の対象がそばにいないときでも、相手が喜びそうなものに気づく

・一時的に強く、または長期的に表れる反応  身の回りの品を交換する(服、アクセサリー、鍵など)/恋人の友人のことも、自分の友人のように抱きしめる/貯金やその他の所有物を共有する/恋人といるため、もしくは恋人を喜ばせるために困難にも耐える/相手のニーズや欲求を優先する/相手と親密になる/夢や希望を分ち合う、感情的に傷つきやすくなる/恋人を中心にして将来を考える/真面目な関係になる(同棲、結婚など)

・隠れた感情を表わすサイン  肌が赤くなる/甲高い声/はにかんだ笑み、クスクス笑う/近くに立つが、触れることはしない/チラッと見る/過度な距離をとってじっと見つめる/相手の私生活に強い興味を抱くようになる/相手と何もないことを強調する:「ただの友だちだよ」/相手が部屋に入ってくると、気分が明るくなる

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*** 今週の教養講座(感情類語辞典②怒り)

◎怒り  [英 Anger]  【いかり】 強い不満、もしくは憤り。たいてい、不当な行為が原因となる

・この感情を想起させる動詞  怒りに燃える/消耗する/爆発する/急に怒りだす/真っ赤になる/挑発する/揺り動かされる/憤る/血走る/抑える/むかつく/震えくりかえる/叫ぶ/(気持ちが)収まらない/押し寄せる/おののく/引き金を引く/発散する

・外的なシグナル  鼻の穴を膨らませる/荒い息/汗をかく/胸を突きだし、両手を腰に当てる/手をさっと払いのける/ものや人を雑に扱う/顎を高く上げる/足を大きく広げて立つ/歯をむき出しにする、睨む/とげのあるジェスチャーを繰り返す(拳を振るなど)/人が喋っているのをさえぎる/急に頭を動かす/目玉が飛びだしそうなほど目を見開く/指や腕の筋肉をほぐす/指の関節をポキポキ鳴らす/腕まくりをする、襟元を緩める/冷たい目つき、険しい目つき、冷酷な目つき/脅す目的で相手のパーソナルスペースに侵入する/冷やかす、なじる、ひどり冗談を浴びせて笑う/こわばった姿勢や表情/顔が赤くなってくる/口を結ぶ、口をゆがめる/聞き苦しい態度(腕を組むなど)/手のひらに爪を食い込ませる/太もも、テーブル、壁などに拳を打ちつける/ドアや食器棚、引き出しなどをバタンと閉める/ものにパンチやキックを食らわせる、ものを投げる/足を踏み鳴らす、地面を踏みつける/血がのぼる、脈がピクピクする、充血する/とげのある笑い声を上げる/震える声、大きくなる声、怒鳴り声/声のトーンが低くなる/皮肉を浴びせて相手を侮辱する/喧嘩をふっかける(口または体で)/人にかみつく/汗が吹き出る

・内的な感覚  歯ぎしりする/けいれんする/脈が速くなる/心臓がドキドキする/体に緊張が走る/体が火照る

・精神的な反応  怒りっぽくなる/人の話に耳を貸さなくなる/結論を急ぐ/ささいなことにも理性のない反応を示す/ただちに行動を起こすことを求める/性急な行動/不適切な行動をとる、リスクを負う/暴力を振るいたいと思うようになる

・一時的に強く、または長期的に表れる反応  ささいなことでも怒りを爆発させる/過度の緊張が続き、ひどい場合は潰瘍になる/湿疹、ニキビといった肌の問題が生じる/怒りを発散させるために自分の持ち物を壊す、傷つける/手術、事故、その他トラウマからの回復が遅くなる/運転中に突然怒りだす/近くにいる罪のない人に対してやつあたりをする

・隠れた感情を表わすサイン  注意深く、抑えた口調で話す/ゆっくりと、呼吸を整えて息を吐きだす/作り笑いをする/受動攻撃的な物言い/アイコンタクトを避ける/怒りの対象から体を背ける/会話から身を引く/ぎゅっと握りしめた手足を周りに見られないよう隠す/少しその場から離れる/頭痛に襲われる/筋肉痛になったり、顎が痛んだりする

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*** 今週の教養講座(感情類語辞典③感謝)

◎感謝  [英 Gratitude]  【かんしゃ】  ありがたいという気持ち。恩を感じる、賞賛する

・この感情を想起させる動詞  真価を認める/目を輝かせる/お辞儀する/大切にする/握りしめる/(人を)包み込む/呼び起こす/自分の気持ちを表わす/(感謝を)伝える/ハグする/分け隔てしない/会う/頷く/差し出す/溢れる/明言する、/約束する/光り輝く/手を差し伸べる/立ち上がる/選ぶ/共有する/きらめく/ぎゅっと握る/唾を飲み込む/トントンと叩く/感謝する/触れる/声に出す/温める/ささやく

・外的なシグナル  目の奥が輝きに包まれ、柔らかい眼差し/人の手や腕を握りしめる/軽く握った拳で胸をトントンと叩く/胸に手を当てる/涙が溢れる/胸に手を当ててから、感謝する人やグループの方を指差す/微笑みをたたえ、唇に指を当てる/感謝の気持ちを繰り返し述べる/必要以上に長く人の手を振る/ハグをする、愛情を示す/握手しながらその手を軽く握る/自然と笑みがこぼれ、表情が明るくなる/しっかりとアイコンタクトをとる/「ありがとう」と言う/人のパーソナルスペースに入り込む、または自分のパーソナルスペースに人を歓迎する/両手を尖塔の形に合わせて唇を押しつける/人を称賛する/感情に溢れた声/人に軽く触れる/人の背中や肩に手を添える/目を輝かせながら頷く/贈り物、親切な行ないなど、感謝の念を示す/空を見上げながら両方の手のひらを高く上げる/人を褒める/力強く拍手する/体を前方へ向ける/手を振る、Vサインで祝福する/頭を後ろにそらし、しばし目を閉じる/礼、もしくは膝を曲げてお辞儀をする/投げキスをする/感謝の気持ちを表明する/感情を抑えようと、少し間を置いてから、または唾を飲み込んでから話す/お世話になった人にいつか報いたいと心に誓う

・内的な感覚  手足がうずき温もりに包まれる/全身の緊張がほぐれる/胸が上下するのを感じる/胸がいっぱいになる/顔が心地よい温もりに包まれる/膝がガクガクする

・精神的な反応  人の優しさや援助に認識したいと熱望する/よい意味で圧倒される感覚/この気持ちをずっと記憶しておきたくて、この瞬間をしっかり味わいたいと思う/人を祝福するだけでなく、その人を特別な気分にさせてやりたいとも思う

・一時的に強く、または長期的に表れる反応  崇拝/膝から崩れ落ちる/恩返しのためなんでもしたいという欲求/うれし涙/人とのつながりや愛情を感じる

・隠れた感情を表わすサイン  目を閉じる/表情を隠すために首をすくめる/アイコンタクトを避ける/密かに感謝の念を示すために、すばやくチラッと見る/注意をそらせる、話題を変える/咳払いをしてから話し出す(自分の声を整えるため)

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*** 今週の教養講座(感情類語辞典④屈辱)

◎屈辱 [英 Humiliation]  【くつじょく】  体面を汚された、恥をかかされたと感じること。自分は無力で価値がないと感じること

・この感情を想起させる動詞  縮こまる/萎縮する/偽る/逃れる/逃げる/たじろぐ/隠す/窮地に陥る/退く/ガタガタ震える/縮み上がる/言葉に詰まる/卑下する/よろめく/どもる/転倒する/顔が引きつる/しぼむ

・外的なシグナル  体が崩れ落ちる/うつむく/胸を覆うように肩を丸める/人から上半身を背ける/ゾッとする感覚、もしくは身震いが止まらない/髪で顔を覆い、目元を隠す/視線を下に向ける/顔が赤くなる/胸が苦しくなる/虚ろでどんよりした目/シャツの袖を引っ張る(身を覆うジェスチャー)/もので体を守る(何かものを持っている場合)/顔のあたりを両手で抱きしめる/両手で顔を覆う/下唇、もしくは顎が震える/すすり泣く/喉仏が上下する/両腕をぐったりと体の脇に下ろす/涙が止まらない/音や気配にビクッとする/うずくまる、身をかがめる/体を両手でかばおうとする/首を前方へ曲げる/遅く、ぎくしゃくした動き(そういう足取りで歩くなど)/両膝をぴったりくっつける/体を思うように動かせない/冷や汗をかく/よろめく、ぐらつく/壁に身を寄せる、部屋の角に陣取る、隠れる/体中に見た目にもわかるほど震える/両手で肘をぎゅっと掴む/内股で立つ/嗚咽を押し殺す/膝を抱きかかえる/体に両腕を巻きつける/鼻水が出る

・内的な反応  足がガクガクする/心拍が速い/心拍が遅い/すばやく唾を飲み込む/ふらふらする、めまい/胸が締めつけられるような感覚/虫が肌の上を這っているような感覚がし、鳥肌が立つ/筋肉が緩む、体がバラバラになるような感覚/目頭や頬が熱くなる/吐き気

・精神的な反応  自己嫌悪/相手に対し、見識が欠けていると幻滅し、心が打ち砕かれる/人前に晒されたような、無防備な感覚/とにかく隠れたい、逃げたいと思う/屈辱の瞬間を一刻も早く終わらせたくて頭をフル回転させる

・一時的に強く、または長期的に表れる反応  床に丸まって横になる/何かの後ろ、あるいは何かにもたれて隠れる/泣く、泣きわめく、嗚咽する/なんとしてもその場を逃れたい/心の痛みに終止符を打つため、死にたいと切望する

・隠れた感情を表わすサイン  心も体も無感覚に鳴る/なんでも受け身の状態で、上の空になる/今起きていることに対して思考を遮断する/喋らない、音を立てない/「心ここにあらず」の状態

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*** 今週の教養講座(感情類語辞典⑤切なさ)

◎切なさ  [英 Wistful]  【せつなさ】  あることを切望しているが、どうせ無理だろうと悲しみや後悔に胸が締めつけられること

・この感情を想起させる動詞  心を痛める/苦しみに耐える/大切にする/自分のものにしたがる/熱望する/欲求する/夢見る/心に描く/羨む/褪せる/空想に耽る/成長する/想像する/むずむずする/思い焦がれる/嘆き悲しむ/物思いに耽る/必要とする/恋い焦がれる/後悔する/思い出す/探し求める/話す/凝視する/もがく/鎮める/渇望する/そうってほしいと願う/引きこもる/目を奪われる/切望する

・外的なシグナル  弱々しく、物思いに沈んだ微笑み/腰を噛みしめ、うつむく/遥か彼方を見ているような眼差し/物静かになる/ゆっくりとした深い呼吸/顎を少し引く/ゴクリと唾を飲み込む/希望と思しみが入り混じったため息をつく/心の奥にある切なる思いを口に出す:「私、こんな人間じゃなかったらよかったのにって思うんだよね」/自分を抱きしめるように腕を組み、親指で腕をさする/顔を少ししかめながら、ゆっくりと頷く/人との結びつきを求める(肩を掴む、手を取るなど)/感情的になって声が締めつけられる/この気持ちを理解してくれる(同じ切なさを感じている)人と悲しそうな微笑みを交わす/自分の手にもう一方の手を重ねる/独り言を言う(後悔や気持ちを整理するため、または人前では言いにくい言葉を呟いて安心感を得るため)/両手を軽く組む/昔を吸い出すと、表情に明るさと幸せが戻る/気持ちを入れ替えるため、目を閉じて深呼吸する/少し背中を丸め、だらりとした姿勢/肩を少し落とす/作業の手を止め、しばらくじっと座っている/足首あたりで足を軽く組む(座っている)/手で胸を押さえる/本当はこうなってほしかったかと思っていることを誰かに話す/神の思し召しに当惑するが、信仰心は捨ててない(宗教を信じている場合)/物思いに沈みながら、喉元を軽くさする/椅子に深々と座り、リラックスして考えごとをする/日々の心配事をつかの間忘れ、世の中に目をやり、何か深遠なことに思いを馳せる/夢に向かうことが許されていた幸せだった頃のことを人に話す/現状を憂うより、楽観的に考えようとして自分を慰める:「僕なら市長に他の人を選んだと思うけど、この町にはあの人でいいのかもしれないな」

・内的な感覚  胸が少し重く感じる/喉に小さなしこりがあるような感覚/腕やうなじがうずくような感覚/気温や室温に過敏になる

・精神的な反応  少しの間、過去に埋没する/象徴的なものや感覚刺激がトリガーとなり、切ない思いを蘇らせ、心が痛む/こうでなければよかったのにと思う/ひょっとしたら違う道を歩んでいたかもしれない自分を思い浮かべる/現状にすっかり慣れてしまい、憂鬱になる/過去の苦しみを思い出し、思い通りに人生は進まなかったが、結果的には楽になったと思う(希望は捨てていない)/今の自分を顧みて、人生これでよかったし有意義だったと思う/過去は変えられないと悔やむ

・一時的に強く、または長期的に表れる反応  涙がはらはらと流れる/苦しみに喉が締めつけられる/切ない気持ちが長く続くと、現実に戻って今を生きるのが難しくなる/違う人生をよく想像する/悲しみや満たされない気持ちを引きずりながら人生を送る/いつまでも過去を振り返らないように、引越しする/これからは後悔しない人生を送ろうと決意する

・隠れた感情を表わすサイン  自分の人生に欠けているものに拘泥せず、自分に今あるものに意識を向け、ポジティブなことを口にする/咳払いをして頭を切り替え、現実に戻る/話題を変えたり、関係のない質問をしたりする/過去を振り返って空想している自分(または他人)を叱る/仕事などに没頭し、努力を倍加させる(心を彷徨わせないようにするため)